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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

関東学院大学 vs 日本大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/11/19) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 5  4  0  0 33 |
       :後半: 6  3  0  0 36 |  69 10
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |   7 12


◎出場メンバー

 関東 : 1.林 2.田中 3.笹倉 4.三根 5.北川勇 6.大野 7.阪元 8.土佐
      9.吉田 10.藤井 11.中園 12.重見 13.櫻谷 14.北川智 (15).有賀
     (16.池澤 17.原田 18.西 19.竹山 20.小畑 21.田井中 22.高山)

    ○交替 11→21(後15分入替),  4→18(後26分入替), 13→22(後28分入替)
         9→20(後36分入替)


 日大 : 1.有馬 (2).北島 3.高橋 4.福田 5.馬渕 6.蓬莱 7.大山 8.マフィレオ
      9.山上 10.松下 11.タフィア 12.三友 13.金川 14.藤原 15.中村誠
     (16.和田 17.小野 18.篠田 19.古木 20.倉澤 21.神足 22.吉田)

    ○交替  4→18(前38分交代),  7→19(後 0分入替),  9→20(後15分入替)
        12→21(後32分入替)


 レフリー :谷口弘(関東協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0            7    14             21 26      33    33
                            G    G              G  T       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 日本大学    0                                                  0


 関東学院大学 33  40  45      52      57 64 69                   69
            G   T       G        T G  T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                                    G
 日本大学    0                                          7       7


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半11分 中園 (T)、藤井 (G)
      16分 北川智(T)、藤井 (G)
      31分 吉田 (T)、藤井 (G)
      34分 櫻谷 (T)
      42分 北川智(T)、藤井 (G)
    後半 1分 北川智(T)、藤井 (G)
       5分 中園 (T)
      13分 北川智(T)、藤井 (G)
      22分 田井中(T)
      24分 北川智(T)、藤井 (G)
      27分 北川智(T)

 日大:後半41分 タウファ(T)、倉澤(G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

今シーズンは熊谷での観戦が続いたため久しぶりの秩父宮。観戦はメインスタ
ンドなので、普段は千駄ヶ谷駅から歩いて行くが、本日は信濃町駅から歩いて
みた。この時期は競技場手前の銀杏並木の散策が楽しい。田園牧歌調の熊谷と
はまた違った趣がある。

さて、日大は関東学院に目下16連敗中。一時期(日大FWが圧倒的な力を持
っていた時代)力が拮抗していた時期もあったが、ここ数年は大量失点で前半
で勝負が決まってしまう展開が続いている。とにかく日大はディフェンスを何
とかしなければならない。前節の法政戦では33点差を追い付く健闘を見せた
ものの、このままでは関東学院を前にまたしても大量失点やむなしを思わせる
試合内容だった。

その日大のメンバーに変動があった。FLには蓬莱が復帰し、SHにはここま
でずっと途中出場だった山上が初めて先発として起用された。攻撃の要である
SHをなかなか固定できないのが日大には痛い。また、FBには1年生の中村
誠一が初登場。ここまでFBのキック処理に不安が一杯だった日大にとって、
はたしてカンフル剤となるか?

一方の関東学院は東海大戦で躓いたものの、リーグ戦王者、そして日本一の奪
回へと確実にチーム力は上がってきている。前節の大東大戦では冷や汗をかい
たが、そろそろ自慢のBKが爆発しても良い時期。そのためには、FWがBK
に活きたボールをいかに供給し続けることができるかが鍵となる。法政を苦し
めた日大の強力FWは相手にとって不足はない。

[前半の戦い]

前半は風下に立った日大のキックオフで試合開始。序盤から関東学院がオープ
ン展開で攻める。日大にミスが目立つがこれを何とか凌ぐ展開。1分に日大陣
10m付近のスクラム(日大ボール)で関東学院がオフサイドの反則。ここで
日大のNo.8マフィレオがクイックリスタートを試みるがノックオンを犯し、ス
タンドの笑い(失笑)を誘う。慌てて仕掛ける局面でも場所でもなく、敵陣で
ラインアウトのチャンスを失ってしまう残念なプレー。日大にゲームリーダー
不在を感じさせるプレーでもあった。

さて、日大ファンに期待(と不安)を抱かせたFBの中村だが、相手キックを
落ち着いて処理。今シーズン、思い切って1年生を二人(CTBの三友とLO
の馬渕)起用している日大だが、最初からもう一人加わっていても良かったの
ではと思わせるくらい、中村はその後も安定したプレーを見せていた。

関東学院が優勢の流れの中での8分。その関東学院は日大ゴール前でラインア
ウトという絶好の先制のチャンスを掴む。モールを形成して押し込むものの、
日大FWも強力でなかなか押し込めない。ここでパイルアップとなり日大にボ
ールを渡す。日大スクラムからのタッチキックは22mラインを越えられなか
ったが、何とか日大が先制点を阻止した形となった。

しかしながら、その直後の22mライン付近でのラインアウトからの関東学院
のアタックが圧巻だった。今度は素早くオープンに展開、内側に切れ込んだW
TB中園にラストパスが渡り、関東学院があっさり先制する。ラインアウトの
スローワーからボールが投入された瞬間から中園がゴールラインを越えるまで
に無駄な動きがひとつもない、あまりにも鮮やかな速攻だった。「得点には時
間をかけない」をモットーにしているようなところがある関東学院らしいトラ
イとも言える。

続く16分に関東学院は追加点を奪う。今度は日大ゴール前のラインアウトか
らモールで前進し、ゴール前のラックから連続攻撃。最後はエースの北川智が
インゴールに飛びこんだ。鮮やかな連続攻撃で得点を奪う関東学院のアタック
に日大ファンからはため息が漏れる。関東学院の攻撃は無理と無駄がなく、ま
た一本調子にもならずにスムースに流れていく。音楽で言えば息の長いフレー
ズの連続といった感じで、力強さはあっても流れがしばしば寸断される日大の
アタックとは対照的である。18分に日大はセンタースクラムから8→9で攻
めWTB藤原が突破を試みるがラックでターンオーバーされてしまいチャンス
を逃す。

その後も関東学院が優勢に試合を進め、日大はなかなか敵陣に行けない展開な
がらも何とか凌ぐ展開が続く。しかしながら31分、日大が自陣22m内のス
クラムでオフサイドを犯したところで、関東学院のSH吉田がクイックリスタ
ートであっさりインゴールに飛びこんだ。反則を取られた日大選手達が一瞬気
を抜いた瞬間をついた鮮やかなトライ。どうしても序盤のマフィレオの失敗が
思い起こされてしまう。

33分には日大がカウンターアタックでマフィレオがパワフルなアタックを見
せるがボールを活かせない。34分には日大がスクラムから8→9で攻め、S
O松下がうまく裏に抜けてゲインを稼ぐがラックで関東学院がターンオーバー
に成功。素早くボールを前に運び、最後はCTBの櫻谷がインゴールに飛びこ
んだ。このようなターンオーバーからの速攻も関東学院の得意とする形。単に
相手を止めるだけでなく、ボールを奪った後の動き方までピッチに立つ15人
の間で意識が共有されている、としか思えないような、これも鮮やかなトライ
だった。

日大は敵陣にも殆ど入れない状況で、為す術もなく失点が増えていく。37分
には自陣でのフリーキックから速攻で攻め、松下がチップキックで前進を図る
がノックオンでチャンスを潰す。前半終了間際の42分にはまたしてもWTB
の北川智がトライ。先に33点取られる展開は前節の法政戦とまったく同じだ
が、今回は前回のような自滅ではなく、圧倒的に攻め込まれての失点。反撃の
糸口すら掴めそうもない中で前半が終了した。

[後半の戦い]

とにかく1本返したい日大。だが、前半の良い形で得点を重ねることができた
ことで関東学院の攻撃のピッチは上がる。キックオフから関東学院のFWは日
大FWに対して強力なプレッシャーをかける。FWでもっと激しく行けとの指
示が出たのかも知れない。ここで関東学院はペナルティを取られるが、その直
後の日大陣10mでの日大ボールラインアウトでスティールに成功。そのまま
モールで前進しサイドアタックでラックになったところからオープンに展開。
ライン参加した有賀からWTBの北川にボールが渡って、北川は難なくゴール
ラインを越えた。日大DFも数は足りていたが、北川は圧倒的な加速で一気に
突き抜けてしまった。

さらに6分、関東学院はラインアウトからの連続攻撃で日大ゴールに迫る。そ
してゴール前のラックからSH吉田がコーナーフラッグめがけて絶妙のチップ
キック。そこに左WTB中園が飛びこみタッチラインぎりぎりのところでボー
ルを押さえた。関東学院はゴール前のアタックで時間をかけない。得点能力が
高いBK陣を揃えていることもあるが、ボールを動かし続けることで攻撃の流
れを切らないことを普段の練習から心掛けているのかも知れない。

風上に立っても日大はなかなか敵陣に行けない。自陣奥深くに釘付けにされた
苦しい展開が続く。マイボール自体が少なく、また、貴重なラインアウトのチ
ャンスも相手にボールをスティールされる状況が続くのではやむを得ない。前
半38分に貴重なジャンパーであるLOの福田を負傷退場で欠いたことも痛か
った。13分には日大ゴール前のスクラムから関東学院がオープンに展開し、
またしても北川がトライ。日大のディフェンスが甘い点は差し引いても、セッ
トから一発で取れてしまう攻撃力は魅力的。

22分田井中(中園に代わって後半15分から登場)、24分に北川、そして
27分に北川と関東学院のバックスリーによるトライショーが続く。これで6
9得点目。緒戦の立正大戦以来の大量得点が生まれてしまった。24分のトラ
イは日大のSO松下が試みたオンサイドキック(FWの居ない側にキックオフ)
がSH吉田への絶妙のプレゼントになってしまったことにより生まれたもの。
日大選手の方がむしろ慌ててしまったようなプレーで、意思疎通を欠く日大を
象徴するような残念なプレーだった


関東学院はここまで来たら完封勝利を収めたいところだったが、このままでは
終われない日大も最後の抵抗を試みる。FWのサイドアタックでボールを前に
運び、最後はエースのWTBタウファが決めた。残念ながら、今シーズンもこ
の両チームの対戦は関東学院がトライの山を築く形でノーサイドとなった。

[試合後の感想]

日大のディフェンスがどの程度通用するかに一縷の期待を持って観戦に出かけ
たのだが、残念な結果に終わってしまった。日大のタックルの甘さと関東学院
のBKの能力の高さばかりが目立ち、日大は完全に引き立て役になってしまっ
た感がある。過去数年の日大に比べれば良くなっている面もあるが、攻撃の初
期の段階でタックルに踏み込めず、ほとんどが追いタックルの形になってしま
っているので大量失点もやむなしである。関東学院ファンにとっては最高に面
白いゲームだったかも知れないが...。

日大はやはりそろそろチーム作りの考え方を変える時期に来ているのかも知れ
ない。流通経済大や東海大、そして立正大が目指そうとしている組織的なチー
ム作りを考えていかないと、上位に食い込むことはだんだん難しくなっていく
ように思われる。エースの藤原が活躍できないのも、彼が得点を取る形がしっ
かりとチームとして練り上げられていないことに原因があると思う。もちろん
練習はしていると思うが、それが徹底されていないように見える。

組織的なチーム作りはすぐには効果が出ないし、そのためにかえってチーム力
が低下することも覚悟しなければならない。だが、チームとしての方向性が明
確になることにより、チームとしての一体感が作られていくはずである。最近
の流通経済大や東海大の選手達の活躍を観ていて感じるのは、組織的なチーム
作りは必ずしも没個性にはならないということ。確かに時間はかかっているが、
流通経済大、東海大、そして立正大はこれからどんどん強くなっていくように
思われる。日大もそんなチームになって欲しいと思う。(2005年11月21日記)

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