Live Report from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006 |
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東海大学 vs 大東文化大学 |
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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/11/25) 於:江戸川区陸上競技場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 大東文化大学:前半: 1 1 0 0 7 | :後半: 0 0 0 0 0 | 7 14 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 東海大学 :前半: 2 1 0 0 12 | :後半: 2 2 0 0 14 | 26 16 ◎出場メンバー 大東 : 1.住田 2.坂下 3.須藤 4.エモシ 5.大窪 6.松井 7.牧野 8.森山 9.寺西 [10].戸嶋 11.泉谷 12.菊池 13.高木 14.増野 15.石川 (16.川村 17.船戸 18.島田 19.新川 20.友田 21.升屋 22.徳山) ○交替 9→19(後19分入替), 1→16(後24分入替), 4→18(後25分入替) 10→21(後25分入替), 2→17(後35分入替), 14→22(後35分入替) ●シンビン 4(後半 2分) 東海 : 1.江黒 2.岸 3.岩本 4.木下 5.杉浦 6.宮本 7.樫本 [8].豊田 9.辻埜 10.津田 11.起山 12.吉田 13.山内 14.山田 15.木部 (16.中村 17.猿田 18.ランギ 19.荒木 20.森(重) 21.森脇 22.松本) ○交代 12→21(後12分交替), 3→16(後25分入替), 6→18(後28分入替) 9→20(後35分入替), 2→17(後35分入替), 7→19(後367分入替) 14→22(後37分入替) レフリー :山田智也(日本協会公認) ◎得点経過 大東文化大学 0 7 7 G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 T G 東海大学 0 5 12 12 大東文化大学 7 7 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 G G 東海大学 12 19 26 26 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 東海:前半33分 豊田 (T) 38分 木部 (T)、吉田 (G) 後半11分 宮本 (T)、吉田 (G) 25分 岸 (T)、木部 (G) 大東:前半14分 松井 (T)、戸嶋 (G) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] いよいよ最終戦。東海大が星ひとつリードしている格好ではあるが、大東大は この直接対決で勝てば(法政が関東学院に敗れて3竦みの可能性もあるにはあ るが)東海大より上に行ける。負傷者が出たためなかなかベストメンバーが組 めない状況でもしっかり上位グループに残っているのだから、最後はしっかり 勝利で締めたいところ。また、大学選手権を見据えた場合、FWのタテ以外に も有効な得点手段が欲しい。今日こそはBKにも大きく展開するダイナミック なラグビーが観られるだろうか。 もちろん東海大もここで勝利を収め、ワンラックアップを果たした今シーズン を締めくくりたい。勝てば(こちらも法政が勝った場合に3竦みとなる可能性 はあるが)来シーズンは最終ラウンドを秩父宮で戦うことができる。その東海 大にとって、時にセオリーにないラグビーを見せる大東大は戦いづらい相手で はないかと思われる。大東大の攻撃がスクランブル状態となったときに、あく までも組織的に冷静に対応できるかどうか。勝敗とは別にそんなことにも想い を巡らしながらキックオフを待った。 [前半の戦い] 微風の中、風下に立った東海大のキックオフで試合開始。大東大のタッチキッ クがノータッチとなり、東海大がカウンターからハイパントで攻めるといった 形で蹴り合いとなった。最終的に東海大陣10m付近で東海大がオーバー・ザ ・トップの反則を犯し大東大がタッチを狙ってキック。これも直接ボールがイ ンゴールまで転がりタッチとなってしまう。本日は、序盤に限らず、大東大の キックが正確性を欠く場面が目立った。 5分、まずは東海大がチャンスを掴む。東海大陣10m付近の東海大スクラム で東海大がコラプシングの反則を取られたところで大東大のエモシがチョン蹴 りから前へ。22mまで前進したところでノックオンがあり東海大が右オープ ンに展開して大きくゲインし、大東大陣深く入ったところで左に展開。ボール が東海大左WTB起山に渡るものの22m付近でノックオン。大東大はエモシ を中心にタテをつき、東海大はオープン展開を交えながら継続といって具合に 双方違ったパターンでボールが繋がる。のだが、決定的なところでミスが出て なかなか得点に至らないパターンが続く。攻守の切り替わりが多く、ボールが ピッチを駆けめぐる感じだが、ちょっと落ち着かない展開でもあった。 12分、今度は大東大がチャンスを掴む。東海大が大東大陣22m付近のライ ンアウトからオープンに展開しセンタークラッシュとなったところで大東大が ターンオーバーに成功。東海大のウラが開いたところで大東大がすかさずキッ クで前を目指す。東海大のWTB山田が自陣ゴール前で辛くもこのボールに追 い付くがセービングしたところでノットリリース。大東大がPKから速攻で攻 めてNo.8森山がグラウンディングに成功。GKも成功し、大東大が幸先良く7 点を先制した。東海大のWTB山田は足をやや引きずって走る感じで、まだ本 調子ではないようだ。 大東大がタテ攻撃中心なのに対し、東海大はオープン展開で組織的に継続。だ が、ピッチの状態がよくないこともありBKの選手が足を取られることが多く、 東海大は有効なゲインが稼げない。双方条件は同じとはいえ、ちょっと東海大 選手には気の毒な感じもする。東海大は19分に大東大陣22m内のスクラム から8→9でオープンを攻めるもののHO岸がノックオン。ペースを握ってい るのは攻めている東海大の方だが、なかなか得点に結びつくアタックができな い。組織的の面では(ラインがデコボコだったりして)?が付く大東大だが、 個人個人のディフェンスはしっかりしている。東海大は速さを意識してかプレ ーに落ち着きが無く、アタックのリズムが単調になってミスも増えるといった 感じ。この辺りは依然として東海大の攻めの課題として残っている。 圧倒的に攻めながらも、最終局面でミス(ノックオンや反則やターンオーバー) でなかなかゴールラインを越えられなかった東海大だったが、ようやく32分 に得点を挙げる。31分にPKからゴール前ラインアウトを狙ったキックはノ ータッチとなるが大東大が自陣22m内でノックオン。東海大はスクラムから オープンに展開し大東大ゴール前でモールができ、最後はNo.8の豊田がインゴ ールに飛びこんだ。CTB吉田のGKは失敗したが東海大は5点を返し、やっ と一息つく。 続く38分、東海大は再び大東大のミスから得点を奪う。大東大は自陣22m 内でのラインアウトでノットストレート。東海大はスクラムから右オープンに 展開し、センタークラッシュしたところでラックからNo.8豊田が左サイドを攻 める。大東大の左サイドのDFが薄くなったところで東海大は右オープンに展 開し、ライン参加したWTB起山がパスを受けて一直線にインゴールまで駆け 抜けた。ゴールキックも成功し、東海大は逆転に成功。ゲームが東海大の攻め あぐみ状態で膠着状態に陥りかけていただけに、東海大にとってこの得点は大 きかった。 [後半の戦い] 東海大は前半終了付近に掴んだ流れを活かして得点を重ねたいところだったが、 大東大キックオフのところでノックオン。この試合に限らずスタートのところ で集中が足りないようにみえるのが気になる。が、大東大がスクラムからサイ ドを攻めたところでアクシデント(?)発生。エモシがオブストラクションを 犯してシンビンを適用されてしまった。大東大は後半開始早々にしてキープレ イヤーを失うというピンチに立たされてしまった。 大東大はこれで意気消沈かと思われたが、逆にFWの闘志に火が付く。東海大 のPKがノータッチとなったところでカウンターからFWでタテをつき、HW Lまでボールを運ぶもののノットリリース。大東大の大型FWのタテ攻撃は威 力がある。が、組織がバラバラでボールをゴールラインまで運ぶことができず、 反則かノックオンで攻撃権を東海大に渡してしまう。 大東大とは対照的に、東海大はあくまでも組織を崩さない。11分の得点もき っかけは大東大のミス(マイボールラインアウトのボール確保の失敗)だった が、東海大の組織的な攻撃から生まれた。ゴール前で粘り強くポイントを作り ながら攻撃を継続して最後はFLの宮本が完全にフリーの状態で難なくゴール ラインを越えた。ボールが動く割に横走りも多く、ゲインできていないような 気がしないでもないが「継続は力なり」を感じさせるトライだった。 13分にようやくエモシが復帰し、大東大が息を吹き返した。東海大陣10m 付近のスクラムからオープンに展開してCTB高木が身体の強さを活かして中 央突破。ボールがラックからさらにオープンに展開されて大東大選手が東海大 ゴールに迫るものの、目前で惜しくもタッチに押し出されてしまった。得点に は繋がらなかったもの、大東大がようやくオープン展開によるダイナミックな 攻めを見せた。 続く16分、東海大が自陣から速攻で攻めるが大東大が自陣でターンオーバー に成功して逆襲。ボールがエモシに渡り東海大陣に入ったところで2対1の状 態になった。エモシがタックルを受けたところでフォロワーに満を持してパス を送ったが、ここで痛恨のノックオン。エモシのパスは片手だったが丁寧に渡 す感じだったので、フォロワーは一瞬前を見るかしてボールから目が離したの かも知れない。前が完全に開いていて120%トライの状況だっただけに、大 東大にとっては本当に残念なミスだった。 後半も前半と同様、双方激しく攻め合う割になかなか得点が生まれない状況が 続くが24分、東海大にダメ押しとも言える追加点が生まれた。大東大ゴール 前ラインアウトからモールを作って押し込みHO岸がグラウンディングに成功。 それまでの抵抗がウソのように大東大FWがあっさり押し込まれてしまった。 なかなか得点が生まれない状況に大東大は気落ちしてしまったのだろうか? 結局、その後もボールは動くものの得点板が動くことなく、試合は終了。FW のタテ攻撃が中心で言わばスクランブル状態でボールが前に運ばれる大東大に 対し、あくまでも組織を崩さず組み立てながらボールを動かす東海大。双方の 育んできた「ラグビー文化」がかみ合うことなく試合は終わった。グランドで 行われていたのは両チームのFWを中心とした激しい肉弾戦だったことに間違 いはないのだが、激戦という印象の薄い何とも不思議なラグビーではあった。 [試合後の感想] やや危ない場面があったとはいえ、最後まで「組織」を崩すことなく戦い抜き、 難敵に対して勝利を収めることができたことは東海大にとって大きい。もう少 し攻撃に「タメ」が欲しい部分があったり、アタックの方向がディフェンスの 厚い方向の場合が多く有効なゲインが得られなかったりと「大学日本一」に向 けての課題はあるが、それは今後の楽しみとしたい。個性的な選手が育った来 た中で東海大のラグビーがさらに強くなっていくことを期待したい。 大東大は岐路に立たされているかも知れない。東海大や流通経済大のように組 織を整備すべきかどうかという意味で。ラトウ監督は、就任当初組織的なチー ム作りを目指したものの、うまく行かなかったとラグビーマガジンのインタビ ューに答えていたと思う。東海大や流通経済大にしても10年近い時間をかけ てやっとそれが実りかけているという状態なので難しいことは間違いない。が、 やはり時代の流れには逆らえないように思う。「自由奔放」な部分が組織のメ ニューの中に効果的に組み込まれるといったラグビーが出来ないものだろうか。 大東大にしかできない組織的なラグビー、そんなラグビーがあってもいいよう な気がする。 (2006年11月26日記) Top |
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