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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2004

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Weekly Report

○観戦記録 日本大学 vs 大東文化大学(2004年11月27日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2004/11/27) 於:江戸川区陸上競技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 日本大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  19 12
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 大東文化大学:前半: 1  0  1  0  8 |
       :後半: 3  1  0  0 17 |  25 12


◎出場メンバー

 日大 : 1.森下 2.北島 3.飯田 4.篠田 5.古賀 6.大山 7.トーエツ 8.蓬莱
      9.倉澤 10.松下 11.藤原慶 12.金川 13.タウファ 14.藤原丈 15.梅澤
     (16.手塚 17.高橋 18.ラタ 19.野村 20.山上 21.安井 22.吉田)

    ○交替   1→16(後 0分入替),  3→17(後 0分入替), 11→21(後23分入替)


 大東 : 1.笹尾 2.太田 3.須藤 4.飯島 5.エモシ 6.星 7.牧野 8.フィリピーネ
      9.寺西 10.戸嶋 11.岩渕 12.塚元 13.藤山 14.畠山 15.政田
     (16.住田 17.羽鳥 18.林 19.大久保 20.山下 21.佐藤 22.栢野)

    ○交替   6→22(後18分入替),  5→18(後28分入替), 12→20(後34分入替)
         1→16(後34分入替),  4→17(後42分入替)
 

 レフリー :古賀善充(日本協会公認)


◎得点経過

 日本大学    0                   7                              7
                                   G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                  T                  P
 大東文化大学  0                        5                  8      8


 日本大学    7                       14        19              19
                                 G         T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             T           T  G
 大東文化大学  8   13          18 25                             25

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 日大:前半18分 タウファ(T)、松下(G)
    後半22分 タフィア(T)、松下(G)
      32分 手塚(T)

 大東:前半23分 フィリピーネ(T)
      42分 政田(PG)
    後半 2分 フィリピーネ(T)
      14分 エモシ(T)
      17分 畠山(T)、政田(G)

◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

リーグ戦もいよいよ最終戦。他会場で同時開催の優勝争い(秩父宮)、あるい
は大学選手権への出場権争い(三ツ沢)の試合も大変気になるが、リーグ戦随
一の肉弾戦を観るために江戸川に出かけた。今シーズンの日大はこれで全試合
観戦ということになる。また大東大は今シーズン3試合目ながらも昨シーズン
には全試合を観戦したチーム。やはり、ボールを持ったら何かやってくれると
いう期待を抱かせる選手が多いチームのラグビーは観ていて楽しい。

競技場に着いて、まずはメンバー表に目をやる。日大はBKがSH以外は緒戦
と同じメンバーに戻った。WTBに藤原慶史と藤原丈嗣が復帰し、タフィアが
CTB(アウトサイド)の布陣。とくにリーグ戦Gのエースとしての大活躍が
期待されながらもここまで殆ど本領を発揮できていない藤原丈嗣が楽しみ。一
方の大東大はマヘに代わってLOに起用されたエモシ・カウヘンガの名が目を
惹く。2m, 112kgの巨人で、フィリピーネでさえ一回り小さく見えてしまう。

キックオフ前にピッチに登場した両チームのジャージを見てびっくり。大東大
は今や懐かしの?モスグリーン復活である。正直このジャージの方がボールを
奔放に繋いでくれそうな感じがする。そして、日大は(驚き)のショッキング
ピンクで胸に日大のNがあしらってあるなかなかお洒落なジャージ。「本日は
両チームともセカンドジャージを着用しています。」との場内アナウンスに思
わず納得。両チームともファーストジャージは黒を基調としている。が、本日
のような抜けるような青空の日には、偶然とはいえ、明るい色を基調としたジ
ャージがよく映える。

[前半の戦い]

日大のキックオフで試合開始。序盤は双方ともキックを使う場面が多かったこ
ともあり、試合前に予想されたFW戦(肉弾戦)はない。ただ、どちらかとい
えばカウンターアタックから積極的にオープンに展開して攻める日大ペースで
試合は進む。時折吹くやや強い風(斜め方向ながら大東大にとっては追い風)
もあって、双方ともハンドリングミスが多く、なかなか得点までには至らない。

ボールはピッチ上を大きく動くものの、なかなか得点板が動かない展開の中で
10分に日大がビッグチャンスを掴む。大東大陣(10m/22m)でのラインアウ
ト(大東大ボール)から大東大がタッチにボールを蹴り出そうとしたところを
日大がチャージに成功しボールはインゴールへ。無情にもボールはデッドボー
ルラインを越えてしまった。陸上トラックのない秩父宮や熊谷なら確実にトラ
イになったと思われる局面だっただけに日大応援席からはため息が漏れる。

続く大東大のドロップアウトがダイレクトタッチとなり、日大は大東大陣22
mライン上でセンタースクラムのチャンス。8→9から右サイドに展開してボ
ールは右WTBの藤原丈に渡るが22m内でタックルされてノットリリースの
反則を犯してしまう。日大は積極的にオープン展開を図るものの、大東大のデ
ィフェンスがしっかりしていることもあってなかなか得点できない。

試合はやや日大がペースを握った形で進むが、もちろん、大東大にもチャンス
がなかったわけではない。13分には日大陣22m付近でのラインアウトを起
点とした攻撃からフィリピーネが豪快にゴールを目指してトライか?と思われ
たが惜しくもノットストレート。双方ともミスが多い展開が続く。

そんな膠着した展開の中で、ようやく18分、日大に待望の得点が生まれる。
大東大陣(10m/22m)でのマイボールラインアウトを起点とした攻撃から、日
大HOの北島が巧みなランニングで一気に22m内に前進。日大はピックアン
ドゴーで大東大ゴール前に迫り大東大の反則を誘う。続くゴール前ラインアウ
トからタッチライン沿いに回り込んでボールを受けたPR森下がゴール前まで
前進してラック。最後はトーエツ主将がパワーでボールをインゴールに持ち込
んだ。完全な逆風状態となる位置からのコンバージョンをSO松下が低い弾道
のキックで冷静に決めて日大が7点を先制した。

大東大も反撃。23分には日大陣22m内でのラインアウト(日大ペナルティ
に対する)からモールを形成してFWのパワーで力強く日大ゴールまで前進す
る。最後はフィリピーネがトライを決めて5点(コンバージョンは失敗)を返
す。比較的少人数でドライブをかけながら押していく日大のモールとは対照的
に、大東大はFW8人のパワーで押し切るという感じ。エモシという核になる
選手が入ったことにより、大東大のモールは凄みを増した感がある。

これで大東大が波に乗るかと思われたが、ペナルティを連発して自陣ゴールを
背にして日大のFWを中心とした攻撃を耐え凌ぐ展開になる。日大はトライま
であと一歩のところまで迫るものの攻めきれず、なかなか追加点を奪えない。
28分には大東大のPK(タッチ狙い)がノータッチとなり日大がカウンター
アタックからチャンスを掴むがCTBタフィアがノックオン。前が開けつつあ
っただけに残念だった。

せっかく攻めていながらもミス、が繰り返されると試合の流れを相手に渡して
しまうことになる。以後、前半の終盤は大東大ペースで試合が進む。32分に
は日大陣22m付近のスクラムからフィリピーネがサイドアタックで日大ゴー
ルまで前進するものの惜しくもパイルアップ。34分にはゴール正面のFKか
らトライかと思われたが、これも残念ながらオブストラクションの反則で得点
ならず。日大が守勢にまわりながらも際どいところで失点を免れている感じ。

大東大は攻撃の手を緩めない。38分にはFWのタテにBKのヨコを交えた大
東大らしい怒濤の連続攻撃で日大ゴールに迫る。日大、たまらず自陣ゴール正
面15mの位置で反則。大東大のFB政田が冷静にPGを決め、大東大は1点
差ながらも逆転に成功する。その直後(43分)の日大キックオフでは、フィ
リピーネが自陣深くから一気に日大陣10mまで豪快なランを見せる。結果的
に追加点はならなかったが、トップスピードに乗ったフィリピーネを止めるこ
とは至難の技であることを強烈にアピールする凄まじいランニングだった。

[後半の戦い]

なかなか点が入らなかった前半とはうってかわって、後半は開始直後に大東大
があっさり先制する。日大陣22mライン手前のスクラムから大東大はショー
トサイド(左サイド)を攻めて日大ゴール前でラック。最後はフィリーピーネ
がインゴールにボールを持ち込み、大東大は5点を追加してリードを6点に拡
げる。開始僅か2分の出来事。これで大東大は波に乗り、しばらくは日大が耐
える時間帯となった。積極的に前に出てディフェンスする日大はターンオーバ
ーに成功するなどして時折チャンスを掴むものの、前半同様攻めきれない。

9分に大東大は日大陣ゴール前ラインアウトからオープン攻撃でインゴールに
到達するもののパイルアップ。5mスクラムから8→9を経てFL星に渡った
ボールはスローフォワード。と大東大に惜しい局面が続くなかの14分、大東
大はまたしてもゴール前ラインアウトからモールを押し込みエモシがトライ。
大東大のリードは11点に拡がる。BKのオープン攻撃ではミスでなかなか得
点が奪えない大東大だったが、本日はモールが有効かつ確実性のある攻撃のオ
プションになっていた。「エモシ効果」とでも呼べばいいだろうか。

リスタートで日大は気持ちを切り替えてアタック。大東大陣(10m/22m)でス
クラムのチャンスを掴みサイドアタックで大東大ゴールを目指すが、22mライ
ン付近で痛恨のターンオーバー。大東大は連続攻撃からFB政田がギャップを
ついて一気に日大陣まで前進しボールをフィリピーネに繋ぐ。最後は右WTB
畠山が快足を飛ばして約30mを走りきりゴール中央にトライ。日大にとって
はショッキングな失点だった。17分の段階で日大のビハインドは18点。

しかしながら、今年の日大は最後まで粘る。18分にはカウンターアタックか
ら藤原丈がビッグゲインを稼いでタウファにボールを繋ぎ、大東大ゴール前で
オフサイドの反則を誘う。日大ラインアウトからの攻めに対し、大東大は再び
オフサイド。ちょっと大東大FWに疲れが見えてきた。22分に日大は大東陣
10mライン付近でのスクラムを起点としたアタックから1トライ返す。SO
松下の絶妙のグラバーキックがゴール前に転々とするところを大東大の藤山が
タッチに蹴り出そうとして空振り。そこにタイミング良くタフィアが到達し、
落ち着いてボールを拾い上げてトライ。ビハインドは再び11点にに縮まる。

日大は畳みかける。32分には大東大ゴール前で得たPKのチャンスから速攻
で仕掛けてゴールライン手前でラック。球出しのタイミングを見計らったよう
にPR手塚が右に開いてパスを受けトライを奪った。このあたり、ちょっと大
東大FWのディフェンスが淡泊になってきた感じ。コンバージョンは失敗した
が、大東大のリードは1トライ1ゴールで逆転可能な6点まで縮まってしまっ
た。水戸ツインでの大逆転劇(対流経大戦)のことが現実味を帯びる展開にな
ってきた。

日大の逆転を目指す攻撃は続く。だが、最終局面でミスがあり、日大はどうし
ても得点を奪うことが出来ない。38分には大東大ゴール前でのラインアウト
という絶好のチャンス。だが、ゴールを目指した攻撃は惜しくもスローフォワ
ード。FWは終盤に来て元気がなくなってきた大東大だが、BKのディフェン
スは最後まで機能し続けた。結局日大は逆転勝利を手に届くところまで引き寄
せながらも攻めきれずにノーサイド。この瞬間、大東大の今季3位と日大の今
季4位が決まった。

[試合後の感想]

手に汗握る接戦にはなったものの、双方ともミスが多かったのが残念だった。
とくに日大はミスで多くの得点機を逃してしまった印象が強い。帰宅してから
関東学院と法政の頂上対決を録画で観たが、率直なところ優勝決定戦と3−4
位決定戦の間には明確に階層格差があることがよく判った。大東大、日大とも
ミスを減らしていかないと上へは行けない。

日大に関してはBKのベストメンバーがなかなか組めなかったことが残念だっ
た。FWで行き過ぎずにBKへボールをどんどん供給するというスタイルが定
着してきただけに、BKのコンビネーションに磨きをかけたいところだった。
実力伯仲ながら、得点力で大東大に遅れを取ってしまった原因はここ(メンバ
ーが固定できなかった)にあったように思われる。よくここまでやれたと思う
反面、もっと出来たのではとついつい欲張りなことも考えてしまう。

前節の中央大戦でモチベーションの低下も心配された大東大だったが、どうや
ら杞憂だった模様。FWにエモシが入ったことにより、逆にFWにまとまりが
出てきたようにも思われる。確かにマヘとフィリピーネによる「2人リサイク
ル」は爆発的な攻撃力の源泉ではあるが、ややもするとFWのまとまりを弱く
してしまうことにもなりかねない。2人に頼りきってしまうことになりかねな
いという意味で。そしてディフェンス。昨年のチームと比較してもっとも良く
なった点はここかも知れない。

とにもかくにも、大学選手権の場での両チームの大暴れを期待したい。
                         (2004年11月27日記)

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