Live Report from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2006 |
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立正大学 vs 埼玉工業大学 |
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関東大学ラグビーリーグ戦G 1−2部入替戦(2006/12/09) 於:熊谷ラグビー場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 立正大学 :前半: 3 1 0 0 17 | :後半: 2 1 0 0 12 | 29 13 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 埼玉工業大学:前半: 0 0 0 0 0 | :後半: 3 0 0 0 15 | 15 12 ◎出場メンバー 立正 : 1.古屋 2.小林(研) 3.月野 4.太田 5.ミロ [6].佐藤(元) 7.イシレリ 8.菅原 9.安部 10.佐藤(浩) 11.松原 12.田中 13.松坂 14.小松 15.小玉 (16.松田 17.古館 18.萩原 19.川田 20.市村 21.山上 22.中山) ○交替 10→21(後35分入替), 7→19(後35分入替), 1→16(後38分入替) 3→17(後38分入替), 21→22(後42分入替) 埼工: 1.菅谷 2.黒岩 3.笠松 [4].元山 5.ヴィヴィリ 6.島田 7.松本 8.岡本 9.高崎 10.劉 11.阿部 12.遠藤 13小林 14.藤倉 15.クリスチャン (16.相澤 17.マアケ 18.菊池 19.エロネ 20.佐藤 21.嶋田 22.斉藤) ○交替 3→16(前32分入替), 5→19(後 4分入替), 2→18(後13分入替) 7→21(後26分入替), 14→22(後42分入替) レフリー :河野文高(日本協会公認) ◎得点経過 立正大学 0 7 12 17 17 G T T 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 埼玉工業大学 0 0 立正大学 17 22 29 29 T G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 T T T 埼玉工業大学 0 5 10 15 15 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 立正:前半 8分 イシレリ(T)、佐藤浩(G) 33分 イシレリ(T) 37分 菅原 (T) 後半 2分 ミロ (T)、佐藤浩(G) 33分 イシレリ(T) 埼工:後半 6分 岡本 (T) 29分 阿部 (T) 41分 高崎 (T) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] 今シーズンもとうとう入替戦の季節がやってきた。チーム関係者の方々には大 変な一戦なのだが、普段2部リーグのチームを観るチャンスがなかなかないの で、個人的にはシーズンの締め括りにあたっての楽しみとなっていることは偽 らざるところ。2部リーグ1位の拓殖大は日大(1部最下位)の公式戦出場辞 退により1部昇格を決めているため、今シーズンは立正大(1部7位)対埼玉 工業大学(2部2位)の1試合のみ。ちょっと寂しい気もするが致し方ない。 その埼玉工大には日本代表キャップ2個を保有するクリスチャン・ロアマウが いる。190cm, 105kgのFW並の体格ながら50mを5秒台で走る快速ランナー でFBを務める。LOのヴィヴィリもトンガ出身で強力な突破力の持ち主。た だメンバー表を眺めた感じでは、FWが全体に小粒な感じがする。立正大FW の圧力に苦しめられそうな感じだが、それをどのように打開していくだろうか。 立正大はFBに小玉が復帰しベストの布陣。今日はとにかく勝たなければなら ない。パワーで勝る(おそらく)FWの優位性を活かして確実に得点を挙げて いきたい。ただ、いつものようにキックを多用すればクリスチャンにカウンタ ーのチャンスを与えてしまうことになりかねない。あいにくの小雨模様で、観 客はリーグ最終戦(中央大対立正大)と同様、スタンドの屋根の下の狭いエリ アに集まっている。試合前から両校の応援がヒートアップする中でキックオフ を迎えた。 [前半の戦い] 立正大のキックオフはいきなりノット10m。埼玉工大はセンタースクラムか らFBクリスチャンがブラインドサイドをつくもののパイルアップ。立正大も 徹底マークでエースの突破を押さえ込む。その直後のスクラム(埼玉工大ボー ル)では立正大が強力なプレッシャーをかけてボールの奪取に成功しミロがシ ョートサイドの突破を試みるがタッチに押し出される。やはり立正大FWの優 位は動かない感じ。 本日は雨ということもあるが、やはり立正大のアタックはハイパントが中心。 6分には埼玉工大陣10m/22mの位置からのラインアウトからオープンに展開し センタークラッシュしたところで埼玉工大がオフサイドの反則を犯す。22m ラインから少しHWLよりでほぼゴール正面の位置。いつもの立正大なら迷わ ずPGを狙うところだが、FW戦で圧倒できるという感触を得たためかPKで タッチを狙いゴール前ラインアウトからの5点(または7点)を選択する。モ ールからイシレリがサイドをついてインゴールに飛びこみGKも成功。立正大 は狙い通り7点を先制することができた。 開始早々の先制点で立正大が波に乗り優位に試合を進めるかに見えた。しかし ながら、立正大はなかなか追加点が奪えない。オープンに展開してもなかなか 有効なゲインを獲得できないのは今日も同じ。埼玉工大のディフェンスがしっ かり対応できていることもあるが、ちょっとアタックが正直すぎる感がある。 フェイズを重ねてもなかなか前に行けないため、最後はキックということにな るが、ここで立正大ファンからは大きなため息が。 逆に、埼玉工大の方は小気味よくボールを繋ぎながら確実に前に行くラグビー ができている。そしてボールは期待のクリスチャンに回るという展開になるの だが、当然、立正大のマークもそこに集中している。2人がかりどころか3人、 あるいは場合によっては4人でクリスチャンを包囲する完璧なディフェンスで その突破を許さない。逆に言えば、立正大にまだそれだけの余裕があったとい うことになる。 立正大優位の中で時計は進むが得点板がなかなか動かない。21分、埼玉工大 陣10m/22mでのラインアウトからイシレリがサイドをついて大きくゲインする が埼玉工大が渾身のタックルで阻止(パイルアップ)。直後のスクラム起点の 8→9攻撃はラックを経てFB小玉がドロップゴールを狙うものの失敗。25 分には埼玉工大陣でFKのチャンスを得て速攻で攻め、インゴールでのグラウ ンディング(トライ)を狙ったキックはドロップアウト。立正大の攻めあぐみ の状態は続く。 得点板が動いたのは終盤にさしかかった33分。ここも埼玉工大陣ゴール前で のラインアウトからモールを押し込んでのもの。きっかけは直前にHWL付近 でのラインアウトからモールを20m以上押し込み、22m付近で埼玉工大の オフサイドを誘ったプレーだった。今日は勝つことが先決。ラインアウトから のモール以外は有効な攻め手がないと言われても、それが有効な手段である以 上拘るのは当然と言える。 立正大は畳みかける。36分、埼玉工大陣ゴール前でのラインアウトからイシ レリがゴールライン突破、と思われたが埼玉工大のLOヴィヴィリがトライ寸 前で阻止に成功しパイルアップ。だが、直後のスクラムから立正大のNo.8菅原 サイドをついてインゴールに飛びこむ。コンバージョンは失敗したが17−0。 これなら心配ないといった安堵感を立正大応援席にもたらす内容で前半が終了 した。 [後半の戦い] 後半開始早々、埼玉工大が立正大陣10m/22mの位置でのラインアウトでミスを 犯し立正大にボールを渡す。ここから立正大はハイパントで敵陣へ。ボールが 22m付近に達したところで埼玉工大に痛恨のノックオンがあり、立正大はス クラムからサイドアタックで攻める。さらに、このアタックに対して埼玉工大 はオフサイドを犯してしまう。立正大はゴール前ラインアウトからモールを作 って前進し、LOミロが抜け出してインゴールに飛びこんだ。これでリードは 22点に拡がり、立正大の安堵感はさらに高まった。埼玉工大にとっては悔や まれるミスの連鎖からの失点だった。 このまま行けば立正大の圧勝、と誰もが思ったが試合はわからない。5分には 埼玉工大が立正大陣10m/22mの位置でのラインアウトからの小気味よい連続攻 撃で最後はNo.8岡本がインゴールに飛びこみ5点を返す。立正大とは違って、 緩急をつけた攻撃とラックからの素早い球出しで面白いようにボールが繋がっ てゲインを重ねていく。立正大に足りないものは何かが教えてくれるような見 事な得点だった。この得点で埼玉工大の方へ試合の流れが傾いていく。9分に はHWL付近のラインアウトからSH高崎がうまくサイドを抜け出し、埼玉工 大は一気に立正大ゴールに迫るシーンも。 前半の流れとは一転して立正大が自陣ゴールを背にして埼玉工大のアタックに 耐える展開が続く。16分、埼玉工大は立正大陣22m付近でのスクラムを起 点としてショートサイドを攻め立正大選手の背後のゴールに向けてゴロキック。 このボールをクリスチャンが確保に成功しゴールラインに迫る。クリスチャン はゴールを目前にして立正大の渾身のタックルにあって倒されるが、ボールを 持って伸ばした手がゴールラインに届いたかに見えた。しかしながら、少し時 間がかかってしまったためか、逆にノットリリースの反則を取られてしまった。 埼玉工大は19分にも立正大ゴール前で得たPKのチャンスからサインプレー を使って攻め、ゴールラインまであと一歩の所まで迫る。が、惜しくもノット リリース。17点のリードがあるとはいえ、立正大サイドの安堵感もだんだん 薄らいでいく状況になってきた。そんな中での29分、埼玉工大に待望の2ト ライ目が生まれる。立正大ゴール前ラインアウトを起点としたサイド攻撃から 左WTB阿部がゴールラインを越えて10−22。立正大応援席も安心してい られなくなってきた。続くキックオフはダイレクトタッチとなるイヤな流れ。 しかしながら、31分に埼玉工大は自陣で痛恨のミス。22mでのラインアウ トからオープンに展開したところで反則を犯し、立正大にゴール前ラインアウ トのチャンスを与えてしまう。ここで立正大はモールからイシレリがサイドを ついてトライ。ゴールキックも成功し立正大のリードは19点となり、ここで 「勝負有り」となった。 残り時間が10分を切り逆転が難しくなってきた状況だったが、埼玉工大は最 後の力を振り絞って攻め続ける。37分には立正大ゴール前スクラムから攻め るものの惜しくもノックオン。そして41分、埼玉工大はゴール前で得たPK からの速攻でSH高崎がインゴールへ。結局試合はこのままノーサイドとなっ たが、後半だけを見れば15−12で3トライを挙げた埼玉工大の得点の方が 上回っていた。2部リーグの充実ぶりを伺わせる見事な闘い振りが強く印象に 残った。 [試合後の感想] 得点差から言えば、FWのパワーで上回る立正大の貫禄勝ちと言える。もちろ ん負ければ2部降格の入替戦なのでこれで十分。だが、この試合は立正大の来 シーズンに向けての課題を明確に示したとも言える。ひと言で言えば、攻め手 のなさ、これに尽きると思う。今シーズンのリーグ戦1部は発展途上の段階に あったチームが多く、殆どのチームは来シーズン確実にレベルアップする可能 性がある。立正大としても、得点力をアップさせていかないことには、来シー ズンはさらに厳しい戦いを強いられることになる。そのためにも本日の埼玉工 大の戦い方から学ぶべき点は多かったように思われる。今シーズンの飛躍はお 預けとなってしまったが、来シーズンこそは旋風を巻き起こして欲しい。 残念ながら力及ばず敗れてしまった埼玉工大だが、とても内容のあるラグビー を見せてくれた。どうしてもクリスチャンやヴィヴィリといったパワフルな選 手に注目が集まりがちだが、その他にもNo.8岡本(小柄ながらパワフルな突進 が素晴らしい2年生)や小気味よいアタックのリズムを生み出していたHB団 (高崎と劉、いずれも3年生)など楽しみな選手が多い。何よりも、クリスチ ャンやヴィヴィリらの力が組織の中で活きる「チームワークで勝負」の形がで きているのが素晴らしい。ちょっと気が早いが、2部での戦いを含めて、来シ ーズンの再チャレンジが楽しみになってきた。 (2006年12月10日記) Top |
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