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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

東海大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/11/03) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 2  2  2  0 20 |
       :後半: 6  4  0  0 38 |  58 12
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  17  8


◎出場メンバー

 東海 : 1.江黒 2.田中康 3.奥田 4.井上 5.豊田 6.樫本 7.田中俊 (8).太田
      9.辻埜 10.真崎 11.陳 12.吉田 13.鈴江 14.大平 15.森
     (16.小野寺 17.岩本 18.木下 19.宮本 20.北村 21.森脇 22.河村)

    ○交替  3→17(後18分入替), 10→21(後19分入替),  2→16(後22分入替)
         9→20(後24分入替),  6→19(後24分入替),  4→18(後28分入替)
        12→22(後34分入替)
    ●シンビン 11(後半38分)


 中央 : 1.麻生 (2).諸隈 3.藤田 4.石丸 5.眞壁 6.佐藤俊 7.大西 8.松本
      9.片渕 10.植村 11.長友 12.中村 13.有田 14.池田 15.越村
     (16.菊田 17.井上 18.武田 19.青木 20.古賀 21.佐藤甚 22.田中)

    ○交替  2→18(前33分交代), 10→21(後 2分入替),  4→17(後 6分入替)
         7→19(後 8分入替), 12→22(後15分入替)


 レフリー :八嶋亮太(  協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0     3  10 13    20                              20
                     P   G P     G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                 Dx                              T   x
 中央大学    0                                       5          5


 東海大学   20   27           34  39  46   53   58             58
             G   x        G   T   G    G    T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                      G                            T
 中央大学    5            12                           17      17


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半 4分 吉田 (PG)
       8分 大平 (T)、吉田 (G)
      10分 吉田 (PG)
      16分 陳  (T)、吉田 (G)
    後半 2分 大平 (T)、吉田 (G)
      15分 豊田 (T)、吉田 (G)
      19分 森  (T)
      23分 豊田 (T)、吉田 (G)
      28分 宮本 (T)、吉田 (G)
      33分 太田 (T)

 中央:前半38分 有田 (T)
    後半11分 佐藤甚(T)、佐藤甚(G)
      40分 長友 (T)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

この試合、中央大は絶対に負けられない。入替戦回避はともかくとしても、こ
の試合を含めて3連勝しないと大学選手権は絶望となる。相手は関東学院を破
り、法政に惜敗した東海大ではあっても、勝てない相手ではない(はず)。敗
れはしたが、先だっての大東大戦では、アタックの局面でいくつもいい形が生
まれていた。CTBには有田、WTBには長友といったリーグ戦Gを代表する
ようなエース達がいて、期待の新人LO眞壁も頑張っている。そして、シーズ
ン半ばにしてようやくレギュラーに定着しつつあるSO佐藤甚がどんなライン
コントロールを見せてくれるか。キックを使うよりも前に出るタイプのSOの
方が中央大にフィットする、というのが大東大戦を観ての感想だった。

およそ30分前に熊谷に到着。駐車場から競技場に向かう途中、練習用のサブ
グラウンドからアップをする選手達の元気の良い声が耳に飛びこんできた。こ
ちらも終盤戦3連勝を目指す東海大の選手達。前半戦の激戦を闘い終え、相手
が4連敗中の中央大ということでモチベーションの下降も心配されたが、どう
やら取り越し苦労のようだ。中央大より手前の場所で練習していることもある
が、どうしても元気いっぱいのように見えてしまう。。

観客席に座ってメンバー表を眺める。中央大のSOは植村で(期待の)佐藤甚
はリザーブだった。が、「何としても勝つ!」という意気込みは変わらないは
ずである。その中央大は白のセカンドジャージでピッチに登場。この色のジャ
ージを着た場合は「別のチーム」に変貌を遂げる場合も多々あるのだが...。

[前半の戦い]

中央大のキックオフで試合開始。東海大が自陣でボールをタッチに出し、開始
早々にして、中央大は東海大陣10/22の位置でラインアウトのチャンス。だが、
マイボールをあっさり東海大にスチールされてしまいタッチキックでHWLま
で押し戻される。中央大はこのやり直しのラインアウトでもノックオンで東海
大にボールを渡し、スクラムからのタッチキックで東海大は一気に中央大陣の
22m内へ。ここで、中央大はまたしてもラインアウトからのボールをスティ
ールされる。東海大が素早くオープンに展開して中央大ゴールに迫ったところ
で中央大はオフサイド(ハンド)。東海大のCTB吉田が正面22mの位置か
らのPGを難なく決め、東海大があっさり先制した。時計は4分だった。

必勝を期して気合い十分でこの試合に臨んだ(はず)の中央大にしては何とも
締まらない立ち上がり。東海大が十分研究していたとしても、3つ連続のプレ
ゼントはいただけない。が、中央大は気を取り直して反撃。キックオフから東
海大がノックオンしたボールを拾いオープン展開による連続攻撃を試みる。だ
が、良い流れができかけたところで、中央大はG正面の位置からドロップゴー
ルを狙う。東海大がこのキックのチャージに成功し、自陣22m付近から一気
に逆襲。素早いオープン展開から左WTB大平が中央大ゴールめがけてキック
し、そのまま自分でボールを拾ってインゴールに飛びこんだ。ゴールキックも
成功し、開始6分にしてあっという間に10対0。中央大にとって、DGで3
点も選択肢のひとつかもしれないが、積極的にアタックして欲しかったところ。

東海大は、チャンスを活かせない中央大を尻目に、10分にもPGを決めて着
々と加点。最初からハイテンションで飛ばしていた前節の法政戦と比べて、本
日の東海大のゲーム運びには落ち着きが見られる。SO真崎を中心とした高速
展開によるオープンラグビーがすっかりチーム戦術として馴染んでいる。が、
中央大にもチャンスは平等(以上)にやってくる。12分には東海大が自陣で
犯したペナルティから東海大陣22mライン付近でのラインアウト。オープン
展開で東海大ゴールに迫るものの、東海大は左WTB陳の素晴らしいディフェ
ンスを起点としてターンオーバー。中央大はペナルティを犯してしまい、この
チャンスも潰す。中央大は相変わらず攻めがちぐはぐ。15人の気持ちがなか
なかひとつにまとまらない。組織的かつ流れるような継続ラグビーであっとい
う間にゲインしてしまう東海大とはまったく対照的である。

そして16分、またしても東海大に自陣でのターンオーバー(切り返し)を起
点とした得点が生まれる。連続攻撃でボールが大きく動き、最後はエースのW
TB陳が力強い走りを見せてトライを決めた。この得点の起点となったのは中
央大のミスだが、ボールがこぼれたところを這い蹲るように身を挺して前進し、
ボールの奪取に成功した東海大の執念から生まれたトライ。東海大は多少スピ
ードをセーブしていてもしっかり継続してゴールラインを越えてしまう。余裕
すら感じさせる闘い振りである。

といったように攻められながらも東海大が優位に試合を進める中で、ようやく
中央大選手達の闘魂回路にスイッチが入る。24分に自陣ゴール前まで攻め込
まれた状態でラックでのターンオーバーに成功した辺りから、徐々に中央大F
Wが前に出る形が出始める。28分には東海大陣で得たPKのチャンスから速
攻で前に出て東海大ゴールを脅かすものの、22m付近で残念ながらノットリ
リースの反則。だが、中央大はFWのタテ攻撃に活路を見出した格好で攻め続
け、東海大の自陣での反則も増えていく。いかにも中央らしい(というと叱ら
れそうだが)泥臭い形のボールの繋ぎではあっても、確実に前に出られる有効
な攻めであることの変わりない。37分、そのFWによるタテ攻撃を起点とし
て中央大に待望の得点が生まれた。オープンサイドでボールを受けた有田がタ
ックラーを引きずりながらインゴールに飛びこんだ気迫のトライ。

東海大の得点板が16分から20点で止まったままの中で、中央大の攻めはさ
らに続く。43分に左中間20mの位置でPKのチャンスを得る。PGは惜し
くも外れ、20−5で東海大リードのまま前半が終了。もちろん、結果論だが
中央大はエースのトライもあって押せ押せの状態だったので、思い切ってアタ
ックを仕掛けてもよかったように思われる。

[後半の戦い]

後半こそは気合いを入れて先に点を取りたい中央大。だったが、先制したのは
東海大の方。東海大キックオフのボールを自らタッチに出してしまい、自陣10
/22mの位置での東海大ボールラインアウト。ここから東海大は鮮やかな連続
攻撃を見せて右WTB大平がトライ。ここで、中央大はSO植村に代えて佐藤
甚を投入した。満を持していたのかもしれないが、最初から佐藤甚を起用しな
かったのには??マークが付く。

6分に東海大はPGで追加点を狙うが失敗。その直後の10分に中央大は途中
出場の佐藤甚の積極的なアタックから得点を奪う。FWのタテ攻撃を交えてテ
ンポよく攻め、最後はSO佐藤甚が自らインゴールに飛びこんだ。やはり、佐
藤甚が入るとボールがよく動く。中央大はFWのフォローが遅れ気味でサポー
トが薄くなりつつある状況だったが、SH片渕の俊敏な動きもあって、いいテ
ンポが生まれていた。こうなれば中央大ペースのはず、である。東海大も慌て
てパスミスを犯してしまう高速ラグビーの陥りやすい弱点を見せ始めていた。

が、中央大の反撃ムードもここまでだった。15分、中央大が自陣からタッチ
を狙ったキックがノータッチとなったところで東海大が果敢にカウンターアタ
ック。最後はLOの豊田が檄走を見せてインゴールに飛びこんだ。東海大のリ
ードは22点に拡がる。東海大はさらに畳みかける。19分には中央大陣での
ラインアウトを起点としたオープン攻撃からCTB吉田が大きくゲインし、F
B森にラストパス。さらに23分、今度は中央大ゴール前のラックから再び豊
田がインゴールに飛びこんだ。結果的には、豊田の気迫のこもったプレーがチ
ームをピンチから救うこととなった。これで東海大のリードは34点にまで拡
がり、勝負ありとなった。

東海大の勢いは止まらない。28分には中央大陣での相手ボールスクラムでタ
ーンオーバーに成功し、途中出場のFL宮本が、33分には中央大ゴール前で
のラインアウトからモールを形成してそのまま押し込みNo.8太田が、それぞれ
トライを奪う。序盤はオープン展開を中心に攻めた東海大だが、終盤はFWが
どんどん前に出て得点を奪うなど、得点パターンのバリエーションは確実に増
えている。

中央大も最後の反撃を試み、40分にこの日、有田とともに果敢なアタックを
見せていたWTBの長友がインゴールに飛びこむが、その後が続かずノーサイ
ド。必勝を期して試合に臨んだはずの中央大だったが、ゲーム全般を通して闘
志満々だったのはむしろ東海大の方。これではさすがに勝てない。

[試合後の感想]

闘いのピークを越え、精神的な緩みも心配された東海大だったが、まったくの
杞憂だった。若干危ない場面はあったものの、安定した闘い振りであったよう
に思われる。1部リーグ復帰からちょっと時間はかかったような気もするが、
強豪チームへ成長を遂げたと言って差し支えない。先日の法政大戦よりも、こ
の試合により東海大の「強さ」「逞しさ」といったものが感じられた。ひとつ
の負けも許されない流通経済大がここにきて調子を挙げており、最終戦は死闘
がくりひろげられることになると思われるが、東海大はこのまま意識を高く持
ち続け、(日本一を目指して)頑張って欲しいと思う。

5連敗の中央大はこのまま「爆発」することなく終わってしまうのだろうか。
随所で良い形のアタックが見られ、有田や長友が闘志溢れるランニングを見せ
るのだが、彼らの気迫がチーム全体で共有されることは本日もなかった。中央
大は東海大や流通経済大と比べて組織面でも個々のスキルでも着実に水を開け
られつつあり、闘志だけでは勝てない状況にもなってきている。が、少なくと
も本日のチームからは「勝利への執念」も見えてこなかった。残り2試合、何
とか中央らしさを見せて欲しい。           (2005年11月3日記)

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