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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2007

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Weekly Report

関東学院大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2007/10/06) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 3  1  0  0 17 |
       :後半: 5  4  0  0 33 |  50  6
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 2  2  0  0 14 |  14 12


◎出場メンバー

 関東 : 1.西垣 2.設楽 3.原田 4.西 5.北川 6.安藤 7.草下 8.土佐
      9.細川 10.夏井 [11].中園 12.森田 13.笹倉 14.山口 15.朝見
     (16.宮城 17.高坂 18.梅埜 19.清水 20.古賀 21.三輪 22.高梨)

    ○交代  4→19(後37分入替)
    ●シンビン 8(後半31分)


 中央 : 1.菊田 2.岡島 3.大塚智 4.小笠原 5.眞壁 6.豊田 7.沖 [8].小山田
      9.吉田 10.中澤 11.中田 12.馬場 13.大塚大 14.長友 15.新井
     (16.井上 17.武田 18.岡 19.烏田 20.片渕 21.松下 22.岡本)

    ○交代 12→22(前 9分交替),  5→18(前18分入替),  1→16(後17分入替)
         7→19(後25分入替),  2→17(後25分入替),  9→20(後30分入替)
        10→21(後30分入替)


 レフリー :河野文高(日本協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0          7             12     17                17
                          G             T      T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                              x
 中央大学    0                                                  0


 関東学院大学 17          24    31   38      45       50         50
                    G     G    G       G        T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                           G G
 中央大学    0                                 7 14            14


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半 9分 設楽 (T)、山口 (G)
      23分 北川 (T)
      30分 土佐 (T)
    後半 9分 夏井 (T)、山口 (G)
      15分 認定T(T)、山口 (G)
      20分 原田 (T)、山口 (G)
      28分 安藤 (T)、山口 (G)
      37分 中園 (T)

 中央:後半32分 豊田 (T)、岡本 (G)
      34分 中田 (T)、岡本 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

中央大は緒戦の大東大戦で惜敗したものの、2戦目の法政戦では圧勝を収め勢
いに乗っている。今シーズンはとくにFWのモールが強力の武器となっている。
ただ、スクラムは法政にコントロールされた場面があったのが不安材料。FW
戦では平均体重で約10kg上回り、ロックにツインタワーを擁する関東学院が優
位にあることには違いない。が、中央大がこの試合で勝機を掴むためには、セ
ットプレー(スクラムとラインアウト)からの安定した球を供給することが必
須条件となる。No.8小山田主将、LO眞壁を中心とするベストメンバーで固め
たFW陣の奮起に期待したい。

関東学院は英仏遠征から帰国したばかりとあって疲労の蓄積が気になるところ。
緒戦の拓殖大戦を見た限りでは例年よりチームの仕上がりが遅れており、まだ
今シーズンの戦い方が見えない状況だった。本日のメンバーを見てひとつ気が
ついたことは、拓殖大戦ではFW第3列に土佐の名前がなかったこと。FLで
起用する構想もあるようだが本日はNo.8として復帰を果たした。また、1,2
戦目はFBとして出場した中園主将がWTBにこちらも復帰。さらに、SOに
は期待の大型新人夏井が初スタメンで登場。果たしてこのメンバー構成が吉と
出るのかどうか。

ところで本日は、今シーズンの私にとっての秩父宮初観戦。今年からは試合開
始前に両校の選手達が整列し、校歌の斉唱がある。まるでW杯のキックオフ前
のような雰囲気の中で、湯気が立ってきそうな選手達の表情からもこの試合に
対する気持ちがひしひしと伝わってくる。

[前半の戦い]

今日はセカンドジャージの白を着用した中央大学のキックオフで前半が始まっ
た。関東学院にノックオンがあり、まずは注目の中央大ボールのファーストス
クラム。ここは中央大が何とか持ちこたえたが球出しは安定しない。中央大の
ハイパントに対して再び関東学院にノックオンがあり、先ほどより少し前の位
置でスクラムとなるがSHがノックオン。やはり平均体重で約10kg上回る関東
学院FWのスクラムのプレッシャーが厳しいようだ。

続く関東学院ボールのスクラムでは関東学院が8→9で大きくゲインしオープ
ンに展開。SHからのパスはミスとなるもののBKがうまくカバーして連続攻
撃からゲインを図る。しかしながら、中央大のディフェンスが機能し関東学院
がノットリリースでチャンスを潰す。SO夏井が初先発のためかHB団のパス
回しが安定しないのが気になる。が、ミスが起こってもしっかり攻撃が継続で
きるところはさすが。中央大のディフェンスの健闘もあり、プレーがなかなか
途切れないので時間が短く感じられる。

6分には中央大が関東学院陣内22m手前でラインアウトのチャンスを掴むもの
のスティールされてしまう。ツインタワー(北川と西)のプレッシャーは確か
にあるが、スクラムとともにラインアウトでも苦戦となると中央大は得意のモ
ールを活かすことができず苦しい。このラインアウトで中央大にオブストラク
ションがあり、逆に関東学院が中央大陣(10m/22m)でラインアウトのチャンス
を掴む。関東学院がモールで前進しPR原田が力強くゲインし、ラックを経て
WTB中園がショートサイドを駆け抜け22m付近で中央大が反則。原田はそ
の後もたびたびボールを前に運ぶ働きを見せ、自分の役割はスクラムだけでは
ないことを強くアピールしていた。

直後の9分、関東学院は中央大陣22m内でのラインアウトからモールを形成
して中央大ゴール前まで到達。ここで中央大にコラプシングがあったが関東学
院はそのまま攻撃を継続し、ラックからHO設楽がインゴールに飛び込んでこ
の試合での初得点を挙げた。関東学院の強力FWによるスクラムとモールはコ
ラプシングでないと止められない、となるとやはり中央大にとっては自陣ゴー
ルを背にしてのセットプレーはできるだけ回避するしかなくなる。

リスタートのキックオフから中央大も関東学院陣22mでのラインアウトのチ
ャンスを掴む。10分のラインアウトからモールで前進し関東学院がコラプシ
ング。PGを狙える位置だったが、再びタッチキックからのラインアウトを選
択し、今度は関東学院にノックオン。中央大はゴール前のスクラムからNo.8が
サイドを突いてオープンに展開するもパイルアップ。再度のスクラムでは関東
学院にホイールされて相手に攻撃権を渡す。関東学院タッチキックからのライ
ンアウトはオープンに展開してショートパントで攻めるものの関東学院がフェ
アーキャッチ。ここで1本取れていれば関東学院にプレッシャーをかけること
ができただけに残念だった。また、18分には開始6分で負傷により戦線離脱
となったCTB馬場に続き、FWの要であるLOの眞壁も負傷でリタイアとな
ってしまったことが中央大にとっては痛かった。

20分に中央大は自陣22m内での関東学院ボールラインアウトのピンチを迎
えるが、関東学院にノックオン。ピンチを脱したかに見えた中央大だが、関東
学院が激しいプレッシャーをかけてタッチキックのチャージに成功。5mスク
ラムからNo.8土佐がサイドを突き、パスを受けたLO北川がインゴールに飛び
込んだ。中央大がスクラムからの球出しに手こずったことに比べると、関東学
院は安定したスクラムから自在にアタックを展開できるのが強み。30分にも
関東学院は中央大ゴール前のスクラムからサイドアタックで土佐がトライ。関
東学院のリードは17点に拡がる。

中央大はキックオフから関東学院に強力なプレッシャーをかけて関東学院22
m内でのラインアウトのチャンスを掴む。ラックでターンオーバーがあり逆襲
を許すが関東学院にノックオン。22mライン付近のスクラムから連続攻撃で
ゴールを目指したところで関東学院にオフサイド。ペナルティを得た位置はゴ
ール正面約26mの位置で、中央大もここは狙う。がPGは無情にもわずかに
右に逸れてしまった。関東学院はドロップアウトからFL安藤がボールの確保
に成功しHWL付近までゲインするものの、惜しくもアクシデンタルオフサイ
ド。関東学院はリスタート、あるいはターンオーバーでの切り替えが速い。

前半終了間際にも中央大はターンオーバーからの切り返しでチャンスを掴むが
あともう少しのところで攻撃が継続できない。ただ、試合では関東学院が優位
に立っていたものの、中央大の粘り強いディフェンスも見応えがあった。中央
大FWがセットプレーからの安定した球出しができなかったのが残念だが、私
が今シーズンに観た試合の中では、双方の持ち味が出たという意味でベストの
内容の前半だった。

[後半の戦い]

今シーズンの秩父宮ではハーフタイムに両校の応援団(あるいは混声合唱団)
によりエールの交換がある。ただ、アトラクションがインゴールの中で行われ
るのが残念。熊谷ラグビー場のようにピッチの中央で実施すれば「主役」の演
技がもっと映えるのにと思った。

さて、後半。何とか先に得点を挙げたい中央大だが、ラインアウトやスクラム
といったセットプレーのチャンスを活かすことができないままに時間が経過し
ていく。6分、関東学院がHWL付近で得たFKからのクイックリスタート。
連続攻撃で中央大ゴールに迫るがノットリリースで中央大はピンチを逃れる。
しかし、9分、中央大は自陣10m付近のラインアウトでミスがあり関東学院
にボールを奪われてHO設楽が大きくゲイン。ラックから出たボールをSO夏
井がサイズを活かしてゴールまで運び、関東学院が追加点を奪った。

11分に中央大は関東学院ゴール前でのマイボールスクラムのチャンスを掴む。
しかしながら8→9でパスミスがあり関東学院が逆襲。が、中央大22mまで
達したところで関東学院にもパスミスがあり今度は中央大が逆襲。だが、関東
学院もラックでのターンオーバーに成功して連続攻撃で中央大ゴールに迫る。
ここで中央大にオフサイドがあり、関東学院はスクラムを選択。コラプシング
が2回目となったところで関東学院にペナルティートライが与えられた。これ
で関東学院のリードは31点となり勝負はほぼ決まった。

余裕が出てきた関東学院はFWとBKのコンビネーションによる連続攻撃で畳
みかける。20分には中央大ゴール前のラインアウトからモールで前進してP
Rの原田がトライ。28分、中央大陣(10m/22m)のスクラムからNo.8土佐がサ
イドを突き、パスを受けたFL安藤がトライ。やはり土佐はNo.8として切り込
み隊長の役割を果たした方が関東学院FWの機動力は確実に上がるような気が
する。両FL(安藤と草下)と組んだ第3列のトリオが大きく前にボールを運
ぶため、前5人が動きやすくなっている。(このまま終われば有終の美だった
が、土佐に信じがたいプレーが出てしまう。31分、中央大キックを手ではた
き出す反則を犯しシンビンが適用された。足で蹴出すか、ボールを拾ってタッ
チに出るだけでもナイスカバーリングなのだが...。)

ここで関東学院にエアポケットのような状態が生じた。関東学院ゴール前での
中央大ボールのラインアウトはスローイングミスのように見えたが、オーバー
スローになったボールをFL豊田が拾って難なくトライ。続く34分、中央大
がHWL付近からのPKでクイックリスタート。ラックからボールがこぼれ出
てしまったがWTB中田がうまく拾ってタッチライン際を駆け抜けて2トライ
目。勝敗は決したとはいえ、中央大の今後の戦いに元気を与えるに違いない。
関東学院は最後に中園主将が快足を飛ばしてトライを奪ったものの、ちょっと
締まらない終盤になってしまった。ハプニング的なものが多いとは言え、関東
学院はライバルと目される東海大に比べて失トライが多い(関東学院の6に対
して東海大は僅か1)のが気になる点ではある。

[試合後の感想]

仕上がりの遅れ、そして英仏遠征の影響が心配された関東学院だったが、パワ
フルなFW主体の継続ラグビーは健在であることを強烈にアピールする試合内
容だった。やはりFWの強さは群を抜いており、この点はライバルの東海大に
とっても気になる点だと思われる。あと、落ち着くべきところに落ち着いたと
言ったらいいのか、土佐はNo.8、中園はWTBの方が相手にとって脅威と思わ
れる。やはり、課題は司令塔というのが衆目の一致するところだろう。

この試合に賭ける意気込みは十分に伝わってきた中央大だが、健闘も及ばず完
敗を喫してしまった。FWがセットプレーから安定したボールが供給できなか
ったことが残念。ただ、中央大の仕上がりの良さが関東学院に危機感を持たせ、
本日のパフォーマンスに繋がったことも事実。中央大は昨シーズンに比べて確
実にチーム力が上がっており、(3位以下が大混戦となることも予想される)
今後の戦いがますます楽しみになってきた。      (2007年10月8日記)

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