World Jazz Gallery Presents


BCL復活!

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第1話 そもそもBCLとは?

この耳慣れない言葉の正体は?  (June/27th/2004)

Wellbrook ALA-1530
BCLは、ずばり Broad Carst(Broadcast) Listner の略
称である。そのまま訳せば「放送受信者」。文字通りなら
ラジオを聴く人はすべてBCLということになるが、もち
ろんそんなことはない。短波帯が受信できるワールドバン
ド仕様のラジオを使って海外の放送を受信する人、という
のがもっともあたっているのではないだろうか。

実は私自身、このBCLという言葉が今一歩しっくりこな
いでいる。私がBCLを始めたのは爆発的な「ブーム」が
起こる少し前の1969年。その頃は、BCLといえば、日本
国内のAM(中波)放送受信愛好者を指していたように思
う。海外放送を聴く人はSWL(Short Wave Listner =短
波受信者) と呼ばれていた。(もちろん中波でも遠く欧州
やアメリカ大陸からの電波を捉えることは可能で、このS
WLにしても、しっくりこないのではあるが。)

それはさておき、1970年代に起こった「爆発的なBCLブ
ーム」は一体何だったのだろうか。秋葉原の電気店の店頭
にBCL用ラジオが「主役」として堂々と並んでいた。ソ
ニーなどごく一部のメーカー製ワールドバンドラジオがお
店の片隅にひっそりと置かれているような現状からは、ま
ったく想像できないことである。

たとえ、放送局から受信報告に対する御礼として好意で送
られてくるベリカード(Verification Card=受信確認証)
を集めることが動機のひとつだったにしても、BCLの本
来の楽しさが結局定着しなかったことが、私には本当に残
念に思われるのである。

私自身の経験で言えば、夕方の中南米方面に始まり、夜中
にかけての東南アジアから中近東方面、そして朝のアフリ
カといったような全世界から届く様々な音楽に耳を傾ける
ことがとにかく楽しかった。ラテン音楽には実は日本では
紹介されていない魅力がたくさんあること、そして冷戦時
代のソ連にも素晴らしいジャズがあったこと、などを知る
ことができたのは、1にも2にもBCLのお陰。外国語の
リスニングの経験は語学学習にも大変役に立っている。

国際放送がインターネットラジオに移行しつつある現在、
安定して受信できるとは言い難い短波放送は役割を終えつ
つあるのかも知れない。無駄な抵抗かも知れないが、何と
か多くの人にBCLの楽しさを知ってもらえればと思う。
このページはもちろん私自身の「復活の記録」であるが、
「BCL復活せよ!」のメッセージの発信でもある。

Wellbrook ALA-1530

ICOM IC-R71

ICOM IC-R71


ALA-1530は英国製のBCL用
高性能アンテナ。直径1.1mの
アルミパイプ製ループアンテ
ナで長波帯から短波帯までを
カバーする。めっきりノイズ
が増えて悪化の一途を辿る現
代の受信事情にあって、この
アンテナに出逢わなかったら
私のBCL復活はなかった。

IC-R71は1984年に購入した通
信型受信機。メモリーが32ch
のみというのは「いかにも」
だが、アナログチューニング
感覚で受信が楽しめるところ
が嬉しい。ALA-1530のお陰で
この受信機も見事復活した。
ちなみにIC-R75はこの機種の
3世代目ということになる。
 
Edited by Kazunori KONO, June/27th/2004   Back