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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2004

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Weekly Report

○観戦記録 日本大学 vs 慶應義塾大学(2004年12月19日)

第41回全国大学選手権 1回戦(2004/12/19) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 日本大学  :前半: 3  3  0  0 21 |
       :後半: 2  1  1  0 15 |  36 13
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 慶應義塾大学:前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 3  3  1  0 24 |  34 15


◎出場メンバー

 日大 : 1.手塚 2.北島 3.高橋 4.篠田 5.古賀 6.大山 7.トーエツ 8.蓬莱
      9.倉澤 10.松下 11.梅澤 12.金川 13.タフィア 14.神足 15.藤原丈
     (16.有馬 17.飯田 18.佐渡 19.野村 20.向山 21.安井 22.藤原慶)

    ○交替   6→19(後 9分入替),  8→16(後24分入替), 14→21(後29分入替)
    ●シンビン 15(前半35分)


 慶應 : 1.藤岡 2.金井 3.平田 4.高木 5.工藤 6.青貫 7.高谷 8.竹本
      9.岡 10.山田 11.山縣 12.中浜 13.吉中 14.三宅 15.小田
     (16.猪口 17.石津 18.太田 19.谷 20.野澤 21.堂原 22.銅冶)

    ○交替   1→17(後15分入替), 14→22(後15分入替),  4→18(後35分入替)
 

 レフリー :戸田京介(日本協会公認)


◎得点経過

 日本大学    0  3                          10                  10
                  P           x              G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                G                  G            G
 慶應義塾大学  0      7                  14           21         21


 日本大学   10       17    24       27                   34    34
                 G     G        P                    G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
               T                       G   P
 慶應義塾大学 21     26                      33  36              36

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 日大:前半 1分 松下(PG)
      28分 トーエツ(T)、松下(G)
    後半 6分 松下(T)、松下(G)
      12分 梅澤(T)、松下(G)
      20分 松下(PG)
      42分 手塚(T)、松下(G)

 慶應:前半 5分 小田(T)、小田(G)
      24分 高谷(T)、小田(G)
      32分 高木(T)、小田(G)
    後半 4分 工藤(T)
      28分 青貫(T)、小田(G)
      32分 小田(PG)

◎感想

日大の大学選手権での戦いにおいて、大きな壁となって立ちはだかっているの
が明治大学と慶應大学。いずれも対抗戦グループの伝統校である。過去10年
間で前者とは準決勝2回を含めて4回、後者には3回対戦し、すべて敗れてい
る。慶應との戦いでとくに印象深いのは、第36回大会(平成11年度)の2
回戦での対戦(29−43で惜敗)。結果的にゲーム運びの巧拙が明暗を分け
た形にはなったが、個々の肉体的な強さで勝負する日大ラグビーの醍醐味が存
分に発揮された試合だったように記憶している。

その翌々年の対戦(三ツ沢)ではディフェンスが全く機能せず、40−72で
大敗を喫してしまった。この試合も別の意味で印象に残っている。日大は一昨
年に7位に終わり入替戦を戦うなどここ数年は低迷傾向にあったが、今シーズ
ンは4位に浮上し復活機運にある。果たして、今回の対戦はどのような戦いに
なるのだろうか。初戦突破への手応えを胸に熊谷に向かった。

さて、その日大であるが、ここまで不完全燃焼に終わっている感がある藤原丈
嗣が完全復帰を果たし、ほぼベストの布陣。但し、本日のポジションはいつも
の右WTBではなく、FBだった。ライン参加、あるいはカウンターアタック
など、とにかく藤原丈がボールを持つ局面を増やし、彼特有の突破力を活かそ
うという意図が十分に伺える。果たして、このライン構成が吉と出るか?

結果は、残念ながら...だった。確かにカウンターアタックなどでボールを
持つ機会が多く強力な突破を見せてもいたが、それは慶應の方も織り込み済み。
むしろ、慣れないFBでのキック処理の部分を突かれる形となった。藤原は自
分に対する期待が十分すぎるくらい判っていただけに、そのことがプレッシャ
ーになってしまったのかもしれない。結果論かも知れないが、いつものように
FBに梅澤を配し、確実に処理されたボールが藤原に渡る形の方が相手にとっ
て脅威だったように思われる。あとは、痛恨のシンビン。ハイタックルに背の
高さは言い訳にならない。来シーズンは十分に心掛けて欲しい点である。

BKでもう一人の期待の選手はSOの松下。本日も、やってしまった!(ゴー
ル直前でのトリッキーなパスが失敗して前半の絶好の得点機を逃した)はあっ
たが、キックやランに非凡なところを見せていた。彼のように独特の間合いで
抜いていくタイプの選手は対抗戦グループにもなかなか居ないと思われるだけ
に、対面の山田もかなりとまどったのではないだろうか。ただ、上背と長い手
を利用してディフェンダーをかわしながらパスをするプレーは研究されていた
ため有効ではなかった。慶應のDFのプレッシャーが強かったこともあるが、
オープンにボールが回る局面が少なかった。

FWに関しては、スクラムやモールを押し込まれる場面が多く残念だった。ペ
ナルティで相手にスクラムを選択されてしまうことは過去の対戦では見られな
かったことである。ただ、これまでの日大はスクラムに固執する余り、自滅し
てしまうことが多かったことを考えれば、大きな意識改革がなされたと言って
も良いのではないかと思う。球出しを速くすることに加え、セットの強さと機
動力をどのようにバランスさせるかが来シーズンのFWの課題と思われる。

さて、今シーズンの日大躍進の立役者は何といっても主将のタウファ・トーエ
ツ。この試合でも前半28分に相手ディフェンダーを引きずりながら渾身のト
ライを決めるなど、チームの牽引者としての活躍は見事だった。終了間際のト
ライもトーエツ主将の気迫が呼び込んだもの。あと数メートル、ゴールライン
まで彼の手が届いていれば逆転のためのもう1プレー(慶應のキックオフ)が
許されたかも知れない。

僅か2点だった。PG1本で逆転可能な最小得点差である。この試合でも少な
からずあった「タラ」「レバ」がなければ日大は勝てたかもしれない。が、こ
の2点が数字以上に大きかった。前半はPGのチャンスをあえて狙わず攻め続
けた慶應だったが、後半32分のPGはしっかりと狙った。点差をしっかりと
考えながら試合を進めるあたりは流石に試合巧者である。試合終了後に慶應フ
ァンからいろいろと厳しい声が上がっていたが、それは日大の健闘あってのも
の。点差からは想像し難いが、慶應の戦いぶりは安定していたように思う。

振り返ってみると、この試合には今シーズンの日大の良い面と悪い面がすべて
出ていたように思われる。やはり、一戦一戦の普段の戦いぶりが重要であるこ
とを痛感させられた。最後は残念な結果に終わったが、今シーズンに関しては
日大のお陰で楽しいラグビー観戦ができた。できればもっとこのチームの試合
を観たい。ただ、現在のチームが2、3年生主体であることを考えると、来シ
ーズン、日大は確実にパワーアップしたチームにならなければならない。その
ためにも今シーズンのチームが築き上げた「良いもの」を大切にして、日々の
練習に励んで欲しいと祈るのみである。

最後に、トーエツ主将、本当にありがとう!!!   (2004年12月21日記)

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