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Gallery #010

Afro-Peruvian Music Meats Jazz Vol.2

アフロ・ペルー音楽とジャズの邂逅。復活した「ソンゴサウルス」
が切り開く南米ジャズの世界   (March/10th/2005)

Chilcano
今はお店の名前も形態も変わってしまったが、大宮駅前アルシェ
の4階にあるCDショップ(のバーゲンワゴン)は、私にとって
素晴らしい出逢いを提供してくれる場所だった。ジェシカ・ウィ
リアムス、ポルトガルやスペインそしてポーランドの熱いジャズ
は、すべてそこで「偶然に」発見された。中でももっとも強烈に
印象に残る1枚はソンゴサウルス・レーベルよりリリースされた
ホセ・ルイス・マドゥエノの「チルカーノ」である。「サウス・
アメリカン・ジャズ」への新たな道のりはこうして拓かれた。

ソンゴサウルスはペルー出身のギタリスト、リッチー・セーロン
によって創設された異色のジャズ・レーベル。これまでラテンジ
ャズにも殆ど取り入れられる機会のなかったFestejoやLando等の
アフロ・ペルー音楽の要素を積極的に導入することで、ジャズの
地平線を一気に南米大陸全般にまで押し広げることに成功したジ
ャズ史に残る重要レーベルのひとつ、と個人的には思っている。
「チルカーノ」は現在のペルーを代表する一人の音楽家(ピアニ
スト/作編曲者)の才能を記録した充実した作品となっている。

この1枚のCDに出逢ったことがきっかけで、ソンゴサウルス・
レーベルからリリースされたすべてのCDをウェブサイト経由で
入手することになった。枚数にして9枚と、けして数が多いわけ
ではないが、丹念にプロデュースがなされた逸品ぞろい。発売予
告リストに載っていたオスカル・スタニャロ(「カリビアン・ジ
ャズ・プロジェクト」他での活躍でも知られるペルー出身のベー
シスト)の "Mariella's Dream" は鶴首していた1枚だった。

しかしながら、そんな期待を裏切るかのようにソンゴサウルスは
消滅してしまった。詳しい経緯はリッチー・セーロンのウェブサ
イトに彼自身の独白の形で紹介されている。要はまったく採算が
取れなかったとのことである。最高レベルのミュージシャンを集
めて作られた創造的かつ革新的な作品が「売れない」というだけ
の理由で世の中から消えてしまうのは残念なことである。

が、ソンゴサウルスは見事に復活を果たした。2004年にリリース
された "An Evening of South American Jazz" (ライブ録音) は
密やかながらも力強いメッセージが込められた意欲作。「サウス
・アメリカン・ジャズの時代到来」を期待させる1枚でもある。

Jose Luis Madueno
"Chilcano"

Mariella's Dream

Oscar Stagnaro
"Mariella's Dream"

An Evening of South American Jazz

Richie Zellon "An Evening
of South American Jazz"

(1) songsaurs sng.724774 (1996)
(2) songsaurs sng.724781 (2003)
(3) songsaurs sng.724783 (2004)

Edited by Kazunori KONO, March/10th/2005   Back