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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2004

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Weekly Report

○観戦記録 法政大学 vs 日本大学(2004年10月17日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2004/10/17) 於:三ツ沢球技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 4  3  0  0 26 |
       :後半: 6  5  0  0 40 |  66  8
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  15 19


◎出場メンバー

 法政 : 1.中村 2.小笠原太 3.長沼 4.吉田 5.玄 6.遠藤 7.大隅 8.磯岡
      9.穂坂 10.野村 11.山本 12.大村 13.田沼 14.小笠原仁 15.西條
     (16.小田嶋 17.望月 18.鬼頭 19.山崎 20.成田 21.佐藤 22.松尾)

    ○交替  12→21(前29分入替), 13→22(後 8分入替), 15→20(後19分交代)
         4→18(後31分入替),  2→16(後34分入替)


 日大 : 1.北島 2.手塚 3.高橋 4.篠田 5.古賀 6.津田 7.トーエツ 8.大山
      9.向山 10.松下 11.藤原慶 12.金川 13.タフィア 14.藤原丈 15.梅澤
     (16.森下 17.飯田 18.蓬莱 19.野村 20.倉澤 21.武居 22.吉田)

    ○交替   6→19(後 8分入替),  2→16(後11分入替), 13→21(後21分交代)
        15→22(後35分入替),  8→18(後38分入替), 14→20(後38分交代)
    ●シンビン 14(前半23分), 19(後半9分)


 レフリー :平林泰三(日本協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0         5               12 19   26              26
                         T               G  G  x G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
              P        x
 日本大学    0    3                                             3


 法政大学   26      33     40   47           52 59     66      66
                G      G    G            T  G      G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                 G T
 日本大学    3                      10 15                      15

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 8分 中村(T)
      24分 山本(T)、野村(G)
      27分 大隅(T)、野村(G)
      32分 大隅(T)、野村(G)
    後半 5分 田沼(T)、野村(G)
      12分 磯岡(T)、野村(G)
      17分 遠藤(T)、野村(G)
      30分 野村(T)
      33分 鬼頭(T)、野村(G)
      40分 玄 (T)、野村(G)

 日大:前半 3分 松下(PG)
    後半22分 タフィア(T)、松下(G)
      24分 古賀(T)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

今シーズンの6試合目にしてようやく秋晴れの青空の下での観戦。それも、試
合を行うのは開幕から2連勝を収めている好調なチーム同士である。

日大はここ数年来、法政に対していいところなく敗れている。とにかく失点が
多い。法政のスピードに対応できないことはともかくとしても、2次防御の段
階で既に人が足りなくなってしまう状況では致し方ない。しかしながら、今シ
ーズンの2試合を観た限りでは、この点はかなり改善されているように見受け
られた。先週の水戸ツインでの大逆転勝利という追い風もある。

一方の法政。試合結果(2試合とも圧勝)を見る限りは順調そのもののように
見える。もちろん、それで間違いはないのだが、実際にプレーを観た限りでは
どこかちぐはぐな印象も受ける。両チームのこれまでの戦いぶり(どちらも2
試合ずつを観戦)を冷静に比較した場合、法政が優位にあることは否めない。
が、日大にも十分に付け入る隙があるように見受けられる。但し、日大DFが
法政の高速ラグビーにしっかりと対応できればという条件付きではあるが。

三ツ沢に到着してから30分余り、両チームの選手達のアップを眺めながら頭
の中でさまざまなシミュレーションを試みているうちにキックオフとなった。

[前半の戦い]

日大のキックオフで試合開始。開始1分、日大がいきなりビッグチャンスを掴
む。自陣からのカウンターアタックでFB梅澤がビッグゲイン。パスを受けた
CTBタウファが法政ゴールに迫る。が、22mラインのあたりでずっこけて
しまい惜しくも得点ならず。日大ファンは思わず大きなため息をつく他なかっ
たが、日大の活躍を期待させるに十分なカウンターパンチだった。

その直後の3分。日大に先制点が生まれる。右中間25mの位置で得たペナル
ティーキックのチャンスから、SO松下が冷静にゴールキックを決めた。緒戦
の東海大戦(足利)でノータッチキックを連発し、大いに不安を抱かせた松下
であったが、2戦目以降は安定したキックを披露している。キックオフのとき
の高く上がるドロップキックは特筆もの。学生では流経大時代のニールソンと
双璧であろうか。

序盤はやや日大の勢いに押され気味の法政であったが、持ち前の高速ラグビー
を思い出すまでに時間はかからなかった。導火線に火を付けたのはSHの穂坂。
151cmの(おそらく)日本一小さな学生ラガーマンである。6分にHWL
付近の法政陣内でのマイボールスクラムからショートサイドを抜けて大きくゲ
インし日大陣へ。このプレー自体は法政の得点には繋がらなかったものの、8
分のPR中村の逆転トライ(ラインアウトからモールで前進。ゴール前ラック
からゴール左隅に飛び込んだ)を生むきっかけとなったことは間違いない。

その後、日大は一時的に法政陣内で試合を進めるものの決め手を欠き無得点に
終わる。12分に逆転PGのチャンス(左中間20m)を得るが、惜しくも外
す。そうこうするうちに、法政の得意とする連続攻撃を前に日大は防戦一方と
なる。どうしても自陣での反則が増えてしまい、攻撃権を奪還できない悪循環。
自陣ゴールを背にしたラインアウトの連続に、日大はいつペナルティトライを
取られてもおかしくない状況に陥ってしまった。

そして23分。日大のWTB藤原丈がハイタックルによりシンビンを適用され
て一時退場。日大にとっては1人少なくなってしまったこと以上に、切り札を
失ってしまったダメージは大きかったに違いない。日大は直後の24分、27
分に相次いでトライを許しあっという間に法政のリードは16点に拡がる。続
く30分のPG(ゴール正面30m)は失敗に終わったものの、法政は32分
にもFL大隅主将がトライを奪ってリードは23点に。藤原丈が復帰してから
は前半終了までに失点がなかっただけに、日大にとっては何とも悔やまれるシ
ンビンとなってしまった。

ただ、冷静に試合を振り返れば、シンビンがなくても日大は相当に苦しい状況
に追い込まれていたことは間違いない。一次防御の段階で(タックルには行っ
ているものの)法政のアタックを止められずゲインを許している状況であれば、
二次、三次で数的不利に陥ることは避けられず、意図はなくても結果的に反則
で止めざるを得なくなってしまう。もちろん、接点で常に相手を数で上回って
いる法政FWの素晴らしい働きがあることを忘れてはいけない。それとSHの
穂坂。ラックからの素早く正確な球出しと、時に密集から抜け出てビッグゲイ
ンを稼ぐ動きが法政のリズムの源泉であることは間違いない。

結局日大は前半をノートライに終わり23点のビハインド。先週の大逆転を考
えればけして絶望的な差ではないのだが...

[後半の戦い]

気合いを入れ直して後半の戦いに挑んだ日大。その気持ちは十二分に伝わって
くる。早めにピッチに登場して法政の選手達を待つ。が、その気持ちとは裏腹
に大きく法政に傾いた試合の流れは変わらない。5分には法政のエースとして
大活躍のCTB田沼がトライを奪い法政のリードは30点に。日大は直後のキ
ックオフで相手キックに対するカウンターからWTB藤原がビッグゲインを稼
ぎCTBタウファに繋いでチャンスを掴む。単発に終わるが、少し日大にゲー
ムの流れが傾きかけているように見えた。

しかしながら9分。日大にまたしても痛恨のシンビン。法政フリーキック(フ
ェアーキャッチ)の場面で10m下がらずに相手選手を妨害してしまったやら
ずもがなのプレーだった。これで、ややテンションが落ちかけているように見
えた法政が息を吹き返す。12分にNo.8磯岡、17分にFL遠藤がそれぞれト
ライを奪い47−3。これで試合は完全に決まった。法政はインゴールを目指
した選手がゴールライン直前でタッチアウト(14分)、インゴールノックオ
ン(16分)とちぐはぐなところもあったが大勢には影響せず。

このままずるずる行ってしまいそうな日大だったが、一時退場者が復帰して1
5人になったところで粘りを見せる。CTBタウファが最後はタックラーを引
きずりながらも約30mゲインした気迫のプレーを機に反撃。そのタウファが
22分にこの日の日大にとっての初トライを記録する。その直後の23分。今
度は法政ゴール前で得たPKのチャンスからLOの古賀がインゴールに飛び込
む。大逆転には遠い点差(37点のビハインド)ながらも日大は大いに活気づ
く。選手達からもたくさん声が聞こえた。

法政の圧倒的な攻撃の前にして陰は薄かったものの、日大のオープン展開も見
応えがあった。WTBまできれいに回って勝負!という場面も幾度かあった。
が、法政の執拗なDFにあってなかなかラインブレイク出来ず、逆にターンオ
ーバーされてしまう。SHからのパスが安定せず、SO松下がパスを受けると
きにしばしば体勢を崩していたことも残念。活きた球がテンポ良く供給されれ
ば日大ラインの得点力は相当に上がるはずである。

ただ、日大が2週連続の奇跡を起こすには遅すぎた。そして、今日の法政は違
う。あくなき攻撃への意識は全く衰えず、30分、33分、そして終了間際の
40分にもトライを奪う。全勝対決は予想外とも言える得点差での法政の勝利
に終わった。

[試合後の感想]

日大の反則は19個を数え、シンビン退場者も2人。反省点の多い試合となっ
てしまった。ただ、劣勢の中でも最後まで諦めずに戦い続けられたことは大き
いと思う。気持ちを入れ替えて再来週の関東学院戦に臨んで欲しい。BKライ
ンは学生No.1になれるだけの潜在能力を有しており、今後の成長が楽しみ。

3戦連続の圧勝の法政は、プレッシャーがかかっていないところで決めるべき
ところが決められない課題?もあるにはあるが、優勝に向かって着実に一歩ず
つ近づいているように見える。やはり、怖いのは選手のケガだろうか。法政の
ラグビーは選手の消耗も激しいだけに、後半戦の大事な局面でレギュラークラ
スが欠場を余儀なくされることになりがち。ラグビーは力をセーブして戦うこ
とが難しいスポーツだけに気になる点ではある。   (2004年10月18日記)

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