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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2007

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Weekly Report

東海大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2007/09/30) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 2  0  0  0 10 |  17  8
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 0  0  1  0  3 |   6 12


◎出場メンバー

 東海 : 1.宍戸 2.岸 3.熊谷 4.リーチ 5.杉浦 [6].宮本 7.荒木 8.マウ
      9.鶴田 10.津田 11.山田 12.山内 13.児玉 14.新井 15.森功
     (16.三上 17.前川 18.斉藤健 19.斉藤怜 20.辻埜 21.森脇 22.日野)

    ○交替 13→21(後22分入替)


 立正 : 1.小池 2.古館 3.月野 4.木村 5.白倉 6.竹谷 7.川田 8.ミロ
      [9].安部 10.佐藤 11.平 12.茅原 13.シリバ 14.松坂 15.小玉
     (16.古屋 17.伏島 18.エイト 19.乙川 20.笠間 21.柴崎 22.窪田)

    ○交替  1→16(後27分入替), 14→22(後33分入替)


 レフリー :森健(関東協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0                                     7            7
                                                     G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                 P
 立正大学    0       3                                          3


 東海大学    7           12                    17              17
                     T                     T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                       P
 立正大学    3                             6                    6


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半36分 津田 (T)、森功 (G)
    後半10分 岸  (T)
      32分 荒木 (T)

 立正:前半 6分 佐藤 (PG)
    後半28分 佐藤 (PG)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

熊谷ラグビー場は雨模様ということもあり、つい2週間前の酷暑が信じられな
いくらいの肌寒さすら感じさせる天候になった。やはり気温はこのくらいの方
がいいなと思いつつも、ちょっと変動が大きすぎるような気がする。この天候
の急変ぶりは「波瀾万丈のリーグ戦」を暗示している?と言ったらこじつけに
なってしまうが、序盤戦の各チームの闘いぶりを観ているとそんなことも感じ
ずにはいられない。

メインスタンドの奥の屋根の下にある座席に座って、まずは両チームのメンバ
ー表を眺める。緒戦で流通経済大に圧勝した東海大はリザーブの選手がひとり
変更(SHの控えが森から辻埜)になっているのみ。このあたりにも今シーズ
ンのチームの仕上がり状態の良さが現れている。前節では4チーム中3チーム
にチーム改造といってもいいくらいのメンバーの異動が見られただけに、余計
にそんなことを感じる。

一方の立正大も緒戦では先発だったLOエイト・バートレイがリザーブに入り、
CTBにシリバ・アヒオが起用されている以外は大きな変動はない。今後もこ
の二人を戦術的に使い分けるのかどうかは分からないが、その他は基本的に緒
戦の関東学院戦と同じ顔ぶれ。メンバー表を見た限りでは、立正大もチームの
仕上がりは良好のように思われる。拓殖大の活躍もあり、1部昇格から3シー
ズン目となる今年は立正大にとって期するものがあるはず。雨のせいもあるが、
選手達がピッチに姿を現したとき、立正大のオレンジ色のジャージがひときわ
鮮やかに見えた。

[前半の戦い]

東海大のキックオフで試合開始。立正大の蹴り返しがノータッチとなるが、東
海大に自陣(10m/22m)でのノックオンがあり、立正大がまずチャンスを掴む。
さて、どんな攻撃を見せるだろうかとスクラムからのファーストアタックに注
目した。No.8ミロのサイドアタック?、それともハイパント?。予想はどちら
も見事に外れオープン展開による連続攻撃。東海大のディフェンスも堅いため、
有効なゲインは得られなかったものの、今シーズンの立正大が目指すスタイル
(オープン展開指向)を明確に示した鮮やかな攻撃だった。

続く4分、立正大は先制点のチャンスを掴む。東海大陣(10m/22m)右サイド
で掴んだスクラムで東海大にオフサイドがありPK。昨シーズンの立正大なら
GKで手堅く3点の位置だったが、躊躇せずにタッチキックからのラインアウ
トを選択。冒頭のオープン展開でも感じたことだが、今シーズンの立正大は意
気込みが違うことをここで確信した。

立正大は東海大ゴール前のラインアウトからオープンに展開したところで東海
大がオフサイドを犯す。立正大はここからクイックリスタートでゴールを目指
すが東海大がノット10mバック。ゴール正面約10m位置からのPGを立正
大のSO佐藤が確実に決め、まずは立正大が3点を先制した。トライには結び
つかなかったが、立正大の積極的なアタックにより生まれた得点と言える。

さらにキックオフによるリスタート後の9分、立正大にビッグチャンス到来。
東海大が自陣22m付近で得たPKからタッチを狙うが、これがノータッチと
なり立正大がカウンターアタックで東海大陣に攻め込む。CTBシリバが裏に
抜け東海大22m付近でパスを繋ごうとするがパスミスで絶好の得点機を逃し
てしまう。ここでトライが1本取れていれば、東海大にプレッシャーをかけら
れただけに残念だった。

というように序盤は立正大の積極的なアタックに押され気味の東海大。両チー
ムとも雨のためかノックオンが目立つ事に加え、とくに東海大には相手キック
に対するキャッチングミスがあり、ピンチを招くシーンが少なからず見られた。
ハイパントからのカウンター合戦は見応えがあるのだが、ミスでなかなか得点
につながらない。序盤は両チームともラインアウトが安定せず、モールを有効
に使えないことも響いた形。

双方ミスでチャンスを潰しなかなか得点できない膠着状態が続く。そんな中で
21分、東海大は自陣10mライン付近(中央)で得たPKのチャンスからク
イックリスタートを起点にオープン展開による連続攻撃で大きくゲインし、立
正大ゴールまであと少しのところまで迫る。しかしながら、ここは立正大が身
体を張った激しいディフェンスで抵抗。東海大がラックからボールを出したと
ころでノックオンがあり立正大はピンチを脱した。

得点は挙げられないものの、前半は立正大の方が攻めている時間が長い。26
分には絶好の追加点のチャンスを掴む。自陣HWL付近で得たPKでのSO佐
藤のタッチキックは東海大ゴール前まで到達。ここから立正大はモールを作っ
てトライを奪いたいところだったが、ラインアウトでボールを後ろにはじいて
しまい後退を余儀なくされる。22m付近まで下がった位置からFWのサイド
アタックで再度ゴールを目指し、ラックからオープンに展開したところで惜し
くもノットリリース...。

やや立正大が押し気味の展開の中で前半も終盤にさしかかった32分、東海大
はFWの強力なモールを武器に立正大を圧倒し始める。まず、立正大陣10m
付近のラインアウトからドライビングモールで立正大陣22mまで前進したと
ころで立正大にペナルティ。東海大はさらに立正大ゴール前ラインアウトから
モールで攻め続ける。立正大は東海大のモールの圧力に耐えきれず、コラプシ
ングを犯す苦しい展開。そして36分、東海大はモールからFWでサイドをつ
きゴール前でラック。このとき立正大に反則があったが、SO津田がラックか
ら出たボールを(オープン展開を予測してかぶってしまった)ディフェンダー
をかわしてそのままインゴールに飛び込んだ。正面のゴールキックも成功して
東海大は7−3とようやく初得点を挙げるとともにゲームをひっくり返した。

ここで東海大が一息ついた感じだったが、キックオフからのリスタートで立正
大が東海大のタッチキックをナイスチャージ。この場面で東海大選手にノック
オンがあり、立正大は東海大陣22m付近でのスクラムという絶好のチャンス
を掴む。しかしながら、痛恨のコラプシング。結局前半はこのまま東海大の4
点リードで終了した。逆転されてしまったとはいえ、今年の立正大は昨年まで
とは違うと言わんばかりの積極的なアタックが強く印象に残る前半だった。

[後半の戦い]

東海大のミスに助けられた形もあるが、前半を終わって立正大のビハインドは
僅か4点。立正大としては先に点を取って東海大を慌てさせたいところ。だが、
東海大がFWのモールによるパワーを見せつける形で優位に立つ。3分、立正
大陣10mライン付近のラインアウトからモールで力強く前進。モールからボ
ールを出すことができずにアンプレアブルとなるが、直後の立正大ボールスク
ラムからのハイパントはダイレクトタッチ。東海大はさらに前進した立正大陣
22m手前付近からドライビングモールでゴールを目指すがここもアンプレア
ブル。押されながらも立正大FWが何とか持ちこたえた。

東海大の攻勢は続く。8分、立正大ゴール前でのラインアウトからモールで前
進しFWがサイドを抜けてトライ、と思われたが惜しくもインゴールでノック
オン。しかし、続く10分には同じ位置からのラインアウトを得点に繋げる。
モールで力強く前進したところでタイミングを見計らったようにHOの岸が抜
け出してトライ。その前のモールもそうだったが、岸が最後列でボールをホー
ルドしながら前進するのが東海大のモールでの決め事なのだろう。後半最初の
アンプレアブルを連発した部分ではこの形ができていないように見えた。しっ
かり修正したのかもしれない。今シーズンは、トライゲッターであるだけでな
くFWの司令塔の役割も果たす岸は要注目選手。ゴールキックは失敗したが東
海大のリードは9点に拡がる。

追加点を取り勢いの出てきた東海大。主戦場は立正大陣に移り、立正大は自陣
ゴールラインを背負って耐える時間帯が続く。12分にも東海大の岸がモール
からサイドを抜けて立正大ゴールに迫るが惜しくもノットリリース。雨が強く
なってボールが滑りやすいせいもあるが、両チームともノットストレートや相
手ボールのスティールなど、ラインアウトでのミスが多い。後半は東海大が優
位に試合を進めていることは間違いないのだが、なかなか得点板が動かないの
もこんなところに原因がある。とくに東海大ファンにとってもどかしい展開が
続く。

得点は12−3のまま試合は終盤へ。27分、守勢に回っていた立正大にチャ
ンスが訪れる。HWL付近のラインアウトからオープンに展開し、ライン参加
したFB小玉がラインブレイクに成功しもうすぐ東海大陣22mラインという
位置で東海大にオフサイドの反則。SO佐藤がゴールやや左30mのPGを成
功させて立正大のビハインドは1トライ1ゴールで逆転可能な6点に縮まった。
立正大応援席は大いに盛り上がる。

逆転が手に届くところまで来た立正大だったが、しかしここで痛いミスが出て
しまった。リスタートで東海大がキックオフしたボールを自陣22m内でノッ
クオンし、自陣を背にしたスクラムでコラプシングの反則を犯す。東海大はも
らったチャンスを逃さない。ゴール前ラインアウトからモールで前進し、ゴー
ラインを越えたところでFL荒木がトライ奪った。GKも成功し10分を残す
ところで東海大のリードは11点に拡がった。立正大にとっては本当に残念な
ミスだった。

試合の流れから見ても勝利をほぼ手中にした東海大に余裕が出てくる。38分、
立正大陣22m付近左サイドのスクラムからSO津田が右サイドコーナーフラ
ッグめがけてキック。アレッ選手が居ないぞと思ったらBKラインから独り離
れて右サイドタッチラインを快走するWTB山田の姿が視界に入ってきた。ボ
ールはインゴールに到達し立正大選手がキャッチしてタッチダウンするが、山
田の走力を活かしたキックパスだったのだ。

結局試合は17−6のままノーサイド。点差は開かなかったものの、東海大が
手堅く勝利を収めた。立正大は東海大を追い詰めるところまで行かなかったも
のの、今後に大きな期待を抱かせる堂々たる戦いぶりだった。

[試合後の感想]

危なげなく勝ったとはいえ、東海大ファンにとっては消化不良を感じさせる試
合だったのではないだろうか。緒戦(流通経済大戦)では5トライ中4トライ
がFWによるものだったが、この試合でも主役はFW。しかもライバルの関東
学院は同じ相手に40−7で圧勝している。しかしながら、爆発こそなかった
ものの手堅く勝利を収めたところに、昨シーズンよりもステップアップした東
海大を感じた。FWが堅まってきたので、今後はBKによる得点が増えていく
のではないだろうか。

緒戦の関東学院戦に完敗したことで一抹の不安を感じさせた立正大だったが、
取り越し苦労だった。キックオフ直後にオープン展開による積極的なアタック
を見せたことでまずは一安心。拓殖大に先を越された形ではあるが、立正大も
上位戦線を攪乱する力を十分に持っている。立正大が指向するのはおそらくス
ケールの大きなオープン攻撃主体のランニングラグビー。そのためのタレント
も揃っている。どうやら今シーズンは拓殖大と立正大が双子台風のような形で
上位チームを脅かす存在になるかもしれない。昨シーズンよりも逞しく見えた
立正大選手達の戦いぶりにそんないことを感じた。   (2007年10月3日記)

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