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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

大東文化大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/10/15) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 大東文化大学:前半: 3  2  0  0 19 |
       :後半: 2  0  0  0 10 |  29 15
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 4  1  0  0 22 |  27 15


◎出場メンバー

 大東 : 1.銭場 2.森 3.須藤 4.エモシ 5.大窪 6.林 7.松田 8.島田
      9.寺西 [10].戸嶋 11.泉谷 12.殿崎 13.菊池 14.荒川 15.中島
     (16.川村 17.白石 18.松井 19.船戸 20.升館 21.大久保 22.増野)

    ○交替  7→18(後20分入替),  9→20(後22分入替),  2→19(後30分入替)
        12→21(後34分入替)


 中央 : 1.麻生 2.武田 3.藤田 4.小笠原 5.眞壁 6.豊田 7.松本 8.青木
      9.古賀 10.佐藤甚 11.小俣 12.馬場 [13].有田 14.長友 15.新井
     (16.菊田 17.岡島 18.小山田 19.植原 20.片渕 21.三原 22.岡本)

    ○交替  7→19(前37分入替),  6→18(後 8分入替),  5→17(後28分入替)
        13→21(後36分入替), 15→22(後36分入替)
    ●シンビン 15(後半11分)


 レフリー :岸川剛之(  協会公認)


◎得点経過

 大東文化大学  0            7          12               19       19
                            G          T                G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                            T
 中央大学    0                                  5               5


 大東文化大学 19              24 29                              29
                        T  T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             T                            T      T    G
 中央大学    5   10                           15     20   27   27


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 大東:前半11分 寺西 (T)、戸嶋 (G)
      22分 エモシ(T)
      39分 エモシ(T)、戸嶋 (G)
    後半13分 荒川 (T)
      16分 エモシ(T)

 中央:前半33分 豊田 (T)
    後半 2分 長友 (T)
      31分 長友 (T)
      38分 植原 (T)     
      43分 長友 (T)、岡本 (G) 


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

東海大快勝の余韻が残る観客席。果たして、同じく連勝中の大東大はどうだろ
うか。第1試合が始まる前に手にしたメンバー表に「異変」が見られた。FW
の軸エモシは先発を外れリザーブ。また、CTBの塚元も(おそらく負傷のた
め)欠場。しかしながら、電光掲示板のメンバー表には4番に「エモシ」の名
前がある。その代わりにNo.8森山が先発から外れ、松田がLOからFLへ、島
田がFLからNo.8へそれぞれスライド。当初はエモシを休ませる予定だったの
が、森山の負傷で急遽先発に戻したのだろうか?。チーム事情は分からないが、
大東大は選手のやり繰りに苦慮しているような感じがする。

「異変」があったのは中央大も同じ。メンバー表ではSOの先発は植村だった
が、電光掲示板ではリザーブに入っていた佐藤甚が10番となっている。貴重
なプレースキッカーを先発させたいという想いが首脳陣にはあったものの、植
村のケガの回復状態が思わしくないのだろうか?。メンバー表ひとつ取ってみ
ても両チームの苦労が伺える。といったようなことはさておいても、実は今シ
ーズンの中央大の試合を観るのは今日が初めて。シーズン半ばにしてやっと本
当の開幕が来たような気がする。中央大がどんなラグビーを見せてくれるだろ
うか。

[前半の戦い]

中央大のキックオフで試合開始。が、いきなりダイレクトタッチでちょっと気
合いが空回り。センタースクラムから大東大と中央大のキックの応酬があり、
カウンターアタックでエモシが中央大陣10m付近まで進んだところで中央大
が反則。大東大のPKが中央大ゴール前付近でタッチを割り、大東大が開始1
分でラインアウトから先制点のチャンスを掴む。しかしながら、中央大はステ
ィールに成功しモールを形成して前へ。だが、モールが10mくらい前進した
ところでレフリーの笛が鳴り、大東ボールになってしまう。モールアンプレア
ブルでどちらもボールが出せなくなったので攻撃権が大東に移ったのだが、ピ
ンチを脱したかに見えた中央大の応援席からは「何で?」の声が上がる。

再び大東大のチャンスとなり、中央大陣22m内のスクラムからBKに展開す
るもののパスミスで大東大は再度チャンスを潰す。両チームともピリッとしな
い立ち上がり。ここからしばらくゲームは中央大陣で進められるものの、大東
大にミスが目立つ。守勢に回りながらも中央大が粘りのディフェンスを見せ、
なかなか得点板が動かない。しかしながら11分、大東大は中央大陣22m内
での左サイドのスクラムからSH寺西がブラインドサイドを突いてトライ。ゴ
ールも決まり7点を先制する。

16分には中央大にチャンスが訪れる。大東大陣22mライン付近のマイボー
ルラインアウトからモールを形成して前進し大東大ゴールに迫る。が、またも
モールアンプレアブル。さすがに2度目だと偶然ではなくなる。中央大FWは
モールを押すときにちゃんと役割分担ができているのだろうか?という疑問が
沸いてくる。ドライビングモールを得意とする流通経済大も、長身のエモシら
によって天井から絡まれる感じの大東大のモール防御には手を焼いていたこと
が思い起こされる。中央大にとっては本当にもったいないミス。

そして、中央大は残念なミスから失点する。自陣10m手前からタッチを狙っ
たPKがノータッチとなり、逆に大東大SO戸嶋の蹴り返しのキックはぐんぐ
ん伸びて中央大ゴール前でタッチを割った。この試合でもSO戸嶋のキックが
要所要所でぴったり決まる。ここで、中央大は自陣ゴールを背にしたラインア
ウトでノットストレートを犯し5mスクラムのピンチとなる。大東大はここか
らNo.8島田がブラインドを攻めゴール前でラック。最後はエモシがインゴール
にボールを持ち込み、22分の段階で大東大はリードを12点に拡げる。

といったように、大東大が優勢の試合展開ではあるのだが、東海大の鮮やかな
展開ラグビーが目に焼き付いているせいか、試合全体が物足りなく見えてくる。
とくに大東大はパスミスが目立つことに加え、ラインアウトも不調。相手にス
ティールされるなど、マイボール確保がままならないとなれば攻撃のリズムに
乱れが生じるのも必然と言うべきか。SO戸嶋からのパスは正確にCTBに届
いているので、やはりCTB塚元の欠場が響いているようにも感じられる。

劣勢を挽回すべく、中央大もエース有田主将のビッグプレーを機に反撃に出る。
32分、大東大陣10m/22mの位置でのラインアウトからオープンに展開してC
TB有田が抜け出て相手DFの後方にチップキック。このボールがゴール直前
で中央大にとってラッキーバウンドとなり、FL豊田が拾ってそのままゴール
中央に飛びこんだ。なんと!コンバージョンキックは外れてしまったが、この
段階ならまだご愛敬といえる。結果的にこの失敗が勝敗の行方に大きな影響を
与えることになるのだが...。

両チーム得点を挙げたが、なかなか試合が落ち着かない。このまま両チームが
得点を挙げられないまま前半終了かと思われたが、大東大がFWのパワーを活
かして攻撃。スクラムからのサイドアタックに活路を開く。中央大が後ずさり
しながら反則を重ねたところで、最後はエモシがゴールラインの壁をぶち破っ
た。前半終了間際の貴重な追加点で大東大のリードは14点に拡がる。本来は
オープンに展開してWTBで取りたいはずの大東大だが、BKのラインアタッ
クが不調とあってFWで何とか力ずくでといった感じ。中央大は度重なるモー
ルでのミスが痛かった。

[後半の戦い]

後半開始早々、中央大が怒濤の攻撃を見せる。大東大キックオフのボールを確
保し損ねて自陣10mラインの手前で大東大ボールのラインアウトとなるが、
またしてもここで中央大がスティールに成功。FWがサイドアタックで大きく
前進し、BK展開から大東大ゴールに迫るが惜しくもパイルアップ。中央大は
大東大ゴール前の5mスクラムから粘り強い連続攻撃を見せ、最後はCTB馬
場がゴール左隅に飛びこんだ。コンバージョンキックは飛距離十分だったが、
今度はなんと!ゴールポストを直撃。中央大はツキがない。

このトライで中央大のビハインドは9点に縮まり、中央大は一気に活気づく。
大東大にミスが多く、ラインアウトはかなりの確率で「マイボール」になるの
で早い段階での逆転も十分に期待できる状況になってきた。が、そんな中央大
に残念なプレーが出てしまった。10分、自陣からの自らのハイパントを追い
かけたFB新井がキャッチングのためジャンプしていた大東大選手に空中で接
触。これが危険なプレーを見なされてシンビンが適用された。遠目に見て勢い
余ってのプレーのようにも見えたが判定は判定。

直後の12分、大東大は中央大ゴール前で得たPKのチャンスから連続攻撃を
仕掛ける。最後は右に大きく開いていたFB中島にパスが渡り、中島がそのま
まインゴールに飛びこんだ。そして、16分にはこの日も大車輪の活躍を見せ
るエモシが魅せた。蹴り合いの状況で中央大キックに対するカウンターアタッ
クでHWL付近から約50mを走りきりトライ。走っているときにも上体が動
かず、タックラーを無理なくハンドオフで退けるボディバランスが素晴らしい。
ここで大東大のリードは一気に19点に拡がり、これで大東大応援団は勝利を
確信し、中央大応援団は敗戦を覚悟の状況となってきた。

だが、勝負は分からない。つい先週も大東大が土壇場で勝利を収めている。果
たして、ここから中央大の怒濤の反撃が始まった。22分にはFB新井もシン
ビンから復帰して戦闘態勢が整う。31分には大東大陣ゴール前でのラインア
ウトを起点とした連続攻撃からWTB長友がフィニッシュ。(ここも正面のコ
ンバージョンキックを外してしまった。これでマイナス6点!)

さらに38分、大東大陣ゴール前でのスクラムから大東大がタッチに逃れよう
としたところで、中央大はインゴールでチャージに成功し、途中出場の植原が
タッチダウンに成功して20点目。中央大はあと9点取れば逆転というところ
まで来てしまった。ロスタイムは十分あるはずなので、中央大の応援席は大逆
転に向けて一気に盛り上がる。直後の大東大のキックオフで、今度は11分と
逆の状況が発生した。大東大選手がジャンプした中央大選手に空中で接触。今
度は大東大側にイエローカードかと思われたが警告のみだった。

だが、中央大はここでのPKから大東大陣に入り渾身のアタック。42分に長
友が大東大DFをぶち抜いてトライを決める。ゴールが決まればビハインドは
僅か2点になる。残り時間から見て、スタンドの誰もがドロップキックでゴー
ルを狙うものと思ったのだが、キッカーの長友はティーを要求。今度こそゴー
ルは決まったものの、その瞬間ノーサイドの笛が吹かれた。そのとき時計は4
3分。終了のゴングには少し早いようにも思われ、トライの後、すぐドロップ
キックを行っていれば...という状況だったが後の祭りである。前節の流通
経済大戦と同じ2点差ながら、今回は逃げ切りという形で辛くも大東大が勝利
を収めた。

[試合後の感想]

中央大は本当に残念だった。コンバージョンキックが2本決まっていれば劇的
な逆転勝利で、敗因をプレースキッカー不足に求めるのが一番わかりやすい。
だが、冷静に試合を振り返ってみれば、大東大がラインアウトで「チャンスボ
ール」を与えてくれなかったら、ここまで縺れた展開にはならなかったと思わ
る。中央大で気になったのは、FWが接点で力負けして活きたボールをBKに
供給できない場面が多く見られたこと。一例を挙げれば、ラックの局面でスタ
ンドからはボールがはっきり見えているのに、オーバーしてイーブンボールを
奪取するプレーがなかった。アンプレアブル2回のモールも含めて、中央大が
今後予想されるのサバイバル戦を勝ち抜くためには、1にも2にもFWの奮起
が必要と思われる。

大東大は3連勝ながらも苦しい戦いが続いている。この日3トライを挙げ、攻
守両面に渡って大活躍だったエモシが、もしメンバー表通りリザーブだったら
どうなっていただろうかと思った大東大ファンも多かったのではないだろうか。
3連勝の4チームの中では、大東大が満身創痍に近い状態になっているように
も見える。ここ2試合では、とくにエモシと戸嶋主将に大きな負担がかかって
いるように見える。もし、彼らの名前がリザーブにもない状況になってしまっ
たら戦力ダウンは避けられない。大東大の今後の戦いを見据えた場合に一番気
になるのはこの点である。             (2006年10月17日記)

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