Live Reports from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006 |
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大東文化大学 vs 立正大学 |
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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/10/29) 於:熊谷ラグビー場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 大東文化大学:前半: 3 3 1 0 24 | :後半: 2 0 0 0 10 | 34 14 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 立正大学 :前半: 2 1 0 0 12 | :後半: 2 0 0 0 10 | 22 10 ◎出場メンバー 大東 : 1.住田 2.森 3.須藤 4.エモシ 5.大窪 6.林 7.松田 8.島田 9.寺西 [10].戸嶋 11.泉谷 12.菊池 13.中島 14.荒川 15.増野 (16.坂下 17.川村 18.高木 19.友田 20.新川 21.殿崎 22.牧野) ○交替 7→22(後20分入替), 11→18(後27分入替), 2→16(後30分入替) 9→20(後30分入替), 8→19(後32分入替), 1→17(後40分入替) 10→21(後40分入替) 立正 : 1.古屋 2.小林 3.月野 4.ミロ 5.太田 [6].佐藤(元) 7.イシレリ 8.菅原 9.安部 10.佐藤(浩) 11.松原 12.田中 13.小林 14.小松 15.小玉 (16.桑原 17.伏島 18.木村 19.片倉 20.中山 21.松原 22.アヒオ) ○交替 15→21(後 4分入替), 4→18(後40分入替), 11→22(後40分入替) レフリー :篠原克行( 協会公認) ◎得点経過 大東文化大学 0 3 10 17 24 24 P G G G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 G T 立正大学 0 7 12 12 大東文化大学 24 29 34 34 T T 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 T T 立正大学 12 17 22 22 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 大東:前半 6分 戸嶋 (PG) 10分 増野 (T)、戸嶋 (G) 28分 林 (T)、戸嶋 (G) 38分 エモシ(T)、戸嶋 (G) 後半 7分 中島 (T) 29分 高木 (T) 立正:前半15分 イシレリ(T)、佐藤浩(G) 22分 小玉 (T) 後半 2分 イシレリ(T) 40分 ミロ (T) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] 大東大はここまで3勝全勝。だが、どうもしっくりしない戦いが続いている。 緒戦は日大の自滅に助けられ、2戦目の流通経済大戦はインジュリータイムに 辛くも逆転、そして3戦目の中央大戦も2点差で何とか逃げ切った。陣容から 考えてもっと相手を圧倒できたはず、というのがファンの偽らざる気持ちでは ないだろうか。過去2戦にしても後半の得点が10点というのはいかにも寂し い。今日こそは相手を圧倒して次節から始まる「優勝争いリーグ戦」に向けて 弾みをつけたい。 一方の立正大は、ここまでいいところなく3連敗。実力の差があるのは仕方な いとして、ここまで自分たちのやりたいことをやれずにきているように見える のが残念。今日こそは「これが立正大の目指すラグビー」というものを観たい 気がする。慎重に戦って満を持しているという見方も出来ないことはないが、 チャレンジャーとしての積極性が欲しい。また、今日の試合でそのようなプレ ーが出れば勝機を掴めそうな予感もする。今のところ無風状態のリーグ戦にそ ろそろ一波乱、を期待してキックオフを待った。 [前半の戦い] 立正大のキックオフで試合開始。開始早々、立正大が大東大陣22m内で相手 キックのチャージに成功。大東大がボール確保を図るもののノックオンを犯し ていきなり立正大に先制のチャンスが訪れる。大東大陣22mライン付近右サ イドの位置でのスクラム。果たしてどう攻めるか? スクラムからボールがF Wのやや右後方に位置したFB小玉に渡り、小玉がブラインドサイドを突破し て大東大ゴールに迫る。ここで立正大はモールを作ってトライを狙うが大東大 がこれをしっかり受け止めてモールアンプレアブル。得点まであと一歩という ところで攻撃権は大東大に移った。 惜しいプレーではあったが、今日の立正大は違うことをしっかりと印象づけて くれた立ち上がり。開始早々にドロップゴールを狙った前節とは違って今日は 立ち上がりの段階で期待が一気に50%以上膨らんだ。どうやら小玉をFBに 置き、彼のサイズを活かしてサイドを攻めることが立正大の攻撃オプションの ひとつのようである。ここにFW3列にLOのミロが加わったサイドアタック が絡めば面白い攻撃になりそう。 3分には今度はハイパント攻撃で大東大ゴールに迫る。大東大陣22m内でボ ールの確保に成功しゴール正面の位置でモールを形成。ここから良いボールが 出ればチャンスだったが、真後ろに出された強め(出会い頭?)のパスをFW の選手がノックオンしてしまい、大東大のカウンターアタックを招く。大東大 が立正大陣22m内まで一気にボールを運んだところで立正大がオフサイドの 反則。右中間15mの位置でのPGをSO戸嶋が慎重に決め、大東大が3点を 先制した。攻め込んだ局面からの切り返しによる失点は立正大とって残念だが まだ始まったばかりである。 直後の8分、HWL付近の立正大ボールラインアウトがノットストレートとな り大東大ボールスクラム。ここでエモシのパワーがいきなり爆発した。No.8島 田のサイドアタックからボールがエモシに渡り、そこにSO戸嶋が絡む形で大 東大は一気に立正大ゴールまでゲイン。ゴール前でできたラックからオープン に展開し、ここでもエモシが絡んで最後はFB増野がインゴールに飛びこんだ。 と、文章で書けばタテとヨコにボールが大きく動く大東大らしい豪快なトライ、 ということになるのだが実態は? ポイントポイントでキープレーヤがボールキャリアとなり、ビッグゲインとな った形なのだが、パスが際どく(うまく)繋がってしまった「結果オーライ・ トライ」と言えなくもない。奔放にパスが繋がって見ていて面白い反面、ちゃ んとディフェンスされた場合の組立は?と要らぬ心配もしてしまう。実はこの 形が本日の大東大の典型的な「ビッグゲイン、そしてトライに至るパターン」 となるのだが、もちろん開始早々ではそんなことは分からない。本日のファン の期待は、今後の強豪との戦いを見据えた「組立」によるダイナミックなトラ イのはずである。 しかし、「本日は積極的な立正大」の攻撃は続く。13分には大東大ゴール前 で得たスクラムのチャンスから今度はNo.8がサイドアタックで前へ。大東大が オフサイドの反則を犯したところで、PK→ラインアウト→モールで攻めてト ライに成功。ゴールキックも決まって立正大のビハインドは3点に縮まる。立 正大はさらに22分、先ほどと同じ大東大ゴール前ラインアウトのチャンスか ら同じくモールで前進。ここからオープンに展開し、ライン参加したFB小玉 が相手ディフェンダーをかわしてインゴールに走り込んだ。難しくない位置か らのゴールキックを外してしまったのが残念だが、立正大は12−10と2点 をリードする展開。今日は本当に期待できそう。 まさか、相手にリードを許したことで動揺があった訳ではない思うが、今日も 大東大がオープンに展開したときはおかしい。24分のアタックでもノックオ ンでチャンスを潰す。だが28分、大東大は10分のトライのところでも披露 した「細かく奔放に繋いでゲイン」のパターンでFL林がインゴールに到達。 ゴールキックも決まり17−12と再逆転に成功する。 立正大も負けていない。31分には再び大東大ゴール前へのハイパント攻撃で ビッグチャンスを掴む。大東大が自陣22m内でペナルティを犯したところで、 立正大がPKから速攻を仕掛けインゴールへ。しっかりボールをグラウンディ ングできれば再々逆転トライだったのだが、片手でのグラウンディングは勢い 余って?痛恨のインゴールノックオン。立正大応援席からは大きなため息が漏 れる。この段階なら「笑いを取ったプレー」と言えなくもないのだが、結果的 には試合の行方を左右することになるミスだっただけに、ホントに残念!!! 35分にも大東大は「細かく奔放に繋いでゲイン」のパターンで立正大陣の2 2m内へ。ここはスローフォワードで得点に繋がらないが、ここまでくると立 正大は対策を講じなければならない。単に強いだけでなく、毎回タイプの違う 相手と戦うのは大変だと思うが、初動段階でしっかり止めておけば大東大はポ イントから組み立てる形になる。スクランブルの状態で相手を見てしまい、ボ ールがどんどん繋がってしまうのは、対戦経験が少ない立正大にとってやむを 得ないところだろうか。 38分に再びエモシが爆発。立正大陣10m付近でのラインアウトはスローイ ンが乱れてボールがこぼれるが、大東大はこれをうまく拾ってサイドを攻める。 そしてボールがエモシに渡り、エモシはそのままタックラー達を振り払いなが ら約50m走りきりトライ。接点では頼もしいパワープレーヤーのエモシだが、 いい形でボールを持つと見ていてほれぼれするようなランナーに変身する。こ の体重、上背で上体がぶれないきれいなフォームで走れる選手はなかなか居な いのではないだろうか。タックルも高いと絶対に倒せない。勇気は必要だが、 足下に入って一発で仕留めた流通経済大のアンダーソンのようなタックルでな いと止められない。 結果オーライのような気がしないでもないが、このまま大東大が24−12の ダブルスコアで前半を終了。ただ、この点差と今日の両チームの状態なら、立 正大にも十分逆転勝利の目がある。今シーズン初めての「波乱」に向けて期待 が高まる。 [後半の戦い] 後半開始早々、立正大がキックオフに対するカウンターアタックからビッグチ ャンスを掴む。FB小玉が自陣から大東大ゴール前に大きく蹴りこんだボール がゴール直前でぴたりと止まり、大東大のNo.8島田が拾ったところに小玉が走 り込んできてタックル。その瞬間鈍い音がして小玉が倒れプレーが止まる。状 況はよく見えなかったが脳震盪らしい。立正大は5mスクラムからサイドアタ ックでトライを奪うことに成功し17−24(ゴール失敗)となるが、ここで 小玉は松原と交代。立正大にとってトライが取れたことは嬉しいが、(結果論 かもしれないが)後半開始早々にエースを失った代償は大きかった。FWのミ ロとイシレリは外せないのでFBとしてアヒオを投入することもできない。 7分、大東大はエモシのPKからの速攻をきっかけとしてトライを奪う。立正 大ゴール前ラインアウトのチャンスからモールで前進を図るが立正大も抵抗。 大東大がラックからオープンに展開したところでSO戸嶋がうまくスペースを 見つけて内に切れ込み、CTB中島にラストパスが繋がる。これで29−17 と大東大のリードは12点に拡がった。(結果的にこの5点は大きかった。) とはいっても12点差なら2トライ+2ゴールで逆転できる。立正大にとって は時間はまだ十分にある。このままでは追われない大東大も攻勢に出て試合は 白熱した展開となる。概ね攻撃力に勝る大東大ペースではあるのだが、大東大 がピリッとしないことと、立正大の粘り強いディフェンスによる抵抗もあって、 なかなか得点表示が動かない。24分には立正大が大東大のラインアウトのミ スに乗じて大東大陣に攻め込むものの、ノックオンでチャンスを潰す。 そんな中で、時間はいよいよ終盤の27分となった。立正大がHWL付近のス クラムからオープンに展開しWTBにボールが渡るか?というところでパスミ ス。これを大東大選手がうまく拾ってすかさずカウンターアタックを仕掛ける。 例のごとく「細かく奔放に」パスが繋がり大東大は大きくゲイン。途中、大東 大にアクシデンタル・オフサイドがあり、その状況はメインスタンド側からは っきり見えたのだが(立正サイドが期待した)ホイッスルは鳴らずそのまま継 続。右PR須藤の頑張りもあって、ボールはとうとう立正大22m内まで達し て最後は途中出場の高木がトライを奪った。ゴールは失敗(ポストを直撃)し たものの、これで大東大のリードは17点。逆転のためには立正大は残り10 分余りで3トライ取らなければならない。 大逆転に向けて立正大は最後の力を振り絞る。31分には大東大陣22m内で のラインアウトからサインプレー(キャッチングする選手が後ろに下がると見 せかけてイシレリが開いた前方のスペースに回り込み低いボールをキャッチ) で大東大ゴール一歩手前まで迫るものの惜しくもノックオン。37分にも同じ くラインアウトからモールで攻めるもののパイルアップ。こうして時間がどん どん過ぎていく。残り時間を考えればFW戦で時間を使うのはもったいない気 もするが選手達も必至。ただ、ここは「最後に意地を見せるトライ」ではなく、 あくまでも「逆転を目指したトライ」を取りに行かなければならない状況なの で冷静な判断が欲しいところ。 遂に時計が40分を指したところで5mスクラムからミロが大東大ゴールに飛 びこむがちょっと遅すぎた。立正大応援席を大いに沸かせ、大東大を苦しめた ものの、このままノーサイドとなった。 [試合後の感想] 立正大、本当に惜しかった。とくに残念だったのがインゴールノックオン。今 日の勢いからみて「波乱」は十分に起こりえる展開だったと言える。まだまだ 大東大の方が試合巧者だったということだろうか。ただ、この日ようやく見せ てくれた積極的なアタックは今後への期待を膨らませるものだった。大学選手 権さもなくば入替戦(いずれも最後の一つの椅子)を争う流通経済大と中央大 もパワーアップしているためなかなか厳しいが、残り2試合は今日よりもさら に攻めの姿勢を前面に出して頑張って欲しいと思う。 大東大は、今日もしっくりしなかった。勝つには勝ったがといった感じ。今後 のディフェンスもアタックも強力な相手との対戦を考えると、結果オーライ・ トライ(失礼ながら)だけでは心もとない。相手を攪乱するにはおもしろいが、 何度も仕える方法かどうかは疑問。エモシも徹底的にマークされるし、ライン アウトの度重なるミスは致命傷になりかねない。今日のような状態のままだと、 優勝争いに加わるのはちょっと厳しいのでは?というのが率直な感想である。 (2006年10月29日記) Top |
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