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Gallery #003

The Golden Age of the Music of Duke Ellington

20世紀を代表する音楽家の一人エリントン、その偉大な
音楽へのアプローチはいかに?   (Jan/16th/2004)

The Best of Early Ellington
ジャズの解説書では常に最高級の賛辞をもって紹介されるデュ
ーク・エリントン。でも、エリントンの音楽は実際にはどのく
らい愛されているのだろうか? ジャズの書籍がたくさん置い
てあるような大きな書店でも、背表紙に「エリントン」の文字
が記された本にお目にかかったことがほとんどない。

かくいう私も、エリントンの音楽に真剣に向き合うようになっ
たのはここ数年来のこと。レコード店で何となく目に止まった
"The Best of Early Ellington"(1926年から1931年の間に収
録された演奏のベスト盤)を手に入れたことがきっかけであっ
た。スィングよりさらに前の時代のジャズに対する認識を完全
に変えてしまうくらいに、この1枚との出逢いは衝撃的だった。

ちょうどそんな頃、ニフティサーブのジャズ・フォーラムでは
1924年から1947年までのエリントンの演奏を収めた40枚組のCD
ボックス(で1万円以下という廉価)のことが話題になってい
た。そのフォーラムの場で「エリントンのベストの演奏が聴け
るCD」として大推薦されたのが"The Blanton-Webster Band"。
Jimmy BlantonとBen Websterがメンバーとして加わった1940年
から1942年の頃の史上最高のバンドによる演奏が収められた3
枚組のセット。この世界を知らずしてよくぞ今まで、と思った。

もう止まらなくなった。"Early" と "Blanton-Webster"の2つ
の「点」を結ぶ「線」がとても気になる。そこで手にしたのが
"Blanton-Webster" でも大活躍の歌姫 Ivie Andersonの歌もの
を中心に編集された"Duke Ellignton Presents Ivie Anderson"。
30年代のエリントンのバンドが "Blanton-Webster" に向けて
充実の度を高めていく様子が(駆け足ながら)わかった。

エリントンへの興味は「線」から「面」へと拡がっていく。件
の40枚組にたどり着くまでにそう時間はかからなかった。40年
代の終わりが近づくとまた20年代の演奏を聴きたくなるといっ
たことの繰り返しが5回くらい続いた。1928年のコットン・ク
ラブ出演を期に自己の方向性を確立。30年代前半には様々な音
楽の要素を採りいれながら表現の幅を拡げていき、いつしかバ
ンドはオーケストラへと成長する。そこに満を持して Blanton
とWebsterが加わったのだから最高の音楽にならない訳がない。

エリントンといえば「ジャングル・スタイル」。でも私が一番
惹かれるのはリード群(サックスとクラリネット)によって奏
でられる愁いを帯びたサウンドである。このアンサンブルを聴
くのが楽しみでエリントンを聴いているようなところがある。
エリントンが傾倒したと伝えられるディーリアスの音楽の影響
も感じさせる(一抹の哀しさと)優しさに溢れた音だと思う。

エリントンの偉大さについては語り尽くされていると思うが、
強いて付け加え(?)れば、その音楽の発展過程が正規の録音
で残されていることではないかと思う。ベートーベンやモーツ
ァルトは自分たちの時代に録音装置がなかったことを残念に思
っているかもしれない。もっとも、現代のオーケストラの演奏
水準の高さにはびっくり仰天しているかもしれないが...。
  

Duke Ellington
"The Best of Early Ellington"

The Blanton-Webster Band

Duke Ellington
"The Blanton-Webster Band"

Presents Ivie Anderson

Duke Ellington
"Presents Ivie Anderson"


"The Branton-Webster Band"
は2003年11月に国内盤が発売
されている。

Edited by Kazunori KONO, Jan/16th/2004   Back