World Jazz Gallery PresentsAspects in World Jazz |
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Gallery #007An Entertainment Supreme / The Real Art of Tatum |
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ジャズ史上最高のヴィルトォーゾピアニスト、アート・テイタム |
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ジャズ史上最高のピアニストと讃えられるアート・テイタム。 ただ、その評価がテクニックの素晴らしさに偏ってしまって いる感があることも否めない。ホロヴィッツ他のクラシック 界の高名なピアニスト達を魅了したのは、(おそらく)指捌 きの見事さだけではなかったはず。 アメリカンポピュラーの人気作品を、原曲の持ち味を大切に しながら、最高のテクニックを駆使して見事な3分間のドラ マに仕立て上げてしまうのはテイタムの独壇場とするところ。 ルイ・アームストロングとは違った意味で、ジャズ史上最高 のエンターテイナーのひとりと言ってもいいのではないだろ うか。 30年代のエリントンの素晴らしさを知り、同時代にデビュ ーを果たしたテイタムの演奏もじっくり聴いてみたいと思っ た。最初に手にしたのが "Classic Early Solos"。テイタム が20代半ばにDeccaに残した録音のベスト盤である。まず は、テクニックの素晴らしさに魅了された。若さでぐいぐい 押し切ってしまうところが実に爽快。テイタムの名を世界に 知らしめた "Tiger Rug" こそ入っていないが、丹念に復刻 された音の良さも特筆に値する。 50年代の代表的な録音は、やはり "Solo Materpieces" と いうことになるだろう。ラインナップを眺めると、見事なア メリカンポピュラーヒット集になっていることに改めて驚か される。だが、プライベート録音で残された "20th Century Piano Genius"(2枚組)のリラックスした雰囲気の中での 演奏も捨てがたいと思う。 もちろん、テイタムの録音をすべて聴いたわけではないが、 私が聴いた範囲ではテイタムの演奏が(心技体ともに)もっ とも充実していたのは1940年代の後半のように思われる。 目下の愛聴盤が "Complete Capitol Recordings" の2枚組。 指捌きの巧みさもさることながら、テイタムのアイデアと構 成力の素晴らしさが堪能できる。"Solo Masterpieces" がこ の頃に録音されていればと思う。 テイタムは「作曲家」でこそなかったが、他の人の作品の本 質を一瞬にして見抜き、オリジナリティ溢れる作品に仕上げ てしまう点では作曲家以上の存在と言えるかも知れない。磨 き抜かれたテクニックは自己を表現する上で最高の武器にな ったと考えるのが自然のような気がする。もし、テイタムが 今も生きていたら、ビートルズナンバーなどの現代のポピュ ラーヒット作品をどのように解釈し、表現しただろうか。 |
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Classic Early Solos |
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20th Century Piano Genius |
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Complete Capitol Rec. |
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(1) Decca GRD-607 |
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Edited by Kazunori KONO, August/25th/2004 Back   |