Live Reports from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2004 |
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○観戦記録 東海大学 vs 日本大学(2004年10月3日) |
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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2004/10/03) 於:足利市陸上競技場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 東海大学 :前半: 1 1 0 0 7 | :後半: 0 0 1 0 3 | 10 11 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 日本大学 :前半: 1 0 1 0 8 | :後半: 1 1 0 0 7 | 15 11 ◎出場メンバー 東海 : 1.江黒 2.小大里 3.楢岡 4.下村 5.田中 6.普久原 7.姫野 8.太田 9.宇野 10.小原 11.柴原 12.高倉 13.鈴江 14.陳 15.三木 (16.黒木 17.奥田 18.豊田 19.小野寺 20.辻埜 21.森 22.大平) ○交替 12→22(前35分入替), 6→18(後 9分入替), 3→17(後16分交代) 1→16(後26分入替), 5→19(後40分入替), 10→21(後40分交代) 日大 : 1.北島 2.手塚 3.飯田 4.篠田 5.古賀 6.津田 7.トーエツ 8.大山 9.向山 10.松下 11.藤原慶 12.金川 13.タフィア 14.藤原丈 15.梅澤 (16.森下 17.高橋 18.ラタ 19.野村 20.倉澤 21.武居 22.中村) ○交替 3→17(前 3分入替), 9→20(後32分交代) レフリー : 森実 (日本協会公認) ◎得点経過 東海大学 0 7 7 G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 T P 日本大学 0 5 8 8 東海大学 7 10 10 P 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 G x 日本大学 8 15 15 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 東海:前半 9分 太田(T)、小原(G) 後半 8分 小原(PG) 日大:前半 3分 トーエツ(T) 17分 松下(PG) 後半17分 タフィア(T)、松下(G) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] 先週(小雨模様)に続いて今週もあいにくの雨。それも、本日の雨はハンドリ ングに影響しそうな本格的な降りである。試合会場の足利市陸上競技場は立派 な屋根がついているため観客には嬉しいのだが、せっかくの開幕戦を迎える選 手達にはちょっと気の毒な気がする。ただ、スリッピーな条件とはいえピッチ の状態は(見た目には)良さそうで、まずは一安心。 それはさておき、試合前の両チームのアップの雰囲気が対照的で面白かった。 ひと言で言うと「軽」の東海大に対し「重」の日大。もちろん、東海大のアッ プが軽いとか(あるいは、軽いプレーに走っている)という意味ではなく、日 大のアップが激しい(あるいは重苦しい)という意味でもない。うまく当ては まる言葉が思い浮かばないのだが、後で登場した日大の方に、威厳のようなチ ームとしての落ち着きが感じられた。 その日大の「重」の意味が、はからずもキックオフ直前に判明した。選手達が ピッチに入る前にトーエツ主将の指示でタッチライン上に一列に並び一礼。昔 々の私が高校ラガーだった頃、グランド(芝生ではなかったので)に入るとき には10mライン上に整列する前に必ず礼をしていたことを思い出した。(高 校ラグビーは礼に始まり礼に終わる。)些細なことではあるが、トーエツ主将 の卓越したキャプテンシーの一端をかいま見たような気がした。 [前半の戦い] 降りしきる雨のなか、東海大のキックオフで試合開始。開始早々から、日大が 自慢のFWを中心に東海大に強力なプレッシャーをかける。そして3分、東海 大陣22mのラインアウトから日大の鮮やかな速攻が決まった。一旦は右オー プンに展開しライン(CTBの位置)に入っていたFLのトーエツがゲイン。 日大はラックからすかさずショートサイド(左)に展開して左WTB→FBと 繋ぎさらにゲイン。最後はフォローしたトーエツが持ち前の強力な突破力を活 かしてゴールラインを越えた。 主将自らのトライで意気上がる日大。しかしながら、日大はミスも多くなかな か波に乗れない。とくにタッチを狙ったはずのキックがことごとくノータッチ となり、東海大にカウンターのチャンスを与える結果となっていた。最初のう ちは「タッチに出さないのは作戦」に見えなくもなかったのだが、PKもノー タッチに終わってしまうことが何度か続くと、さすがに観客席の日大ファンは 黙っていない。キックの都度、「今度はちゃんと出せ!」の声が飛ぶようにな っていった。SO松下のキックは距離十分ながら、方向にずれがあった。 そして9分。東海大が反撃の狼煙を上げる。日大ゴール前のラインアウトから FWがモールを押し込み、最後はサイドをついたNo.8の太田がインゴールに飛 び込んだ。左中間のやや難しい位置からのゴールキックも成功して東海大は逆 転に成功。このトライを機に、東海大の得意とするオープン展開が昨日し始め て試合の流れは東海大に傾き始めた。ただ、ミスが多いのは東海大も同じ。オ ープン展開の過程で幾度となくオーバーラップの状態を作り出すものの、ハン ドリングミスでチャンスを潰し、なかなか日大ゴールに迫れない。 17分に日大はPGで3点を追加し、逆転に成功するもののリードは僅かに1点。 ただ、両チームともミスが多かった(とくにラインアウトは安定せず、ほとん どイーブンボールに近い状態になっていた)とはいえ、ディフェンスがしっか りしていた(止めるべきところは止めていた)ため、試合としての緊張感は保 たれていたように思われた。両チームとも決め手に欠けるまま前半が終了した。 [後半の戦い] 後半も、両チームともミスの多さが響いてなかなか有効な攻撃が出来ず、得点 板が動かない状況が続く。8分に東海大はこのような状況を打開すべく、ゴー ル正面22m付近の位置で得たPGのチャンスでゴールキックを狙い成功。点 差は僅かに2点ながら再び試合をひっくり返す。東海大はさらに得点を重ねて 試合の主導権を握りたいところだった。 しかしながら、日大FWのパワーは衰えない。モデルチェンジというには早計 かも知れないが、スクラムを強引に押し込むことはむしろ少なかった。モール やラックである程度ボールを前に運んだところでオープンに展開するという意 図が伺われた。残念ながら、FWからBKへの繋ぎの部分でミスが多く実を結 ぶことが少なかったが。 そんな膠着状態を打ち破るビッグプレーが17分に飛び出した。日大のCTB タフィア(トーエツの弟)が東海大陣で相手キックのチャージに成功。ボール は東海大陣ゴール前まで届き、タフィアがそのまま拾ってトライ。ゴールも成 功して日大は再び逆転に成功。この日のタフィアはディフェンスの面でも激し いタックルで東海大の攻撃を止めるなど大活躍だった。 さらに、28分にも(得点には繋がらなかったものの)日大にまたもビッグプ レー。今度は期待のWTB藤原丈嗣だった。自陣10mライン付近で相手キッ クをキャッチすると満を持して勝負に出た。右タッチライン沿いを東海大FW を中心としたDF陣を縫うようにかわしながら快走。最後は内に切れ込んで東 海陣22m付近でDFに掴まったものの、北條、窪田、そして武井(トップリ ーグで活躍しているOB達)のいずれとも違う、としか表現のしようのない、 鮮やかな50mのランだった。 日大がやや押し気味といっても点差は僅かに5点。今年こそ優勝戦線に加わる ためには東海大はこの試合は落とせない。終盤は東海大の死力を尽くしたアタ ックに対して、日大が耐える展開となった。オープンに展開する形は東海大の 形だが、ラックからの球出しが遅く、なかなか有効なゲインが稼げない。残念 ながら、東海大はあと一歩のところまで迫りながらも日大陣のゴールラインを 越えることができずノーサイドとなった。 [試合後の感想] お互いにミスが多かった点は残念だったが、最後まで緊張感が切れない点では 見応えのある試合だった。関係者の方はたぶん胃が痛くなったのではないだろ うか。「戦国リーグ」を予感させるに十分の試合だった。 この試合で強く印象に残るのは、最初にも触れたトーエツの卓越したキャプテ ンシー。ここ数年、日大は明らかにチーム状態が下降線を辿っているように見 受けられた。春の不祥事など、主将にかかる重圧は並大抵のものではなかった に違いない。ミスが多く、日大にとっては勝ったのが不思議なくらいの試合だ ったが、最後まで集中力を切らさずに戦い抜けたのは主将の力量によるところ が大きかったように思われる。 オープン展開指向の東海大にとっては、残念な雨だった。ただ、一つ感じたこ とは、今日の東海大には、日大にはあった「コレ」というものがあまり見られ なかったこと。その部分が本日の勝敗を分けたような感があり、また、「良い チーム」から「強いチーム」へとなかなかステップアップできないひとつの理 由のような気もする。東海大は、自分たちの拠り所を見つけることが出来れば 確実に「強いチーム」になれるはずなのだが...。 (2004年10月3日記) Top |
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