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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

日本大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/10/22) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 日本大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 0  0  1  0  3 |   8  9
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 3  2  0  0 19 |  19  8


◎出場メンバー

 日大 : 1.有馬 2.小野 3.高橋 4.福田 5.馬渕 6.松島 7.大山 8.マフィレオ
      9.倉澤 (10).松下 11.タフィア 12.三友 13.金川 14.藤原 15.吉田
     (16.和田 17.中村圭 18.古賀 19.蓬莱 20.山上 21.中村誠 22.薬師寺)

    ○交替   なし


 立正 : 1.古屋 2.小林研 3.豊福 4.ミロ 5.和田 6.ビリアミ 7.佐藤 8.菅原
      9.安部 10.小玉 11.大沼 12.伊藤直 13.小林孝 14.小松 15.矢端
     (16.松田 17.伊藤大 18.太田 19.日高 20.松坂 21.イシレリ 22.窪田)

    ○交替 13→22(後29分交代)


 レフリー :山田智也(  協会公認)


◎得点経過

 日本大学    0                                          5       5
                                               x          T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 立正大学    0                                                  0


 日本大学    5                    8                             8
                              P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                          G                     T   G
 立正大学    0                7                     12  19     19


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 日大:前半41分 藤原 (T)
    後半19分 松下 (PG)

 立正:後半15分 大沼 (T)、小玉 (G)
      37分 窪田 (T)
      41分 ミロ (T)、小玉 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

日大はここまで3連勝。各チーム3試合消化した段階で唯一の全勝チームであ
る。とくに法政、関東学院がそれぞれ流通経済大、法政大(いずれも日大が接
戦の末下したチーム)に相次いで破れたことあり、このまま勝ち続ければもち
ろん悲願の優勝。もちろん、そうすんなりとはいかないのが「戦国リーグ」の
怖さであり、日大はそのことをよく分かっている。ここまで安定した闘い振り
を示してきているとはいえ、修正すべき点もある成長過程のチーム。本日の闘
いでは後半戦に向けて、しっかりと攻撃のコンビネーションを仕上げておきた
いところである。

逆に立正大は3連敗。やはり、昇格1年目で上位校の厚い壁を破れないでいる。
少なくともスコアからはそう見える。が、実はここまでかなりの健闘を見せて
いる。少なくとも、1部で1勝を挙げることなく降格していった先輩達(山梨
学院と拓殖大)のように、パワーで圧倒されてしまったという印象は受けてい
ない。あとは経験を積むだけだが、まだまだ時間が必要のはず、というのが先
週観戦した大東大戦での感想だった。この試合の私的着目点は、FWがどの程
度戦えるか?だった。

[前半の戦い]

立正大のキックオフで試合開始。序盤から日大が圧倒的な攻撃力で攻勢に出る。
FW戦への過度の拘りは捨てて、どんどんオープンに展開し決定力のあるWT
Bで勝負!が今シーズンの日大。新戦力のNo.8マフィレオを軸に、FWのタテ
を交えた連続攻撃で立正大に襲いかかる。しかしながら、立正大も負けていな
い。自陣を背にする苦しい展開ながらも、粘り強いディフェンスで日大を止め
続ける。FWの二人のトンガ人選手達のパワーを軸に、まとまりの良いFWが
モールでは日大を押し返し、ラックではターンオーバーを狙って前掛かりでS
Hに襲いかかる。

ゲームは殆どの時間帯が立正大陣での日大のアタックなのだが、とにかく点が
入らない。ここでボールが繋がればというところで日大にノックオンなどのミ
スが出て立正大ボールとなり、立正大はタッチに逃げる。そこからラインアウ
トによるリスタートとなるのだが、再びディフェンスに跳ね返されてやり直し
になってしまう、という殆どパターン化された展開が続く。12分には、ライ
ンアウトからのオープン攻撃で右WTB藤原にパスが通れば、というところま
できたが惜しくもパスミスでボールはタッチへ。13分にはスクラム(立正大
ボールラインアウトがノットストレート)からSO松下を経て藤原へ、のパス
もノックオン。といった具合。

普通、自陣でを釘付けにされるという展開は、防御側にとってひたすら耐える
しかない苦しい展開のはずである。しかしながら、圧倒的にディフェンスの時
間帯が長いにも拘わらず、立正大選手には悲壮感のような表情が不思議なくら
い見られない。逆に日大FWがどんどん術中に填っていく。ラック、モールで
執拗に立正大に絡まれて有効な球出しができないばかりか、20分にはゴール
前でモールアンプレアブル(モールを押しながらも、ボールをコントロールで
きなくってしまう)という珍しい状態で相手に攻撃権を渡してしまう。

だが、その直後に、日大は最大のチャンスを掴む。5mスクラムからインゴー
ルで相手キックのチャージに成功。ここでボールをタッチダウンできればトラ
イだったが、立正大選手が一瞬早くボールに手が届いてキャリーバック。相手
キックに対しては強力なプレッシャーをかける今シーズンの日大らしいプレー
だったが、一歩届かなかった。22分にマイボールスクラムからオープンに展
開してSO松下がうまく抜け出すもののノックオン。27分にはCTB金川が
立正大ゴールラインを目指すものの、押し戻されてしまう。

圧倒的に攻めながらも得点が奪えない日大は、30分にPGで先制点を狙う。
左中間30mの位置からのゴールキックで、松下にとってはさほど難しくない
距離だったがポスト右へ外してしまう。34分にはラインアウトのオープン攻
撃から右に大きく展開してライン参加したFB吉田からWTB藤原へラストパ
スのはずがノックオン。35分に得た立正大22m内でのスクラムのチャンス
も8→9の連携がうまく行かずにノックオン。スクラムの場面での立正大FW
のプレッシャーは想像以上に厳しかったのかもしれない。

37分、ここまで耐えに耐える展開だった立正大にビッグチャンスが訪れる。
自陣ゴール前でのターンオーバーに成功し、ショートサイドを使ってBKに展
開。WTBにパスが渡り一気にゴールまで行ってしまうかと思われたところで
日大左WTBのタウファが強烈なタックルを決める。正に起死回生のタックル
で、日大はボールの奪取に成功しNo.8マフィレオがゴールを目指すが、またし
てもノックオン。39分にも藤原がゴールを目指すがあと少しのところでター
ンオーバー...。

このまま両チーム無得点で前半を終わるかと思われたが、41分に日大はよう
やく得点を挙げる。藤原がゴール前でタックラー達を引きずりながらという、
藤原らしくないトライだが、何とか日大は前半をリードして終えることができ
た。常識的には、ゲームを支配しているのは攻撃している方のはずなのだが、
何故か、ゲームを支配していたのは殆どの時間をディフェンスに費やしていた
立正大のように見えた。こんなラグビーは見たことがない。

[後半の戦い]

前半の闘いを冷静に振り返ってみれば、日大FWが少々熱くなりすぎていたよ
うに思われる。モールで前進しているときに、SHの倉澤がBKにボールを出
したいと思っても、FWがどんどん前に行ってしまう場面が少なからずあった
ように思われる。これで逆に日大は攻撃のリズムを失ったことが(立正大のプ
レッシャーもあったが)BKのミス多発の一因となったのではないだろうか。
モールで球出しをコントロールしていたのは逆に立正大ということになる。強
力なWTBを擁する日大ではあっても、相手DFが完全に揃った状態をぶち破
るのは難しい。立正大が日大FWの上述した性質を見抜き術中に填めていった
としたら、素晴らしい戦術ということになる。とても1部に昇格したばかりの
チームとは思えない。ちょっと穿った見方かも知れないが...。

上記の点についてベンチから指示があったのかも知れないが、日大は後半、F
Wの戦い方を少し変えてきたように見えた。モールに交えて、少しボールをヨ
コに細かく動かしながら前進を図るというもの。有効なオプションのように思
われた。後半開始早々にマフィレオが立正大ゴールに迫るものの、惜しくもノ
ットリリース。しかしながら、深層ではゲームの流れはアタックの面でも確実
に立正大の方に移っていた。日大の主戦場は立正陣からじわじわと自陣の方へ
と押し戻されていく。今度は日大が耐える展開となっていった。立正大FWの
モールは強力なだけに苦しい状況。

そして10分。立正大にトライのチャンス。日大陣ラインアウトを起点とした
攻撃からオーバーラップの状態を作り出し、パスが繋がればトライの状況だっ
た。その直後の11分に日大はFL大山のインターセプトからチャンスを掴み
藤原にパスが通れば...という状況だったが、これも繋がらない。逆に、こ
こまで無得点だった立正大が15分、ついに先制し逆転に成功する。日大陣で
のスクラムからの絶妙なキックをWTB大沼がインゴールで押さえてトライ。
立正大応援席はここで爆発した。

日大は一転して反撃する立場に。16分のインゴールへの絶妙のキックは立正
大がからくもキャリーバック。再び日大が立正大陣22m付近でチャンスを掴
むものの、ここでも攻めきれない。19分に松下がPGを決めて日大が逆転に
成功するものの、1点リードは残り時間を考えればまったく安心できない点差。
立正大に傾いたゲームの流れを引き戻すことがなかなかできない。両チームの
激しい攻防が続く。

その攻防に決着を付けたのは終盤に迫った37分、立正大のビッグプレーだっ
た。日大が立正大22m内で得たFKのチャンスから攻勢に出たところでノッ
クオン。立正大はそこをすかさず拾って繋ぎ、途中から出場した窪田が約80
mを走りきりトライ。ゴールキックは失敗したためセーフティではない4点差
ではあったが立正大は再逆転に成功した。立正大は押せ押せムードで、41分
にも(PGは狙わずに)日大ゴール前でのラインアウトを起点としたモールを
力強く押し込みミロがダメ押しのトライ。1部に昇格したばかりとは思えない
堂々たる初勝利に華を添えた「FWの立正大」に相応しい幕切れだった。

[試合後の感想]

1にも2にもディフェンス、立正大の勝利はこれに尽きると思う。日大にとっ
てはこのタイミングで立正大にあたってしまったことが不運にも思えてしまう。
立正大は先週の大東大戦とは別のチームのようにも見えた。しかしながら、過
去3戦があってこの4戦目がある。恐るべき成長の陰には地道な努力がある。
1997年の流通経済大の初勝利はもちろん忘れ得ぬ想いでとなっているが、
同じ熊谷で観たこの日の立正大の初勝利もずっと記憶に残るものとなりそうで
ある。間違いなく、シーズン半ばでちょっと早いかも知れないが、今シーズン
の私的ベストゲームのひとつになることは間違いない。(2005年10月22日記)

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