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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

東海大学 vs 日本大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/09/24) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 2  1  0  0 12 |
       :後半: 5  4  0  0 33 |  45 11
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 2  2  0  0 14 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  21 13


◎出場メンバー

 東海 : 1.江黒2.猿田 3.岩本 4.木下 5.杉浦 6.斉藤 7.樫本 [8].豊田
      9.辻埜 10.津田 11.起山 12.吉田 13.山内 14.山田 15.森功
     (16.黒木 17.岸 18.中村 19.ランギ 20.森重 21.森脇 22.新井)

    ○交替  1→16(後24分入替),  3→18(後24分入替), 13→21(後29分入替)
         6→19(後32分入替), 11→22(後32分入替)


 日大 : 1.有馬 2.中村圭 3.星 4.佐渡 5.馬渕 6.大山 7.蓬莱 8.マフィレオ
      9.倉澤 10.三友 11.ビエイ 12.天本 13.山田 14.中村友 15.中村誠
     (16.仲村 17.小野 18.福田 19.森 20.深沢 21.野本 22.神足)

    ○交替 11→22(後11分入替),  4→18(後24分入替)


 レフリー :河野文高(  協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0         5       12                              12
                         T       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             G                      G
 日本大学    0   7                      14                     14


 東海大学   12       19               26   33 40   45          45
                 G                G    G  G    T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                       G
 日本大学   14             21                                  21 


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半 8分 山田 (T)
      16分、森  (T)、吉田 (G)
    後半 6分 山田 (T)、吉田 (G)
      23分 起山 (T)、吉田 (G)
      28分 木下 (T)、吉田 (G)
      31分 樫本 (T)、吉田 (G)
      36分 樫本 (T)

 日大:前半 2分 中村誠(T)、三友 (G)
      25分 星  (T)、三友 (G)
    後半12分 中村圭(T)、三友 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

組織的で流れるような高速展開ラグビーを指向する東海大と強力FWを軸に個
々のパワーで勝負する日大といった対照的なカラーを持つチーム同士の対戦。
両校ともここ数シーズンは中位グループ(3〜6位)の上下どちらかに位置す
ることが多いため序盤で顔を合わせる巡り合わせが続いている。その両校であ
るがここ2シーズンは東海大にとってこの日大戦が鬼門となっている。果たし
て今シーズンはどうだろうか。

メンバー表を眺めると、両校ともBKにフレッシュな顔ぶれが並んでいること
に気がつく。真崎(東海大)、松下(日大)といったリーグ戦G屈指のSOが
卒業した跡を受けて津田(東海大)、三友(日大、昨シーズンは1年生ながら
CTBで活躍)がどんなゲームメイクを見せるがまずは楽しみ。また、FWに
は両校とも「ベテラン」が名を連ねており、BKをどのような形で引っ張って
いくかにも期待が高まる。チーム全体で見れば、東海大は個々の突破力、日大
は組織的なディフェンス力がキックオフ前の注目点だった。

[前半の戦い]

日大のキックオフで試合開始。先制点を挙げたのはその日大だった。開始僅か
2分、HWLからやや東海大陣に入った位置のラインアウトを起点とした攻撃
からCTB天本が鋭いランで大ブレークして一気に東海大陣22mライン付近
までゲイン。日大はラックから素早くオープンに展開し、ボールがFB中村誠
一に渡る。ここで、中村はゴールに向かって絶妙のキックをゴロで転がし、そ
のまま快足を飛ばしてインゴールでタッチダウンに成功。日大の鮮やかな先制
パンチだった。

日大の両CTB(天本と山田)は本日が公式戦デビューのフレッシュコンビ。
天本の快走はその不安を一気に解消するものだった。その後も天本はたびたび
力強いランを見せて日大ファンを沸かせた。それにしても、他校と比べてもけ
して層が厚いとは言えない日大だが、実は隠れた逸材の宝庫でもある。先制ト
ライを奪ったFB中村も昨シーズン終盤に登場して溌剌とした動きを見せてい
た選手。日大の看板はFWだがトップリーグに関してはBKの日大。今シーズ
ンもBKに楽しみなメンバーが揃った。

東海大もすかさず反撃。こちらはオープン展開が主体だが、起点はFWのサイ
ドアタック。今シーズンの東海大の看板プレーヤーの一人であるNo.8の豊田、
FLの樫本といった走力のある第3列が牽引車としてチームを引っ張る。東海
大8分のトライはラインアウトを起点としたFWのサイドアタックから生まれ
た。素早い展開で日大陣22m中央付近のラックからボールがオープンに回り
FB森のライン参加できれいなオーバーラップができたところでパスを受けた
左WTB山田がインゴールに飛びこんだ。

続く16分にも日大陣ラインアウトを起点としてFL樫本がサイドをつき、オ
ープンに展開されたところでNo.8豊田が前進してラック。ここからボールが左
サイドに展開されて8分のトライの局面と同じ形ができ、今度はFB森が日大
DFをかわしながらインゴールに飛びこんだ。東海大が逆転に成功。このまま
東海大がペースに乗るかに見えた。

しかしながら、日大も強力FWを軸に反撃する。また、日大の組織DFが機能
し始め、東海大はオープンに展開してもなかなかゲインできない状態が続く。
過去何回も書いているが、東海大のアタックは緩急の変化が少なくテンポが一
定になるきらいがあるため、スピードに慣れればサインプレーが使われてもD
F側にとって止めやすくなる傾向がある。日大のCTBコンビのDFでの頑張
りもあって、ゲームの流れは日大の方に傾きはじめた。

20分以降は東海大が自陣ゴール前に釘付けとなる。日大FWの強力なモール
攻撃を止められず、反則が増える苦しい展開。そしてついに25分、日大に待
望のFWによるトライが生まれた。ゴールも成功し、日大が逆転に成功した。
これで今度は日大が完全にペースを握るかと思われたが、ここで試合は膠着状
態に陥る。両チームともキックが多く、カウンターアタックからボールが大き
く動く展開になるのだが、お互いにミスも多い。過去2試合を観る限り、ミス
の多く出た方(いずれも東海大)が負けているので、この試合もそんな形にな
るのだろうか。

そんな中で、終盤の36分以降は今度は日大が自陣ゴール前に釘付けになる苦
しい展開となった。ラインアウトを起点としたモールからドライビングモール
で逆転トライを狙う。が、モールを押し切れない。両チームのFWはサイズ的
にはさほど変わらないが、モールの強さは日大の方が上。結局、東海大はその
まま日大のゴールラインを越えることなく前半が終了した。この流れなら勝利
の女神は日大の方に微笑むのだろうか。2点差という微妙な点差も東海大ファ
ンには気になるところ。過去を振り返ってみても、先の展開がなかなか読めな
いのがこの2チームの対戦の特徴ではある。

[後半の戦い]

後半、東海大はFWのサイド攻撃主体に戦術を変えてきた。BKに展開しても
なかなかゲインできない状況を打開する狙いがあったのかも知れないが、豊田
や樫本のアタックはなかなか有効なゲインを獲得することができない。日大の
両FL蓬莱と大山の活躍が光る。(この作戦は疑問だが、終盤の日大FWの運
動量が急速に落ちたことを考えれば、別の狙いがあったのかも知れない。穿っ
た見方だが、東海大の執拗なアタックがボディブローのような形で効いたよう
な気がしないでもない。)

そんな攻めあぐむ東海大だったが、逆転トライはホンの一瞬のチャンスから生
まれた。6分に日大陣10m付近のスクラムで日大に反則があったところでP
Kから速攻。ボールが10→12と繋がり最後はWTB山田がインゴールに飛
びこんだ。これで今度こそ東海大ペースかと思われたが一つのビッグプレーが
日大にチャンスを呼び込む。東海大の自陣ゴール前からのタッチキック(22
m付近のスクラム起点)を日大選手がチャージに成功し、東海大がたまらずペ
ナルティーを犯す。日大はゴール前ラインアウトのチャンスを確実に活かして
得意のモールでトライを奪い、三友のゴールも成功して再逆転に成功。

この段階ではまだ12分なので、最小得点差の2点は東海大にとってけして重
荷ではないが、何故か東海大の応援席に元気が見られない。14分以降は再び
東海大が自陣ゴールを背にひたすら日大FWの圧力に耐える苦しい時間帯とな
る。過去2戦のことも踏まえて、これは負けパターン。そんな思いが東海大フ
ァンの頭をよぎったのかも知れない。だが、日大も攻めきれない。

前半の部分でこの対戦は(決定的な)ミスをした方が負けと書いた。そしてそ
のジンクス?は生きていた。20分、日大が東海大陣でPKのチャンスを得る。
場所から考えて、確実に22m内にタッチキックを蹴り出せば得意のモールで
追加点が取れる状況。だったのだが、何とキックが直接コーナーフラッグに当
たってしまった。東海大がPKの位置からハイパント攻撃で日大陣へ攻めるが
ここでも痛恨のミス。FB中村のショートパントが東海大CTB吉田への絶妙
のキックパスになってしまい、すれ違い状態でボールを得た吉田は日大陣22
mまで難なくゲイン。日大は自陣ゴール前で粘り強いディフェンスで抵抗する
ものの、ラックでぽっかり前が開いたところを東海大WTB起山が見逃さず、
ラックからボールを拾ってインゴールへ。日大にとっては本当に本当に残念な
ミスだった。

この逆転トライのショックもあり、(ボディーブロー効果はさておき)日大F
Wの足が止まる。28分にLO木下がトライを奪いリードを12点に拡げたと
ころで勝負アリとなった。続く31分には東海大FWが「お返し」とばかりに
ゴール前ラインアウトからモールを押し込んでトライ。さらに38分にはビッ
グプレーも飛び出した。オープン攻撃から日大陣のコーナーフラッグを狙った
キックはタッチアウトかと思われたが、WTB山田が快足を飛ばしてタッチラ
イン際でボール確保に成功。タックラーに前進を阻まれそうになったところで
中央に向けてロングパスを放り、フォローしたFL樫本がインゴールに飛びこ
んだ。必勝を期す東海大の逆転勝利に華を添える豪快なトライだった。

[試合後の感想]

最終的には東海大の圧勝に終わったが、後半20分まではどちらが勝つか分か
らない接戦だった。流れから見れば勝利の女神は日大に微笑むものと思われた
のだが、痛恨のミスが命取りとなった。もちろん、東海大の粘りを褒めるべき
でもある。最後まで運動量が落ちない東海大FWのスタミナ勝ちとも言える。

両チームともミスが多かったのが残念だが、例年に比べればチームの仕上がり
はいいように感じられた。ただ、昨日の関東学院の印象が強いせいか、熱戦で
はあっても物足りなさが感じられたのも事実。とくに立ってプレーする意識が
強い関東学院に比べると、ラックで寝込む感じになる選手が多いことが気にな
った。一朝一夕にとは行かないが、意識改革は必要と思われる。
                          (2006年9月24日記)

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