World Jazz Gallery Presents

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Gallery #012

Time of Relaxation with Christian Jacob

フランス出身の俊英ピアニスト、クリスチャン・ヤコブより
リラックス・タイムをあなたに!   (July/24th/2005)

Perpetual Emotion
1995年に "Speed of Light" を発表してからしばらく新作のリリ
ースが途絶え、ファンをヤキモキさせていたフローラ・プリン。
2001年にリリースされた "Perpetual Emotion" はそんなファン
の心配を一気に解消しただけでなく、フローラの新たな魅力をア
ピールする作品に仕上がっていた。ジャジーなタッチのしっとり
としたボーカルが堪能できる。

母国ブラジルの音楽を基本軸として、ソウル、ブルース、アフロ
・キューバン、アシッド・ジャズなど幅広い音楽にチャレンジし
てきたフローラだったが、意外にもジャズ・ボーカルを意識した
作品はほとんど作っていない。その新たな魅力を演出したのが、
フローラと初共演となったピアニスト、クリスチャン・ヤコブで
あることに気づいたとき、このフランス出身の俊英ピアニストへ
の興味は一気に高まった。

クリスチャン・ヤコブはパリで最高レベルの音楽教育を受けた後
アメリカへ渡ってバークリー音楽院でジャズを学んだ人。そのま
ましばらくバークリーで教鞭を執った後、90年代にはゲイリー・
バートンのバンドを経て、メイナード・ファーガソン・オーケス
トラでアレンジとピアノを担当、というのが主な経歴。2000年に
入るまでは殆ど無名の存在だったと思われる。

そのように地道にキャリアを積み重ねたきたヤコブだったが、こ
こにきて、急速にジャズシーンでの存在感が増してきた。トリオ
作品 "Time Lines" (Concord) や "Styne & Mine" では流麗なタ
ッチによるリリカルなソロがたっぷりと楽しめる。後者でゲスト
として参加している歌手のティアニー・サットンとのコラボレー
ションは10年を超えるが、ヤコブを射止めたサットンはボーカリ
スト仲間の間で羨望の的となっているのだそうだ。

フローラの僚友のサックス奏者、ゲイリー・ミークの "Step 7"
でもヤコブの活躍振りを聴くことが出来るが、とくに素晴らしい
のがノルウェーのベーシスト Terje Gewelt とのデュエット作品。
現時点で3作を数えるが、欧州出身のコンビらしく、(ボクシン
グの殴り合いではなくて)流れるような組織サッカーを連想させ
る最高にロマンティックな世界が展開されている。リラックスタ
イムを約束してくれる素晴らしいデュオだと思う。

Flora Purim
"Perpetual Emotion"

Styne & Mine

Christian Jacob
"Styne & Mine"

Duality

Terje Gewelt
"Duality"

(1) Narada Jazz 72438-50625-2-0 (2001)
(2) Wilder Jazz 0401 (2004)
(3) Resonant Music RM 10-2 (2002)

Edited by Kazunori KONO, July/26th/2005   Back