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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

大東文化大学 vs 流通経済大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/10/02) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 大東文化大学:前半: 2  1  0  0 12 |
       :後半: 1  0  1  0  8 |  20 13
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 流通経済大学:前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |  10 16


◎出場メンバー

 大東 : (1).木川 2.森 3.須藤 4.エモシ 5.飯島 6.栢野 7.牧野 8.フィリピーネ
      9.寺西 10.戸嶋 11.岩渕 12.升屋 13.塚本 14.松本 15.畠山
     (16.笹尾 17.林 18.松井 19.新川 20.船戸 21.ファカトウ 22.山下)


    ○交替  4→17(後15分入替), 12→21(後15分入替),  3→16(後27分入替)
         9→19(後27分入替),  2→20(後40分入替),  7→18(後40分入替)
    ●シンビン  4(前半40分)


 流経 : 1.金城 2.湯原 3.松波 4.西川 5.笠原 6.藤田 7.古崎 8. 相
      9.森 10.アンダーソン 11.松本 12.池田 13.大石 14.勝俣 15.森谷
     (16.吉田 17.柴崎 18.ニコラス 19.佐藤 20.飯笹 21.小橋 22.仲程)

    ○交替  7→16(後27分入替)


 レフリー :谷口弘(  協会公認)


◎得点経過

 大東文化大学  0        5                12                      12
                        T                G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                             P        G
 流通経済大学  0                                   3        10   10


 大東文化大学 12                  15                 20          20
                            P                  T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                       
 流通経済大学 10                                                 10


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 大東:前半 7分 松本 (T)、戸嶋 (G)
      24分 フィリピーネ(T)、戸嶋(G)
    後半17分 戸嶋 (G)
      36分 寺西 (T)

 流経:前半34分 大石 (PG)
      43分 認定T(T)、大石 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

連勝を狙うチーム同士が戦った第一試合(日大対東海大)とはうってかわって
ともに緒戦を飾れなかったチーム同士の対戦。まだ2戦目とはいえ、今後の戦
いのことを考えれば連敗はできない。流通経済大は司令塔のアンダーソンの復
帰が明るい材料。持ち前のフレアとスキルでどんなアタックを見せてくれるだ
ろうか。一方の大東文化大には大学ラグビー界で屈指のNo.8フィリピーネがい
る。両チームが各々の中心選手を軸にどのようなパフォーマンスを見せてくれ
るかに想いを巡らせながらキックオフを待った。

[前半の戦い]

流経大のキックオフで試合開始。大東大のキックがダイレクトでタッチライン
を割り、まずは流経大がチャンスを得る。そして2分、まずはアンダーソンが
魅せてくれた。大東大陣22m付近で得たスクラムからショートサイドに位置
したFB森谷へのパスがミスパスとなりチャンスがついえたかに見えたが、ア
ンダーソンがすかさず回り込み、ボールを拾って前進。巧みなステップワーク
で失地回復に成功し、存在感をアピールした。今年の流経大はやはりアンダー
ソンを軸としたBK展開指向のチーム作りを目指しているようだ。

それからしばらくは流経大がペースを握り、試合は大東大陣での攻防となるが、
流経大のアタックはなかなか実を結ばない。ハーフ団のコンビネーションが今
一歩だったことと、アンダーソンがラックに巻き込まれたときに司令塔不在状
態になってしまい、攻撃が途絶えてしまう。例えば日大のCTB金川のように
巧く「SO不在」をカバーできる選手が居れば、流経大のBK攻撃に厚みが増
すように思われる。

流経大が攻めあぐむ中、存在感を示したのはやはりこの人、フィリピーネ。7
分に大東大は流経大陣10mライン付近のラインアウトを起点としてSO戸嶋
が抜け出しラック。ここからフィリピーネが強力なサイドアタックで相手ディ
フェンダーを引きつけ、右側に出来たオープンスペースにパスを送る。ボール
は完全にオーバーラップが出来た状態でFB畠山からWTB松本に渡り、大東
大が鮮やかに先制した。

良い形のトライが生まれたことでゲームの流れは大東大に、と思われたが、ま
だしばらくは流経大がボールを支配する形で試合は進む。しかしながら、なか
なか大東大のゴールラインを越えることが出来ない。連続攻撃を試みるものの
ラックでことごとくフィリピーネとエモシが厚い壁となって立ちはだかり有効
な球出しが出来ないのが本当に痛い。SHからタイミング良くパスが供給され
ないと、アンダーソンのスキルとセンスが活きなくなってしまう。アンダーソ
ンからのパスは(SHでもあるだけあって)最高の位置に放られるのだが、そ
の前の段階が問題だった。

15分に再びフィリピーネが魅せてくれた。今度はハイパントのキャッチング。
落下点で半身に構えてジャンプし脇を締めて捕獲、といった100点満点の教
科書通りのプレー。いやフィリピーネの場合はその後に確実に前に出られるの
で120点を付けた方が良いかも知れない。大学のトップレベルのチームに居
るプレーヤーでも、キャッチングの時に真正面を向き、しかも脇が開いた状態
で画に描いたようなノックオンをする選手が散見される昨今。高校生だけでな
く大学生もしっかりとお手本にして欲しいプレーである。フィリピーネはどう
しても豪快な突進を売り物にする選手に見られてしまうが、パスなどの小技も
見どころ。どのような体勢からでもしっかりボールを繋ぐことが出来る。倒す
までだけでなく、倒した後も厄介という選手はなかなか居ない。

そして24分。流経大ゴール前で得たペナルティのチャンスからモールを形成
しフィリピーネが抜け出してトライ。GKも決まり大東大のリードは12点に
拡がった。しかしながら...これでもまだ大東大ペースにはならない。34
分には流経大のCTB大石が右中間約30mのPGを成功させ、流経大はよう
やく一息つく。大石のキックは、トーキック気味で一瞬ひやっとしたが、ロン
グキックを得意とする彼らしい弾丸ライナーとなってゴールに突き刺さった。

ここでようやく大東大にエンジンがかかる。40分には流経大陣22mライン
付近の位置でのマイボールラインアウトという絶好のチャンス。しかしながら
ここで痛恨のプレーが大東大に出る。ノットストレートで流経大ボールライン
アウト、さらに流経大がFKでリスタートをかけたところでエモシが反則。完
全なオブストラクションだったが、首投げに近い状態で流経大選手を投げ飛ば
しシンビンを適用されてしまった。この後、流経大は大東大ゴール前でのライ
ンアウトのチャンスを得る。前半終了間際の43分、大東大の反則の繰り返し
により流経大にペナルティトライが与えられ、大東大のリードは僅か2点に縮
まった。後半もしばらくはFWが一人少ない状態で戦わなくてはならない大東
大にとっては、致命的な失点になるはずだったが...。

[後半の戦い]

流経大は一人選手が多い間に何とか逆転したい。後半開始直後から一気に攻勢
に出る。キックオフに対するカウンターアタックから勝俣が抜け出して22m
ライン付近まで前進し、相手DFに捕まりそうになったところでキックパスを
試みるが失敗。2分には大東大陣22m内でのスクラムからのオープン展開が
決まりトライ!と思われたが、惜しくもゴール直前でタッチラインを踏んでし
まう。以後も流経大とっては歯痒い時間帯が続く。肝心なところでパスミス、
あるいはキックで相手に攻撃権を渡してしまう、というプレーが連続すれば勝
利の女神に見放されてしまうのもやむなし。14分のPGによる逆転のチャン
スも活かせない。

逆に17分には大東大の戸嶋がPGを決め、大東大のリードは5点に拡がる。
けしてセーフティリードとは言えないが、大東大は一安心。何とか逆転したい
流経大だが、ボールを支配してもなかなか得点に結びつけることが出来ない。
アンダーソンを軸に果敢にオープン展開を試みるが、どうしてもボールが出る
タイミングが遅くタックルされた選手が孤立してノットリリースの同じパター
ンが最後まで繰り返された。流経大の反則数は後半だけで12を数えた。

流経大は27分にも決定的なチャンスを逃す。大東大ゴール前スクラムを起点
としてオープンに展開しインゴールへ絶妙のパント、と思われたがボールを押
さえたのは素早く戻った大東大のWTBファカトゥ(交代出場)。流経大の選
手はここが勝負所!といった局面でキックを使ってボール(とチャンス)を手
放してしまうことがとにかく多かった。ボールを持つとゴールを目指して生き
生きとした表情で走る大東大の選手とは対照的である。どうしても消極的に見
えてしまう。

流経大が攻めあぐむ、というよりも(得点を)取り逃し続ける中で36分に大
東大はダメ押しのトライ。自陣からペナルティで積極的に仕掛けてフィリピー
ネ、WTB松本らが巧くボールを繋ぎながら前進を図り、SH寺西がインゴー
ルへ。ようやく両チームろもミスが多い中での「接戦」にピリオドが打たれた。

[試合後の感想]

この試合の印象をひとことで言えば「流通経済大の自滅」ということになる。
前後半を通じて、得点機を逃し続けたことが響いた。アンダーソンが復帰した
ばかりでありコンビネーションが整っていないこともあるが、もう少し最終局
面でキックを我慢して積極的に行っても良かったような気がする。点差の通り、
両チームの間に力の差はないが、決め所をしっかり決められたかどうかが勝敗
を分けたと言えるかもしれない。双方とも反省材料の多い試合だったと思われ
るが、まだまだキャッチアップは可能。気持ちを入れ替えて次節以降の戦いに
臨んで欲しいと思う。                (2005年10月4日記)

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