Live Report from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2007

Schedule & Result

Rugby Top

Weekly Report

関東学院大学 vs 拓殖大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2007/09/08) 於:三ツ沢球技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 2  1  0  0 12 |
       :後半: 3  2  0  0 19 |  31 16
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 拓殖大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 2  2  0  0 14 |  21 12


◎出場メンバー

 関東 : 1.西垣 2.設楽 3.原田 4.西 5.北川 6.安藤 7.清水 8.草下
      9.細川 10.木村 11.朝見 12.三輪 13.笹倉 14.山口 [15].中園
     (16.高坂 17.宮城 18.梅埜 19.山田 20.古賀 21.本村 22.森田)

    ○交代 15→22(後16分交替),  3→18(後24分入替),  7→20(後24分入替)
    ●シンビン 5(前半34分)


 拓殖 : 1.取手 2.吉田 3.西 4.寺崎 5.バツベイ 6.土井 7.浦川 8.森谷
      9.佐藤 10.ダニエル 11.茂野 12.平野 13.横山伸 14.横山健 15.長谷川
     (16.川田 17.谷地村 18.前田 19.浅見 20.二宮 21.ニコラス 22.土居)

    ○交代  8→21(前13分交替),  1→16(後37分入替),  2→17(後37分入替)
        14→22(後38分入替), 21→19(後38分入替)


 レフリー :佐藤武司(関東協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0             7         12                        12
                             G         T 
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                  G
 拓殖大学    0        7                                         7


 関東学院大学 12                          19 24     31           31
                                     G T      G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                             G   G
 拓殖大学    7                   14  21                        21


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半12分 中園 (T)、山口 (G)
      22分 設楽 (T)
    後半26分 草下 (T)、山口 (G)
      28分 山口 (T)
      35分 古賀 (T)、山口 (G)

 拓殖:前半 7分 横山健(T)、ダニエル(G)
    後半26分 横山伸(T)、ダニエル(G)
      35分 横山健(T)、ダニエル(G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

いよいよ開幕。拓殖大は2004シーズンに1部昇格を果たしたが、勝利への道程
は険しく、同年の入替戦で立正大に敗れて涙をのんだ。2004シーズンの戦いの
印象はFWではそこそこ戦えるものの、BKに決め手を欠いていたことだった。
しかしながら、2005シーズンの入替戦では胸のすくようなオープン展開指向の
チームへと変身を遂げていた。そこで活躍していたのが横山兄弟。双子なのに
弟が2年生で兄が1年生(理由はラグビーマガジン9月号参照)と?の兄弟だ
ったが、2人で面白いようにゲインを重ねていた。セブンズの日本代表にも抜
擢され、大学ラグビー界で今やもっとも注目を集める存在となった横山兄弟を
中心に拓殖大がどんなチームに仕上がっているか楽しみ。

一方の関東学院は昨シーズン大学日本一奪回を果たしたメンバーの多くが卒業
し、今シーズンはチーム再構築の年となる。FWに関しては第1列が昨シーズ
ンのメンバーが残り第2列は大学屈指のツインタワー。第3列にもサイズのあ
る選手が揃ったパワフルなFWだが、機動力の方はどうだろうか。BKはFB
に昨シーズンはWTBで多くの決定的な仕事をした中園が残るものの、フレッ
シュな顔ぶれが並んでいる。今シーズンはFWのパワーで勝負するのか、それ
とも中園の決定力を活かす形でBKに展開してくるのか。チーム「再構築」と
いう点は別にしても楽しみな点である。

[前半の戦い]

メインスタンド側から見て右サイド(拓殖大陣)から左サイド(関東学院陣)
に向けてかなり強い風が吹く状況でその影響は免れない。キックオフ前にほぼ
同時にピッチに姿を現した両チームだったが、関東学院は当然として、拓殖大
のフィフティーンにとくに気負ったような様子が見られない。「復帰」という
こともあるが、昨シーズンも1部リーグで戦っていたかのような落ち着きが見
られた。そんな中、風下側にたった関東学院のキックオフで試合が始まった。

序盤から風上に立った拓殖大がキックを使って攻めるのに対し、関東学院はセ
ットプレーからオープンに展開するという形で試合が進む。拓殖大のSOは3
年生のダニエル・ピータース。キック力があるだけでなく、自分でボールが持
てるしラインも動かせる選手という印象。拓殖大はどうしても横山兄弟に目が
行きがちだが、落ち着いた球捌きを見せたSHと組んだHB団も要注目だと思
う。関東学院はPKからは速攻で仕掛けるというプランのようで、3分にはこ
の日はFBに入った中園がビッグゲインしスタンドを沸かせた。

関東学院が押し気味ながらも(前年度優勝校対本年度1部昇格校の試合とは思
えない)がっぷり4つに組んだ攻防が繰り広げられる。拓殖大はHB団が落ち
着いていることもあるが浮き足だった様子は見られない。そして7分、拓殖大
が先制点を奪う。ショートキックの応酬のような形になったところで、拓殖大
が関東学院陣内でうまくボールを拾いラストパスがCTBの横山健主将に繋が
った。兄のWTB横山伸もそうだが、2年前に見た時と比べてランニングに力
強さが加わっているように感じられる。

関東学院もすかさず逆襲。あくまでもPからゴーで攻め続けて13分、ロング
パスがFB中園に繋がる。中園はそのままゴールラインを越え、ゴールキック
も決まって同点。これで関東学院ペースになるかと思われた。しかしながら、
関東学院は継続攻撃での連携がいまひとつ。拓殖大にターンオーバーされる場
面も多く見られ波に乗れない。BK展開ではFB中園がライン参加する程度で
基本的に外で勝負という感じだったが、FWのフォローが遅れ気味なのが気に
なるところ。FWの集散はむしろ拓殖大の方がいいように感じられた。

しかしながら拓殖大はラインアウトが安定しない。関東学院のツインタワーは
やはり脅威。また、密集で反則を犯してピンチを招く展開となる。24分には
自陣ゴール前ラインアウトからモールを押し込まれて、サイドをついたHO設
楽にトライを奪われる。これで関東学院に落ち着きが出るかと思われた。が、
拓殖大の粘り強いディフェンスにあって関東学院が攻めあぐむ展開が続く。3
4分には関東学院のLO北川がシンビンを適用されて一時退場となり、関東学
院サイドにやや暗雲が立ちこめてきた。

両チーム攻守が入れ替わる展開のまま、結局、前半は関東学院の5点リードで
終了。拓殖大の大健闘には違いないのだが、関東学院の攻撃がかみ合っていな
いのが気になる。ただ、後半、関東学院は風上に立つので王者の風格を見せて
くれるはずと誰もが思った。

[後半の戦い]

前半、想定外?の苦戦を強いられた関東学院が立て直してくると思われた。が、
関東学院が攻撃を継続しながらもターンオーバーにより拓殖大に逆襲を許すと
いう展開がなおも続く。拓殖大はやはりBKに得点力のある切り札を2枚揃え
ているのが大きい。BKに展開すれば得点できるということでチームに意思統
一ができているためか、LOのバツベイやNo.8のニコラス(途中交替で出場)
といったパワフルなFWが無理に突っ込んで孤立という状況に陥らない。

そんな拮抗したゲーム展開の中で、またしてもCTBの横山健。18分に関東
学院陣でのターンオーバーからの逆襲からディフェンダー達を(あざ笑うかの
ように)振り切り、約30mを走りきってゴール中央に飛びこんだ。関東学院
にとってはアクシデントとしか言いようのない一瞬の出来事だったが、セブン
ズの代表に選ばれただけあって決めるべき所は決める。GKも成功し拓殖大は
14−12と逆転に成功。

主将の2トライ目で勢いに乗る拓殖大は畳みかける。続く22分、今度はWT
Bに入った横山伸だった。これも関東学院陣内でのターンオーバーからの逆襲
が起点。横山はゴールに向かって蹴ったショートキックを自分で拾ってそのま
まゴール中央へ。拓殖大のリードはさらに9点に拡がり、拓殖大サイドにとっ
ても関東学院サイドにとっても「よもや」の文字がちらつき始めた。横山ブラ
ザーズの存在は今後の対戦校にとっても脅威になるに違いない。決定力があり
よく似ている2人が両WTB、あるいはWTBとFBというように離れていな
いでCTBとWTBに並んでいることが効果的。

だが、ここで浮き足立たないところが関東学院。25分に拓殖大ゴール前の5
mスクラムを押し込んでトライを奪うと、主導権を一気に奪い返した。続く2
8分には拓殖大のキックミスを見逃さず逆襲から連続攻撃でWTB山口がトラ
イを奪いゴールも成功して逆転に成功。ようやく関東学院らしい流れるような
連続攻撃が見られるようになってきた。関東学院の第3列の注目選手はFLの
安藤。彼の突破力は今シーズンの大きな武器になるかも知れない。

ゲームも終盤に入り、健闘していた拓殖大FWに疲れが見え始める。35分に
は自陣ゴールを背にしたスクラムを起点としたサイドアタックからトライを許
し万事休した。拓殖大の死力を尽くした反撃も実らずそのままノーサイド。残
念な結果には終わったが、拓殖大とっては今後への希望を大いに膨らませる熱
い戦いだった。

[試合後の感想]

拓殖大は横山主将の卓越したキャプテンシーの許で一体感のある良いチームに
仕上がっている、というのがこの接戦を観ての第一印象。しかもこれで「いっ
ぱいいっぱい」ではなく、まだまだ強くなる余地が残されている。他のチーム
の状態を見ていないので早計かもしれないが、悲願の一勝どころか大学選手権
をも視界に入ってくる闘い振りだった。

一方の関東学院は(再構築という面はさておいても)例年に比べてチームの仕
上がりが遅いのが気になる。が、一番気になるのは今日の試合からは拓殖大の
ようなチームとしての一体感が感じられなかったこと。強いチームほど強いリ
ーダーシップが求められる。これは関東学院が常に抱えている課題でもある。
                          (2007年9月9日記)

Top       

本ウェブサイトの記述内容の無断転載を禁じます。