自然再生条例の手続きを取らず親水公園でホタルの里づくり工事
 2001年9月議会で自然再生条例が可決され、市が行う公共工事では、事前の現地調査を行い、保全・影響を最小限に留める・代わる自然を創出する等の措置を講ずることとされ、環境市民団体の協力により、実施されてきました。
 また、条例に基づいて市民・事業者・行政の協働で策定された自然保全再生計画(2002年3月)により設置された自然保全再生協議会(市民・事業者・識見者)が、進行管理全般にわたるチェック機能を果たしてきました。
 ところが、12月4日に親水公園こもれびのこみち湧水付近を訪れた自然保全再生協議会メンバーが、人工的な工事が行われ、自然が壊されていることを発見しました。私も調査したところ、公園を担当している都市整備課が、自然再生の手続きを取らずに「ホタルの里づくり工事」として、ホタルの幼虫が上陸しやすくするための工事を行っていたことがわかりました。庁内でチェックする立場にある環境推進課も知らぬ間の出来事でした。
 12月6日の自然保全再生協議会でもこのことが話題となり、次回、担当課を呼んで経緯を聞き、対応策を協議することとなりました。
「ホタルの里づくり事業」については、予算が提案された2002年3月議会において、「『ホタルが自然に発生するような環境の保全・再生を目指す』ことはよいが、ホタルを人工飼育することは問題であり、行政が多大な時間・労力・税金を使ってするべきことではない。環境市民推進会議(環境基本計画の進行管理)や自然保全再生計画を策定している方々に相談しながら、推進するのか否か検討を。」と求め、市長は「お話しのように、生態系との関係を考えなければいけないので、早期に各種委員会や環境団体等に御意見をお聞きして、今後の方向性については慎重に決定していきたい。」と答弁しました。
 しかしながら、環境市民推進会議・自然保全再生協議会には未だ諮られることなく、「ホタルの里づくり事業」として、市内で唯一昔から湧き続けてきた湧水付近の貴重な自然環境が失われました。
 親水公園こもれびのこみちは、当初コンクリート張りの人工的な公園が計画されていましたが、市民の意見を反映して自然を保全・創出(表土も保全)し、教育サービスセンター・環境市民団体主催の「トンボとチョウを見る会」、公民館事業、学校教育活動など、自然や生態系についての生きた環境学習の場として、多くの市民や子どもたちに活用されるとともに、市民参加の公園づくりの事例として、全国からの視察やフィールドワークの場でもありました。
 一方、2002年慶應志木高校が売却したマンション建設用地の自然環境の保全については、自然再生条例の「事業者が自然の保全及び再生に自ら努めるとともに、市の施策に協力する責務」に基づき、近隣住民・環境市民団体・市が連携して開発者側と交渉し、斜面林・大イチョウ等が保全される方向性となりました。
 こうした状況下、民間を指導する立場にある「市の責務」が一層果たされるよう、提言していきます。
工事後の湧水付近(1月19日) 復元後の現状(2月5日)
「ホタルの里づくり工事」その後の経過について
 「ホタルの里づくり工事」については、自然保全再生協議会委員から臨時の会議を開いて現地の復元(可能な限り元の状態に戻す)について協議を求める要望書が提出されたのを受け、委員長が都市整備課に復元を求め、2月5日の会議(臨時には開催されなかった)で、一部復元された(赤玉土等を取り除き、丸太は生かした)旨の報告がなされたとのことです。
(2003年2月)
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