志木市らしいまちづくり活動の更なる発展に向かって
「市民が創る市民の志木市」実現アンケートでは、次の興味深い結果が表れました。
問 自主事業(公民館・市民会館等)の実施方法はどのような方法が良いと思いますか。
1.市が計画して市が実施する                   20.9%
2.市が計画して市民が実施する                  21.9%
3.市民が計画し市民が実施することとし、市は費用や人的支援を行う 46.3%


ここに、行政運営調査特別委員会に提出した私の意見の一端を述べ、皆さんと共に考えていきたいと思います。
天田いづみの意見〜行政運営調査特別委員会に提出〜
「事務事業」について
 事務事業の見直しについては、廃止・縮減・継続という判断だけではなく、拡充・発展という考えもなくてはなりません。
 廃止・縮減したために自立ができなくなったり、市民生活や地域活動が萎縮したり、途絶えてしまったりするようでは、その後始末の為に多大な財政出動を伴うことにもなります。また、財政だけでは解決のつかない「人の関わり」関係性の中で、互いに影響しあいながらまちが成長し、発展していくという、「循環スパイラル」を共通イメージとして、全ての事業を考える必要があります。

1. 社会教育の機能を地域の中でどう育成していくか
武蔵野市の事例から
 武蔵野市では従来町内会が無く、20年前から区域毎の16のコミュニティー協議会が20のコミュニティーセンター(行政財産)を市との委託契約により管理運営してきました。
 現在は補助金により各コミュニティー協議会がコミュニティーセンターの管理運営をしているそうです。毎年度の住民総会で協議会メンバーを選出し、メンバーには福祉・子育て支援・教育等々、それぞれ社会教育の企画・運営機能を担える人材がおり、20年間コミュニティーセンターを中心に自主事業を実施してきているということです。
 コミュニティーセンターは葬祭等にも使用でき、地域の集会所もしくは町内会館的な機能も果しています。使用料は無料です。

 予算は年度毎に16のコミュニティー協議会代表・学識経験者・市担当者が協議し、実績等を考案しながら定めている。協議会メンバーは原則無報酬であるが、窓口業務は午前・午後・夜間と交替で協議会メンバーが行い、補助金の中から手当てを支給しているということです。
 地域特性が生かされた、民主的な住民自治のシステムであると感じます。
 一方、市には、事業団が運営する市民会館、公会堂等3施設があり、これらは営利目的使用も可で、有料となっています。市が企画する文化事業は、これらの施設を中心に行われているようです。
志木市における社会教育と公民館の機能
 志木市の公民館を中心とした、社会教育の果してきた役割は多大です。市民は公民館主催事業によって学習するだけでなく、仲間と出会い、その関係性の中で様々な地域社会の問題に関心をもち、社会の課題を解決せんと取り組んできました。
 宗岡第二公民館ライフカレッジからは老後を快適にくらす会、男のひろば等の活動が、志木公民館の子育て講座からは、子育てサークルが生まれ、子育てサークルが集まって「子育てネットワーク ひろがる輪」が立ち上がり、虐待防止ネットワークや、子育て支援センターとの連携、公民館の0〜2歳児親子のための事業等に、若い母親たちが、活躍しています。
 しかしながら、子育てネットワークについても、公民館職員が関わりながら立ち上がり、子育て支援センター、公民館等で自主事業等を実施できるまでには、まだまだじっくりと、育成支援していくことが必要と思われます。
 このように、5年、10年かけて育成されてきた市民活動の更なる発展、また、「組織改革」についての中で述べたように、市民総合センターを「市民まちづくりセンター」として発展させていくためにも、公民館職員として永年培ってきた経験豊かな人材を市民総合センター、志木小等複合施設(生涯学習センター)等に配置していくことが重要です。
 宗岡公民館についても、従来培われてきた市民の活動がより発展していかれるような観点が必要でしょう。
 尚、非営利の市民活動に対する貸館については、従来通り原則無料とすべきであり、その活動が更に活性化し、結果として地域の公共の福祉に還元されることこそ重要です。
【生涯学習サービスとは】
 一定の公民館機能は確保しつつ、生涯学習サービスはより決め細やかに地域に出て行きたいと思います。
 生涯学習ボランティア養成セミナーのサークルから、村山快哉堂の管理運営を委託する「村山快哉堂管理運営委員会」に発展したのは、まさに循環スパイラル効果といえましょう。
 今後は、学校等を拠点とした地域コミュニティーづくりのための活動がより重要性を増すと考えられます。社会教育指導員を中心に、PTA・町内会等が地域を拠点としてより有効な活動を展開できるよう、企画立案等を支援すべきです。
 何故なら、市・学校の講演会等に自主的に参加する人たちは、概して、教育への関心やコミュニティー意識のある人々であり、参加しにくい方々をどうコミュニティーに巻き込んでいくかが問われています。
 青少年の成長には、若い人たちの意見を聞き、反映させる努力も必要であり、今後は、社会参画・自己決定・自己責任のしくみづくりと共に、活動の場づくりも重要となります。
 埋蔵文化財関係についても、せっかくの労苦が学校教育・生涯学習に生かされていないのが残念です。学芸員を育成しては散逸させてきた現状を踏まえ、郷土資料館建設が水泡と帰した今日こそ、志木市全体を生きた博物館と捉えて、歴史・自然・文化・ひとの社会資源を総合的に活かしていく取り組みが重要です。
 郷土資料館、埋蔵及び指定文化財、尾崎農機具資料館、宗岡地区の稲作文化等々、郷土史・伝承文化・関わる人々をつなぎ、子どもたちを中心に、体験させていきたいと思います。
 機動的に機能し得る、人的配置も含めたシステムを求めます。 

2.市民活動、市民事業の観点から
(財)文化スポーツ振興公社等に関して
 財団法人 志木市文化スポーツ振興公社の担ってきた文化スポーツ事業にはサマーコンサート、クリスマスコンサート等、手づくりのまちづくり活動という要素があります。志木おやこ劇場との共催事業もあります。
 ここで、市及び、市の補助金等支出団体としての公社と財政的関わりのあるもの、無いものを含め、市民活動の要素を洗い出してみる必要があります。
 その上で、関わりのある市民活動団体等と協議しながら、「市民の目から見た費用対効果を検証する」ことが重要です。
 公社は、演劇公演に集客の多い志木市の地域特性を活かし、市民劇団立ち上げも視野に入れて、2001年度から「演劇ワークショップ」を始めたということです。
 現代の疲弊した社会においてこそ、市民が自己実現・共生と連帯を実感できる手づくりの市民文化を確立していくのか否か、市民の手で決めていく必要があります。
 一定の期間をかけて、市民が選択し得る検証を行うことを求めます。
市民事業を増やしていこう
 従来型の、行政がメニューや仕様を定め、市民の参加を求めていく時代ではありません。税金の無駄使いと言われるゆえんです。
 村山快哉堂の運営については、市民の管理運営委員会と委託契約を締結するに当たり、市民と相談しながら仕様を定めたそうです。メンバーはやる気・生きがい・気働きで活動し、管理・説明・接客のみならず、自主的に中州ゾーンの草刈をする、見学にきた自治体と草の根文化交流も始まる等、計り知れない効果を生んでいます。
 志木二小の高齢者いきいきサロンも、報償費対応のボランティアから更に前進し、2002年度から運営委員会への委託とされる見込みです。月300名近くの高齢者が集い、おたのしみ会には近所のお年寄り60名以上が元気にレクリェーションを楽しむなど、利用者は増えてきているそうです。ボランティアを中心に、子どもたち1人1人の個性を伸ばすクラブ活動等、学校教育へのきめ細やかな支援も盛んです。
 地域の縁側として、世代間交流・異文化交流をしながら、「共生」しているのです。市民手づくりの活動の効果です。
 一方、市民委員会は一定の補助を受けて、自立的な行政へのオンブズマン機能も視野に入れ、立ち上がりました。
 更に、柳瀬川いきいきマップ調査から「柳瀬川の野草」小冊子づくりの活動は、教育サービスセンターの事業として、報償費を他の事業費と合わせて予算化し、環境市民団体との共働により完成後は、各学校の総合的な学習の時間等で市民がゲストティーチャーとして協力しながら、フィールドワーク等で活用されています。
 以上、幾つかの例を上げましたが、委託・補助・共同事業いづれもその活動は自主的自立的であり、手法についてはその内容により行政・市民それぞれの責任と役割に応じて、協議しながら定めていくのが良いと考えます。
 現在、市内の市民団体と行政との関わりの中で実施されている事業、今後可能な事業等を洗い出して、市民と共に検証してみる必要があるでしょう。
 市民委員会に「市民まちづくり事業検討プロジェクト」を設けるのも、良いかもしれません。
(2002年2月)
親水公園中州ゾーンに移築された
市指定文化財『村山快哉堂』
市民ボランティアが運営する村山快哉堂

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