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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

法政大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/10/08) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 2  0  0  0 10 |
       :後半: 5  1  0  0 27 |  37 15
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  19 13


◎出場メンバー

 法政 : 1.鎌田 2.小笠原太 3.北島 4.玄 5.森 6.泉 7.遠藤 8.竹中
      9.日和佐 10.野本 [11].友井川 12.田沼 13.大村 14.西條 15.阪元
     (16.稲田 17.岡村 18.井上 19.有田 20.成田 21.濱川 22.佐藤)

    ○交替 11→22(後17分入替),  5→18(後30分入替), 10→20(後30分入替)
         6→19(後35分入替),  2→17(後35分入替),  3→16(後35分入替)
        13→21(後35分入替)


 立正 : 1.古屋 2.小林 3.月野 4.ミロ 5.太田 [6].佐藤元 7.イシレリ 8.菅原
      9.市村 10.小玉 11.小林 12.田中 13.松坂 14.松原 15.小松
     (16.桑原 17.蛭川 18.木村 19.片倉 20.安部 21.佐藤浩 22.窪田)

    ○交替 11→22(後26分入替), 14→21(後32分入替),  7→19(後35分入替)


 レフリー :工藤隆太(  協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0    5               10                           10
                    T               T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                   x                               G
 立正大学    0                                         7        7


 法政大学   10                15 20 27     32   37             37
                          T  T  G      T    T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                                  G  T
 立正大学    7                                        14 19    19

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 3分 西條 (T)
      19分 西條 (T)
    後半15分 大村 (T)
      18分 日和佐(T)
      21分 北島 (T)、西條 (G)
      28分 西條 (T)
      33分 佐藤 (T)

 立正:前半15分 イシレリ(T)、小玉 (G)
    後半39分 小玉 (T)、小玉 (G)
      42分 古屋 (T)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

立正大は今季もっとも飛躍が期待されるチーム。昨シーズンは結果的に最下位
に終わったものの、その闘い振りは1部でも十分に戦えるという手応えを感じ
させるものだった。緒戦(第1節)は関東学院のパワーと巧さの前に何もさせ
てもらえなかったが、2戦目となる本日の試合では堅さも取れて元気いっぱい
ピッチを駆けめぐってくれるはず、というのが地元熊谷のファンの期待すると
ころではないだろうか。FW戦でプレッシャーをかけて法政の出足を止めるこ
とができれば面白くなる。

一方の法政は突然の首脳陣交代もありチーム作りの遅れが指摘されている。ま
だ今シーズンの闘い振りは観ていないので何ともコメントしようがないのだが、
BKメンバーは他校も羨むような豪華ラインナップ。FWから活きたボールが
供給されれば得点力の方は計算できる。チームの仕上がり状態はさておき、今
シーズンの法政を占う意味でも、まずはFWのセットプレー、そして(法政の
持ち味である)機動力に注目したい。

本日の熊谷は昨日と同じく秋晴れ。だが、風の方は今日の方が強いような感じ
がする。果たして立正大が昨日の流通経済大と同じ、あるいはそれ以上の嵐を
ピッチの上にもたらすことができるだろうか。

[前半の戦い]

北西方向からの強い風が吹く中でまず風上に立ったのは立正大。法政のキック
オフで試合開始となった。開始早々、法政は立正大陣ラインアウトからモール
を形成して前進し、サイドアタックを交えて22m内へ。ここで立正大がオフ
サイドの反則を犯し、法政に先制点の絶好のチャンスが訪れる。サイズこそ小
さいが法政FWはなかなか気合が入っている。立正FWはいきなり先制パンチ
を食らった格好。

ゴール前のマイボールラインアウトは立正大にスティールされてしまい法政の
チャンスは潰えたかに見えた。しかしながら、法政は後方に下がってやり直し
のラインアウトから今度は鮮やかなオープン攻撃。素早く展開されたボールは
ラックからさらに右に展開されて右WTB西條に渡り、西條は持ち前の快速を
飛ばして立正大DFを振り切りインゴールに飛びこんだ。まだ開始から3分だ
が、この段階で既に法政フィフティーンのエンジンは全開。立正大はそのスピ
ードについて行けない。法政ファンはまずは一安心といったところ。

8分に立正大は法政陣10mラインの手前でPKのチャンスを得る。ここで、
立正大の選択はタッチキックではなくPG。スタンドが大きくどよめいた。距
離もさることながら、まだこの段階で?というのが正直なところ。左中間43
mの位置からのイシレリのキックは追い風に乗り飛距離十分だったがポスト左
に外れる。「もっと積極的に行け!」という関東学院戦でのスタンドから飛ん
だ声が思い起こされる。

立正大は風上に立っていたこともあるが、本日も攻撃はSO小玉のハイパント
が中心。これがことごとく法政にカウンターアタックのチャンスを与えること
となる。法政のバックスリーには走り自慢の選手達が揃っており、スピードと
ステップワークで立正大のディフェンダーを翻弄しながらビッグゲインを連発。
とくに左WTB友井川主将の小気味よいランニングが光った。オープンに展開
してもタックルで捕まったところで、出足が早い法政にターンオーバーされて
しまうのでキック主体となるのも止む得ないが、立正大はもう一工夫ほしいと
ころ。風の影響もあったとはいえラインアウトの不調も痛かった。

19分にはまたしても法政の速攻から得点が生まれる。自陣22mよりHWL
寄りの位置からのFKから連続攻撃で法政が大きくゲイン。最後は右WTBの
西條が立正大DFを振り切りこの日2つめのトライを決めた。法政のパス回し
も冴える。本日スタメンのSHは1年生の日和佐だが、いいリズムでBKにボ
ールを供給して攻撃の起点になっていた。FWもタイミング良く、しかも低い
姿勢でサポートに入っている。

といったように法政にとっていい流れの前半なのだが、なかなか電光掲示板の
得点が動かない。フィニッシュに向かってどんどん攻撃が加速していくのが法
政の持ち味のような気もするのだが、途中のラックでスピードダウンしてチャ
ンスを逃してしまうのは残念。また、テンポが速くなったところでパスに乱れ
が生じるのも(法政らしいといえばらしいのだが)気になるところ。

両チーム決め手を欠く中で、このまま前半が終了するかと思われた40分、よ
うやく得点板が動いた。SO小玉が自陣から放ったロングキックは風に乗って
ぐんぐん伸び、法政陣ゴール前でタッチを割る。ラインアウトは法政ボールだ
がノットストレート。立正大が法政ゴールを目前にしてマイボールスクラムの
大チャンスを掴む。立正大FWのサイドアタックに対して法政FWが低い姿勢
で執拗に食い下がるものの、最後はFLイシレリがインゴールに到達しトライ。
小玉のゴールキックも成功し、立正大のビハインドは僅か3点に縮まる。直後
にホイッスルが鳴り、前半が終了した。

[後半の戦い]

後半は攻撃力に優る法政が風上に立ったこともあり、ゲームは序盤からキック
を有効に使った法政ペースとなる。立正大のバックスリーは法政の選手のよう
なランに対する自信を持っていないためか、カウンターアタックでもプレーは
消極的。キックが再び法政のカウンターアタックを招くという悪循環で立正大
はなかなか法政陣に入れない展開となる。法政の出足が早いため、キック処理
に手間取る間にターンオーバーされてしまう場面も多く見られた。

5分には両チームの本日の闘い振りを象徴するようなシーンが見られた。法政
が立正大ゴール前で得たペナルティのチャンスから何とスクラムを選択。前半
開始早々、立正大がHWL付近からPGを狙った場面と同様にスタンドにはど
よめきが走る。そのどよめきの中に「立正大ももっと積極的にプレーしてほし
い。」という想いが含まれていたと思われる。最近の法政では「想定外」の事
態とも言えるが、おそらく法政のFWはスクラムでいけるという自信を掴んで
いたはずだ。

後半はなぜか自慢のオープン攻撃が影を潜め、FWのサイドアタックに拘って
いるように見えた法政。ここからゲームは法政3点リードのまましばらく膠着
状態に陥るが、15分に法政がHWL付近のラインアウトを起点とした連続攻
撃でCTB大村が奪ったトライを皮切りに3連続トライ。18分にはカウンタ
ーアタックからBK陣でタテをつきSH日和佐が、21分には立正大のキック
処理のミスにつけ込み最後はPR北島がそれぞれトライ。ここで法政のリード
が一気に18点に拡がり勝負ありとなった。さらに28分、WTB西條がこの
日3つめのトライでダメ押し。

後半まったくいいところのなかった立正大だが、最後に意地を見せる。35分
に法政のリザーブ陣がすべてピッチに登場したところで怒濤の反撃。39分に
はラインアウトを起点とした連続攻撃からSO小玉が自らインゴールに飛び込
みドロップキックでコンバージョンを成功。さらに42分、ここまで大人しか
ったLOミロが本領を発揮して大きくゲインを稼ぎ、最後はPRの古屋がトラ
イ。やっと生き生きした立正大のプレーを観ることができたが、もちろん時既
に遅しだった。最初からこのような積極性があっても良かったのではと思わせ
る幕切れだった。

[試合後の感想]

ゲーム内容の割には点が取れなかった気がしないでもないが、法政のスピーデ
ィな攻撃は見応えがあった。ついついトライを量産したBKの活躍に目を奪わ
れがちだが、もちろん本日の快勝の立役者はFWの8人。セットプレーから安
定したボールを供給し、常に相手を上回る集散の速さでアタックでは継続、デ
ィフェンスではターンオーバーに貢献していた。FWの強いチームと対戦した
場合にも同じプレーができるか?という懸念もあるが、この機動力は脅威。今
後どのような形でチームが仕上がっていくか楽しみになってきた。

立正大は最後まで法政の速さに翻弄され続けた感がある。キック以外に攻め手
がなかったのも残念。FWでサイドアタックを仕掛ける等の「動き」がなかっ
たのが不思議といえば不思議。だが、本日の試合で一番気になったのは、選手
達が総じて大人しく見えたこと。前日に同じ場所で必至の形相で死闘を演じて
いた流通経済大と大東大の選手達のことを思うとどうしてもそう見えてしまう。
残り5試合での成長に期待したい。
                          (2006年10月8日記)

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