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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

関東学院大学 vs 法政大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/11/25) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 4  1  0  0 22 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  29 10
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 法政大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 4  1  2  0 28 |  35 15


◎出場メンバー

 関東 : 1.西垣 2.田中 3.原田 4.西 5.北川 6.石田 7.大野 8.土佐
      [9].吉田 10.藤井 11.中園 12.高山 13.櫻谷 14.竹山 15.山下
     (16.高坂 17.児玉 18.設楽 19.佐伯 20.朝見 21.草下 22.重見)

    ○交代 11→20(後25分入替),  6→21(後27分入替)


 法政 : 1.鎌田 2.稲田 3.山内 4.井上 5.森 6.泉 [7].遠藤 8.竹中
      9.成田 10.文字 11.西條 12.田沼 13.大村 14.山本 15.坂元
     (16.岡村 17.北島 18.遠山 19.有田 20.日和佐 21.佐藤 22.友井川)

    ○交代  8→19(後 5分入替),  1→17(後20分入替), 12→21(後28分入替)


 レフリー :谷口かずひと(日本協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0      5  12        17                      22    22
                      T  G         T                       T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                      G
 法政大学    0                            7                     7


 関東学院大学 22                                        29       29
                                                  G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
              T          T    G       P       P     G
 法政大学    7    12         17   24      27      30    35     35


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半 5分 土佐 (T)
       8分 藤井 (T)、山下 (G)
      18分 土佐 (T)
      42分 中園 (T)
    後半39分 原田 (T)、山下 (G)

 法政:前半27分 竹中 (T)、文字 (G)
    後半 3分 有賀 (T)
      14分 山本 (T)
      19分 田沼 (T)、文字 (G)
      27分 文字 (PG)
      35分 文字 (PG)
      41分 坂元 (T)


◎試合内容

[競技場到着前の雑感]

本日はまず江戸川で東海大対大東大戦を観戦。そのまま帰宅してビデオでこの
試合を観るオプションもあったが、たとえ後半だけでもリーグ戦の看板カード
を見届けておきたい。関東学院が優位の状況にあるという認識ではいるが、法
政は「何か」を起こす力を持っているチームである。東海大勝利を見届けた上
で東京メトロの西葛西駅に向かった。

東西線の日本橋駅で銀座線に乗り換えて外苑前駅へ。道すがら、売れ残りの弁
当や焼きそばが投げ売り状態で売られている。なるほど、キックオフ後にはこ
んなことが起こっているのか、と新たな発見。ちょうどお腹もすいてきたので
ありがたく焼きそばを購入して秩父宮のゲートをくぐった。

[前半の戦い]

ちょうどチケットを購入し終え、バックスタンドに通じている入り口に向かけ
た頃、スタンドより大きな歓声が沸き起こった。しばらくして元気な「法政コ
ール」がこだまする。どうやら法政が得点を挙げたらしい。果たしてスコアは
どうなっているのだろうか? 心持ち早足で入場口を通過しスコアボードを見
たら17−5で関東学院がリード。法政が一矢報いたといったところだろうか。

(競技場に入ったのは前半30分を過ぎた頃だった。もちろん、この法政のト
ライが後半の布石となる「一撃」だったことは知るよしもない。ちなみにそれ
までに関東学院が挙げたトライは5分、8分、18分の3つ。うち2つはFW
で挙げている。)

バックスタンドの中央は埋まっているため、南側のやや後方の席に着席。周囲
は法政ファンが多い。ようやく1トライを挙げて盛り上がった状況ではあるが、
冷静に贔屓チームの戦いを観ている印象。まだこの段階では、やっぱり関東学
院は強いけど、法政にも頑張って欲しいなという雰囲気のように思えた。時計
はそろそろ35分。ここから本格的な観戦モードに入る。法政に1トライ取ら
れたが、関東学院のボールの繋ぎは流石と思いつつ前半の終了が近づいてきた。

そして42分、関東学院が法政陣ラインアウトからの素早いオープン展開でト
ライを挙げる。お約束!とばかりに今日も中園が決めた。このようにHWLか
らでもセットからの一発で取れてしまうかと思えば、フェイズを重ねてもなか
なかゴールまで届かないこともあるのが今年の関東学院。両者のギャップに、
どちらが本当なのか分からなくなることがままある。だが、このトライでリー
ドが15点に拡がったこともあり、後半は強い方の関東学院が見られるに違い
ない。法政ファンもそんな感じで試合を観ているように感じられた。

[後半の戦い]

ハーフタイムを利用してメンバー表をチェックする。関東学院は通常はFLの
竹山がWTBに入っている。中園がオープンサイドで竹山がブラインドサイド
という分担のようだ。法政ではSOに新人の文字が入っている。スタンド(法
政ファン)からしきりに「もんちゃん、もんちゃん」の声が飛んでいた理由が
ここで理解できた。

そして、法政のキックオフで後半が始まった。ハーフタイムに(おそらく)気
合いを入れ直した関東学院が前掛かりで攻める。カウンターアタックから一気
に法政陣22mまでボールを運び法政が反則。関東学院のPKからの速攻は法
政ノット10mバックで、関東学院は開始早々の1分にして法政陣ゴール前ラ
インアウトという絶好の追加点のチャンスを掴む。しかしながら、モールが押
し込めずにオープンに展開したところでパスミスが起こる。これを法政が拾っ
てSH成田が一気に前へ出てFB坂元にパス。坂元からボールはフォローして
きたWTB山本に渡り、山本が快足を飛ばしてゴールラインまで到達した。文
字のゴールキックは失敗したが、法政のビハインドは10点に縮まる。

法政ファンの盛り上がりを尻目に、関東学院は「あれはアクシデント」といっ
た感じで攻め続ける。7分にも先ほどと同じような位置(法政陣ゴール前)で
ラインアウトのチャンス。関東学院はモールからサイドをついてオープンに展
開しCTB高山がトライ!と思ったが、法政選手よりも強力なディフェンダー
が出現して止められてしまう。何とそこにいたのはゴールポスト、というより
はまるでタックルダミーのように太ったプロテクターだった。今日の関東学院
はついていない?

5mスクラムは法政がコラプシングを犯したところで、関東学院はスクラムを
選択。が、アーリーエンゲージ(レフリーが声をかける前につっかけてしまっ
た)で法政にフリーキックを与えてしまう。関東学院はスクラムでは圧倒的に
優位に立っていただけに、残念な、というか理解不能の反則。慌てて組む必要
はなかったはず。関東学院は気を取り直して法政陣10m/22mでのラインアウト
から攻めをやり直すものの、ここでも無理なパスが後ろにこぼれたところを法
政が足に引っかけて大きく前進。法政選手がゴール寸前でノックオンを犯した
ため事なきを得たが、関東学院選手は肝を冷やしたに違いない。一連ミスが重
なって試合の流れは一気に法政に傾く。

直後のスクラムで関東学院は自陣からNo.8土佐がサイドをついてゲイン。ボー
ルはラックからオープンに展開されて中園へ。だが、期待の中園はタッチに押
し出されてしまい関東学院陣10m付近で法政ボールのラインアウト。ここで
関東学院がノックオンを犯し法政ボールスクラムとなる。このスクラムで関東
学院がターンオーバーに成功しFLが前に出るものの、ラックで逆に法政がタ
ーンオーバーして山本がこの日2つめのトライ。ゴールキックは失敗したが、
17−22と法政のビハインドは1トライで追い付く5点差。逆転が視野に入
ってきたことで、周囲の法政ファンの目が据わってきた。まだ後半の14分。
これは勝てるかも知れない、というムードが一気に高まりを見せる。

法政のスピードに乗った攻撃は止まらない。19分には法政陣22m内のライ
ンアウトからオープンに展開してCTB田沼が一気にゴールラインを駆け抜け
る。今度は文字のゴールキックも成功して24−22となり、ついに法政がゲ
ームをひっくり返した。26分にはPGを追加して27−22と法政はリード
を拡げる。関東学院は歯車が完全に狂ってしまった。31分には法政陣ゴール
前でのマイボールスクラムのチャンスも、またしてもアーリーエンゲージ。F
Kから法政はショートパントを交えて一気に関東学院陣内に攻め込むが、関東
学院は辛くもドロップアウトに逃れる。

そして33分、関東学院は自陣22m内でのラインアウトでオブストラクショ
ンの反則。文字が左中間22m付近からのPGを成功させて法政のリードは1
トライ1ゴールでも追いつけない8点に拡がる。この追加点は本当に大きかっ
た。関東学院は38分に法政陣22m内でのスクラムからFWのサイドアタッ
クで攻め、最後はPR原田がトライを挙げるものの、まだ1点差が残る。ここ
で「ロスタイムは1分」のアナウンス。関東学院は最後のキックオフにすべて
をかけるが、トライを挙げたのは法政のFB坂元の方だった。

こうして、試合前には法政の武村監督にも予測できなかった(らしい)勝利の
二文字が法政に記録された。関東学院のこの試合での失点はここまで6試合分
の全失点数34を1つ上回る35で、得点は流通経済大戦と同じ29と今シー
ズン最低。東海大が大東大に勝ったため、当該校同士の対戦における得失点差
で上回った関東学院の優勝が決まった。試合後にその表彰式が執り行われたが、
選手達の表情は冴えない。関東学院にとっては何ともほろ苦い味の優勝になっ
てしまった。

[試合後の感想]

帰宅後に改めて最初からビデオを観たが、関東学院がとくに調子が悪かったよ
うには見えなかった。後半の開始直後に得点が取れていれば、関東学院は法政
にゲームの主導権を与えずに試合を終えていたかも知れない。実際に前半の最
後を方を観てもそんな感じだった。関東学院の敗因は、とくに後半、法政のペ
ースで試合をしてしまったことにあったと思われる。法政の速さ(ディフェン
スのプレッシャーとFWの展開力)が強く意識されたため、アタックの局面で
攻め急ぎや無理なパスがミスという形ででてしまったように見えた。

いつもの関東学院であれば、ウラへのキックを使って法政DFの出足を鈍らし
たり、FWのアタックを有効に交えながら「法政のテンポ」になることを防い
で試合を運ぶことができたはず。過去6戦では流通経済大戦で少しだけ冷や汗
をかいた程度だったため、知らず知らずのうちに試合運びが受け身になってき
ていたのかも知れない。中園の存在もあって、セットからの一発で取れてしま
うことが多かったため、継続のアタックに磨きがかからなかった部分もある。

ただ、これで関東学院のV奪回が難しくなったと考えるのは早計だと思う。こ
の試合を経験したことが大学選手権に向けてプラスに作用するはずである。強
い組織には強いリーダーが求められるという面で物足りなさが感じられる今年
のチームではあるが、逆にここから15人の結束を固めて強くなっていくこと
は十分考えられるし、またそうあって欲しい。

とは言っても、やはり本日の主役は法政であることは間違いない。スピードに
乗ったら止められないタレント揃いのBKライン、常に相手を数で上回り続け
る小粒でも素晴らしい機動力を持ったFW、そしてFW、BKを問わず低く突
き刺さるタックル。そういった法政の持ち味が存分に発揮された試合ではなか
ったかと思う。立正大戦の感想でも書いたが、おそらく武村監督はチーム再建
にあたって法政の持ち味を選手達に思い出させ、それに磨きをかけることに尽
力されたのではないだろうか。

法政の選手でひとり挙げるならばSHの成田だろうか。動き出しのスピードが
素晴らしい。フォローの選手がトップスピードに乗ってパスを受けられるため
攻撃がより破壊力を増す。高速展開ラグビーでは「初動が肝心」であることが
よく分かった。前半の終わりに競技場に到着した関係で生で観戦できたのは半
分だけだったが、短い時間の中でも1試合分以上の価値が見いだせた試合だっ
た。                       (2006年11月30日記)

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