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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

法政大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/09/23) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 5  4  0  0 33 |
       :後半: 4  2  0  0 24 |  57  3
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 2  0  0  0 10 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  22 26


◎出場メンバー

 法政 : 1.北島 2.坂田 3.山内 4.鬼頭 5.玄 6.有田 7.遠藤 8.高根
      9.成田 10.森田 11.高山 (12).野村 13.岸和田 14.小笠原 15.佐藤
     (16.長沼 17.田代 18.森 19.竹中 20.和田 21.大村 22.西條)

    ○交替 13→21(後 0分入替),  9→20(後 9分入替),  1→16(後11分入替)
         7→19(後23分入替)


 立正 : 1.二田 2.小林研 3.豊福 4.ミロ 5.和田 6.ビリアミ 7.日高 8.菅原
      9.安部 10.山上 11.大沼 (12).伊藤直 13.小林孝 14.小松 15.矢端
     (16.古屋 17.伊藤大 18.太田 19.佐藤 20.松坂 21.イシレリ 22.小玉)

    ○交替 12→22(後 0分入替),  7→19(後12分入替), 15→20(後27分入替)
         4→18(後27分入替),  8→21(後27分入替),  1→16(後32分入替)
         2→17(後39分入替)


 レフリー :土屋友司(関東協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0   7                     14     21 26  33        33
                   G                     G       G T   G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                          T                         T              
 立正大学    0                5                         10     10


 法政大学   33           38 43          50    57               57
                      T T           G     G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                            G                     T
 立正大学   10                  17                    22       22

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 2分 佐藤 (T)、森田 (G)
      24分 認定T(T)、森田 (G)
      32分 成田 (T)、森田 (G)
      34分 高山 (T)
      38分 遠藤 (T)、森田 (G)
    後半11分 坂田 (T)
      13分 高山 (T)
      25分 大村 (T)、森田 (G)
      31分 鬼頭 (T)、森田 (G)

 立正:前半15分 小林 (T)
      41分 大沼 (T)
    後半17分 ミロ (T)、山上 (G)
      39分 大沼 (T)、山上 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

念願の1部昇格を果たし、先輩達(山梨学院と拓殖大)が果たせなかった初勝
利の夢を実現したい立正大だが、前年度上位校と対戦する中盤戦までは我慢の
戦いが続く。昨年度までの相手とはパワーとスピードが違うことは頭では分か
っていても、実際に戦ってみないと分からない部分がたくさんあるのではない
だろうか。緒戦は関東学院のパワーに圧倒されてしまったが、今回は学生では
トップレベルの高速ラグビーの洗礼を受けることになる。前年度の覇者に対し
て劣勢は免れないが、何とか初勝利に向けての手がかりを掴みたいところ。

一方の法政大は先だっての日英大学ラグビーでケンブリッジ大を破り波に乗っ
ている(はず)。連覇を狙う立場のチームであるからには単に勝利を収めるだ
けでなく「内容」にも拘りたいと考えるのが自然ではないだろうか。関東学院
の記録したスコア(74得点、7失点)も気になることだろう。BKにトップ
レベルの人材を擁するだけに、連覇の鍵を握るのはFWであることはおそらく
衆目の一致するところ。ピッチに登場した選手達を見る限り、FWの大きさは
両チームほぼ同じかやや法政の方が小さく見える。もちろん、相手が大きくて
もスピードと運動量で圧倒してしまうのが法政の持ち味なのだが...。

[前半の戦い]

立正大のキックオフで試合開始。ゲームは開始早々からいきなり大きく動いた。
立正大陣での法政ボールラインアウトを立正大FLビリアミが奪取して大きく
ゲインし法政陣22mラインに迫る。タックラーに捕まったところで惜しくも
オフサイドの反則を犯しチャンスを逃す。と思った瞬間、今度は法政のSH成
田がPKからの速攻で大きくゲインし一気に立正陣22m内へ。立正大はたま
らずペナルティを犯し、法政は立正大ゴール前の絶好の位置でのラインアウト
のチャンスを得る。

法政は開始1分にして先制かと思われたが、立正大の粘り強いディフェンスに
阻まれて痛恨のターンオーバー。法政FWは、まずラインアウトの不安(高さ
不足とモールを押し切れない)を露呈することとなった。しかしながら、開始
2分、仕切直しのラインアウトから鮮やかなオープン攻撃が決まり、WTB小
笠原がラストパスをFB佐藤に送って法政が先制点を挙げた。

続く立正大キックオフで法政は果敢にオープン攻撃を試みる。本日の法政は森
田のロングキックは極力封印して「自陣からでも継続」がひとつの決めごとに
なっていたようだ。関東学院が同じ立正大相手に奪った得点(74点)のこと
も気になっていたはずである。法政BKの得点能力をもってすれば、オープン
攻撃の連続で自陣インゴールから相手ゴールまでボールを運ぶことも十分可能。
但し、それはちゃんとパスが繋がればという条件がつく。とにかくパスミスや
ノックオンが多かったのがこの日の法政。何故か慌てていて、しかもプレーは
雑。であれば得点を挙げられないのは自明の理である。

法政が優位に立ちながらもなかなか得点板が動かないという法政ファンにとっ
てはイライラが募る展開の中で、立正大に嬉しい得点が生まれる。HWLから
やや立正大陣内に入った位置での立正ボールスクラムから立正はキックで攻め
る。法政陣22m付近で法政が処理にもたつき、ラックからこぼれ出たボール
を立正大HO小林が拾って一気にインゴールまで。本日の立正大は自陣からは
ほとんどキックという手堅い戦術だった。法政の攻撃力を考えれば危険な戦術
とも言えるが、この日に限って?は敵陣でミスを誘う有効な戦術になっていた
ようにも思えた。

ただ、立正大もチャンスを活かせない。とくに目立ったのが密集での反則の多
さ。法政が持ち味とする流れるような連続攻撃を見せることができなかったの
は、ことごとくペナルティでプレーを寸断されていたことに原因があったこと
も否定できない。立正大の選手達の(少しでも前に出たいという)気持ちは分
からないでもないが、まずは反則を少なくすることが先決。これは今後経験を
積みながら覚えていくしかないのかも知れない。

法政にとっては予想外とも言える展開で20数分が経過。ようやく法政に「ら
しさ」が出た得点が生まれる。立正大陣ゴール前スクラムから鮮やかな8→9
攻撃でパスを受けたWTB小笠原がインゴールへ。小笠原はあと一歩でトライ
というところでタッチライン外に引きずり出されたが、この時のタックルがハ
イタックルと見なされて法政にペナルティトライが与えられた。続く32分に
は立正大ゴール前で得たFK(立正大アーリープッシュ)からSH成田が速攻
で仕掛けてそのままインゴールへ。間髪入れずに34分、39分にWTB高山、
FL遠藤がそれぞれトライを奪い法政のリードは28点に拡がる。

普通ならこれで法政の攻撃力に火がついて一方的な展開になるのだが、今日は
その普通ではなかった。前半終了間際に法政陣での立正大ボールスクラムから
8→9攻撃が決まりパスを受けたCTB小林が法政DFをかわしてロングゲイ
ンしてラストパスをWTB大沼へを送る。立正大FWは攻撃面だけでなく、守
備面でも法政FWにスクラムでプレッシャーをかけて有効な球出しを阻止する
など大健闘を見せた。

自陣からでも積極的にオープン攻撃の法政ではあったが、森田がロングキック
を使うようになってからは逆に試合が落ち着いた感もあった。やはりこれは大
きな武器。立正大も十分に警戒していて、カウンターアタックを試みてもいた
がBK同士の連携がうまく行かず、法政に付け入る隙を与えている面があった。
プレーに少しでも躊躇があると、前掛かりで襲いかかってくる法政の餌食にな
ってしまう。

[後半の戦い]

後半はハーフタイムにネジをしっかり巻かれた法政が自慢の攻撃力を活かして
トライの山を築くはず、だったが相変わらず前半の悪い流れを断ち切ることが
できない。前半の部分でも書いたように、FWのセットプレー(スクラムとラ
インアウト)の不調が最後まで尾を引いた感じ。FWからBKへテンポ良くボ
ールが供給されなければ法政の攻撃力は半減する。法政は後半9分にSHを和
田に代えて局面の打開を図った。

その直後の8→9攻撃は不発に終わるが、11分には法政の持ち味とする激し
いタックルから得点が生まれる。法政は自陣でターンオーバーに成功し、最後
はHO坂田が独走してトライ。13分にはWTB高山が30m以上を走りきっ
てダメを押す。

しかし法政は圧倒しきれない。15分には自陣ゴール前で立正大ボールライン
アウトのピンチ。一度は凌いだが、17分にはラインアウトを起点としたモー
ルを押し込まれて3トライ目を献上。セットプレーの不調に加えて、モールも
有効なオプションにならない状況では、BKも爆発できない。立正大FWの大
健闘と言ってもいいのだが、むしろ法政FWの状態の方が気になる。

25分には相手キックに対するカウンターアタックからFB佐藤が果敢なラン
ニングで立正大陣へ。最後はオープンに大きく展開し後半から岸和田に代わっ
て出場したCTB西條がトライ。31分にはペナルティからの速攻で右PR山
内がBK顔負けのステップワークを見せて前進し、LO鬼頭にラストパスを送
るという法政FWの意地を見せてくれた。

スコアの上では圧倒された立正大だったが、最後まで走り負けすることはなか
った。終了間際の40分、HWL付近でターンオーバーに成功した後、素早く
ボールを繋ぎ、最後はSOの山上がインゴールに飛び込んだ。悲願の1勝を目
指す立正大にとっては今後への希望を繋ぐトライとなった。

[試合後の感想]

法政にミスが多かったことと、反則が多かったという今後に向けての反省材料
はあったにせよ、立正大の健闘が光った。反則多発も、とにかく前に出ようと
いう気持ちの表れのように感じられた。本日の攻撃はキック主体だったが、元
来はBK展開指向のチームだと思う。そのためにもFWのさらなる頑張りに期
待したい。

一方の法政。不安材料はやはりFWだと思う。今後対戦する中位校は強力FW
が看板のチームが多いだけに、とにかくセットプレーを安定させないことには、
BKの高い得点能力が活かせない。ただ、スクラムは8人の気持ちがひとつに
なっていなかった面があり、これは十分に修正可能と思われる。むしろ心配な
のは法政が持ち味としているスピード。高速指向優先で精度が犠牲になってい
ないだろうか。森田のロングキックのようなチェンジオブペースを巧く交える
ことができれば逆にスピードが活きるような気がする。ハーフタイムにパス回
しをしている控え選手達の動きを眺めながら、ふとそんなことを思った。
                          (2005年9月24日記)

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