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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

東海大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/11/13) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 4  1  0  1 25 |
       :後半: 3  2  0  0 19 |  44 16
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 5  2  0  0 29 |  34  9


◎出場メンバー

 東海 : 1.江黒 2.田中康 3.奥田 4.井上 5.豊田 6.樫本 7.田中俊 (8).太田
      9.辻埜 10.真崎 11.陳 12.吉田 13.鈴江 14.大平 15.三木
     (16.小野寺 17.岩本 18.山本 19.宮本 20.北村 21.森脇 22.森)

    ○交替  1→16(後26分入替),  6→19(後26分入替),  3→17(後39分入替)


 立正 : 1.二田 2.小林研 3.豊福 4.ミロ 5.和田 6.ビリアミ 7.佐藤 8.菅原
      9.安部 10.山上 11.大沼 (12).伊藤直 13.小玉 14.小松 15.矢端
     (16.古屋 17.伊藤大 18.太田 19.日高 20.松坂 21.イシレリ 22.窪田)

    ○交替  5→18(後18分入替), 10→22(後22分入替)


 レフリー :杉山英明(  協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0          7  12         15         20   25       25
                          G  T          D          T    T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                          x            T
 立正大学    0                             5                    5


 東海大学   25  30                 37                44        44
            T                  G                 G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                T         G           T    G         T
 立正大学    5      10        17          22   29        34    34


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半 9分 田中康(T)、吉田 (G)
      12分 大平 (T)
      23分 真崎 (DG)
      34分 樫本 (T)
      39分 大平 (T)
    後半 1分 田中康(T)
      20分 三木 (T)、吉田 (G)
      38分 吉田 (T)、吉田 (G)

 立正:前半28分 ビリアミ(T)
    後半 5分 ビリアミ(T)
      15分 ビリアミ(T)、矢端 (G)
      27分 ミロ (T)
      32分 大沼 (T)、矢端 (G)
      42分 ビリアミ(T)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

持ち前の高速展開ラグビーで波に乗る東海大。組織的で流れるような展開であ
っという間に敵陣22mラインまで到達してしまうラグビーは観ていて爽快そ
のもの。やはりSO真崎の存在が大きい。展開こそ早いものの、アタックが一
本調子になってしまう傾向があった過去のチームに比べると大きな進歩と言え
る。強いて課題を挙げれば、22m内に入ってから詰めの部分だろうか。ゴー
ルを目前にしながらも決め手を欠き、なかなか得点できなかったことが法政戦
の敗因のひとつとなっていた。22mにまで到達するスピードを維持(あるい
は加速)して一気にゴールラインを越えられるようになれば、東海大はさらに
強いチームになれるはず。

一方の立正大はここまで1勝4敗と数字の上からは苦戦を強いられている。し
かしながら、ここ数試合を観る限りは、上位校にけしてひけを取らない闘いが
できている。とくに後半だけなら(勝負はあらかた前半に決まってしまってい
たとしても)互角以上の闘いぶり。私的初観戦となった法政戦(立正大の2戦
目にあたる)を観たとき、「可能性」は感じられたものの、正直ここまで成長
すると予測はできなかった。これは嬉しい誤算である。波に乗る東海大に対し
て、さらなる成長を見せることが出来るだろうか。

[前半の戦い]

立正大のキックオフで試合開始。序盤は両チームともやや堅さが見られ、有効
なアタックができないまま時計が進む。そんな膠着した展開の中で先にペース
を掴んだのは「高速展開」の東海大の方だった。7分、立正大22m内からの
キックがノータッチになったところでカウンターアタックを仕掛け、一気に立
正大の22m内まで到達。ゴール前のラックからSO真崎→FL田中と繋ぎゴ
ールに迫るものの、田中がタックルを受けノットリリース。東海大は絶好のチ
ャンスを逃したかに見えた。

しかしながら、その直後の9分、東海大は立正大陣(10m/22m)でのラインア
ウトからのラックでターンオーバーに成功し一気に逆襲。オープンに展開して
WTB大平がゴール前まで到達し、ラックからのサイドアタックからHO田中
康がインゴールに飛びこんだ。ターンオーバーからの速攻は関東学院が得意と
するところであり、先だっての法政戦で東海大も痛い目に遭っている。東海大
もこの形を得意とするチームへと成長を遂げつつあるようだ。

そして12分、今度は立正大陣10mライン付近のラインアウトで相手ボール
をスチールし、そのままモールを形成して一気に22mラインまで前進。サイ
ドアタックでさらにゴール前まで到達し、ラックから左オープンに大きく展開
しWTB大平が左中間にトライ。東海大のチーム全体としての集中力(切り替
えの速さ)が素晴らしい。東海大の鮮やかなワン・ツー・パンチだった。

立正大にとっては残念な失点だったが、リスタートのキックオフでチャンスを
掴む。東海大陣22mラインより手前のスクラムで東海大がコラプシングの反
則を犯しPKのチャンス。左中間25mの位置からSO山上がPGを狙うが惜
しくも外す。しかしながら、主戦場が東海大陣に移ったことで立正大がペース
を掴む。17分にはLOミロが強力なランニングで東海大22m付近まで迫る
が惜しくもオフサイドを犯しチャンスを潰す。

その直後の18分。東海大は立正大陣(10m/22m)ラインアウトからオープン
に展開するが惜しくもノックオン。続く相手ボールスクラムではターンオーバ
ーに成功しオープンに展開。WTB大平が立正大ゴールに迫るがノックオン。
東海大は確実に取れそうなところで取れず、波に乗れそうで乗れない。20分
には逆に立正大が自陣ゴール前スクラムからサイドアタックでビリアミ→ミロ
ビリアミと繋ぎ大きくゲイン。最後はスローフォワードに終わったが、昨シー
ズンまで猛威を奮った大東大のフィリピーネとマヘのコンビを思い起こさせる
強力な「2人リサイクル」での突破だった。

流れは完全に立正大へ行きそうな雰囲気でもあった23分、東海大は貴重な追
加点を奪う。立正大陣ラインアウトからのオープン攻撃はパスミスにより失敗
に終わったかに見えたが、SO真崎が絶妙のドロップゴールを決める。素晴ら
しい判断だった。が、立正大も反撃。28分に東海大陣ゴール前でのラインア
ウトのチャンスを掴み、モールで前進。最後はFLビリアミがトライを奪い、
ようやく立正大の得点を示す電光掲示が動いた。

東海大にも意地がある。34分には立正大陣22m内からのラインアウトから
モールを形成して前進し。「今度はお返し」とばかりにFL樫本がトライを奪
う。さらに、東海大は攻撃に手を緩めない。スピードはセーブ気味だが攻撃の
テンポがよく、ボールがよく動く。前半終了間際の39分には、またしても立
正大陣でのラインアウトでターンオーバーに成功しオープンに展開。ラックか
らすばやくボールを出し、No.8太田がWTB大平にパス。大平がそのままイン
ゴールに飛びこみさらに5点を追加。

東海大は相手ゴール前まで攻め込みながらもペナルティでチャンスを潰すとい
うミスが多く、もう少し取れた感じだったが、まずは上々の前半だった。

[後半の戦い]

立正大は実は後半に強みを発揮するチーム。関東学院には45点を献上して零封
されたが、12-24(対法政)、12-12(対大東大)、19-3(対日大)、12-22(対流大)
といった具合。ビハインドが20点なら、まだ逆転可能。だが、開始早々の1
分に東海大に追加点を奪われる。東海大のキックオフに対して立正大がオフサ
イド。東海大は立正大ゴール前のラインアウトからモールを形成して押し込み
HO田中がトライ。立正大は出鼻を挫かれた感じ。ただ、ここで東海大に安心
感が生まれたのか、やらずもがなの反則が目立つようになってきた。

東海大が3分、4分とペナルティを連発したところで、立正大は東海大ゴール
前でのラインアウトからのモールを経由してFLビリアミがゴールに飛びこむ。
ゴールキックは失敗したが再びビハインドを20点に縮めた。一度シュンとな
りかけた立正大応援席が一気に活気づく。前半はオープン攻撃満開の東海大だ
ったが、後半はハイパントを使う形が多くなった。攻撃に詰まってやむを得ず
の形ではなく、明らかに意図的なキックだった。高速展開ラグビーはどうして
も消耗が激しくなるのでペース配分が難しい。優位に試合を進める状況の中で
ややペースダウンというようにも見て取れたが、逆に立正大がボールを持つ形
が増え、カウンターアタックでゲインを稼ぐ場面が増えてきた。

ゲームの流れが立正大に傾き始める。そして16分、東海大ゴール前のライン
アウトのチャンスから立正大はモールで前進しビリアミがこの日3つ目のトラ
イ。おそらくモールの中ではパワーのあるビリアミがボールを持つという約束
になっているのだろう。右隅の難しい位置だったが今度はゴールキックが成功
し立正大のビハインドは13点に縮まる。東海大にとっては黄色ランプが点滅
といった感じの失点。

だが、東海大は勝負強いチームへと成長を遂げている。取られたら取り返すと
言わんばかりに20分に得点を奪う。立正大陣ゴール前ラインアウトからモー
ルで前進しオープンに展開。ブラインドサイドから参加したWTB陳を経由し
て最後はFB三木が立正大ゴールに飛びこんだ。東海大のWTBで得点を取っ
ているのは14番の大平の方なので11番の陳は消えているように見えるが、
実はポジションの関係でそうなるようになっている。オープンサイドは大平で
ブラインドサイドは陳という役割分担のようだ。エキストラマンとしてのライ
ン参加、あるいはカウンターアタックといった形で陳の身体能力の高さが活き
る面白い形ができている。シーズン当初からこの構想があったのかどうかは不
明だが...。

追いつけそうでなかなか追いつけない立正大。だが、時間との勝負となりなが
らも粘りを見せる。直後の浅めに蹴られたキックオフのボールをビリアミがダ
イレクトキャッチに成功し前進してミロにパス。また、ミロが前進したところ
で再びビリアミにボールが渡りさらに前進。残念ながら得点には結びつかなか
ったが、東海大はまたしても4−6コンビの2人リサイクルの猛威を見せつけ
られる。そして27分、今度はミロが東海大ゴール前ラインアウトのモールか
らトライ。さらに32分、自陣からのカウンターアタックで左WTBの大沼が
タッチライン沿いを東海大ディフェンダーをかわしながら50m以上走りきり
インゴールへ。立正大は2連続トライで点差を一気に12点に縮める。立正大
応援席の盛り上がりは最高潮に達した。

しかし東海大は落ち着いていた。リスタートのキックオフからプレッシャーを
かけて立正大陣でゲームを進める。立正大は逆に闘志が空回りといった感じで
反則を連発。試合も終盤にさしかかった38分、東海大は立正大ゴール前ライ
ンアウトからオープンに展開して陳がライン参加し立正大ゴールに迫る。パイ
ルアップから東海大ボールスクラムとなるが、立正大がターンオーバーに成功
し、自陣ゴール前でビリアミがボールを持ちビッグゲインを狙う。ここからが
圧巻だった。東海大はビリアミに2人掛かりで強力なタックルを仕掛けノック
オンを誘う。そして、東海大はこぼれ球を拾ってすかさずオープンに展開しC
TB吉田がインゴールに飛びこんだ。立正大の息の根を止める鮮やかな逆襲か
つ速攻だった。

残り時間もほとんどなくなり、逆転が難しくなった立正大だが、最後まで気迫
のこもった攻撃を見せる。オープンに大きく展開しWTBを走らせるスケール
の大きなラグビーは見応え十分。おそらく堀越監督の理想とする形はこのよう
にワイドに展開するラグビーなのだろう。42分にビリアミがこの日4つ目と
なるトライを挙げ点差を10点まで縮めノーサイドとなった。終わってみれば、
後半は何と29-19。東海大が常にセーフティリードを保つ試合展開となったた
め、東海大に冷や汗をかかせるまでに至らなかったが、立正大の堂々たる闘い
振りは見応え十分だった。

[試合後の感想]

ややペースダウンはあったものの、東海大の安定した試合運びが印象に残る試
合だった。相手のミスにつけ込む形の得点が多かったが、チーム全体としての
集中力と判断力が優れていることの証とも言える。反省材料としては、とくに
後半反則が目立つようになったこと。最終節で対戦する流通経済大は必勝態勢
で試合に臨んでくるため、今一度気持ちを引き締めることが重要と思われる。

残念ながら立正大はこの敗戦で7位以下が確定し、入替戦出場が決定した。大
学選手権でも十分に戦えるチームへと成長を遂げてきているだけに、残り2戦
をしっかり戦い抜き、来シーズン以降のさらなる成長への糧として欲しいと思
う。                       (2005年11月14日記)

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