World Jazz Gallery PresentsAspects in World Jazz |
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Gallery #005Chopin Meets Jazz Vol.1 The Andrzej Jagodzinski Trio |
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「ショパンは偉大なジャズミュージシャンであった」ことを証明する |
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「ショパン」と「ジャズ」の2つのキーワードを見た瞬間、 Gerry Mulliganが1963年に録音した "Night Lights" のジャ ケットが思い浮かぶジャズファンも多いのではないだろうか。 その中に収録されている "Prelude in E minor" はショパン の作品で、70年代にFM東京系列で放送されていたジャズ 番組 "Aspects In Jazz" のテーマ曲としても有名である。 でも、「もうひとつ、上記2つのキーワードから思い浮かぶ ものは?」と問いかけられたら、旗と困ってしまう。ショパ ンは言うまでもなくピアノ曲を中心に数多くの名曲を残した 大作曲家。有名な曲は別にしても、マズルカやノクターンな どジャズの素材になりうる曲は星の数ほどあり、その名もズ バリの「即興曲」まである。なのに何故? ショパンを生んだ国ポーランドは実は世界でも指折りのジャ ズが盛んな国。五木寛之の「ワルシャワの燕」にその辺りの 事情が触れられている。また、何故かバーゲンワゴンで見つ かることが多いGOWI(Poloniaと並ぶポーランドを代表する ジャズレーベルの一つ)のCDに「ハズレ」はまずない。映画 に目を転じればコメダが音楽を担当した「水の中のナイフ」 (監督は「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー)があ る。ポーランド映画でなければ「死刑台のエレベーター」と 並ぶシネジャズの傑作として有名になっていたかもしれない。 そのポーランドにショパンの音楽をジャズ化するという困難 なプロジェクトにチャレンジし成功を収めた人たちがいる。 ピアニストのAndrzej Jagodzinski(アンジェイ・ヤゴヂンス キ)率いるトリオの面々。彼らが1994年に発表した"Chopin" はショパンのジャズ化に止まらず、クラシックとジャズの邂 逅の歴史においても記念碑的な作品ではないかと思う。 "Chopin" のオープニングを飾るのは "Prelude in E minor"。 これは先駆者のマリガンに敬意を表したもの。以下、練習曲 (ハ短調)、ポロネーズ(No.1)、マズルカ(No.51)、前奏曲(ハ 短調)、子犬のワルツとプログラムは進む。それぞれ様々な 工夫と変形が施されてはいるが、あたかもショパンが作曲し たかのように思わせるナチュラルな展開が素晴らしい。白眉 は意外性?のポロネーズで、美しいマズルカも捨てがたい。 慎重(かつ大胆)なアプローチでクラシック、ジャズ双方の音 楽ファンから熱狂的な支持を受けた "Chopin"。この偉業が ショパンの母国で成し遂げられた意義は大きい。その3年後 にライブ録音された "Chopin Live!" では "Chopin" とほぼ 同じプログラミングムながら、一転して白熱した演奏が展開 されている。さらに、満を持して登場した "Once More"では 新しいレパートリーが加わった。ここまでくると、もう余裕 の境地である。さらなる "Once More" を期待したい。 "Chopin" 誕生から今年で10年。一日も早く彼らの来日が実現 し、ジャズ、クラシックを問わず幅広い音楽ファンに驚きと 感動を与える日が来てほしいものである。 |
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Chopin |
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Live At The National |
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Chopin Once More |
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(1) Polonia CD 022 |
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Edited by Kazunori KONO, Feb/2nd/2004 Back   |