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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

日本大学 vs 東海大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/10/02) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 日本大学  :前半: 2  2  0  0 14 |
       :後半: 2  2  0  0 14 |  28 12
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 東海大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  19 12


◎出場メンバー

 日大 : 1.有馬 (2).北島 3.高橋 4.福田 5.馬渕 6.松島 7.大山 8.マフィレオ
      9.倉澤 10.松下 11.タフィア 12.三友 13.金川 14.藤原 15.吉田
     (16.小野 17.中村圭 18.古賀 19.津田 20.山上 21.中村誠 22.薬師寺)

    ○交替  7→19(後12分入替)


 東海 : 1.黒木 2.小野寺 3.奥田 4.井上 5.豊田 6.樫本 7.田中俊 (8).太田
      9.北村 10.森脇 11.起山 12.吉田 13.鈴江 14.大平 15.三木
     (16.江黒 17.田中康 18.岩本 19.山本 20.辻埜 21.河村 22.陳)

    ○交替  9→20(後 0分入替),  1→16(後17分入替), 11→22(後17分入替)
         2→17(後25分入替), 12→21(後33分入替),  7→19(後41分入替)


 レフリー :渡辺敏行(日本協会公認)


◎得点経過

 日本大学    0       7                        14               14
                     x G                        G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                     G                x
 東海大学    0                           7                      7


 日本大学   14    21 28                                        28
               G G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                                G     T
 東海大学    7                                      14    19   19


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 日大:前半 4分 タウファ(T)、松下(G)
      31分 タウファ(T)、松下(G)
    後半 4分 大山 (T)、松下 (G)
       6分 タウファ(T)、松下(G)

 東海:前半26分 小野寺(T)、吉田 (G)
    後半37分 森脇 (T)、三木 (G)
      43分 三木 (T)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

昨シーズン3年生主体で戦ったチームとして話題になったのは関東学院。しか
しながら、話題にこそならなかったものの、もう1チーム3年生主体で戦って
好成績を挙げ、次のシーズンへ大きな期待を抱かせたチームがあった。それは
この日2戦目を戦う日大。今シーズンは、さらに1,2年生5人が新戦(鮮)
力として加わった。同じメンバーで緒戦をクリアしたとはいえ、ファンにとっ
ては期待と不安が半ばと言ったところだろうか。

一方の東海大。本日もバックスタンドには、「めざせ大学日本一」の横断幕が
掲げられている。入替戦からずっと選手達の戦いを見守り続けているお馴染み
のもの。2002年に3位、2003年に4位と高き理想に向けて着実に近づいている
かに見えた東海大だが、昨シーズンは6位となり大学選手権出場も逃してしま
った。何と言っても、開幕から2連敗を喫してしまったことが痛かった。緒戦
で大東大を破り幸先の良いスタートを切った今シーズンはチャンスである。こ
こで日大も破って一気に弾みをつけたいところ。

とにかく連勝したいチーム同士の熱い戦いを期待してキックオフを待った。

[前半の戦い]

開始早々からいきなり日大期待の新戦力の一人、No.8のマフィレオが爆発した。
トンガ出身で190cm、120kgの巨人。大東大のフィリピーネのようなスピードと
器用さこそないが、ボールを前に運ぶパワーには凄まじいものがある。開始3
分、自陣のHWL手前で得たペナルティから速攻で攻め、タックラーをなぎ倒
しながら東海陣の22m付近まで前進。東海大はたまらずオフサイドを犯して
しまう。続くラインアウトのモールから再びマフィレオがゴールを目指すがこ
こでも東海大はオフサイド。日大は開始4分にしてPGによる先制のチャンス
を得た。

ゴール正面やや右の22mライン付近の難しくない位置からのPGだったが、
SO松下がこれを外してしまう。彼らしいといえば彼らしいのだが...。し
かしながら、その直後の6分にマフィリオがまた魅せてくれた。東海大陣ゴー
ル前のスクラムからのサイドアタックからボールが松島、そして左WTBのタ
ウファにボールが渡り、タウファがそのままゴールラインを越えて中央にトラ
イ。日大の鮮やかな先制パンチだった。

このまま日大が一気に波に乗るかと思われたが、逆にペースを握ったのは東海
大の方。サイズ的には大きくないFWだが、機動力があり着実にボールを前に
運ぶ力を持っている。サイド攻撃中心ながらBK展開を交えた連続攻撃で日大
ゴールに迫る。ただ、この日、いや今シーズンのと言った方が良いのかも知れ
ないが日大のディフェンスは強固。小気味良いくらいにタックルが決まり、東
海大はなかなか有効なゲインを稼ぐことが出来ない。ラックで日大に執拗に絡
まれ、BKへの球出しが遅れ気味となっていたことの影響もあった。

そのような、東海大がやや優位ながらも膠着した展開の中で、26分にようや
く得点板が動く。ゴール前のラインアウトからモールを形成して押し込む日大
のお株を奪うようなトライで東海大はゲームを振り出しに戻した。今後の対戦
校にとって、東海大のFWは要注意である。

しかし、束の間の同点劇だった。31分にまたもやマフィリオ。東海陣ゴール
前ラインアウトからサイドアタックでゴール前までボールを運びラック。そこ
中に何故かBKのタウファが居てこの日2つ目のトライを奪い、再び日大がリ
ードを7点に拡げる。リーグ戦グループの対戦校とっては、フィリピーネとは
違ったタイプながらも新たな頭痛の種となる8番が誕生したといえそう。

以後、両チームのFWによる激しいボール獲得合戦、BK展開、そしてカウン
ターアタックの応酬となったが、結局得点ボードが動かないまま前半が終了し
た。激しいプレッシャーもあったが、両チームともミスでチャンスを潰してい
たのが残念。双方に何としてもこの試合に勝ちたいという気負いがあったのか
も知れない。

[後半の戦い]

後半も先手を取ったのは日大。開始4分に東海大陣22m内で得たラインアウ
トを起点としてオープンに展開。SO松下が抜け出したところに右FLの大山
がフォローしてインゴールに飛び込んだ。日大というと過去のイメージからF
Wのチームという印象が強いが、昨シーズンからはFWへの過度の拘りを捨て
て、BKへのオープン展開も交えるバランスの良いチームに変わってきている。
むしろFWに拘っていたのは東海大の方で、結果的にこのことが勝敗を分けた
のではないかと思われる。

続く6分、日大は東海大キックオフに対するカウンターアタックから鮮やかな
トライを決める。HOの北島主将が密集を抜け出てHWL付近まで前進。ラッ
クから左オープンに展開してCTB金川が左タッチラインに向けてグラバーキ
ック。ピッチの上の選手も含めて誰もがもタッチを切るかと思った瞬間、稲妻
のようにランナーが現れてボールを拾い、一気に東海大のゴールラインを越え
た。左WTBのタフィアだった。得点機は絶対に逃さないという気迫のトライ
ゲッター。この日の3トライ目で日大にとっては何とも頼もしい選手である。

東海大は劣勢を挽回すべく、17分にエースのWTB陳を投入。陳のスピード
を活かす形で東海大のボールがオープンに散り始め、ゲームの流れが変わった。
直後の19分に日大ゴール前のラックから東海大はオープンに展開し陳がイン
ゴールへ、と思われたが惜しくもパイルアップ。日大のオフサイドに対するア
ドバンテージが適用されていたため日大陣ゴール前のチャンスは変わらなかっ
たものの、ここで日大FWが粘りを見せてラインアウトからのモールを押し返
しターンオーバーに成功。

しかし、逆転勝利に燃える東海大は攻勢を緩めない。22分にも日大ゴール前
のラインアウトからのオープン攻撃でオーバーラップの状態を作り出し、パス
が通ればトライ!と思われたが惜しくもスローフォワード。日大に自陣での反
則が多くなってきていただけに、ひとつでも取れていれば情勢は変わっていた
かも知れない。ただ、6分のタウファのトライがダメ押しのような形で日大に
ある種の余裕を与えていたことも事実。この後に行われた流経大の戦い振りで
も感じたことだが、チーム力が拮抗している場合、取るべきとこで取れないと
勝利は掴めないといったところだろうか。

試合が終盤にさしかかった37分、ようやく東海大に得点が生まれた。自陣1
0mL付近でのマイボールスクラムからSO森脇が裏に抜け出てキックしたボ
ールを自らインゴールで押さえてビハインドは14点。ドロップキックでコン
バージョンも決めて残り時間にすべてをかける。インジュリータイムの43分
の東海大のアタックは圧巻だった。自陣ゴール前での日大ボールラインアウト
の絶体絶命のピンチにFWが気迫のターンオーバー。インゴール付近からの連
続攻撃で最後はFB三木がゴールラインに到達。敗れたとはいえ、東海大の気
迫がこもった見事なとらいだった。

[試合後の感想]

日大の勝因は1にも2にもタックル。これに尽きると思う。昨シーズンまでと
は別のチームになってしまったかのように突き刺さるタックルが1の矢、2の
矢といったように決まっていた。関東学院のように巧くコンタクトポイントを
ずらしてくる相手にも同じタックルができるか?という懸念もないではないが、
過去失点の多さに泣いていたチームだっただけに(かなり)期待が持てる。B
Kのコンビが合ってくれば、まだまだ強くなる要素をもっている。昨シーズン
のレギュラーがリザーブにも入れない程の新戦力の台頭も楽しみ。

一方の東海大はボール支配率では日大を上回ったもののゴールラインが遠かっ
た。日大のディフェンスが良かった面もあるが、ちょっと攻撃が正直すぎたよ
うにも思える。とくに前半は外に振れば面白い、という状況でも執拗にFW周
辺にボールを集めていたのは、作戦だったとしてもちょっと疑問。テンポがほ
ぼ一定という点も含めて、日大にとってはディフェンスしやすかったかも知れ
ない。後半に陳が登場してからボールが大きく動くようになっただけによけい
そう思われる。FWがいいだけに、変化技を交えたBK攻撃ができれば、東海
大の得点力は確実に上がっていくのではないだろうか。 (2005年10月3日記)

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