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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2004

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Weekly Report

○観戦記録 東海大学 vs 中央大学(2004年10月16日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2004/10/16) 於:三ツ沢球技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 2  2  1  0 17 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  29 14
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |  10 10


◎出場メンバー

 東海 : 1.江黒 2.大里 3.楢岡 4.下村 5.豊田 6.高 7.姫野 8.太田
      9.北村 10.小原 11.柴原 12.高倉 13.鈴江 14.陳 15.三木
     (16.岩本 17.小野寺 18.田中 19.普久原 20.宇野 21.真崎 22.大平)

    ○交替   1→16(後20分入替),  4→18(後20分入替),  3→17(後28分入替)
        14→22(後34分入替), 15→21(後36分入替),  7→19(後41分入替)
         9→20(後41分入替)


 中央 : 1.長谷川 2.諸隈 3.藤田 4.石丸 5.松本 6.久保 7.大西 8.末永
      9.早川 10.植村 11.長友 12.工藤 13.有田 14.室井 15.今藤
     (16.麻生 17.武田 18.羽立 19.馬場 20.片淵 21.中村 22.升本)

    ○交替  15→21(前33分入替),  5→18(後 0分入替), 10→22(後 0分交代)
         3→16(後25分入替),  7→17(後39分入替)


 レフリー :谷口浩 (関東協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0           3            10       17              17
                           P            G        G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                 P        G
 中央大学    0       3        10                               10


 東海大学   17                               22       29       29
                                         T        G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学   10                                                 10

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半10分 小原(PG)
      23分 陳 (T)、小原(G)
      32分 柴原(T)、小原(G)
    後半30分 北村(T)
      38分 小野寺(T)、小原(G)

 中央:前半 6分 今藤(PG)
      15分 松本(T)、今藤(G)

◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

2連敗同士のチームの対戦。この試合に勝ってチームの士気を高めたいのはど
ちらも同じ。はずだが、ピッチの上でアップをする選手達だけでなく、応援席
に陣取った部員達の表情も含めて中央大の方にやや元気が見られないことが気
になった。

東海大はスタメンに高主将がFLとして復帰した以外は不動でほぼベストメン
バーと思われる。一方の中央大はBKの選手を大きく入れ替えてきた。HB団
を古賀、升本のコンビから早川、植村のコンビに変更。ちなみに古賀は欠場で
升本はリザーブ。これまでのキック中心だった攻撃の組立を変えてくるのだろ
うか。秋晴れの予報は外れ、曇天の肌寒さも感じられるコンディションの中で
キックオフのホイッスルが吹かれた。

[前半の戦い]

キックオフから平均体重で約3kg上回る中央大FWが東海大FWにプレッシ
ャーをかける。2分に中央大は東海大陣内で得たPKからゴール前でのライン
アウトのチャンス。惜しくもノックオンがあり得点できなかったものの、序盤
戦は東海大陣内での攻防となった。そして、6分。東海大は自陣30m付近で
オフサイドの反則を犯し、ゴールほぼ正面のPGを中央大のFB今藤が難なく
成功させ3点を先制。中央大がさい先よいスタートを切った。

しかしながら、その直後から東海大が持ち前のオープン展開を基調とした連続
攻撃見せ、一気に試合の主導権を握る形となった。ボールをテンポ良く継続す
る技術はやはり東海大の方が上。ただ、肝心なところでミスが出てしまうのを
相変わらずではあるが...。速さを意識する余り、ちょっと急ぎ過ぎている
ようにも見えた。中央大はDFのタイミングがワンテンポ遅れがちながらも、
低いタックルで東海大のアタックを阻止していたことも事実。このことも東海
大のミスを誘ったと言えそう。

そのような流れの中で、東海大は10分にPGにより3点を返し、試合を振り
出しに戻した。これで東海大が波に乗るかと思われたが、逆に中央大FWに火
がついた。13分、自陣10m付近のマイボールラインアウトからモールを形
成して猛然とプッシュ。こうなると平均で3kg軽い東海大FWは慣性の法則
に逆らえない。両チームFWの塊が約20m前進して東海大陣10mラインを
越えたところで東海大が反則。中央大FWはゴール前ラインアウトから再びモ
ールを押し込みゴールラインを越えた。ゴールキックも成功し、15分の時点
で中央大が10−3と7点リード。中央大は今シーズン初勝利への手応えを感
じさせつつあったのだが...。(中央大はその後無得点に終わる。)

FWのパワープレーでは劣勢でも、速い展開になれば東海大のもの。22分に
は中央大陣で得たPKのチャンスから速攻を仕掛け、鮮やかな連続攻撃で最後
は東海大の切り札である右WTB陳が中央大ゴール(右中間)に飛び込んだ。
ゴールキックも成功し再びタイスコア(10−10)となる。東海大は32分
にもカウンターアタックを起点として今度は左WTBの柴原が中央大ゴールを
越えた。東海大はこの試合初めてリードを奪う。

FWのモールを武器にタテをつく中央大に対して、テンポ良くオープンに展開
した連続攻撃の東海大。前半は両チームの持ち味を活かした息詰まる攻防が繰
り広げられた、と書きたいのだが、決め所で双方にミスが多く得点ボードがな
かなか動かなかったというのが実態。36分のインゴールノックオン(中央大)
など、惜しい場面がとにかくに多かった。

とは言っても、中央大がFWを中心に頑張りを見せたのも事実。東海大のミス
に乗じて得点を奪うそつのなさがあれば、と思う。選手個々、あるいはチーム
としてのプレーに対する判断が東海大に比べて一歩あるいは二歩遅れていた点
は否めない。

[後半の戦い]

後半も基本的に前半の流れ(双方ミスが多い)は変わらない。ほとんどの時間
帯においてゲームは中央大陣内で行われたが、(ボール支配率は高くても)圧
倒的な東海大ペースとは言い難い状況だったのはそんな事情による。東海大が
スピーディな連続攻撃で優位に試合を進めるものの、肝心なところでミス。し
かしながら、中央大もそのミスにつけ込む形で劣勢を跳ね返すことが出来ない。
最大の原因はスクラム。せっかくのマイボールも東海大に押し込まれてしまい
安定した球出し、あるいは効果的なサイドアタックがなかなか出来なかったこ
とが響いた。

以前(一部復帰後)からずっと感じて来たことだが、東海大のアタックはスピ
ーディな反面、単調(一本調子)になってしまう面がある。速さに対する意識
が強いことともあるのだろうが、無理にボールを繋ごうとするプレーが「軽い
プレー」に見えてしまう。せっかく継続が出来ているのにもったいないと思う。
法政にも似た面があるが、法政の場合はラインブレイクできる選手が居ること
が大きく、効果的に得点できているように思われる。

中央大はラインアウトからモールで前進するプレーに力強さが見られた。また、
工藤や途中出場した中村がキレのあるアタックを見せてもいた。しかしながら、
それらが有機的に繋がらない。(エース有田に対するマークはやはり厳しかっ
た。) 私見ながら、FWのサイド攻撃を軸にしてタテをつく速い展開で力強
くゲインし、最後は高速のBKが決めるというのが中央大の持ち味。15人の
気持ちを集中させて戦う戦術がなかなか定まらないことが、中央大の低迷の原
因ではないかと思われるのだが...。

そんなことを考えているうちに、得点板が全く動かないまま、時間は30分を
回ろうとしていた。東海大は中央大陣22m付近でラインアウトのチャンス。
左オープンに展開し、最後はゴール前のラックからSH北村がインゴールに飛
び込んで、ようやく得点板が動いた。

さらに東海大は畳みかける。39分に中央大陣22m内でラインアウトのチャ
ンス。ここで東海大は中央大のお株を奪うようなモールの押し込みを見せ、ゴ
ールラインに迫る。体重差を利用したパワーで押し切る中央大のモールとは対
照的に、うまく左右にドライブをかけながら押し込んでいくのが東海大のモー
ル。最後は交代出場したPRの小野寺がインゴールでボールを押さえダメ押し。
第3戦目にして、ようやく東海大が今季初勝利を掴んだ。

[試合後の感想]

試合後にバックスタンドに挨拶に来た中央大の選手達に対して、「今日はいい
ところもあったぞ!頑張れ。」というファンの暖かい激励。私も思わず納得で
あった。東海大はもっと点が取れたはずと思う反面、中央大にも勝てるチャン
スはあったはず、という相反する気持ちが交錯した何とも不思議な幕切れであ
った。東海大はやはりミスを少なくしないと関東学院や法政には迫れない。

残念ながら敗れてしまったものの、中央大はチーム状態を上げる上での足がか
りのようなものが見えてきた試合ではなかったかと思う。キックに頼らなくて
もFWのモールを有効に使うことでゲインはできるし、BKも機能する。ただ、
この形が見えてくるのがシーズンのようやく3試合目、というのが解せない。
普段の練習で実戦を想定した「自分たちの継続」がどの程度意識されているの
だろうか?という想いはあるが、2週間の時間を利用してじっくり戦術を練り
直して欲しいと思う。               (2004年10月16日記)

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