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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006

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Weekly Report

中央大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2006/11/26) 於:八王子上柚木

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 中央大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 4  4  0  0 28 |  33 14
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  10  9


◎出場メンバー

 中央 : 1.麻生 2.武田 3.藤田 4.小笠原 5.眞壁 6.豊田 7.松本 8.小山田
      9.古賀 10.植村 11.小俣 12.馬場 [13].有田 14.長友 15.越村
     (16.菊田 17.岡島 18.岡 19.沖 20.片渕 21.佐藤(甚) 22.新井)

    ○交代  3→16(後19分入替), 10→21(後33分入替),  9→20(後34分入替)
         5→18(後38分入替)


 立正 : 1.古屋 2.小林(研) 3.月野 4.太田 5.ミロ [6].佐藤 7.イシレリ 8.菅原
      9.安部 10.佐藤 11.松坂 12.田中 13.小林(孝) 14.小松 15.山上
     (16.渡邉 17.伏島 18.松田 19.木村 20.松原 21.川田 22.アヒオ)

    ○交代  5→19(後27分入替), 15→22(後27分入替)


 レフリー :早藤嘉幸(関東協会公認)


◎得点経過

 中央大学    0                    5                             5
                    x               T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                         P
 立正大学    0               3                                  3


 中央大学    5    12 19                        26        33    33
              G  G                         G         G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                                G
 立正大学    3                                      10         10


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 中央:前半19分 松本 (T)
    後半 3分 有田 (T)、越村 (G)
       6分 小俣 (T)、越村 (G)
      32分 有田 (T)、越村 (G)
      42分 長友 (T)、越村 (G)

 立正:前半14分 山上 (PG)
    後半37分 イシレリ(T)、イシレリ(G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

昨日行われた上位グループの2試合で1位から4位までが確定。この試合で空
席となっている6位と7位も決まる。中央大、立正大とも流通経済大に敗れた
ため大学選手権出場はなくなった。しかしながら、入替戦を回避するためには
どちらも負けられないことに変わりない。サバイバルマッチではあるが、昨日
同様に熱い戦いが期待できる。

今年こそは11月でジ・エンドにしたい(4シーズン連続の入替戦は避けたい)
中央大はベストの布陣で最終戦に臨む。前節の流通経済大戦でFLとしてサプ
ライズ起用された眞壁は定位置のロックに戻った。BKに有田主将や長友とい
ったエースを揃えるだけに、勝敗の鍵を握るのはやはりFWだろうか。ミロや
イシレリを中心とした立正大のパワーに立ち向かわなければならない。

立正大は前の試合(11月5日の流通経済大戦)から少し試合間隔が開いてい
るのが気になる。流通経済大との戦いではあと一歩で勝利を掴めるところ行っ
ただけに、チーム状態をさらに上げてこの試合に臨むことができるだろうか。
メンバーはほぼベストと思われるがBKのキーマンであるFBの小玉は残念な
がら欠場。もちろん、今日は最初から積極的にアタックを仕掛けてくることだ
ろう。

天候はあいにくの曇りで時折小雨もちらつく。だが、スタンドを埋めた両チー
ムの応援団からは試合前から選手達に対して熱い声援が送られる。キックオフ
前に観客席の方が一足先にヒートアップした状態となった。

[前半の戦い]

立正大のキックオフで試合開始。中央大のキックに対するカウンターアタック
からFLイシレリが一気に中央大陣22mまでボールを運ぶ。残念ながら立正
大にパスミスがあり、今度は逆に中央大がアタック。立正大陣に入ってウラを
狙ったキックが立正大陣22m内でタッチを割る好キックとなった。立正大F
Wのパワーと中央大BKの走力という両チームの特徴がよく出た立ち上がりと
なった。

開始3分、まず中央大が先制のチャンスを掴む。といっても立正大陣10m付
近で得たPKのチャンスでFB越村がPGを狙うという形。だが、中央大にと
ってはこれが確実な得点源のひとつになっている。越村のキックは飛距離十分
に見えたがクロスバーにあと一歩届かず。ここからFWのパワーに勝る立正大
がしばらく攻め続ける展開となった。

立正大の攻めは自陣からはハイパントが中心で、敵陣22m付近からはオープ
ン展開にFWのサイドアタックを交えたスタイル。FWがモールで押し込む場
面もあるが、オープンに展開してもなかなかゲインできない。FWのサイドア
タックもしっかり中央大DFに止められ、フェイズを重ねる事に後退してしま
うことが多く、最後はキックで相手に攻撃権を渡す形になってしまう。一種の
攻めあぐみ状態。攻めに緩急がなく、レシーバーが止まってパスを受ける状態
では前に出られないのもやむなし。10分にはそんな状況からドロップゴール
を狙うシーンも見られたが中央大選手にヘッディングのような状態で止められ
てしまう。3週間のブランクの影響なのか、攻撃のリズムがよくない。

そんな立正大にようやく先制点が生まれた。13分に中央大陣10m付近での
スクラムで中央大がコラプシングを犯し、No.8菅原がチョン蹴りから大きく前
進。中央大陣22m付近でラックとなったところで中央大がオフサイドの反則。
立正大はPKを得たところでFB山上がPGを慎重に決め、立正大が3点を先
制した。立正大はこれで波に乗れるか?というところだったが、せっかくボー
ルを継続して保持しても最後は蹴って終わりとなってしまう。逆に中央大にカ
ウンターアタックのチャンスを与える展開が続く。

対照的に、中央大はWTB長友やCTB有田らのランニングに自身を持ってい
る選手達が走りまくる。常にボールを持ったらどうやって相手を抜くかを考え
ている、といったような思い切りのいい走りが見ている者をワクワクさせる。
また、彼らはタックルされてもなかなか倒れずにボールを確実に前に運ぶ強さ
も持っている。このように一歩でも前に出ようとするエネルギーが中央大のア
タックによいリズムと勢いを与える。15分に長友が見せた自陣からのカウン
ターアタックは、ウラを狙った最終段階のキックがドロップアウトになってし
まうが、力強いランニングだった。

この長友のビッグゲインをきっかけとして、ゲームの流れは徐々にではあるが
「攻めあぐみ状態」の立正大から中央大に移っていく。立正大が早い段階で得
点を取っていればゲームは違った展開になっていたかも知れない。18分には
立正大陣22m付近の中央大ボールラインアウト起点のラックで立正大にノッ
ト・ロール・アウェイの反則。中央大はすかさずPKから速攻で攻め、FL松
本がインゴールに飛びこんだ。越村のゴールキックは失敗したが、中央大が5
−3と逆転に成功。

27分、中央大は立正大陣10m/22mの位置でのPKから速攻で仕掛けてサイド
を攻める。LO眞壁が立正大陣深くまで力強く前進し、フォローしたFL豊田
が立正大ゴールに迫るものの一歩手前でタックルにあってタッチに押し出され
てしまった。逆に直後の28分には、立正大が自陣からハイパントで攻め中央
大22m付近でボールの確保に成功。落ち着いて攻めれば再逆転も期待でそう
な展開だったが、攻めにメリハリのなく前進ができない。

双方のアタック合戦は続く。立正大は続く31分にも中央大陣22m付近での
マイボールスクラムのチャンスを掴むがサイドを攻めたところでノットリリー
ス。ここもチャンスを活かせない。35分には中央大がHWLのラインアウト
からサイドをついてオープンに展開したところで右WTB長友にボールが渡る。
が、長友は立正大の渾身のタックルにあってノットリリースの反則を犯す。そ
の直後から立正大は中央大陣で攻勢に出るものの、中央大のDFを破ることが
できない。前半終了間際の42分には中央大がターンオーバーから眞壁が自陣
深くから立正大陣22m付近までボールを運ぶもののゴールまで届かず。結局
前半は5−3の中央大リードで終了した。

[後半の戦い]

前半は得点の上では競った展開となったものの、アタックに決め手を持つ中央
大の方に試合の流れが傾いていったように見えた。その流れはキックオフ後に
より明確となる。両チームFWによる激しいボール争奪戦が続いた後の3分、
中央大は立正大陣10m/22mの位置でのラインアウトからモールを作って前進し
オープンに展開。ボールが左右に大きく動く連続攻撃の中から有田が中央突破
で一気にゴールラインをぶち抜いた。越村のゴールキックも難なく成功し中央
大はリードを9点に拡げる。

続くキックオフで立正大に痛いミス。中央大の蹴り返しのボールを立正大選手
が自陣10m付近でお見合いのような形でノックオン。どうも選手間の意思疎
通がうまく行かない。中央大はセットスクラムからNo.8小山田がサイドアタッ
クで前進してラック。ここからボールは左に展開され、今度はWTB小俣が素
晴らしいランニングを見せ、有田に続いた。ゴールキックも成功し19−3。
中央大の両エースによる素晴らしい2連発により、中央大のアタックに完全に
火がつく。

立正大も何とか得点を奪おうと攻めるものの、継続しても最後はキックで終わ
るパターンから脱却できない。FWの選手(突破を期待されているミロ)まで
がキックを使う状態では苦しい。何とかボールをキープして継続する工夫が欲
しいところ。ペースを握った中央大の方も惜しいミスがあってなかなか追加点
が奪えない状況。16分にはゴール前の相手ボールラインアウトでスティール
に成功し、連続攻撃からゴールラインまであと一歩の所まで迫るもののノック
オン。

逆に20分、立正大の自陣からのハイパントが中央大陣22m付近でラッキー
バウンドとなり、立正大選手がボールの確保に成功。オープンに展開してゴー
ルラインに迫るもののノックオン。以後、しばらく蹴り合いで激しいボールの
争奪戦が続くものの両チームとも得点を奪えない状況が30分くらいまで続く。
双方、ナイスキックのはずがダイレクトタッチになったり、FWのサイドアタ
ックでノックオンを犯したりと、やや乱戦模様の様相。

そんな状況を打開すべく、25分に立正大はメンバー交代を行う。ミロに代え
てアヒオが登場しFBの位置に入った。東海大戦でも後半に登場して素晴らし
いランニングを見せた選手。BKラインを活性化させるという意味でも魅力的
なムードメーカーである。そのアヒオが早速自陣からのアタックで元気の良い
ランニングを見せた。アヒオはHWL付近で惜しくもタッチに押し出されてし
まったが、チームを元気にする力を持っていることは間違いない。結果論かも
知れないがもう少し早い段階(できれば頭から)からピッチに登場して欲しか
ったところだった。

そんな(中央大優勢の中にも)膠着状態となった展開の中で32分、中央大に
ダメ押しのトライが生まれる。ここも決めたのはエースの有田。立正大陣ゴー
ル前ラインアウトからラックを経て右オープンに展開し、エースが一発で抜け
てゴールまで一直線。中央大のリードは23点に拡がり、ゲームはここでほぼ
決まった。我がチームにもこんなエースが一人いたら、と立正大ファンも思っ
たに違いない。

立正大は37分にイシレリがPKからの速攻でゴールに飛びこみ、この日チー
ムにとっての初トライを挙げるが時既に遅し。終了間際には、中央大が立正大
陣10m/22mの位置でのラインアウトからモールで前進してオープンに展開し、
ブラインドサイドからライン参加したWTB長友が中央でパスを受け、弾丸ラ
イナーのようにゴールまで到達。サバイバル戦に終止符を打った。

前半は競ったものの、終わってみれば33−10での中央大の圧勝。中央大に
は有田や長友が居て、立正大には居なかったということだろうか。いや、そん
なにことは単純ではない。熾烈を極めたFW戦で立正大のサイドアタックを執
拗なDFで止め続け、ルースボールに対しては常に一歩早く身を挺して飛びこ
んだ中央大FWの泥臭い活躍があっての有田や長友だったと思う。中央大の躍
進の鍵はFWが握っていることを感じさせる試合でもあった。

[試合後の感想]

試合終了後には中央大の有田主将から声援を送ったファンに対する丁寧な感謝
の言葉があった。とてもすがすがしい気持になった。ここ数年のチームを振り
返ってみても中央大は主将が引っ張るチームという印象がある。山田主将、野
村主将、森主将といった先陣を切る切り込み隊長型の主将には、孤軍奮闘の部
分も見られ、どこか背中に悲壮感が漂う雰囲気があった。そういった意味から
は今年のチームはよく纏まっていたように思う。有田主将の求心力がよく分か
るシーンだった。

立正大は残念ながら今シーズンも入替戦に臨むことになってしまった。個人的
にも2年目の飛躍を期待していただけに残念に思う。全6試合を観戦した印象
はチームの闘い振りに対しても、個人的にも「不完全燃焼」ということになる。
観戦記でも毎回書いているような気がするが、ちょっとチャレンジが足りなか
ったように思う。たぶん試合で使ったキックの数はリーグでもトップレベルで
はなかっただろうか。攻撃力が上回る相手になるべくボールを渡さないラグビ
ーをしないと勝つことは難しい。が、まずは入替戦。ここで勝利を収めないと
2シーズンの努力が無駄になってしまう。とにかく頑張って欲しい。
                         (2006年11月28日記)



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