World Jazz Gallery Presents

World Jazz Tour navigated by Flora Purim

 Room #03

Flora Purim
"Stories To Tell"

   (Milestone OJCCD-619-2)

Recorded at  Fantasy Studios, Berkeley, CA in May & July, 1974
Issued in  1991 (Fantasy Inc., USA)
Originally Issued in  1974 (Milestone M-9058 LP)

1. Stories To Tell
    (Vitous/Purim/Coppola)
2. Search For Peace
    (Tyner/Purim)
3. Casa Forte
    (Edu Lobo)
4. Insensatez
    (Jobim/DeMoraes)
5. Mountain Train
    (Purim/Hood)
6. To Say Goodbye
    (Lobo/Hall)
7. Silver Sword
    (Miroslav Vitous)
8. Vera Cruz
    (Nascimento/Hall)
9. O Cantador (Caymi/Filho/Motta)
    /I Just Want To Be Here

"Stories To Tell" は私が最初に手にしたFlora Purimの
レコード。妖しい彩りのジャケットが当時高校生だった私
には何とも刺激的であった。私のFlora Purim探訪の旅は
この１枚から始まったことになるのだが、このＬＰは彼女
がお目当てで買ったわけではなかった。

"Super Natural" の大ヒットが記憶に新しいサンタナの名
がクレジットされていたことで手にしたアルバムである。
当時のサンタナは名盤「キャラバンサライ」をリリース後、
"Welcome" や "Borboretta"（いずれもFloraが参加してい
る）を発表したものの、急速にポピュラリティを失いかけ
ていた。新作もなかなか出ない状況にあって、欲求不満気
味だった１ファンが飛びついたというのが真相である。

残念ながら、サンタナが参加した "Silver Sword" でのプ
レイは「天の守護神」のワイルドさを期待するファンの欲
求不満を解消するものではなかった。聴きこんでいくうち
に、サンタナとFloraにMiroslav Vitousが加わった３人が
織りなすファンタジックな世界が、何とも心地よくなって
いったのではあったが。

といった具合に、ついつい豪華ゲストのプレイに耳を奪わ
れがちになってしまうのだが、実はこのアルバムにはブラ
ジル音楽の名曲がちりばめられている。McCoy Tynerの名
曲 "Search For Peace" ではFloraのしっとりしたジャズ
ボーカルも堪能できる。

ちょっと見には「統一されたコンセプト」を見出し難い作
品。ひとつ間違えば空中分解してしまいかねない異なる要
素をごくごく自然にまとめ上げてしまうところが、もしか
したら Flora Purim の最大の魅力なのかも知れない。私
的ベストとしてずっと愛聴し続けている作品である。