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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

流通経済大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/11/19) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 流通経済大学:前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 3  0  0  0 15 |  20 10
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 1  1  2  0 13 |  16 19


◎出場メンバー

 流経 : 1.金城 2.吉田 3.松波 4.西川 5.笠原 6.アッピネル 7.古崎 8.鈴木(敬)
      9.アンダーソン 10.君嶋 11.種田 12.浅利 13.勝俣 14.仲程 15.森谷
     (16.夏目 17.古宮 18.相 19.藤田 20.飯笹 21.鈴木(直) 22.森山)

    ○交代 11→22(後31分交替),  7→19(後38分入替)


 中央 : 1.麻生 2.武田 3.藤田 4.小笠原 5.小山田 6.豊田 7.眞壁 8.青木
      9.片渕 10.植村 11.小俣 12.馬場 [13].有田 14.長友 15.越村
     (16.菊田 17.岡島 18.岡 19.松本 20.木下 21.佐藤(甚) 22.新井)

    ○交代  8→19(後 0分入替)


 レフリー :山田智也(日本協会公認)


◎得点経過

 流通経済大学  0                                5                 5
                                                T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                  P
 中央大学    0                        3                         3


 流通経済大学  5                    10         15           20   20
                              T          T            T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                G                 P            x P
 中央大学    3      10                13             16        16


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 流経:前半31分 吉田 (T)
    後半19分 鈴木 (T)
      30分 仲程 (T)
      43分 森谷 (T)

 中央:前半23分 越村 (PG)
    後半 5分 長友 (T)、越村 (G)
      23分 越村 (PG)
      38分 越村 (PG)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

両チームとも負けられないサバイバル戦の第2ラウンド。流通経済大は先に1
勝を挙げて優位に立っているものの、ここで負けてしまえば大学選手権出場は
最終戦の結果待ち(他力本願)となってしまう。だが、その流通経済大にアク
シデント発生か? 試合会場で配られたメンバー表ではいつも通りSOのアン
ダーソンが電光掲示板の表示ではSHでの出場となっていて、SOにはルーキ
ー君嶋が起用されている。正SHの山下は前節で負傷退場しているので、普通
ならSHは2番手の飯笹が起用されるはず。来シーズンのことを考えれば君嶋
を試してみたいところだが、実力が伯仲しており、しかも決死の覚悟で試合に
臨んでくる中央大が相手ではリスキーな選手起用と言える。

一方の中央大。ここで負ければ大学選手権出場はなくなり、しかも最終戦は入
替戦回避のための文字通りサバイバル戦。逆に勝利を収めれば勢いに乗って連
勝もあり得る。その中央大に強力な助っ人が現れた。学ランに身を包んだ応援
団が登場。必勝を期す中央大フィフティーンに力強いエールを送る。中央大の
メンバーにも変化が見られた。SOに植村が復帰し、FWにも眞壁の名が。但
しその眞壁はFLで起用されている。メンバー起用にやや不安が見える流通経
済大と比べれば中央大は最強の布陣のように見える。あいにくの雨の中、スタ
ンド中央の小さな屋根の下に両チームの部員達を含む応援団が呉越同舟となる
一種異様な雰囲気。激しい応援合戦が繰り広げられる中でキックオフを迎えた。

[前半の戦い]

流通経済大のキックオフで試合開始。中央大のタッチキックがノータッチとな
る中で流通経済大がカウンターアタックを仕掛ける。が、出足の鋭い中央大が
ターンオーバーに成功してオープンに展開。惜しくも22mライン手前までゲ
インしたところでノックオンがありチャンスを潰してしまうが、今日の中央大
はいつにも増して気合いが入っていることを感じさせる立ち上がりだった。

流通経済大も自陣22m付近スクラムから逆襲。森谷がブラインドサイドを突
き破りHWLを越えたところでラックとなり、ここで中央大はオフサイド。こ
こから前半の殆どの時間においてゲームが中央大陣で進められる流通経済大ペ
ース(その後の展開を見れば?が付くが)の試合展開となった。2分の中央大
ゴール前でのラインアウトのチャンスはモールを作って押し込むものの、途中
でモールが分裂してしまいオブストラクション。だが、これは序の口だった。

直後の中央大のPKはノータッチとなり流通経済大がカウンターアタックで中
央大陣22mまで迫るもののノックオン。7分の中央大ゴール前ラインアウト
からのオープン展開は右WTBまでボールが渡ったところで中央大のタックル
にあい、ラックで流通経済大のオフサイド。8分の中央大ハイパントに対する
カウンターアタックはノックオン。9分の同じく中央大ハイパントに対するカ
ウンターアタックではアクシデンタルオフサイドといった具合。

10分に中央大は流通経済大陣22m付近でスクラムのチャンスを掴むが、流
通経済大FWにスクラムを押し込まれてオフサイドを犯してしまう。以後、再
び主戦場は中央大陣へ。しかしながら、流通経済大のミスは続く。雨でボール
が滑りやすいこともあるが、とにかくノックオンが多い。SHアンダーソンか
らSO君嶋に慎重にパスが送られるのだが、かえってこれが攻撃のリズムを崩
していたようにも見える。ボールの展開がワンテンポ遅れ、しかもSOでの崩
しやCTBでの細工がないので簡単に中央大DFに捕まってしまう。フォロー
が遅れ気味でノットリリースやオーバー・ザ・トップの反則が多い。さらに気
持が前に行き過ぎているためか全体的にフォローが浅めでレシーバーが止まっ
てパスを受ける場合が多く、アタックにスピード感が出ない。

ただ、流通経済大にミスが多いと行っても、主戦場は中央大陣。中央大が前に
出るにはどうしてもキック主体となってしまうため、リスタートがラインアウ
トなることが多くなかなか自陣から脱出できない苦しい展開が続く。流通経済
大が優位に試合を進める中で、最初に得点を挙げたのは皮肉にも中央大の方。
23分、流通経済大陣の10mラインからややゴール寄りの位置(左中間)の
位置で得たPKのチャンスで、FB越村が約38mのPGを決めて中央大が3
点を先制する。中央大応援席は俄然盛り上がる。

この先制点に中央大は元気を得て、両チームFWの激しいボールの奪い合いが
続く。相変わらず流通経済大にミスが多い展開の中、ようやく流通経済大に得
意の形からの得点が生まれる。31分、中央大陣22m内でのラインアウトか
らモールを押し込みHOの吉田がグラウンディングに成功した。ここまで、モ
ールは中央大の抵抗にあってなかなか押し込めない状況だったが、ようやく取
れたという感じ。オープンに展開しても決め手を欠く状況なので、これで流通
経済大に落ち着きが出るはず。

だったが、流通経済大がなかなか波に乗れない。雨でボールが滑りやすいこと
は別にしても急造ラインでオープン展開はリスキーなはずだが、FWでゴリゴ
リの展開にならない。ラインアタックを試す状況でもないだけに疑問が残る戦
術。逆にチャンスこそ少ないものの、中央大BKのライン攻撃には切れ味があ
る。このまま流通経済大がチャンスを活かせない状況が続けば、間違いなく試
合の流れは中央大に傾く。得点表示が動かないまま試合が進んでいく状況の中
でそんなことを想ううちに前半が終了した。

[後半の戦い]

果たして後半はキックオフから中央大が積極的に攻める。キックオフ直後の流
通経済大陣10m付近のラインアウトからオープンに展開して連続攻撃。惜し
くも22m内に達したところで中央大はノックオンを犯すが、攻撃のリズムが
いい。前半はほぼ完璧だった流通経済大のラインアウトにも乱れが生じる。4
分に自陣22m内でのラインアウトがノットストレートとなり、攻撃権が中央
大に移ったところで、中央大はスクラムから連続攻撃。最後はCTB有田がラ
インブレイクしてタイミング良く走り込んできたWTB長友にラストパスを送
る。越村のゴールキックも成功し中央大が10−5と逆転に成功。

波に乗る中央大に対し、流通経済大はなかなかノックオン禍から逃れられない。
ただ、中央大はセットスクラムで流通経済大FWの強力なプレッシャーを受け
るため、なかなか安定した球出しが出来ない。中央大が完全にペースを掴むに
至らないのはここに原因があるように見える。そんな膠着状態の中、再び流通
経済大に得意な形から得点が生まれる。19分、中央大陣ゴール前ラインアウ
トから流通経済大はモールを作って前進。ラックとなったところでNo.8の鈴木
がサイドをついてインゴールに飛びこんだ。GKは失敗するもののこれで10
−10の同点。流通経済大は際どいところで中央大にペースを渡すことなく踏
みとどまる。

中央大も追いすがる。リスタートのキックオフ直後のカウンターアタックから
連続攻撃で流通経済大陣に攻め込む。中央大が流通経済大陣22m手前までゲ
インしたところで流通経済大がオーバー・ザ・トップの反則。FB越村がやや
角度がある左中間25mからのPGを成功させ、23分の段階で中央大が再び
3点をリードする。中央大応援席は大いに盛り上がる。その後しばらくは中央
大が自陣ゴールを背にして、またミスを重ねる展開となるが、これを何とか凌
ぎ切る。中央大の勝ちパターンか?

圧倒的にボールを支配しながらもなかなかチャンスを得点に結びつけられない
流通経済大。だが、試合が終盤にさしかかった30分に起死回生のプレーが出
る。立役者は本日はSHで登場したアンダーソン。HWL付近のセットスクラ
ムから果敢にブラインドサイドを攻め中央大陣22m付近まで大きくゲイン。
アンダーソンは中央大ディフェンダー3人に囲まれたところで神業のようなパ
スをWTB種田に渡し右サイドでラック。流通経済大はここから左オープンに
展開してオーバーラップ状態ができたところで、CTB勝俣がそのままインゴ
ールへ。

勝俣はそのままゴールに飛び込めたし、タックルされてからパスしても大丈夫
のように見えたが、慎重を期して?WTB仲程にパス。仲程が何とそのパスを
弾いてしまった。流通経済大応援席からも思わずため息が漏れ、ノックオンか
と思われたがホイッスルは鳴らずに仲程がボールを拾って無事トライ。仲程は
状況から見て自分までパスが回ってくるとは思わなかったのかも知れない。こ
こは(結果論かもしれないが)ラインが浅かったことが幸いした感じ。ゴール
キックは失敗し15−13と2点差という微妙な点差を残しながらも流通経済
大は再逆転に成功する。

中央大もこのまま負けるわけにはいかない。死力を尽くして反撃に出る。ビハ
インドはPG1本で逆転可能な2点。越村のゴールキックは安定している。3
6分のPG(右中間38m)は外したものの、直後の38分のPG(左中間3
5m)は見事成功。中央大は土壇場で僅か1点差ながらも再々逆転に成功した。
40分にはHWL付近のラインアウトのチャンス。ここで中央大は流通経済大
陣に攻め込むもののオフサイドを犯す。ここでロスタイムは4分のアナウンス。
続くラインアウトのモールでも中央大はペナルティを犯してしまう。流通経済
大はPG1本でも逆転可能な位置だったが狙わずラインアウト→モール攻撃に
すべてをかける。

そしてゴール前ラインアウト。モールをがっちり組み、そこにBKメンバーも
参加して確実にゴールに向かう。流通経済大のもっとも得意とする形。最後に
グラウンディングに成功したのはFBの森谷だった。ここで20−16と流通
経済大は逆転に成功。仲程のゴールキックが失敗した瞬間、ホイッスルが吹か
れノーサイドとなった。中央大は健闘も実らず、最後の最後に力尽きてしまっ
た。屋根の下の応援席からグランド方向に向かって躍り上がるように降りて行
く流通経済大の部員達と、それとは対照的にすっかり沈黙してしまった中央大
応援席。最後の最後で残酷なくらい勝者と敗者を分けてしまった。

[試合後の感想]

帰宅して公式記録を確かめたところ、流通経済大の飯笹はリザーブ登録だった。
おそらく試合直前のアクシデントで急遽アンダーソンがSHを務めることにな
ったともの思われる。そうでなければ本日の流通経済大のBKアタックの不調
は説明が付かない。結果から見ても、とても新フォーメーションをテストする
状況にはなかったので。とはいえ、最後は得意の形で決めた流通経済大の底力
を感じさせた試合だった。大学選手権ではBKアタックに磨きをかけて思う存
分活躍して欲しいと思う。

最後の最後に力尽きてしまった中央大。今年は例年に比べて充実した戦いぶり
を見せていただけに残念である。結局の所、この試合でもFWの力の差が試合
結果に現れてしまったように思われる。強いて言えばスクラム。セットでプレ
ッシャーを受けたことでBKへの活きた球出しができなかったことが大きい。
最終戦では生き残りをかけて立正大と戦うことになるが、立正大のFWも力も
侮れない。得点力があるBKを活かすためにも、ここはFWの奮起に期待する
しかない。                     (2006年11月21日記)

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