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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

関東学院大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/09/23) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 3  2  0  0 19 |
       :後半: 6  2  0  0 34 |  53 11
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 0  0  3  0  9 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   9 12


◎出場メンバー

 関東 : 1.西垣 2.田中 3.原田 4.佐伯 5.西 6.大野 7.石田 8.土佐
      (9).吉田 10.木村 11.中園 12.高山 13.櫻谷 14.竹山 15.山下祐
     (16.高坂 17.児玉 18.山下桂 19.村下 20.藤井 21.草下 22.朝見)

    ○交替  4→22(後 0分入替), 10→20(後 0分入替),  6→21(後33分入替)


 立正 : 1.古屋 2.小林 3.月野 4.ミロ 5.太田 6.片倉 7.イシレリ (8).菅原
      9.市村 10.小玉 11.松原 12.田中 13.松坂 14.中山 15.佐藤
     (16.渡邉 17.松田 18.後藤 19.川田 20.平 21.小林 22.アヒオ)

    ○交替  6→19(後26分入替),  3→13(後33分入替), 11→20(後33分入替)


 レフリー :土屋有司(  協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0      7          14              19              19
                      G          G               T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                    P                  P        P 
 立正大学    0          3                  6        9           9


 関東学院大学 19      24         31      36  41 46      53       53
                T          G       T   T  T       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 立正大学    9                                                  9

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半 5分 吉田 (T)、山下 (G)
      16分 土佐 (T)、山下 (G)
      32分 土佐 (T)
    後半 5分 山下 (T)
      16分 高山 (T)、山下 (G)
      24分 竹山 (T)
      28分 竹山 (T)
      31分 朝見 (T)
      39分 吉田 (T)、朝見 (G)

 立正:前半 9分 佐藤 (PG)
      28分 佐藤 (PG)
      37分 佐藤 (PG)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

いよいよ2006シーズンの開幕。Cグランドではラグビースクールの交流会
が開かれていて、少年少女ラガーが元気いっぱいにピッチを駆けめぐっている。
そして、メインスタジアムの隣にあるサブグランドでは本日対戦する関東学院
と立正大学両校の選手達が熱気のこもったアップ中。ここ熊谷では、駐車場か
らスタンドに辿り着くまでに否が応でも頭の中は100%ラグビーに切り替わ
ってしまう。

さて、立正大学は昨年度最下位ながらも今シーズンもっとも飛躍が期待される
チーム。今後の闘いを占う上でも、重点的に取り組んだと伝えられるFWの強
化がどのくらい成果を挙げただろうか。一方の関東学院は王者奪回に向けて今
シーズンはどのようなスタイルで戦っていくのだろうか。立正大学のミロとイ
シレリのパワーを関東学院がどう封じるか。関東学院では期待の1年生木村と
FLからコンバートされた?WTB竹山、そしてスタメンに戻ってきたCTB
高山らの活躍も楽しみ。

[前半の戦い]

関東学院のキックオフで試合開始。前半の関東学院はFW中心の攻めで自陣か
らでもキックを使わずに継続するスタイル。ボールキープ能力への絶対的な自
信の裏付けとも言えるが、実際にボールがよく繋がる。SOに1年生の木村が
起用された関係からか、セットプレーからはまずFWでサイドをついてオープ
ンに展開という戦術で意思統一が図られていたようである。No.8土佐とFL大
野がサイドアタックで大きくゲインする場面が多く見られた。

一方の立正大は関東学院陣の22mライン手前までは徹底したキック。昨シー
ズンの序盤戦と同じで、無理はせずにまずは敵陣へという手堅い戦術。ただ、
この日は台風の間接的な影響で風が舞っていたこともあり、SO小玉のロング
キックがダイレクトタッチになってしまうことが多く有効な戦術とはなってい
なかったのが残念。セットプレーを起点としてミロとイシレリを軸にしたサイ
ドアタックという選択肢もあったはずだが、関東学院のFWのプレッシャーが
強力なためそれも難しい。

先制したのはFW戦で優位に立つ関東学院。5分だった。立正大のミス(ダイ
レクトタッチ)で得たラインアウトのチャンスから連続攻撃で一気に立正大ゴ
ールに迫る。立正大が反則を犯したところでSH吉田がPKからの速攻で一気
にゴールラインを越えた。立正大は9分にPGで3点を返すものの、16分に
は関東学院が追加点。今度はゴール前ラインアウトからFWがモールを形成し
てそのまま押し込みトライ。立正大も必至で抵抗するが関東学院のパワーと技
(巧みなドライブ)の前には為す術もない。

28分に立正大が再びPGで3点を返すのも束の間、関東学院は32分にも再
び立正大陣22m内からのラインアウトを起点としてFWのパワープレーでト
ライ。もちろん、関東学院はFWだけのチームではない。昨シーズンと比べて
小粒になった感もあるが、BKのバランスとコンビネーションは今年の方が上
という評価も十分に頷ける。とくに両WTBにボールが繋がれば確実にビッグ
ゲインが見込めるのが強み。ゴール前に迫った最終局面でのミスがなければ点
差はもっと拡がっていたはずである。

といった形で、終始関東学院がペースを握る形ではあったが、守勢に回った立
正大もよく耐えていた。粘り強いディフェンスが関東学院の最終局面でのミス
を誘ったとも言える。PG3本の9得点に止まったとはいえ、ビハインドはま
だ10点。願わくば後半、セットプレーで劣勢に立っているFWの建て直しを
はかり早い段階でトライを返したいところなのだが...。

[後半の戦い]

後半から関東学院はSOを木村から藤井に代えた。LO佐伯に代えて朝見を起
用の場内アナウンスに一瞬スタンドはどよめいたが、WTBの竹山が本来のF
Lに戻り、朝見がWTBの位置に入ったことで一件落着。ただ、前半の(WT
Bとしての)竹山の活躍には目を見張らせるものがあった。以前にもNo.8の山
口が一時的にWTBに起用されたことがあったが、そのときとは状況が違うか
もしれない。

さて、前半はFW主体で攻めた関東学院だったが、藤井がSOに入ったことも
あり、後半はセットプレーからBKへのオープン展開が中心となった。そして
ボールがWTBに渡ったところで大きくゲインを稼ぎ、ポイントができたとこ
ろでテンポ良くボールがBKに供給されて再びオープンへ。とにかくボールが
早く動くため、関東学院は自陣からの攻撃でもあっという間に立正大陣の22
m付近まで到達してしまう。

こう書くと「従来の関東学院と変わらないのでは?」という印象を与えてしま
うかも知れない。が、同じ継続でも今シーズンはひと味違うように感じられる。
従来よりも少ない手数(ポイントの数)でゲインが稼げている。ここで注目し
たいのは、関東学院の選手達はタックラーに捕まっても簡単には倒れないため
ラックの局面が少ないこと。ボディーコントロールの巧みさもあるが、サポー
トプレーヤーも含めて「倒れないこと」を強く意識しているように見受けられ
る。倒れないからボールは確実に前に進み、しかも攻撃のリズムは途切れない。
今シーズンは「スタンディングラグビー」も関東学院の戦術メニューに入って
いるのかもしれない。

関東学院のグランドを大きく使ったアタックに立正大FWの足も止まり、後半
は関東学院のトライショーの様相も呈してきた。関東学院の圧倒的な攻撃力の
前に立正大は敵陣に入ることもほとんどできない。数少ないチャンスの局面で
もラックでターンオーバーされたりやパスがインターセプトされたりと反撃の
糸口が掴めない。立正大最大のチャンスは30分に得た関東学院陣22m内で
のラインアウトだったが、マイボール確保に失敗し万事休す。立正大にとって
はラインアウトの不調も痛かった。

スコアでは前半競ったものの、終わってみれば立正大は後半に6トライを奪わ
れ44点差の完敗。すっかり関東学院の引き立て役になってしまった感もある
が、逆に言えば、立正大の粘りが関東学院の強さを引き出したとも言える。前
半にPGを狙った場面では、スタンドから「もっと積極的に行け!」という檄
も飛んでいたが、それは今後の楽しみとしたい。

[試合後の感想]

FWの強さも十分に見せてくれた関東学院だが、今年は(ビッグネームは居な
くても)人材が揃っているBKで勝負する局面が増えそうな感じがする。これ
からどのような形でチームが仕上がっていくかが本当に楽しみ。FW、BKど
こからでも得点が取れるバランスの良さと柔軟性が今年のチームの持ち味かも
しれない。「ポイントを動かしながらの継続」にも注目していきたい。

アタックらしいアタックも見せられずに防戦一方で終わってしまった立正大だ
が、ディフェンスの面では健闘していたように思う。予想以上に関東学院のF
Wが強く、BKが巧かったといったところだろうか。本日の敗戦を糧にして上
位目指して頑張ってほしい。             (2006年9月23日記)

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