World Jazz Gallery PresentsAspects in World Jazz |
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Gallery #006Flamenco Meets Jazz / Chano Dominguez Vol.1 |
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ジャズの血管にフラメンコの血を注ぎ込むことに成功した |
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遠く離れた日本に住んでいるとなかなか実感することができ ないが、スペインは実は4つの公用語を持つ多民族国家であ る。世界的に有名なフラメンコにしても、スペインを代表す る音楽のひとつに過ぎない。 しかしながら、これまでにマイルスを始めとする多くのジャ ズミュージシャンの創造心を掻き立ててきた点では、フラメ ンコは間違いなくスペイン音楽の代表選手と言っていいので はないだろうか。また、パコ・デ・ルシアの例を挙げるまで もなく、フラメンコサイドからのジャズへのアプローチによ り、素晴らしい音楽が生み出されてきている。 フラメンコに限らず、1990年代くらいまでのジャズと民族音 楽は概ね上に書いたような関係にあったものと思われる。し かしながら、第三の流れとでも呼べばいいのか、世界のジャ ズを取り巻く様相は徐々に変わってきている。民族音楽のエ ッセンスをジャズのイディオムで消化するというスタイルが 世界中で同時多発的に起こっているように私には感じられる。 ジャズの血管にフラメンコの熱い血を注ぎ込むことに成功し たChano Dominguezは、そのような流れにおけるスペインを 代表する存在と言ってもいいのではないだろうか。 Chanoは1960年にフラメンコの本場、アンダルシア地方のカ ディスに生まれたピアニスト。音楽好きの父親の影響もあり、 幼少からフラメンコに親しむ傍ら、ジャズを独学で学んだ人 である。この人の感動的な音楽との出逢いも、例によって偶 然の悪戯としか思えないものであった。バーゲンワゴン(別 名、宝の山ともいう)で "Hecho a mano"("Handmade" )を 発見しなかったら、Chanoの音楽どころか、スペインの熱い ジャズに関心を持つこともなかったかもしれない。 "Hecho a mano" はTomatitoといった著名なギタリストの参 加はあるものの、中心はあくまでChanoの熱いピアノプレイ。 手拍子やカホン、そして時にタップにより刻まれるリズムが 聴き手を情熱的なフラメンコカフェへと導いてくれる。程な くしてChanoの最初のリーダー作品である "Chano" も手に入 れることができた。コルトレーンの Naima やモンクの Well You Needn't" にフラメンコタッチの新たな名演が加わった。 1997年にリリースされた "En Directo" は2枚組のライブに よるソロアルバム。"Lush Life" や "Caravan" を含むChano のピアノプレイを堪能できる。自身のアルバムをリリースす る傍ら、世界中の様々なミュージシャンと共演するなど精力 的に活動を続けるChanoは、もはや、スペイン音楽シーンの 代表選手のような存在となっている。(以下、Vol.2に続く) |
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Chano |
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Hecho a mano |
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En directo |
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(1) NUBA 7756 |
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Edited by Kazunori KONO, July/15th/2004 Back   |