一人ひとりを支援し得る地域社会をめざして
教育サービスの一層の充実を提案
私自身が、生まれる時から自分や家族に絶えず心身のトラブルや悩みを抱え続けてきたこともあり、地域社会に起こる様々の間題・課題に対し、人一人が生まれる以前から一貫して「自立と尊厳のある生き方」を支援し得る志木市全体としてのサービスの有り様を、保健医療福祉・環境・教育等あらゆる面から考え、提案してきました。
 1999年9月議会では、教育サービスセンターに関し以下の具体的提案をもとに、より一層の充実を要望しました。
1.LD(学習障害)やADHD(注意欠陥/多動性障害)については、その判定が非常に難しいと認識しており、学校及び研究機関としての教育サービスセンターが、専門機関の協力を得ながら適切な判定及び必要な支援等を構築することが求められます。
2.就学指導に関することも教育サービスセンターの重要な任務であると共に、就学後のフォローアップがさらに重要です。学校と連携しながら一人一人の子どもが適応できているかを見極めた上で、現在もプール指導時等の介助要員が配置されていますが、いかに個々の子どもあるいはケースに応じた補助的な人的配置等の適切な支援策を組み立てられるかが、「学級崩壊」予防の鍵を握るといってもよいと思います。
 現在、教育サービスセンターでは、教育相談の一貫としての、ケースそれぞれの心のケアとして、個別的なかかわりをもつことにより、児童の教育活動及び学校を支援しているということです。このようなケースは増加傾向にあるということで、より一層の支援体制の充実が望まれます。
3.教育相談部門について
 現在、さわやか相談員及びボランティア相談員については学校教育課で所掌しておりますが、学校と連携をはかりつつも、教育サービスセンター・さわやか相談室共に子どもや保護者にとっての第三者機関的な役割が重要であること、また、実際に教育サービスセンター・さわやか相談室・養護教諭の連携が必要なケースが多いことから、サービスセンターが教育相談のセンター的機能を果たすことが望ましいと考えます。
4.つまずく子どもたちへの支援について
 7月26日、文部省「不登校児童生徒適応指導」委託研究機関にもなっている民間機関、静岡県「三島総合心理研究所リベラスコーレ」主催の公開シンポジウム「つまずく中学生・高校生の援助活動をどのように考えるか」に参加しました。リベラスコーレは、教育機関との連携をはかりながら子どもたちに教育を支援しており、保護者・近隣市町の生徒指導の先生方・養護教諭からその存在と支援に対する信頼と感謝、更に、関係機関の一層の連携の必要性が訴えられておりました。
 高校入学直後の「1分間カウンセリング」など、参考となる事例も報告されました。更に、静岡県では1999年度より、文部省の不登校児童生徒適応指導研究委託を受けた5つの民間施設が静岡県スクーリング・サポート連絡協議会を結成、高校中退者の援助活動を行うことになりました。

 教育サービスセンターにおいても適応指導教室「ステップ・ルーム」をはじめ、市民及び教職員対象カウンセリング講座等評価されるものですが、教育サービスセンターを核としたネットワーク化が今後の課題であり、更に、高校との連携もはかり、中学から高校へのフォローアップをはかっていきたいものです。
5.去る7月20日、宗岡第2公民館でCAP(キャップ)ワークショップと講演会が開かれました。CAPは「子どもへの暴力防止」の略で、子どもが様々な暴力やいじめから自分を守るためのプログラムでアメリカで盛んに行われている手法です。参加した保護者からは、「是非、学校でもクラス単位で取り組めたら。」「PTA等を通じ、地域に広めたい。」との声も上がっておりました。CAPネットワーク主催のスタッフ養成講座もあり、「安心・自信・自由」という、子どもたち自らの生きる力を支援する取り組みでもありますので、教育サービスセンターとの連携が望まれます。
6.更に教育サービスセンターは総合的な学習の時間、部活動をはじめ各種学校教育活動、課外活動、ボランティア活動、生涯学習に対する幅広い支援のための様々な人材、関連機関等に関する情報バンク的機能も担っていただきたいと考えます。
7.国際理解教育の在り方も、イベント型から日常型への転換が必要と考えます。平成8年度初めての決算委員会で、英語教育のみならず、地域にお住まいのアジア圏等の方々との交流ができればとの意見を申し述べましたが、「時期尚早であり、今後の課題としたい。」との教育長の答弁でした。すでに、一部市内小中学校では日常の教育活動の一貫として、また、総合的な学習へのステップとして(志木二中など)取り組み始めているようですが、教育サービスセンターの研究課題の一つとして取り組んでいただけたらと考えます。
(2000年3月)

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