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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2005

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Weekly Report

法政大学 vs 関東学院大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2005/11/26) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 2  2  0  0 14 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |  14 11
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 関東学院大学:前半: 3  3  0  0 21 |
       :後半: 4  3  1  0 29 |  50 13


◎出場メンバー

 法政 : 1.小松 2.小笠原太 3.鎌田 4.篠塚 5.玄 6.遠藤 7.山本 8.高根
      9.成田 (10).野村 11.友井川 12.大村 13.田沼 14.小笠原仁 15.西條
     (16.長沼 17.坂田 18.柴崎 19.竹中 20.和田 21.森田 22.高山)

    ○交替  9→20(前36分入替),  2→17(後11分入替), 12→21(後19分入替)
         5→18(後33分入替)


 関東 : 1.林 2.田中 3.笹倉 4.三根 5.北川勇 6.大野 7.阪元 8.土佐
      9.吉田 10.藤井 11.中園 12.重見 13.櫻谷 14.北川智 (15).有賀
     (16.池澤 17.原田 18.西 19.仲本 20.竹山 21.田井中 22.高山)

    ○交替 14→21(前20分入替), 12→22(後28分交代),  7→20(後36分入替)
        20→19(後40分入替)


 レフリー :谷口和人(日本協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0                           7            14       14
                                           G            G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                       G  G       G
 関東学院大学  0             7  14      21                       21


 法政大学   14                                                 14
           
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           DxG          P     T                 G      G
 関東学院大学 21   28         31    36                43    59   50


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半26分 小笠原(T)、野村 (G)
      39分 和田 (T)、野村 (G)

 関東:前半12分 北川智(T)、藤井 (G)
      15分 北川智(T)、藤井 (G)
      23分 田井中(T)、藤井 (G)
    後半 2分 有賀 (T)、藤井 (G)
      13分 藤井 (PG)
      19分 三根 (T)
      37分 林  (T)、藤井 (G)
      44分 藤井 (T)、藤井 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

いろいろと波乱の起こった今シーズンのリーグ戦ではあったが、結局、関東学
院と法政がリーグ最終戦で優勝を争う展開となった。2001年度のシーズンから
これで5シーズン連続ということになる。両チームともここまで1敗ずつを喫
し、星勘定の上では互角。だが、両チームの闘い振りには違いが見られた。リ
ーグ戦、そして大学選手権での覇権に向けて着実にチーム状態が仕上がってい
る関東学院に対し、薄氷を踏む思いで勝利を積み重ねながら法政は最終決戦に
辿り着いた。

とは言っても、戦績がどうであれ、この試合に勝てば文句なしの優勝。法政は
気持を切り替えて試合に臨んで来るに違いない。先発メンバーに本来はWTB
の山本の名があるのが目を惹く。負傷のため前節の試合を欠場した森田はリザ
ーブ。法政が勝機を掴むためには、リードされたにしても僅差の展開にもって
いきたい。そのためにも劣勢が予想されるFWの奮起が期待される。山本の投
入がFWの選手達に活を入れることができるだろうか。

[前半の戦い]

法政のキックオフで試合開始。その法政がいきなり関東学院にプレッシャーを
かける。関東学院ボールラインアウトからのタッチキックは距離が稼げず、法
政は関東学院陣22mライン手前の位置でのマイボールラインアウトのチャン
スを得る。しかしながら、このラインアウトで関東学院がボールをスティール
に成功し、SH吉田がオープンキックで一気に法政陣内22mライン付近まで
前進。タッチライン沿いへの絶妙の位置へのキックだったため、ボールを確保
した法政選手はボールをタッチに出すしかなかった。

開始1分に、関東学院は法政陣22m内でのラインアウトという絶好の先制の
チャンス。モールでゴール前付近まで前進してオープンに展開し、FB有賀が
ゴールライン一歩手前まで迫る。が、ここは法政が渾身のタックルで得点を阻
止。有賀が後ろに投げたパスを法政選手が捕獲に成功しすかさずキックし、法
政はHWL付近まで関東学院を押し戻す。試合は早くも攻める関東学院に対し
守勢に立って凌ぐ法政という展開となった。

4分には注目のファーストスクラム。双方FWの平均体重の差が大きい(関東
学院が1人平均でほぼ100kgであるのに対し、法政は83kg)こともあ
りなかなかスクラムが組めない。法政は以後もスクラムではコラプシングの反
則を取られる等、ラインアウトも含めてセットープレーから安定したボールを
BKに供給できなかったことが響いた。

関東学院のアタックを法政が何とか凌ぐ我慢の展開の中で12分、関東学院に
先制点が生まれる。関東学院が法政陣ゴール前でのラインアウトからモールを
形成して前進しラックからオープンに展開。ここで関東学院にオーバー・ザ・
トップの反則。法政はピンチを脱したかに見えたがタッチを狙ったPKはノー
タッチに終わりカウンターアタックで関東学院のFB有賀が法政陣22m内に
力強く前進してラック。関東学院はここからオープンに展開し、SO藤井から
のロングパス(飛ばしパス)がCTBに渡り、外側でパスを受けた右WTB北
川が難なくインゴールに到達。

その直後の15分、法政陣内10m付近でのラインアウトから法政がサイドを
突いて攻めるところでのラックで関東学院はターンオーバーに成功。SH吉田
が裏に抜けてWTB北川にボールが渡る。北川は22m内でタックル(ハイタ
ックル)にあって倒れかけたところを粘り腰でゴールラインまで到達しこの日
2トライ目を記録。エースの決定力を見せつけるような豪快なトライだった。
(北川はトライの時に肩を脱臼し前半20分で退いた。)

これで完全に関東学院ペースとなるかと思われたが、法政もキックオフから攻
勢に出る。22分には関東学院陣22m付近のセンタースクラムから8→9で
攻めSO野村がゴールを伺う、がここでのラックまたしても関東学院がターン
オーバーに成功し、関東学院のSH藤井がタッチに向けて絶妙のキック。法政
選手がタッチに蹴出そうとしたが、これが大きなマイナスキックとなり自陣2
2m内での相手ボールラインアウトという大ピンチを招く。関東学院のターン
オーバーからの切り返しの速さには舌を巻くばかり。関東学院はこのチャンス
を活かし、ラインアウトからモールで前進した後オープンに展開してFB有賀
からラストパスがWTB田井中(北川に代わって20分から登場)に渡る。

前半23分にして21−0と関東学院が一方的なリードを奪う。このまま法政
が沈黙してしまうかに見えたが、直後の26分に右WTB小笠原仁の素晴らし
い個人技により法政が一矢報いる。HWL付近のラインアウトからオープンに
展開しライン参加したFBからパスを受けた小笠原が関東学院ゴールに向けて
絶妙のキック。そして、このボールを小笠原がゴール前で拾い上げてインゴー
ルに飛びこんだ。この1トライで法政に元気が生まれ、以後両チーム一進一退
の攻防を見せる優勝決定戦に相応しい展開となった。

前半36分に法政はSHを先発の成田から和田に代えるが、この交代が効を奏
す。前半終了間際の40分、関東学院ゴール前ラインアウトのチャンスから法
政はモールで前進。SH和田はオープンに展開すると見せかけて巧みにサイド
を突き、関東学院のディフェンダーをかわしてインゴールに飛びこんだ。ゴー
ルキックも成功し法政のビハインドは7点に縮まる。前半半ばにして一方的な
展開になるかに見えた試合が、法政の2連続トライにより一気に接戦の様相を
呈してきた。(とくに今シーズンの)法政ファンにとっては希望の持てる展開。
後半に期待を繋ぐ形で前半が終了した。

[後半の戦い]

逆転に向けて意気上がる法政、のはずだったが後半にパワーを爆発させたのは
関東学院の方だった。開始早々の1分にSO藤井が22mラインより外の位置
から狙ったドロップゴールは失敗に終わる。が、リスタートのドロップキック
を捕獲したFB有賀が「気迫の10人抜き」を見せて一気に法政ゴールに迫る。
ゴール前のラックから関東学院はサイドを攻め、ここで再び有賀が登場してト
ライ。法政の逆襲によりやや元気をなくしかけていたチームに活を入れるかの
ような主将自らの身体を張ったプレーに、選手達が燃えない訳がない。以後、
しばらくゲームは主として法政陣内で行われることとなった。

13分に関東学院はPGにより3点を加点。法政はスクラムやラインアウトで
のコラプシングの反則が目につくようになってくる。19分には、関東学院が
法政陣ゴール前ラインアウトのチャンスからモールを押し込み、LO三根がト
ライ。ゴール前でもFWのモールやラックに拘らずにオープンに展開するなど、
時間をかけずにボールをどんどん動かす関東学院だったが、ここはしっかりと
FWの押しに拘った。法政の得点板が動かないなかで、関東学院のリードは2
2点にまで拡がる。

ここ数試合でねばり強さを発揮している法政ではあるが、だんだん逆転(優勝)
への望みが遠ざかっていく。残り20分でこの点差(22点)は厳しい。が、
法政はここで森田を投入し、より攻撃的な布陣を敷く。関東学院はリードを守
りながらも耐える展開となるが、けしてパニックに陥らない。法政の後半の得
点ゼロが変わらないまま時間が過ぎていく。

そして、終盤も近づいた39分、関東学院はFWのサイドアタックから林が抜
け出してインゴールに飛びこみ試合を完全に決める。残り時間を考えても、無
理をする必要のない関東学院だが、終了間際まで攻撃の手を緩めず攻め続けた
姿勢が圧巻だった。「あと1トライ絶対に取るぞ!」という気持が15人の共
通認識であったようにも見えた。SO藤井がインゴールに飛びこんだとき、電
光掲示の時計は44分を指していた。大学選手権の王座奪還に向けてあくなき
チャレンジを続ける関東学院の気迫を感じさせる見事なトライだった。

[試合後の感想]

劣勢が予想され、また、最終的に点差が開いた試合ではあったが、法政の健闘
ぶりも見応えがあった。残念だったのは、FWのセットプレーから活きた球を
BKになかなか供給できなかったこと。トライが15人一体でのものではなく、
個人能力による2つに止まったのもそんなところに原因があるように思われる。
法政が大学選手権で活躍できるか否かはFWにかかっていることは間違いない
が、チーム戦術も含めて、BKの高い得点能力を活かす形での総仕上げを期待
したい。                      (2005年12月5日記)

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