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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

法政大学 vs 流通経済大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/10/10) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  10  9
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 流通経済大学:前半: 2  2  0  0 14 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |  14 13


◎出場メンバー

 法政 : 1.岡村 2.小笠原太 3.山内 4.篠塚 5.玄 6.遠藤 7.高根 8.竹中
      9.成田 10.森田 11.西條 (12).野村 13.大村 14.小笠原仁 15.高山
     (16.北島 17.鬼頭 18.田代 19.勝又 20.和田 21.田沼 22.友井川)

    ○交替  9→20(前22分入替),  1→16(後 0分入替),  8→17(後 3分入替)
        15→22(後16分入替), 10→21(後25分入替), 11→19(後32分入替)
 

 流経 : 1.金城 2.湯原 3.松波 4.西川 5.笠原 6.藤田 7.古崎 8. 鈴木
      9.森 10.アンダーソン 11.松本 12.池田 13.大石 14.勝俣 15.森谷
     (16.吉田 17.柴崎 18.ニコラス 19.相 20.飯笹 21.浅利 22.仲程)

    ○交替  5→16(後12分入替),  7→18(後12分入替),  8→19(後22分入替)


 レフリー :御領園昭彦(日本協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0    3                                             3
                    P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                              G        G
 流通経済大学  0                    7        14                  14


 法政大学    3     10                                          10
               G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                          xD
 流通経済大学 14                                                 14


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 3分 森田 (PG)
    後半 4分 和田 (T)、森田 (G)

 流経:前半19分 藤田 (T)、大石 (G)
      28分 西川 (T)、大石 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

本日は10月10日の体育の日。この日は東京オリンピックの開会式の日に選
ばれたことでも知られるように、「晴天の特異日」のはずである。しかしなが
ら、朝の関東地方は土砂降りの雨。一瞬、一昨年の同一対戦カードにおいて同
じ秩父宮で展開された「水中戦」(試合中の豪雨で一時ピッチが冠水)のこと
が頭をよぎった。両チームともBK展開に活路を見出そうとしているチームで
あり、これは残念。

しかしながら、雨は次第に小降りになり、秩父宮に着いた頃には霧雨状態。ひ
とまず水中戦の懸念は消えて一安心である。観客席に座ってまずは両チームの
メンバー表に目をやる。両チームとも前節からの大きな変更はなく、ほぼベス
トの布陣と思われる。ただ、双方とも試合を観戦した限りにおいては、まだま
だ課題を抱えているようである。とくに結果が出ていない2連敗の流経大は、
気持ちを入れ替えてこの試合に臨めているだろうか。ややスリッピーなコンデ
ィションながらも、オープン展開合戦(私的見どころ)に支障を来す状態では
なさそう。ではあるが、まずは両チームのFWの出来に着目点を置いてキック
オフを待った。

[前半の戦い]

法政のキックオフで試合開始。まずは、FWがラッシュをかけて流経大のミス
を誘い、流経大陣22mライン付近でのマイボールスクラムのチャンスを得る。
法政はすかさず8→9攻撃でショートサイド(左側)を攻めて流経大ゴールに
迫るが直前で惜しくもラストパスが繋がらず、流経大選手がタッチにボールを
押し出す。法政はその直後のゴール前ラインアウトのチャンスからモールを形
成し、さらにラックを経て素早くサイド突くが、流経大ゴール前が反則(ノッ
トリリース)を犯しチャンスを潰す。スロースターター気味の流経大の出鼻を
挫く法政らしい鮮やかな速攻だったが得点に結びつかなかった。

流経大はピンチを逃れたかに見えたが、PK後のマイボールラインアウトボー
ルを法政に奪取されてしまう。法政は素早くオープンに展開し、ラックを経て
更にショートサイドを突く。ここで流経大がたまらずオフサイドを犯しPK。
流経大は法政の早い展開についていけない。ここでSO森田がゴール左22m
ライン付近からのゴールキックを難なく決めた。開始僅か3分にして、自分た
ちが得意とする形(速攻)を得点に繋げたことにより、法政はこのまま一気に
行ってしまうかに見えた。法政ファンだけでなく、流経大のファンもそう思っ
たのではないだろうか。

しかしながら、大方の予想に反して、以後のゲームは殆どが法政陣内で進めら
れることになる。小雨模様のややスリッピーなコンディションだったこともあ
り両チームともキックが多い展開となったが、法政側にラインアウトやスクラ
ムからの8→9の部分でミスが多く、法政がなかなか流経陣内に行けない状況。
流経大は前節の大東大戦ではライン攻撃が不調(オープン展開→孤立→ノット
リリースの連続)だったこともあって自陣からはキックで戦術を徹底していた
ようである。ただ、最終局面(決め所で勝負!の場面)で蹴ってしまうのも相
変わらずで、ちょっともったいない感じもした。が、法政陣でのラインアウト
が続く形となり結果オーライだった。流経大FWは高さこそないものの、ライ
ンアウトは安定しており、モール他のオプションも豊富。一方の法政はライン
アウトが不調だったので、流経大は躊躇なく蹴ることができたのかも知れない。

さて、BKでボールを持って前へ出る場面の少なかった流経大ではあるが、1
0分には期待のFB森谷がカウンターアタックで見せてくれた。自陣22m付
近から法政ディフェンダー達を振り払いながらHWL付近まで前進。前節(大
東大戦)は不発に終わった森谷だったが、この日は何度かカウンターアタック
で持ち味の突破力を発揮していた。得点には繋がらなかったものの、流経大の
選手達には元気を与えたに違いない。理想を言えば、BKのライン攻撃のとこ
ろで彼の持ち味が活きる場面が欲しいところ。森谷がペネトレーターの形で自
在にライン参加できるようになれば面白くなる。まだまだ、BKとしての動き
に課題ありといったところだかもしれないが、楽しみな選手である。

流経大攻勢ながらなかなか得点板が動かなかったところで、流経大は法政のミ
スから得点を挙げる。流経大キックを自陣22m付近でキャッチしたFB高山
が満を持して森田にパス。ロングキックは任せたという意図に見えたが、森田
のキックを流経大FL藤田がチャージに成功。ボールは真っ直ぐゴールポスト
に向かって転がる。藤田はそのままゴール手前でボールを拾いインゴールに飛
び込んだ。不用意なプレーと行ってしまえばそれまでだが、ここは積極的に前
に出た藤田を褒めるべきだろう。本日の流経大は相手ボールの時はとにかく前
へ出てプレッシャーをかけることでしっかりと意思統一されていた。

勢いに乗る流経大の攻勢は更に続く。以後、法政は殆どの時間帯を自陣で戦う
という苦しい状態に置かれる。得点板が動かないのが不思議なくらいだが、決
め所で蹴ってしまう流経大の消極的とも映るプレーに救われた形。ここをしっ
かり凌げば必ず法政の時間帯が来るし、個々の得点能力は法政の方が上。だが、
28分、またしても法政に痛恨のミスが出てしまった。自陣ゴール前でFWか
らBKへの連携ミスからこぼれたボールを流経大LO西川が拾ってゴールポス
ト中央へ。マイボールセットからのアタックはうまく行かなかった流経大だが
ここでも、前に積極的に出るディフェンスから得点が生まれた。

このトライで勢いを得たこともあり、流経大の攻勢は更に続く。が、決められ
ない。リードを11点に拡げたとは言っても、法政の攻撃力を持ってすればま
ったく安心できない。この日も、流経大はアタックの局面でとにかくゴールが
遠かった。スクラム、ラインアウトともFWが頑張っていただけに残念。昨シ
ーズンのメンバーからパワフルなグレイと伊勢田、高さの鈴木学らが抜けたが、
今年の流経大のFWは8人のまとまりが素晴らしい。モールで前進を図り、機
を見てサイドアタックを仕掛けるFWの健闘にBKも何とか応えたいところな
のだが...。

[後半の戦い]

流経大は、前半ほとんど法政陣内で試合を優位に進めながら、得点は相手のミ
スに乗じて挙げた2トライのみ。普通このような展開なら、法政の爆発力を考
えれば流経大の負けパターンである。しかしながら、法政もラインアウトなど
のセットプレーやパスミスが多い。勝利の女神もどちらに微笑んだらいいのか
迷ってしまっていたに違いない。地域支配率は一方的ながらゲームの流れがど
ちらにも傾かない流れは変わらない。

流経大が法政陣内でゲームを優位に進める中での4分、法政に待望の得点が生
まれた。流経大が法政陣内22mラインより手前のアタックの局面でオフサイ
ドの反則。ここで、PKからの速攻で法政は大きくゲインし、最後は前半19
分から成田に代わって出場したSH和田が持ち前の走力を活かしてインゴール
に飛び込んだ。法政らしい鮮やかな速攻が決まった形だが、勝負!の局面での
法政選手のランニング能力は素晴らしい。何と言っても、一人一人が自信を持
っている。こんなランナーが欲しいと思った流経大ファンも多かったのではな
いだろうか。ビハインドは4点に縮まり、法政の得点力をもってすれば逆転は
時間の問題(のはず)。

法政ファンにとっては本当に待望のトライ。ここまで、不思議なくらいに静か
だった法政の応援席に俄然元気が出てきた。「この流れなら必ず逆転してくれ
る!」(流経サイドは逆にいやな予感)という空気が観客席に漂ったかに見え
た。しかしながら...そんな期待(懸念)に反して、その後も試合はずっと
法政陣内で進む。法政は頼みの森田のキックが不調で、ピンチを脱することが
なかなか出来ない。逆に流経大のCTB大石のキックは安定していた。他のチ
ームのロングキッカー達の陰に隠れがちであるが、ピンチを一蹴りでチャンス
に変えてしまう大石の存在は流経大にとって頼もしい。結局、森田は後半25
分にピッチを去った。

ラインアウトを起点としたFWのモール攻撃で優位に立つ流経大の攻勢は続く。
12分に22m付近のラインアウトからモールを経てHO湯原主将がサイドア
タックで法政ゴールに迫る。あと一歩でトライかと言うところで惜しくもパイ
ルアップ。FW戦で劣勢に立ちながらも、最後の一線は割らせない法政のDF
は見事。ここを耐えれば、今度こそ「法政の時間帯」が来るはずである。相手
をゴール前で釘付けにさせながらも攻めきれない流経大は、15分に大石がド
ロップゴールを狙う。守る法政はもちろん苦しいが、攻める流経も苦しい。

時計の針が後半の後半にさしかかった頃、ようやく「法政の時間」がやって来
た。流経大にペナルティが増えてきて、主戦場は徐々に流経大へと移る。そし
て20分、法政に決定的なチャンスが訪れる。自陣でのPKから速攻で仕掛け
てきれいなオーバーラップが出来、パスが通れば一気にインゴールまで行けそ
うな状況。が、痛恨のパスミスでノックオン。法政応援席から大きなため息が
漏れた。

29分にもPKからの速攻で流経大ゴールを脅かす。森田に代わって登場した
田沼が豪快なランニングを見せた。昨シーズンも決定的な仕事をしていた彼が
リザーブではもったいないように思われるのだが...。流経大はここでもペ
ナルティを犯し、法政の攻撃は更に続く。そしてインゴールに届いたかに見え
たが惜しくもパイルアップ。流経大はゴールを背にしての相手ボールスクラム
で絶体絶命のピンチに陥るが、ここからのFW8人、いや15人全員の気迫の
ディフェンスが見事だった。おそらくはこの試合のハイライト。法政のサイド
アタック、あるいはオープン攻撃を執拗に止め続ける。

そして、「法政!」「法政!」のスタンドからの大合唱も届かず、ノーサイド。
結局、勝利の女神は15人のチームワークで終盤の法政の猛攻を耐えた流経大
に微笑んだ。ミスが多いのは残念だったが、久しぶりに身体が芯の底から熱く
なる試合だった。

[試合後の感想]

法政にとって、セットプレー(とくにラインアウト)の不調や肝心な局面での
ミスが響いた形ではあるが、褒めるべきは流経大フィフティーンの「絶対に負
けられない」という心意気だったように思われる。流経大は端で見ていても歯
痒いくらいに15人の気持ちがひとつになることが少ないチームだったが、ど
うやら今シーズンは違うようだ。とくに核になる選手が卒業し小粒になった感
のあるFWが1枚岩になって頑張ったことが本日の勝利の原動力となったよう
に思われる。BKの決定力という大きな課題はあるが、普段の練習でやってい
ることがしっかり出来れば結果はついてくるチームのはずなので、この勝利を
糧にして今後の試合に臨んで欲しい。

一方の法政は、流経大とは逆になかなか15人の気持ちがひとつにまとまれな
いでいる。スタンドで観ている限りはそう感じられた。あと、ミスの多さもこ
こまで来ると偶然ではなくて、必然のように思えてしまう。ミスが起こった局
面を振り返ってみても、急ぐ必要がないところで慌ててしまっていることが一
因のように見える。法政の持ち味はスピードとテンポだが、スピードは多少落
ちても正確に、そして、テンポも一本調子とならないように緩急を付けて、と
いうことを普段から心掛ければ...というのは、もちろん外から見ている人
間の勝手な意見である。

両チームのここまでの闘い振りを観ると、流経大は2戦とも惜敗、法政は2戦
とも圧勝。結果論だが、接戦の戦い方の面で流経大に一日の長があったかも知
れない。そういった意味では、本日の流経大の勝利は中位グループ4校の力で
もぎ取ったとも言える。今後の展開が楽しみになってきた。
                                                    (2005年10月10日記)

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