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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2004

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Weekly Report

○観戦記録 法政大学 vs 東海大学(2004年11月20日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2004/11/20) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 2  1  0  0 12 |
       :後半: 3  1  0  0 17 |  29  9
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 東海大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   7 16


◎出場メンバー

 法政 : 1.中村 2.小笠原太 3.長沼 4.吉田 5.玄 6.遠藤 7.大隅 8.磯岡
      9.穂坂 10.森田 11.和田 12.野村 13.田沼 14.小笠原仁 15.藤谷
     (16.小松 17.山内 18.篠塚 19.小田嶋 20.成田 21.佐藤 22.山崎)

    ○交替   2→19(前24分入替),  1→16(後 9分入替),  5→18(後 9分入替)
        15→21(後 9分入替),  3→17(後17分入替),  9→20(後31分入替)
         6→22(後31分入替)


 東海 : 1.江黒 2.大里 3.楢岡 4.豊田 5.田中 6.高 7.姫野 8.太田
      9.宇野 10.真崎 11.柴原 12.高倉 13.鈴江 14.陳 15.三木
     (16.小野寺 17.岩本 18.下村 19.田上 20.溝口 21.小原 22.大平)

    ○交替   6→19(後 4分交代),  5→18(後17分入替), 10→21(後19分入替)
         3→17(後27分入替),  1→16(後33分入替)
 

 レフリー :御領園昭彦(日本協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0                             5            12     12
                                             T            G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                              G
 東海大学    0                                    7             7


 法政大学   12                   17           22 29            29
                             T             T G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 東海大学    7                                                  7 

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半28分 小笠原仁(T)
      41分 藤谷(T)、森田(G)
    後半18分 大隅(T)
      32分 山崎(T)
      34分 大隅(T)、森田(G)

 東海:前半35分 真崎(T)、真崎(G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

今一歩調子が出ないながらも、ここまで持ち前の高速展開ラグビーで対戦チー
ムを圧倒してきている法政大。しかしながら、本日の相手は組織力を主体とし
た高速展開を持ち味とする東海大であり、法政にとっては戦いづらい相手と言
える。事実、昨シーズンも18−7での法政の辛勝であった。

1週間後に関東学院との優勝争いに向けての一騎打ち(法政)、あるいは、流
経大との大学選手権出場への最後の椅子をかけた戦い(東海)とそれぞれ大き
な対戦を控えた両チームにとって負けられない戦い。また、リーグ戦屈指の高
速展開ラグビー対決が、果たして今シーズンはどのような形で決着を見るのか
に期待してキックオフを待った。

[前半の戦い]

東海大のキックオフで試合開始。いきなりドロップキックがダイレクトでタッ
チを割ってしまった。法政ボールのセンタースクラムで東海大がコラプシング
の反則を取られ、法政SO森田のPKは一気に東海大陣22m内へ。開始僅か
1分にして、東海大は自陣ゴール前で相手ボールラインアウトという大ピンチ
を迎えてしまった。ミスで自滅は東海大の負けパターンで、東海大ファンにと
ってはちょっといや〜なムード。

しかしながら、ここから4分くらいまで続いた法政のゴール前での攻撃を、東
海大は粘り強いディフェンスで凌ぎきる。法政の執拗なモール攻撃、あるいは
FWのサイドアタックを(極力反則をせずに)止めた。ただ、法政にミスが多
く、攻めきれなかった面も否定できない。最後は法政がスクラムでコラプシン
グの反則を犯し、東海大はピンチを脱した。

ここから、両チームの高速展開ラグビーの応酬が始まる。7分には法政が東海
大陣10m付近のラインアウトから連続攻撃で東海大ゴールへ。トライかと思
われたが惜しくもノックオンがあり得点ならず。12分にも法政アタックの局
面でラストパス!と思われたパスがスローフォワードに終わるなど、やや法政
優位の展開ながら得点板がなかなか動かない手に汗握る試合となった。

法政の高速ラグビーはFWの豊富な運動量をベースにしているところがあるの
に対し、東海大の高速ラグビーは選手個々のスピードに組織的な無駄のない動
きを加味したもの。両チームの特徴がよくわかって面白かった。そして、むし
ろテンポ良く攻めているといたのは東海大の方。残念なのは、最後の決め手が
ないことと、ラインアウトの獲得率が悪かったことだった。エースのWTB陳
になかなか良い形でボールが渡らない。

両チーム決め手を欠く中で、ようやく28分に得点ボードが動く。東海陣10
mライン付近でのスクラムを起点とした連続攻撃で最後は右WTB小笠原仁が
豪快にインゴールに走り込んだ。コンバージョンは失敗したが法政は5点を先
制。続く東海大のキックオフはまたしてもダイレクトタッチ。これで試合の流
れは一気に法政に傾くかに見えたが、本日の東海大は落ち着いている。

逆に法政が反則を犯してピンチに陥る。32分に法政がHWL付近でノットリ
リースを取られ、東海大SO真崎のキックは一気に22m内へ。東海大はライ
ンアウトからモールを形成して法政ゴールに迫るが、法政も前進を阻止。東海
大はラックからボールをオープンに展開し、SO真崎が絶妙のチップキック。
真崎はゴール前でそのボールを拾い上げ、そのままゴール中央に飛び込んだ。
コンバージョンも成功して7−5と東海大が逆転に成功する。

東海大はこのまま良い形で前半を終わりたいところだったが、終了間際に自陣
ゴール前に釘付けにされる展開に。39分の自陣ゴール前でのマイボールライ
ンアウトを確保できず、スクラムからペナルティ、相手ボールラインアウトの
ピンチに陥る。再度反則を犯したところで、法政は速攻でオープンに展開しS
O森田からFB藤谷にラストパスが渡り、法政が12−7(ゴール成功)の5
5点リードで前半を終了。時計は42分を過ぎていただけに、東海大にとって
は残念な失点だった。

[後半の戦い]

東海大の粘り強いディフェンスがあったとはいえ、前半もたつきが目立った法
政は後半一気に突き放したいところ。実際に後半は殆どの時間帯が試合は東海
大陣内で行われるという、ボール支配の面では圧倒的な法政ペースの試合展開
となった。

しかしながら、関係者ならずとも思わず目を覆いたくなるようなミスを法政が
連発し、なかなか得点ボードが動かない。1分には東海大ゴール前でのマイボ
ールラインアウトからノックオン。2分には東海陣22m内でWTBへの「パ
ス」を狙ったSO森田のキックがダイレクトタッチとなる。とにかくちぐはぐ
な展開が続く。

東海大の組織的で素早いディフェンスの前に、法政はオープン展開でもなかな
かオーバーラップの状態を作り出せない。そのこともあり、ボールを外へ展開
せず内に戻すプレーが目立ったが、東海大のディフェンス網に捕まってしまい
なかなか有効なゲインができない悪循環が続く。FW周辺の穂坂の動きも東海
大はしっかりマーク。DFの人数が揃っていても思い切って外で勝負できそう
な局面があったように感じられたのだが...。例えばモールを交えて攻撃の
テンポを変えるような方法もあるように思えるが、テンポが高速モードに張り
付いたままでほとんど変わらない。また、無理なパスで自滅が多いのことも今
シーズンの法政には目立つ。

そのような手詰まり感も漂う法政ファンには何とももどかしい展開の中で、1
8分にようやく法政に後半初得点が生まれる。東海大ゴール前ラインアウトか
らモールを押し込んでFL大隅主将がトライ。残り20分で10点リードはま
だまだ安心できる点差ではないが、ここでようやく法政に落ち着きが出てきた。

ただ、アタックのチャンスがありながらも、法政のしぶといディフェンスにあ
ってなかなか得点を奪えない東海大にやや焦りが見え始めてきた。ディフェン
ス(ピンチ)ではなくアタック(チャンス)の局面で反則が目立ち始める。法
政は32分にもゴール前ラインアウトからモールを押し込み、22−5とリー
ドを15点に拡げた。2トライ+2ゴールでも追いつけない得点差で、残り時
間は10分。ここで勝敗の行方はほぼ決まった。

続く34分。法政キックオフから東海大がカウンターアタックの局面で、東海
大陣10m付近のラックからこぼれたボールを法政のFL大隅主将が拾って一
気に40m走りきってゴール中央へ。主将自らのとどめの一撃となった。東海
大の猛攻も実らず、東海大はまたしても涙をのんだ。

[試合後の感想]

この試合の感想は、「勝ったものの持ち前の高速展開ラグビーに限界が見えて
きた法政」と「敗れたものの、チームが目指している高速展開ラグビーに明る
い展望が見えてきた東海大」ということになる。

圧倒的なスピードと運動量で他校を圧倒してきた法政ではあるが、このままな
らリーグ戦で上位グループの位置はキープできてもあと一歩で優勝に届かない
という状況になりかねない。東海大の地道な練習の積み上げに裏付けられた組
織的な動きを見ていてそんなことを感じた。

一方の東海大は、ようやく自分たちの考える戦い方が自然体として身に付いて
きたような印象を受けた。決め手に欠けるのは残念だが、戦い方のベースが固
まれば自ずと得点パターンも増えていくように思われる。ちょっとオーバーか
もしれないが、来シーズン以降の両チームの戦いぶりを暗示させるような興味
深い一戦(熱戦)であった。            (2004年11月21日記)

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