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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

流通経済大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/11/03) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 流通経済大学:前半: 2  1  3  0 21 |
       :後半: 3  2  1  0 22 |  43  8
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 2  0  0  0 10 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  22  9


◎出場メンバー

 流経 : 1.金城 2.湯原 3.松波 4.西川 5.笠原 6.古崎 7.藤田 8. 鈴木
      9.森 10.アンダーソン 11.松本 12.浅利 13.池田 14.勝俣 15.森谷
     (16.夏目 17.吉田 18.ニコラス 19.相 20.飯笹 21.仲程 22.岡本)

    ○交替  5→18(後12分入替),  6→17(後12分入替),  8→19(後23分入替)


 立正 : 1.古屋 2.小林研 3.豊福 4.ミロ 5.和田 6.ビリアミ 7.佐藤 8.菅原
      9.安部 10.小玉 11.大沼 12.伊藤直 13.小林孝 14.小松 15.矢端
     (16.二田 17.伊藤大 18.太田 19.日高 20.松坂 21.イシレリ 22.窪田)

    ○交替  8→19(後23分入替),  1→16(後28分入替), 13→22(後29分入替)


 レフリー :河野文高(  協会公認)


◎得点経過

 流通経済大学  0         3 8      11     14   21                 21
                         P T      P      P    G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                         T           T
 立正大学    0               5           10                    10


 流通経済大学 21               24             31  38    43       43
                         P              G   G     T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
            T         G
 立正大学   10  15        22                                   22


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 流経:前半 8分 森  (PG)
      10分 湯原 (T)
      17分 森  (PG)
      24分 森  (PG)
      29分 森谷 (T)、森 (G)
    後半14分 森  (PG)
      29分 アンダーソン(T)、森(G)
      33分 ニコラス(T)、森 (G)
      39分 湯原 (T)

 立正:前半14分 小松 (T)
      26分 ビリアミ(T)
    後半 1分 ビリアミ(T)
      11分 ビリアミ(T)、小玉 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

必勝を期して臨んだ関東学院戦で大敗を喫してしまった流通経済大(以下、流
大)。だが、TVKの画面を見る限りは、むしろチーム状態は上がってきてい
るように見えた。関東学院も連敗は避けたいと必勝態勢で試合に臨んできたた
め、BKの決定力の差が出てしまった形だがFWは十分に戦えていた。8人の
まとまりという面で流大ではおそらく史上最高レベルのFW。そろそろ司令塔
アンダーソンの(計算されつつも)奔放なアタックを見たいところである。

一方の立正大は日大を破ったことで勢いに乗っている。とくに日大が得意とす
るFW戦で堂々と渡り合い勝利を収めたことは大きい。ここで流大も破ってし
まえば一気に大学選手権も見えてくる。流大は初昇格のシーズンに大学選手権
出場を果たした先輩であり、相手にとって不足はない。立正大は地元熊谷のフ
ァンの熱い声援を味方に付けて勝利を掴みたいところ。もちろん、流大も「先
輩」として簡単に負けるわけにはいかない。

[前半の戦い]

流大のキックオフで試合開始。序盤から流大が得意のドライビングモールでペ
ースを掴む。開始早々に立正大陣22mの位置でラインアウトのチャンスから
モールを形成してドライブしながら押し込む。そしてゴールまであと10mの
位置まで迫るが惜しくもノックオン。日大戦ではモールをコントロールできた
立正大だったが、流大のモールは勝手が違う。ラインアウトから無駄のない動
きでスムースに前進をはかれるモールが組めるのは流大の強み。

6分には自陣HWL手前でのスクラムから流大右WTB勝俣がショートサイド
を突破して一気に22m内まで前進。流大は完全に左にオーバーラップができ
た状態でオープンに展開するがパスが早く回りすぎてゲインする前に止められ
てしまう。流大ファンからは「もったいない!」の声も上がっていた。が、こ
のランニングで勝俣は自信を掴んだように見えた。勝俣はその後もたびたび突
破を見せた。

チャンスを逸したかに見えた流大だったが、続くラインアウトでターンオーバ
ーに成功し立正大ゴールに迫る。立正大はここでオフサイドの反則。正面20
mの位置からのPGをSH森が確実に決めて流大が先制。4年生の森は関東学
院戦で初めてプレースキッカーを務めたとのことだが、今までキッカーを務め
て居なかったのが不思議なくらい安定したキックを見せる。

続く10分、今度はドライビングモールを足がかりに流大が追加点。ラインア
ウトの位置は22mラインよりHWL寄りだったが、FWの塊がどんどん立正
大ゴールに迫り、HOの湯原がトライ。立正大にとって、「今日は(日大戦と
は)様子が違う」といった感じで、流大のモールは手が付けられない。流大の
リードは8点に拡がる。だが、立正大も負けていない。直後の14分に流大ゴ
ール前スクラムを起点としたオープン攻撃でワイドに展開し、左WTB小松が
ゴールラインを越えて、再び点差を3点に縮める。

しかし、本日の場合、試合巧者は流大の方。17分、24分のPKのチャンス
で森が確実にGKを決め、小刻みながらじわじわとリードを拡げる。今日の流
大はモールなどのFWのセットプレーが安定していることもあり、SOアンダ
ーソンのアタックが冴える。また、森谷を起点としたカウンターアタックも機
能し、24分のPGによる得点は、森谷からパスを受けた勝俣が大きくゲイン
(立正大のハイタックルでペナルティ)したことにより得られたものだった。

だが、立正大もしぶとい。その直後の26分、立正大の核弾頭であるFLのビ
リアミが流経大陣でのラックからこぼれ球を拾い30m以上を走りきってトラ
イ。ゴールキックは失敗したが10−14とビハインドを4点に縮める。一気
に盛り上がりを見せる立正大応援席。だったが、流大も意地を見せる。立正大
陣10/22mの位置でのラインアウトからドライビングモールで一気に22m内
へ。そしてオープンに展開し、ライン参加したFB森谷が強さを活かしてイン
ゴールに飛びこんだ。流大ファン待望の理想的な形のトライがついに生まれた。
ゴールキックも成功し21−10の11点リード。前半はこのまま流大が優勢
の形で終了した。

流大は5戦目にしてようやくBKで取る形を掴んだようである。得意とするド
ライビングで前進を図りFWのサイドアタックを交えてオープンに展開。SO
アンダーソンが、自陣からは絶妙のキックで敵陣までボールを運び、敵陣では
ブラインドサイドWTBやFBのライン参加を交えたオープン展開でゴールを
目指す。ここにアンダーソン自身のアタックも加わるといった、バリエーショ
ン豊かな攻撃パターンが開花し始めた。

[後半の戦い]

流大優位とは言ってもリードは11点。開始早々に立正大が鮮やかな攻撃でト
ライを奪う。流大陣ラインアウトを起点としたオープン展開でボールが大きく
右サイドに動きラック。左オープンにオーバーラップが出来た状態で左WTB
のポジションに立っていたFLビリアミにボールが渡り、ビリアミは力強いラ
ンニングで一気にゴールラインを越えた。ここもGKが失敗してしまうが立正
大のビハインドは1トライ1ゴールで逆転可能の6点に縮まる。

勢いに乗る立正大はさらに畳みかける。11分には流大ゴール前のラインアウ
トから流大のお株を奪うようなドライビングモール攻撃でビリアミがこの日3
トライ目。今度はGKも成功し、立正大は1点差ながら遂に逆転に成功する。
立正大応援席の盛り上がりは最高潮に達した。流大はミスが続く苦しい展開。
だが、流大は落ち着いていた。直後の14分にSH森がこの日4つ目のPGを
成功させ24−22と再逆転に成功。以後、約15分間は両チームによる激し
い肉弾戦(FWによるボール獲得合戦)となり、得点板がまったく動かない緊
迫した展開となる。

が、そんな膠着状態を打ち破ったのは流大のSOアンダーソンだった。立正大
ゴール前でのスクラムのチャンスから、それこそ相手ディフェンダーを縫うよ
うにかわしながらゴールラインまで達した。GKも成功し流大のリードは9点
に拡がる。さらに33分、今度は同じNZからの留学生ニコラス(途中出場)
がスクラムのサイドアタックからインゴールへ。このトライも起点はアンダー
ソンの絶妙な陣取りキックだった。もちろん、今シーズンの流大は留学生頼み
のチームではない。FWを中心としたメンバー全員の頑張りがこの2人のトラ
イとなって結実した。さらに39分のダメ押し点はドライビングモールから。
FWの要としてチームを引っ張ってきた湯原主将が決めた。

流大のリードが21点にまで拡がった状況で着々とタイムアップは近づいてい
く。立正大も最後まで諦めずに果敢にアタックを試みるものの、流大は自陣ゴ
ールを背にしながらぶ厚い「白い壁」となって立ちはだかる。結局、流大が先
輩の意地を見せる形で勝利を収めた。

[試合後の感想]

流大の勝因は1にも2にもFW8人の献身的な働きに尽きると思う。とくにド
ライビングモールは芸術品の領域に達している。力強くモールを押すチームは
たくさんあるが、8人が絶妙のハーモニーを奏でながら美しくモールを押すこ
とができるチームはトップリーグを含めてもなかなかないのではないだろうか。
過去、個々のパワーは強くてもなかなか1つにまとまれなかったFWがついに
一枚岩になった。流大は控え選手達の応援も素晴らしかった。かつて、所属チ
ームのプレーを客観的に解説して見せたクールな評論家達の姿はない。

残念ながら最後には先輩の意地を見せつけられる形になってしまった立正大だ
が、一度は逆転に成功するなど素晴らしい健闘を見せてくれた。FW一辺倒で
はなくBKの大きく展開して取ったトライに大きな成長の跡が見られる。また、
流大FWにモールで押し込まれる形のなってしまったにも拘わらず犯した反則
が9個に止まったのも立派。それにしても...モールで勝ったのが日大戦な
ら、モールで負けたのもこの流大戦。ラグビーもなかなか奥が深い。
                          (2005年11月3日記)

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