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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

法政大学 vs 日本大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/11/06) 於:三ツ沢陸上競技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 5  4  0  0 33 |
       :後半: 0  0  0  1  3 |  36 16
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 3  3  0  0 21 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  33  4


◎出場メンバー

 法政 : 1.鎌田 2.小笠原太 3.山内 4.篠塚 5.竹中 6.遠藤 7.泉 8.高根
      9.成田 10.森田 11.友井川 (12).野村 13.大村 14.小笠原仁 15.高山
     (16.長沼 17.垣内 18.上野 19.柴崎 20.和田 21.田沼 22.西條)

    ○交替 10→21(前18分入替),  6→19(後18分入替),  7→18(後27分入替)


 日大 : 1.有馬 (2).北島 3.高橋 4.福田 5.馬渕 6.松島 7.大山 8.マフィレオ
      9.倉澤 10.松下 11.タフィア 12.三友 13.金川 14.藤原 15.吉田
     (16.小野 17.和田 18.古賀 19.蓬莱 20.山上 21.井上 22.中村誠)

    ○交替  9→20(前28分入替),  6→19(後40分入替)


 レフリー :小野塚隆(日本協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0  7      14     21   28    33                    33
                  G      G      G    G     T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                         G    G   G
 日本大学    0                               7    14  21       21


 法政大学   33                                          36     36
                                                x   P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                   G                     T
 日本大学   21         28                    33                33


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 1分 友井川(T)、森田 (G)
       8分 高山 (T)、森田 (G)
      15分 高山 (T)、野村 (G)
      20分 小笠原(T)、野村 (G)
      26分 友井川(T)
    後半41分 野村 (PG)

 日大:前半30分 タウファ(T)、松下 (G)
      35分 大山 (T)、松下 (G)
      39分 大山 (T)、松下 (G)
    後半 8分 金川 (T)、松下 (G)
      30分 マフィレオ(T)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

日大は目下リーグ戦で法政に5連敗中。法政が5位に転落した1999年度のシー
ズン以降、一度も勝っていないことになる。しかも、殆どが大量失点負け。法
政の得意とする高速展開ラグビーにまったくついていけず、得意とするFW戦
に持ち込む以前にディフェンスが崩壊、というのが両校の対戦パターンとして
定着しつつある。期待された昨シーズンも、主力選手のシンビンをきっかけに
失点を重ねて負けてしまった。

しかしながら、今シーズンの日大はまったく別のチームを見ているかのように
ディフェンスが改善されている。高速展開ラグビーを持ち味とする東海大のオ
ープン攻撃を必殺タックルで止め続けた試合は、日大ファンに大きな驚きと期
待をもたらした。(もちろん、関東学院や法政を翻弄したSO真崎が欠場して
いたことは割り引かなければならないが)果たして、東海大戦で見せたディフ
ェンスはホンモノだったのだろうか?というのがこの試合の第一の注目点。立
正大戦での敗戦から立ち直れているかも気になるところ。

一方の法政、どうもしっくりいかない。流通経済大に敗れ、東海大には薄氷を
踏む思いで勝利。現時点では法政と日大を含む4チームが3勝1敗で並んでお
り、法政は優勝戦線にしっかり残っているのだが、今後の対戦相手を考えると
ファンには心配の種が尽きない。ここまでの苦戦の原因のひとつがFWにある
ことは間違いなく、本日の対戦相手である日大は強力FWを看板とするチーム。
持ち前の高速ラグビーで日大を振り回すためには、FWがどれだけ頑張れるか
が鍵となる。この点が第二の注目点である。

キックオフ前の時点で雨は降っていないが、雲行きは怪しく今にも泣き出しそ
うな空模様。乱打戦というか、荒れた内容の試合になることもままあるこの2
チームの対戦。果たして、今シーズンは如何に?!

[前半の戦い]

日大のキックオフで試合開始。今年こそは法政のアタックを止めて連敗にスト
ップをかけて欲しいという日大ファンの願いも空しく、あっさりと法政が先制
点を奪った。自陣から積極的に継続を試み(おそらく作戦通り)じわじわと前
進していくうちにぽっかりと日大にディフェンスに穴が開き、左WTB友井川
がゴールラインまで到達。開始僅か1分でのノーホイッスルトライだった。も
ちろん日大ファンは拍子抜けだったが、トライを奪った法政の方もおそらく拍
子抜けしたに違いない呆気ない先取点だった。相手の様子を見る感じで普通に
継続していったら取れてしまった、というように観客席では感じられた。

どうも今日の日大は様子がおかしい。チームの要である北島主将が復帰し、こ
の試合には必勝態勢で臨んでいるはず。気合いが入りすぎて、逆にチーム全体
が硬直してしまったのかも知れない、と思わせるようなちぐはぐな動きが続く。
立正大に敗れたのは2週間前だが、まるで1ヶ月以上も試合から遠ざかってい
たのではないかと思われたくらい。いつもなら、相手のキックに対してFWが
猛チャージをかけるはずなのに、それも見られない。

というようなことを思っていたら、8分に(これもあっさりと)法政が追加点
を奪う。自陣からのハイパントを法政のFB高山が日大陣に入った辺りでナイ
スキャッチし、そのまま日大ゴールまで駆け抜けてしまった。日大選手もタッ
クルには行っているが「手だけ」という感じであっさりと振り払われてしまっ
た。まだまだ続く。15分だった。日大が自陣で法政のハイパントに対する処
理をもたつく間に、またしても高山にボールを拾われ3トライ目を献上。日大
は殆ど何も出来ないままに、どんどん電光板の法政の方の得点が増えていく。

さらに20分、今度は法政のオープン攻撃に対して、またしても日大ディフェ
ンスに穴が開き右WTBの小笠原仁がトライ。そしてもひとつ26分、法政の
自陣22m内スクラムからキックに対して日大がカウンターアタックを仕掛け
ラックとなったところでターンオーバー。法政が素早くオープン攻撃を仕掛け、
今度は左WTBの友井川が日大ゴールを駆け抜けた。開始26分にしてバック
スリーで5トライ。淡々と事実だけを追うならば、法政のランニングラグビー
が爆発!という感じなのだが、観客席で見ている限りは、日大が集中力を欠い
ていたことが原因で生まれた5トライというように感じられた。

このまま行けば、今シーズンも日大は大量失点負け、それもかなり屈辱的な点
差で、ということになりそうである。が、そうなってしまわないところが学生
ラグビーの面白い(怖い)ところ。日大が自分たちの得意とするパターンで1
トライ取れたことで一気に試合の流れが日大ペースに変わってしまうのだから
不思議である。時計の針が前半の終盤にさしかかった30分、日大がHWL付
近のラインアウトからオープンに展開してライン参加していたNo.8マフィレオ
がボールを持ち大きくゲイン。日大はラックからさらにショートサイドを攻め、
左WTBタフィアが力強い走りで法政ゴールを駆け抜けた。ここから、日大F
Wの強力なパワーが法政を大いに苦しめることになる。

35分には法政ゴール前で得たPKのチャンスからFWで攻め、モールを押し
込んでFL大山がトライ。続く39分、これも法政ゴール前でのPKからの速
攻から再び大山がトライ。いずれもSO松下がゴールを決めたため、21−3
3とあっという間に逆転可能圏まで点差が縮まってしまった。今度は日大の大
逆転勝利の方がより現実味を帯びる状態となった。今度は法政がおかしい。呆
気ない大量リードでテンションが落ちてしまったのだろうか?

[後半の戦い]

後半も強力FWを中心とした日大の猛攻は続く。3分には法政ゴール前ライン
アウトからモールを形成して一気に押し込みゴールラインを越えたかに見えた
が惜しくもノックオン。取れるところを確実に取らないと、往々にして勝利の
女神に見放されてしまうことになるのだが...。

と思った直後の8分、日大はHWLよりやや法政陣に入ったところからハイパ
ントで攻める。今度は法政がこのボールの処理を誤る間に日大がボールを拾っ
てオープンに展開し、最後はCTBの金川がゴールに飛びこんだ。松下のGK
も成功し、日大のビハインドは1トライ1ゴールで逆転可能な5点差まで縮ま
る。日大応援席は俄然盛り上がった。続く12分には日大はHWL付近でのラ
インアウトを起点としたオープン攻撃から、SO松下が巧く裏に抜け出し法政
陣22m付近までゲイン。ここで捕まりそうになった松下はフォロワーにパス
を送るが、法政が執念のディフェンスで日大の得点を阻止する。

日大に惜しいチャンスが続く中、いよいよ「メイクドラマ」か?と思われたが、
ここで逆にゲームが落ち着いてしまう。以後、30分まで電光得点盤がまった
く動かない、不思議な均衡状態が訪れる。結果論かも知れないが、日大として
は、こうなる前にあと1トライ取って同点以上にはしておきたかった。

だが、日大の執拗なFWによる攻撃が実を結び、30分についに日大は同点に
追いつく。法政陣ゴール前でのラインアウトを押し込みマフィレオがトライ。
右隅からのゴールキックを松下が決めれば逆転というところだったが、飛距離
は十分だったものの左にキックを外す。とはいえ、勢いから見ても大逆転勝利
が現実味を帯びてきた日大の応援席は大いに活気づく。その勢いをパワーにし
て攻める日大。35分には法政陣22m付近でのラインアウトからモールを形
成してぐいぐいと押し込み法政ゴールラインへ。そして、ついに逆転!と思わ
れたが惜しくもパイルアップ。直後の5mスクラムのチャンスもNo.8マフィレ
オの逆転トライを目指したアタックは法政が気迫のディフェンスで阻止した。

自陣の22mライン内に入ってからの法政のディフェンスは素晴らしい。相手
は取れそうで取れないことで、攻撃のリズムを乱してしまうことになる。引き
分けもちらつき始めたところで、法政が勝利に向けた最後のアタックを試みる。
37分には野村がほぼ正面約42mの位置からのPKを狙うがポスト左に外す。
が、インジュリータイムに入った41分、今度は日大陣22mラインよりやや
外の位置で再びPKのチャンスを得る。ここでPGが決まり前半26分以降無
得点だった法政に起死回生の得点。日大がペナルティを犯した局面も、日大が
自陣から逆転を目指して積極的に継続していたことによるもの。自陣で無理を
せず、ボールを大きく蹴って敵陣で勝負をかける手もあっただけに惜しまれる。

一度は勝利が絶望的となりながらも終盤で追いついた日大。ここまできたら逆
転したかった。また、そのチャンスもあったのだが、最後は法政の勝負強さに
屈してしまった形。2点差で逃げ切った東海大戦といい、さすがに法政はしぶ
とい。点差には表れない強さを見た思いがした。

[試合後の感想]

得点経過を居っていく限りはドラマチックな展開だったが、実際に試合を観た
感想としては???である。まず、最初は眠っていたとしか思えない明らかに
集中力を欠いていた日大。それから、日大FWの猛攻が始まると沈黙してしま
った法政。この試合での両チームの反則数は法政が16に対して日大は僅かに
4つ。如何に日大が簡単に点を取られ、またその後は攻め続けたかを象徴する
ような数字である。

同じくインジュリータイムに勝敗が決まった秩父宮の試合での関東学院と大東
大の出来と比べると、日大と法政は前途多難のように見える。しかしながら、
1週間あれば別にチームに変身できるのが学生チームの強みである。両チーム
とも気持ちを引き締めてあと2つチャレンジして欲しい。(2005年11月7日記)

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