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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

流通経済大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/11/05) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 流通経済大学:前半: 2  2  0  0 14 |
       :後半: 3  1  0  0 17 |  31 14
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  19 14


◎出場メンバー

 流経 : 1.金城 2.吉田 3.松波 4.西川 5.笠原 6.アッピネル 7.古崎 8.鈴木(敬)
      9.山下 10.アンダーソン 11.種田 12.浅利 13.勝俣 14.仲程 15.森谷
     (16.夏目 17.古宮 18.相 19.藤田 20.飯笹 21.君島 22.森山)

    ○交替  9→20(前13分入替), 11→22(後27分入替), 10→21(後32分入替)
         5→18(後40分入替),  6→19(後43分入替)


 立正 : 1.古屋 2.小林(研) 3.月野 4.ミロ 5.太田 [6].佐藤(元) 7.イシレリ 8.菅原
      9.安部 10.佐藤(浩) 11.松坂 12.田中 13.小林(孝) 14.小松 15.小玉
     (16.桑原 17.伏島 18.木村 19.片倉 20.中山 21.松原 22.アヒオ)

    ○交替 10→21(後31分入替)
    ●シンビン  7(後半15分)


 レフリー :岸川剛之(日本協会公認)


◎得点経過

 流通経済大学  0   7                                     14      14
                   G                                     G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                         G
 立正大学    0               7                                  7


 流通経済大学 14                   19                 24  31     31
              x              T                   T  G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                       x         T        G
 立正大学    7                       12       19               19


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 流経:前半 2分 種田 (T)、山下 (G)
      40分 鈴木 (T)、仲程 (G)
    後半18分 吉田 (T)
      38分 西川 (T)
      41分 勝俣 (T)、仲程 (G)

 立正:前半14分 小林 (T)、佐藤 (G)
    後半22分 ミロ (T)
      31分 イシレリ(T)、小玉 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

いよいよサバイバルレースに突入。ここからは大学選手権出場のためにも、そ
して入替戦回避のためにも一つの負けも許されない。流通経済大は前節の関東
学院戦で大健闘を見せ、「生き残り」に向けて万全の体制が整ったように見え
る。今日こそは今までの鬱憤を晴らす形で「爆発」したい。スタメンには懐か
しい(というのも今シーズンはまだリザーブにも入っていない)アッピネルの
名前が。昨シーズンの最終戦(東海大戦)で起死回生の逆転トライを挙げ、チ
ームを大学選手権に導いた立役者である。フィフィタの負傷(おそらく)もあ
るが、立正大のミロとイシレリのパワーに対抗するための起用と思われる。

もちろん、負けられないのは立正大も同じ。ここまでなかなかいい形を見せら
れないでいるが、先だっての大東大戦ではようやくいくつか攻撃の形が見えて
きた。あくまでも私見ながら、ここまでは攻めがキック中心であったりと、慎
重さが先に立っていて、持てる力を出しきれていないように見える。今日こそ
は、地元熊谷のファンの声援に応えるためにも、最初から激しく、積極的に攻
めて欲しい。また、そのことが念願の大学選手権出場に近づく路でもある。

[前半の戦い]

流通経済大のキックオフで試合開始。戦前の予想通り、流通経済大が最初から
積極的に攻める。キックの応酬があった後の1分だった。立正大陣22mライ
ン手前(左サイド)のラインアウトからオープンに展開。右サイドのラックか
ら逆に左に展開し、CTBからのオープンキックを左WTB種田がゴール前で
拾ってそのままインゴールに飛びこんだ。流通経済大が鮮やかな速攻であっと
いう間に7点を先制した。

しかしながら、今日の立正大の選手はこれまでの戦いとはひと味違う。ファイ
トの塊というか、まるで全身から湯気が立っているかのように見える。4分に
は流通経済大陣22m付近でのラインアウトからオープンに展開し、ラインに
残っていたFLイシレリが強力にタテを付き、フォローしたLOミロがさらに
ゴール前に力強く前進。あと少しでゴールというところでオブストラクション
の反則があり、立正大は惜しくも得点機を逸した。だが、ようやくFWの4−
7コンビのパワーが発揮されたところで、立正大は活気づく。

もちろん、流通経済大もどんどん前に行く。6分には立正大陣10m/22mでのこ
ぼれ球(立正大ボール)をFLアッピネルが拾いゴールまであと少しのところ
まで迫るが、惜しくもノックオン。さらに8分、立正大陣22m内でのマイボ
ールラインアウトから素早くオープンに展開し、SOアンダーソンがライン参
加したFB森谷に飛ばしパス。森谷は持ち前の突破力を活かして立正大のディ
フェンダーを振り払いながら豪快にゴール中央に飛びこんだ。流経スペシャル
で7点を追加、と思ったのだが...。

間違いなくトライだと思い、グラウンディングを確認しないまま手元の記録用
紙に「森谷の豪快なトライ!」と書いた。だが、どうも様子がおかしい。ゴー
ル正面の位置の5mスクラム(立正大ボール)で試合再会。どうもインゴール
ノックオンがあったらしい。何と、これでインゴールノックオンに3試合連続
で遭遇してしまったことになる。宝くじを買ったら当たるかもしれないなと思
いつつ、あわてて記録用紙を訂正した。えてして、このようなことがあると試
合の流れが変わることになる。

流通経済大はなおも攻め続ける。SOアンダーソンはSHでもあるので、BK
のポジショニングが面白い。10番がSHで9番がSOということも臨機応変
に起こる。また、キックの場合、ロングキックなら飛距離の出るCTB勝俣が
蹴るが、陣地を取るようなコントロールキックの場合はアンダーソンがCTB
の位置に入っていて蹴ったりする。普段からポジションの受け渡しのトレーニ
ングを積んでいるので試合でも自然に出来るのだなと納得である。が、早々と
先制したことが流通経済大に安心感をもたらしたのか、どうも攻撃がしっくり
しない。ここに相手の好プレーが出れば確実に流れが変わる。

果たして、その「好プレー」が立正大に出た。12分、HWL付近での立正大
ボールラインアウトはまたしても流通経済大ボール。流通経済大はオープンに
展開してCTBがキックというところで立正大選手がチャージに成功する。ボ
ールは流通経済大ゴール前に向かって転々とし、一足早く追い付いた立正大選
手がそのまま拾えば間違いなくトライ。だったが、ここでもノックオン。本当
に惜しい。だが、このプレーが決定打となり、立正大がペースを掴む。

そのプレーの直後の14分、流通経済大ボールの5mスクラムを立正大FWが
押し込みターンオーバーに成功。ボールは素早くオープンに展開され、CTB
小林がトライ。ゴールも成功して7−7の同点となり試合は振り出しに。本日
の立正大はスクラムが好調で、流通経済大FWをしばしば押し込むシーンが見
られた。また、流通経済大が得意とするモールもほとんど押し込めない状況。
4(ミロ)−7(イシレリ)パワーを基軸にした立正大FWの健闘もあり、以
後試合は前半終了間際まで拮抗した状態となる。

流通経済大は自陣からはキックで敵陣に入り、敵陣ではオープン展開で攻める
スタイル。いい形で攻めるものの、詰めの部分でミスがありなかなか得点を挙
げることができない。一方、立正大も流通経済大がキック中心のため、マイボ
ールラインアウトのチャンスが多いのだが、肝心なところでノットストレート
や相手にスティールされたりと攻めきれない。

前半も終盤に近づいた38分、立正大は流通経済大陣22m内(左サイド)の
マイボールスクラムのチャンスからオープンに展開し連続攻撃。ライン参加し
たFB小玉がゴールに迫るが惜しくもスローフォワードで得点に結びつかない。
直後のスクラムから流通経済大はブラインドサイドを攻める。アッピネルが立
正大陣22mに迫った辺りでフォローしたNo.8鈴木にパス。鈴木は立正大ディ
フェンダーをかわしながらゴールに到達しトライを奪った。遠いサイドでよく
見えなかったのだが、意図した攻撃というよりはスクラムが回った状態で前が
開いていたので果敢に攻めたように思われる。ゴールも成功し流通経済大のリ
ードは再び7点に拡がる。結果的にはこの追加点が貴重だった。

[後半の戦い]

サイドは変わって、後半は立正大のキックオフで試合開始。両校FWが局地戦
で火花を散らしており、まさに肉弾戦の様相で試合は進む。3分には流通経済
大が膠着状態の打開を目指して左中間25m付近の位置からPGを狙うが失敗。
12分には逆に立正大が右中間25m付近からのPGを失敗。今日のような接
戦ならどちらも確実に決めておきたいところである。

そのPG失敗直後のドロップアウトのところで立正大に痛恨のプレーが出る。
FLのイシレリが不行跡でシンビンを適用され一時退場となってしまった。立
正大としては、リードは許しているものの全般的に押せ押せムード。そういっ
た中で、頼みの中心選手が10分間ピッチを離れることになるのは本当に痛い。
流通経済大はこのチャンスを逃さない。18分には立正大ゴール前でのライン
アウトのチャンスから得意のモールを押し込みトライ。ゴールキックはポスト
を直撃して跳ね返されたが、流通経済大は得点差を12点に拡げる。

しかしながら、選手は一人少なくなっても今日の立正大FWのパワーは落ちな
い。流通経済大が自陣10m付近で犯したノットロールアウェイの反則をきっ
かけとして得たマイボールラインアウトを起点として、先ほどのお返しとばか
りにモールを押し込みミロがトライに成功。ゴールキックは失敗(さほど難し
くない位置だったたけに、結果的に残念)したが立正大のビハインドは1トラ
イ+1ゴールで追い付く7点差に縮まる。時計は22分で、あと3分余りでイ
シレリがピッチに戻ってくる。

お尻に火が付いた状態の流通経済大も渾身のアタックで立正大ゴールに迫る。
24分にはラインアウトからのオープン攻撃でターンオーバー合戦の後、HO
吉田のロングパスを受けたWTB種田がゴールに迫ったところで立正大がオフ
サイドの反則。流通経済大はPGを狙わず、タッチキックからのラインアウト
でゴールを目指す。が、得意とするモールでゴール前までボールを運ぶものの、
ボールがモールからポロリとこぼれて(ノックオン)チャンスを潰す。

逆転勝利に向けて意気上がる立正大は28分、自陣10m付近(左サイド)の
スクラムからブラインドサイドを攻め、FB小玉が一気に流通経済大のゴール
前まで大きくゲインする。小玉は流通経済大のタックルを受けてゴールに届か
なかったものの、ラックからボールが展開されて間違いなくラストパス。と思
われたが惜しくもスローフォワード。流通経済大ボールのスクラムとなったが、
立正大がプレッシャーをかけてラックからのターンオーバーに成功。オープン
展開からラックを経て、FLイシレリがインゴールに飛びこんだ。小玉が慎重
にゴールキックを決め、31分の段階で19−19の同点となる。戦前は流通
経済大が優位に試合を進めるものと思われたが、ここまでくれば、どちらが勝
ってもおかしくない。立正大応援席のボルテージは一気に上がる。

このような展開になれば、流通経済大が浮き足立ってきても不思議ではないが、
「先輩」の風格からか落ち着いている。35分に立正大ゴール前でのPKのチ
ャンスを狙わずアタック。ラインアウトはノックオンとなってしまうが、相手
ボールスクラムからのタッチキックにプレッシャーをかけ、再び同じ位置でラ
インアウト。ここで、流通経済大にスペシャルプレーが出た。普通なら正規の
人数で並んでモールで攻めるところ。もちろん昨シーズン見せた「12人ライ
ンアウト」でもない。ショートラインアウトだった。立正大FWが強力なため
押し切れないので、素早くオープンに展開か?

ボールが投げ入れられたところでLO西川がブラインドサイドに回り込み、パ
スを受けてゴールを目指す。虚を突かれた形の立正大FWは対応が一瞬遅れて
しまい、西川はゴール左隅にダイブに成功。38分の段階で流通経済大が24
−19と5点のリードを奪った。流通経済大は41分にもPKからの速攻でア
ンダーソンからパスを受けたCTB勝俣がゴールに飛びこみダメ押し点を奪う。

立正大の最後の力を振り絞った反撃も実らず、このままノーサイド。ホイッス
ルが鳴った瞬間、立正大の選手達はばったりとピッチに倒れ込んだ。この試合
の重要性は十分にわかっており、しかも勝利まであと一歩のところまで行って
いただけに選手達は相当悔しかったに違いない。本当に熱い好ゲームだった。

[試合後の感想]

最後まで縺れる展開というのは、おそらく流通経済大にとっても予想外だった
のではないだろうか。開始早々に先制点が取れたことで多少気持が軽くなった
部分があったのかもしれない。試合内容からすれば、流通経済大が冷や汗をた
っぷりかかされた感じだが、試合を観ていて流通経済大の選手達に浮き足立っ
た様子は見られなかった。過去のチームなら「典型的な流通経済大の負けパタ
ーン」になりかねなかったところだが、最後まで落ち着いて試合を進められた
ところにこのチームの着実な成長を感じる。ミスが多く、おそらく試合後はコ
ーチから選手達は相当厳しい言葉をもらったかもしれないが、残り1試合も勝
利して大学選手権の舞台でさらなる成長を見せて欲しいと思う。

立正大は本当に残念だった。このラグビーが一つ前の試合で出来ていたら、と
毎試合ごとに感じていたが、果たしてこの試合もそうなった。しかしながら、
ようやく、イリレリやミロや小玉らの突破力を使ったオープン展開指向の立正
ラグビーが見えてきたのは収穫だと思う。何よりも嬉しかったのは、選手達の
闘志がはっきり見える戦う集団になってきたこと。おそらく来シーズンは最初
からアグレッシブに行けるに違いない。そのためにも残り1戦をしっかり勝利
してチャレンジを続けて欲しい。           (2006年11月6日記)

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