Live Reports from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

Schedule & Result

Rugby Top

Weekly Report

日本大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/10/16) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 日本大学  :前半: 3  2  1  0 22 |
       :後半: 3  2  1  0 22 |  44 11
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |  10 13


◎出場メンバー

 日大 : 1.有馬 2.小野 3.高橋 4.福田 5.馬渕 6.松島 7.大山 8.マフィレオ
      9.倉澤 (10).松下 11.タフィア 12.三友 13.金川 14.藤原 15.吉田
     (16.和田 17.中村圭 18.古賀 19.蓬莱 20.山上 21.中村誠 22.薬師寺)

    ○交替  9→20(後10分入替), 15→21(後22分入替),  6→19(後31分入替)


 中央 : 1.麻生 2.諸隈 3.藤田 4.岡 5.羽立 6.大西 7.松本 8.青木
      9.片渕 (10).升本 11.中村 12.工藤 13.有田 14.長友 15.越村
     (16.菊田 17.武田 18.石丸 19.馬場 20.古賀 21.佐藤 22.池田)

    ○交替 10→21(前 5分入替),  5→18(前30分入替), 12→19(後 0分入替)
         9→20(後22分入替)


 レフリー :下村大樹(  協会公認)


◎得点経過

 日本大学    0         3           8        15         22      22
                         P           T        G          G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                     P             G
 中央大学    0           3             10                      10


 日本大学   22           29         34      37      44         44
                     G          T       P       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学   10                                                 10


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 日大:前半 8分 松下 (PG)
      20分 マフィレオ(T)
      29分 松下 (T)、松下 (G)
      40分 松島 (T)、松下 (G)
    後半10分 松下 (T)、松下 (G)
      21分 松下 (T)
      29分 松下 (PG)
      37分 山上 (T)、松下(G)

 中央:前半10分 越村 (PG)
      24分 大西 (T)、越村 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

日大にとって中央大との闘いは鬼門である。もちろん、この日ピッチに立った
選手達にはそんな意識はないと思うが、日大ファンにとってもっとも怖い相手
はおそらく中央大。記憶に新しいところで、2002シーズンは最終戦で中央大に
敗れたことにより、勝てば大学選手権に行けたところが7位で入替戦。また、
1998、2001の両シーズンは序盤戦で中央大に敗れて4位に止まっている。逆に
中央大は日大に勝った年はいずれも日大より上位、かつ大学選手権へと駒を進
めている。

今シーズンは目下のところ、日大は2連勝を収めて好調な滑り出しなのに対し、
中央大は2連敗の厳しい状況。もちろん日大はここでも勝利を収めて上位を確
実にしたいところだし、中央大にしても連敗をストップさせ上位浮上への足が
かりとしたい。その中央大にとって勝利の鍵を握るのは1にも2にもディフェ
ンス。日大の執拗なFWによるアタックを粘り強く止め続けることにより勝機
を掴んだのが1998年と2001年のシーズンだった。

日大はHOの北島主将がケガで欠場しているもののほぼベストの布陣。中央大
も前半健闘した関東学院戦とほぼ同じメンバーで満を持している。心配された
雨も午前中に上がり、ピッチの状態も問題はなさそうに見える。この1戦に賭
けている中央大が日大の強力なアタックに対してどのようなディフェンスを見
せるてくれるだろうか?

[前半の戦い]

中央大のキックオフで試合開始。日大はFWの後ろにWTB藤原が控えカウン
ターのチャンスを狙い、止められたところでオープンへ展開。ここで抜けなけ
ればCTB金川がタッチめがけてキックというパターンをキックオフのリスタ
ートではよく使っていた。もちろんこれだけでは相手の防御は破れないが、両
WTBの突破力とSOあるいはCTBのキック力を組み合わせた日大らしいオ
プションだと思う。

そして、今年の日大には新たな核弾頭が加わっている。No.8のとても1年生と
は思えない巨人のマフィリオ。先だっての東海大戦では「フィリピーネのよう
な器用さはないが...。」と書いてしまったが訂正しなければならない。実
はなかなか小技も巧くて、パスをしっかり繋げる。確かにスピードはないが、
BKのようなステップを見せたりとなかなか楽しい選手。もちろん、ディフェ
ンダーにとっては恐怖以外の何者でもないのだが。立ち上がりは、そのマフィ
リオを軸にしたFWのタテと決定力のあるBK陣を配したヨコの組み合わせに
よるアタックを試みる日大がペースを握った。

開始から5分、その日大にビッグチャンスが訪れた。HWL付近で得たPKか
らのクイックリスタートで右PR高橋からFL大山にボールが繋がり日大は大
きくゲイン。さらにフォローしたWTB藤原にボールが渡りトライかと思われ
たが、藤原は中央大選手の2人掛かりのタックルでゴールを目前にして倒され
た。ただ、この時のタックルがハイタックルと見なされ、日大は中央大ゴール
前でのマイボールラインアウトという絶好のチャンスを得た。(なお、ここで
中央大は司令塔の升本が負傷により交代。必勝を期す中央大にとっては痛かっ
たに違いない。)

しかしながら、中央大は簡単にはゴールを割らせない。日大はラインアウトか
らモールを形成してゴールを目指すが、その手前でモールが向かったのは何と
ゴールポスト。FWの塊がゴールラインに平行に移動していき、ゴール正面付
近で中央大はターンオーバーに成功する。日大は絶好の先制期を逃した。中央
大のモールはなかなか強力で、その後も日大相手に威力を発揮することになる。

続く7分、今度はWTBのタウファの突破から日大にチャンスが生まれる。中
央大はゴール正面の22mライン付近の位置でオフサイドを犯す。SO松下が
PGを難なく決め日大は3点を先制。日大にとっては一安心のはずだったが、
その直後の10分に日大は一転してピンチを迎える。中央大キックオフからの
リスタートでSO松下がタッチキックをミスして、日大陣22mライン付近で
の中央大ラインアウト。日大はここで反則を犯し、中央大はFB越村が左中間
25mのPGを鮮やかに決めてあっという間に同点となる。

しかし、ここから日大は攻勢に転じ、しばらくの間はゲームは中央大陣で行わ
れる。17分、そして18分に相次いで中央大ゴール前でのラインアウトのチ
ャンスを得たものの、中央大の壁はなかなか破れない。だが、20分には中央
大ゴール前の5mスクラムからマフィリオがゴールを伺う。一度はタックルさ
れて倒されたものの、すかさずボールをリリースして拾いゴールに飛び込んだ。
中央大にとっては「止めた!」と思った一瞬の出来事だっただけにショックだ
ったかも知れない。ゴールキックは失敗したが、日大のリードは5点に拡がる。

日大は「これで大丈夫。」と思ったのも束の間、日大は自陣で犯した反則から
再びピンチに陥る。24分、日大陣22m内に入った位置でのラインアウトか
ら中央大はモールを形成してぐいぐい前進。そのままモールはゴールラインを
越えて、中央大FL大西がトライ。FB越村がコンバージョンキックを慎重に
決めて中央大は2点差ながら逆転に成功する。攻め込みながらも取れず、逆に
相手に少ないチャンスを活かされてしまう。中央大の応援席からは、「行ける
ぞ!」の声も出始めた。中央大が日大のアタックを粘り強く止めるというのは
中央大にとっての勝ちパターン。

が、日大は再び逆転に成功する。HWL付近からの連続攻撃で最後はSO松下
がゴール中央に飛び込み、ゴールも成功して15−10。その後も日大の攻勢
は続く。肝心なところでパスが繋がらないなど、日大ファンにとってはフラス
トレーションの溜まる展開だったが、前半終了間際の40分に貴重な追加点。
中央大陣22m内でのラインアウトを起点としてオープンに展開。SO松下へ
のパスはミスパスとなったがCTB三友がうまくフォローして前進しゴール前
でラック。最後はこのFL松島がインゴールに飛び込んだ。ディフェンスで健
闘を見せていた中央大にとっては、残念な失点だった。

[後半の戦い]

今シーズンの日大のFWはよく走る。とくに前3人の運動量が素晴らしい。3
分にはそんな今年の日大を象徴するプレーが出た。自陣からのカウンターアタ
ックから左PRの有馬が大きくゲインしラック。日大はさらに右オープンに展
開してCTB金川からのパスは右PRの高橋へ。ボールが繋がればトライのチ
ャンスだったが、高橋が惜しくもノックオン。1年生ながらLOの馬渕も頑張
っていた。

後半、中央大は戦術を変えてきたように見えた。FWのサイドアタックでゲイ
ンをはかる。過去、中央大が得意としてきた形だが、ここ数年はキックに頼る
展開が多くてなかなか見られなかった形。少し試合の流れが変わりかけてきた
ようにも見え、この形を徹底させれば面白いかなと思われたが中途半端な形で
終わってしまった。SHとFL陣の連携で素早くタテを突く攻撃は、中央の伝
統的な得点パターンとして定着させて欲しいところである。

やや膠着しかけた展開の中での10分、日大は着実に加点する。中央大陣22
m内に入った位置でのスクラムを起点として8→9からオープンに展開しセン
タークラッシュ。ラックからさらに右オープンに展開し、SO松下が相手を巧
くかわしてインゴールへ。ゴール成功で日大のリードは19点に拡がった。

続く15分にも得点にこそつながらなかったものの、今シーズンの日大を象徴
するFWプレーが見られた。FWの選手でボールを細かく繋ぎながらクラッシ
ュせずにボールを前に運ぶプレー。従来の日大FWなら、ボールを持ちすぎて
ノットリリース、あるいは無理にパスを繋ごうとしてノックオンの状況である。
このプレーが出来たら...と過去何度も思わせたプレーが、ミスなくできる
ようになったことは大きな進歩。

そして20分、日大の勝利を決定づけるビッグプレーが出た。しかもきっかけ
は中央大のこの日最大のチャンスから。中央大が自陣から粘り強くボールを繋
いで日大陣の22m内へ。ゴール正面付近のラックから左オープンが完全にオ
ーバーラップの状態ができ、パスが繋がれば間違いなくトライ!の状況で、何
と日大SO松下がファンブルしかけながらもインターセプトに成功してしまっ
た。松下は相手DFを振り切って約90mを走りゴール中央へ。プラスマイナ
スで14点分を損してしまった形の中央大にとっては、何とも残念、かつ致命
的な失点だった。

23分にも、中央大は日大ボールのパスミスを拾う形で得点のチャンスを掴む
が、ここは日大のWTB藤原が快足を飛ばして阻止。結局、中央大はこの2つ
のビッグチャンスをものに出来ずに、後半は無得点に終わった。日大は29分
にPG、37分にSH山上のトライで着実に加点。前半は接戦の様相を見せた
ものの、終わってみれば日大の圧勝だった。

[試合後の感想]

過去の対戦ではたびたび接戦を演じてきた両校だったが、徐々に力の差は拡が
ってきているように感じられた。中央大の前半のディフェンスとモール攻撃は
見応えがあったものの、とにかくボールを持って攻める局面が少なすぎた。日
大のFWからBKへのボールの繋ぎがスムースに行っていれば、もっと点差は
拡がっていたと思われる。試合を通して殆どチームとしての集中力が切れない
日大の得点力はまだまだ上がると思われる。

ただ、数年前の時点ではむしろ日大の方がチーム状態が悪かったように思われ
る。2002年度の両校の対戦(49-14で中央が勝利)が象徴的だったが、当時の
日大は組織が壊滅状態だった。攻守とも2次の段階でBKラインが消滅したり、
プレー中でも歩いているBKの選手がいたりといったような状態。そこから僅
か3年で日大は再び強豪チームへと生まれ変わろうとしている。それも学生主
体で。素材面ではむしろ中央大の方が恵まれているようにも見える。気持ちの
持ち方と練習方法の工夫次第で強いチームになれるはずである。
                         (2005年10月17日記)

Top       

本ウェブサイトの記述内容の無断転載を禁じます。
ご意見、ご感想はこちらへ   worldjazz@ff.em-net.ne.jp