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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

大東文化大学 vs 日本大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/10/01) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 大東文化大学:前半: 2  0  0  0 10 |
       :後半: 2  1  3  0 21 |  31  9
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 0  0  2  0  6 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   6 16


◎出場メンバー

 大東 : 1.銭場 2.森 3.須藤 4.エモシ 5.大久保 6.林 7.松田 8.森山
      9.寺西 10.戸嶋 11.泉谷 12.菊池 13.塚元 14.荒川 15.中島
     (16.川村 17.島田 18.松井 19.船戸 20.新川 21.升屋 22.増野)

    ○交替  4→18(後23分入替),  9→20(後23分入替), 12→21(後26分入替)
         1→16(後39分入替),  2→17(後39分入替),  7→19(後39分入替)
        11→22(後39分入替)


 日大 : 1.有馬 2.中村圭 3.星 4.佐渡 5.馬渕 6.大山 7.蓬莱 8.マフィレオ
      9.倉澤 10.三友 11.ビエイ 12.天本 13.安井 14.中村友 15.中村誠
     (16.仲村 17.小野 18.福田 19.古木 20.深沢 21.山田 22.井上)

    ○交替  9→22(後11分入替),  1→16(後21分入替),  9→20(後21分入替)
        13→21(後21分入替),  3→17(後33分入替),  4→18(後33分入替)


 レフリー :篠原克行(日本協会公認)


◎得点経過

 大東文化大学  0      5                         10               10
                      T                         T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                               P      P
 日本大学    0                     3      6                     6


 大東文化大学 10        13    18                 21   28   31    31
                  P     T                  P    G    P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 日本大学    6                                                  6 


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 大東:前半 5分 中島 (T)
      31分 エモシ(T)
    後半 7分 戸嶋 (PG)
      13分 菊池 (T)
      32分 戸嶋 (PG)
      37分 新川 (T)戸嶋 (G)
      42分 戸嶋 (PG)

 日大:前半20分 三友 (PG)
      27分 三友 (PG)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

いよいよ大東文化大学が参戦。過去2シーズンの成績はいずれも3位だが、い
ずれのシーズンにおいても関東学院を最後まで苦しめたことが強く印象に残る。
また、大東大ファンにとっては、序盤戦の躓き(2004年は日大、2005年は東海
大にそれぞれ惜敗)さえなければ...という想いも強かったのではないだろ
うか。今年こそ優勝を!の大東大にとって、この緒戦は絶対に落とせない。昨
シーズンまで猛威を奮ったフィリピーネが抜けた後、大東大のラグビースタイ
ルがどのような形に変貌を遂げるのかにまずは注目したい。本日のメンバーで
はリザーブも含めて唯一のトンガ出身選手、エモシの活躍は如何に?

一方の日大は緒戦をダブルスコアで落としたとはいえ、優勝を狙う東海大を相
手に後半20分まで接戦を演じている。BKにフレッシュなメンバーが揃った
発展途上のチームだけに思い切りのいいプレーを期待したいところ。東海大戦
で負傷者が出たことが気になったが、スタメンはCTBの安井(4年)を除き
緒戦と同じ。今日こそはNo.8とWTBのマフィレオ兄弟に爆発してほしいとい
うのが日大ファンの偽らざる気持ちではないだろうか。天候はあいにくの小雨
模様だがプレーに影響するほどのものでもなさそう。だったのだが...。

[前半の戦い]

日大のキックオフで試合開始。雨脚は若干強くなったが、それほどスリッピー
な条件とは思えない。にもかかわらず、両チームともノックオンなどのミスが
多い立ち上がりとなった。大東大にとっては「緒戦の堅さ」という言い訳の余
地もありそうだが日大は2戦目。落ち着いてほしいところである。せっかくア
ドバンテージをもらって大きくゲインしても、またそこでノックオンがあって
プレイが止まるという展開。

そんな中で、開始早々の5分に大東大が先制点を奪う。日大のキックに対する
カウンターアタックからオープン展開、そこにLOエモシが絡むという大東大
らしいグランドを大きく使うダイナミックな展開で最後はFB中島がインゴー
ルに飛びこんだ。今年も大東大はボールがタテとヨコに大きく動くラグビーを
指向していることをまずは確認。この先制パンチで大東大に落ち着きが出てく
るものと思われた。

しかしながら、直後の日大キックオフからしばらくの時間帯は大東大が自陣の
22m内に釘付けとなる苦しい展開となる。日大がラインアウトからモールを
押し込んでトライを狙うものの、大東大はリーグ戦屈指の大型FWを擁するチ
ームで、パワーだけでは押し切れない。FW周辺でのもみ合いで両チームとも
反則やノックオンが多く、日大優位ながらも膠着した状態が続く。

日大が攻めきれない原因は大東大FWの圧力もあるが、セットプレーからの球
出しがうまくいかないことが大きい。8→9の連携がうまくいかないため、ど
うしてもSOからのオープン展開がワンテンポ遅れる形になる。途中からは8
→9を諦めざるを得なくなったが、SOへのパスがぴしっと決まらないのは同
じ。余裕がなくなれば有効なゲインは得られず、パスミスやノックオンも多く
なるのは必然だろうか。

攻めきれない日大は20分にゴール正面25mの位置で得たPKのチャンスで
PGを狙い成功。ここで狙うのなら13分のPK(22m内のゴール正面でス
クラムを選択。オープンに展開してFB中村誠一が大東大ゴールに迫るものの
オーバー・ザ・トップでチャンスを逃す)も狙って良かったのでは?という思
いもよぎるが、ビハインドは2点。日大は27分にも同じ位置からのPGを成
功させ1点差ながら逆転に成功。日大ファンにとっては「攻めきれない」とい
う不満も残るがリードはリード。

大東大もすかさず反撃。HWLからやや日大陣に入った位置のセンタースクラ
ムから(こちらは)8→9がぴしっと決まりSH寺西が日大陣22m手前まで
大きくゲイン。日大がハンドの反則を犯したところでPKから日大陣ゴール前
でのラインアウトのチャンスを得る。大東大のモール攻撃は一度は日大FWに
押し戻されるものの、ラックからエモシがインゴールにボールを持ち込み大東
大が逆転に成功。大東大のNo.8森山は2年生ながらなかなか落ち着いたプレー
ぶりでその後もたびたび大東大にチャンスをもたらす。前任者(フィリピーネ)
のような爆発力はなくても、確実にボールを前に運び繋ぐことができればエモ
シのパワーが生きる形になる。なかなか楽しみな選手だと思う。

ここで31分。両チームそろそろ落ち着いてもいい頃だが、ミスの応酬は続く。
日大が(オープン攻撃が不調のため)蹴らざるを得ない展開となったこともあ
りキックからのカウンターアタックの場面が増える。また、相手がノックオン
したボールを拾って逆襲というパターンが続くので、ゲームは途切れず、また
ボールも大きく動くのだが、どもピリッとしない。結局、前半は10−6の大
東大リードで終了した。

[後半の戦い]

前半は、両チームともミスが多いドタバタした展開だったとはいえ、悪い流れ
を断ち切りたいのは日大の方。と思われたがメンバー変更などの動きはなし。
だからというわけでもないが、日大はなかなかノックオン禍から抜け出せない。
7分に日大が自陣で反則を犯したところで大東大SO戸嶋が右中間25mのP
Gを成功させリードを7点に拡げた。

とはいえ、ビハインドはまだ7点。日大にとって建て直しのチャンスはある。
8分にはそんな日大に元気をもたらすプレーが出た。ここまでプレーに精彩を
欠いていたWTBビエイがカウンターアタックから快走を見せ、約30mのビ
ッグゲイン。ボールは繋がらなかったが、日大は大東大陣でのスクラムのチャ
ンスを得る。ビエイのスピードとステップワーク(独特の間合い)が生きた形
だったが、皮肉なことにここでビエイは井上と交代。前半の彼の心許ないプレ
ーぶりであれば後半の頭から交代でもよかったように思われるが、結果オーラ
イか。同時にSHも1年生の深沢に代わり日大に勢いが出てきたように見えた。

日大にさらにビッグプレー。スクラム起点でオープンサイドからブラインドサ
イドに回り込んだFLの大山主将が大東大陣22m内までゲイン。日大はボー
ルを繋ぐものの惜しくもタッチに押し出される。が、日大押せ押せムード。こ
こで1トライ取れれば試合の流れは分からなくなるところだった。日大の強力
なプレッシャーで大東大のタッチキックは22m内に止まる。日大のチャンス
は続く。ラインアウトからのモールは押し切れなかったが、ラックからオープ
ンにパスが繋がれば、というところで痛恨のパスミスが出てしまった。転々と
転がるボールを大東大選手が拾って一気にタテへ。ここでもエモシが「リンク
プレーヤー」として機能し、最後はCTB菊池がインゴールへ。電光計時はま
だ13分だが、日大にとっては重い5点が追加された。

日大は気を取り直して攻めるものの、肝心なところでミスの悪い流れは止まら
ない。ゴール前ラインアウトのチャンスを得てもモールを押し切れず、ラック
となったところで反則、あるいはノックオンの展開が続く。ペースを掴めない
のは大東大も同じで、以後32分までまたも試合は膠着状態となる。日大FW
に疲れが目立ってきたところで、大東大がPGで3点を加点。37分には日大
陣ゴール前でのサイドアタックからSH新川がトライを挙げて大東大のリード
は22点。ミスが多かった点はさておいても、日大はまたしても終盤に失点を
重ねる形で敗れた。

[試合後の感想]

最終的には25点差の圧勝だったが、大東大にとっては何ともピリッとしない
今シーズンのデビュー戦だった。得点も日大のミスにつけ込む形が多かったた
め、まだアタックに関しては未知数の部分があるのはやむを得ないところ。た
だ、例年になくFWとBKのバランスが取れたチームになっているようには感
じられた。エモシはフィリピーネのような派手さこそないものの、確実にボー
ルを前に運べることが強み。今シーズンはこのエモシを軸としてFW8人のま
とまりで勝負が大東大のセールスポイントになるかも知れない。

ノートライでいいところなく敗れた日大は2戦目にしてチーム崩壊の危機を迎
えている。選手個々は頑張っているのだか、どうもうまくかみ合わない。が、
ここは焦らずじっくりと基本に立ち返る他ないのではないだろうか。まずはF
WからBKへの球出しを確実にすること。ディフェンスは健闘しており、高さ
がないにもかかわらずラインアウトは安定している。関東学院戦まで2週間。
そしてサバイバル戦となることが予想される終盤までにはまだ時間がある。
                          (2006年10月1日記)

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