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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2007

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Weekly Report

東海大学 vs 拓殖大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2007/10/07) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 3  3  0  0 21 |
       :後半: 6  5  1  0 43 |  64  5
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 拓殖大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   3  9


◎出場メンバー

 東海 : 1.宍戸 2.岸 3.熊谷 4.リーチ 5.杉浦 [6].宮本 7.荒木 8.マウ
      9.鶴田 10.津田 11.児玉 12.森脇 13.山内 14.新井 15.森功
     (16.三上 17.前川 18.斉藤健 19.斉藤怜 20.辻埜 21.菅生 22.日野)

    ○交代 11→22(後 5分入替),  9→20(後15分入替),  1→16(後15分入替)
         2→17(後21分入替),  8→18(後21分入替),  7→19(後34分入替)
        15→22(後36分入替)


 拓殖 : 1.小澤 2.吉田 3.西 4.寺崎 5.バツベイ 6.土井 7.浦川 8.森谷
      9.佐藤 10.ダニエル 11.茂野 12.平野 [13].横山伸 14.横山健 15.長谷川
     (16.川田 17.谷地村 18.牧野 19.取手 20.稲田 21.ニコラス 22.高橋)

    ○交代 12→22(後30分交替),  1→16(後37分入替)


 レフリー :下村大樹(日本協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0               7               14       21       21
                               G               G        G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                     P                      x
 拓殖大学    0           3                                      3


 東海大学   21  24    29 36   43        50 57      64          64
            P      T G    G          G G       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 拓殖大学    3                                                  3


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半14分 荒木 (T)、森功 (G)
      30分、山内 (T)、森功 (G)
      39分、荒木 (T)、森功 (G)
    後半 1分 森功 (PG)
       8分 リーチ(T)
      10分 森脇 (T)、森功 (G)
      15分 宮本 (T)、森功 (G)
      26分 宮本 (T)、森功 (G)
      28分 菅生 (T)、森功 (G)
      36分 津田 (T)、森功 (G)

 拓殖:前半10分 ダニエル(PG)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

緒戦で関東学院と接戦を演じ、2戦目では法政を破って勢いに乗る拓殖大。1
部リーグに復帰したばかりとは思えない溌剌とした戦いぶりで大学選手権(5
位以上)も視界に入ってきた。対戦相手の東海大も流通経済大と立正大を破っ
て2連勝と順調なスタートを切っている。しかしながら、東海大はFW中心で
手堅く勝っている印象が強く、高速展開によるランニングラグビーを期待する
ファンには物足りなさを感じさせる。この試合の前日には、秩父宮で関東学院
が拓殖大戦とは別のチームになったかのような素晴らしい仕上がりぶりを見せ
ているだけに、優勝候補の呼び声も高い東海大もうかうかしていられない。

メンバー表を眺めてみると、両チームとも基本的に大きな変更はない。このあ
たりにもチームの仕上がりの良さが感じられる。東海大はWTB山田が欠場で
前節CTBだった児玉が左WTBに入り、森脇が新たにCTBとしてスタメン
出場する以外は不動のメンバー構成。拓殖大も法政戦から左PRとNo.8を入れ
替えた以外は同じく不動のラインナップ。本日はやや強い南風が吹くが、両チ
ームの持ち味であるオープン展開には絶好のコンディションであるだけに、ボ
ールがグランドいっぱいに大きく動くランニングラグビーへの期待が高まる。

[前半の戦い]

前半は風下に立った東海大のキックオフで試合開始。期待に違わず立ち上がり
からボールが大きく動く展開となった。拓殖大の蹴り返しのキックがノータッ
チとなったところでターンオーバー/カウンターアタック合戦があり、東海大
が先制のチャンスを掴む。連続攻撃からHO岸が左タッチライン沿いを抜け出
し拓殖大ゴールに迫るが惜しくも目前でタッチに押し出される。続くラインア
ウトで東海大に反則があり、PK→ラインアウトを経て風上の拓殖大が一気に
東海大陣10m/22mの位置まで陣地を挽回する。

拓殖大は風を利用したロングキックで東海大陣を目指すのに対し、東海大は自
陣からはハイパントと、種類は違うがキックからのカウンターの応酬が続く。
もちろんオープン展開も交えてなのでなかなか見ていて楽しい。7分には拓殖
大がカウンターアタックからの連続攻撃でCTB横山伸がラインブレイクに成
功しパスを受けたCTB平野が東海大陣に深く前進。ラックからボールはさら
に右オープンに展開されLOバツベイが力強くゴールを目指す。東海大渾身の
タックルでラックとなったところから拓殖大はチップキックでゴールライン突
破を試みるが東海大にオブストラクションの反則。SOダニエルが右中間22
mのPGを確実に決めて、まずは拓殖大が3点を先制した。

しかしながら、先制点を許したことで東海大に火が付いた。キックオフの蹴り
返しがノータッチとなったところから東海大はカウンターアタックを仕掛け、
オープン展開で拓殖大陣22m付近まで大きくゲインするが、惜しくもノック
オン。ラインが詰まってしまったりと、ミスの多かった先週の立正大戦を引き
ずっているのかなと思った。が、それも一瞬だった。13分、拓殖大が東海大
陣10m/22mでのラインアウトからオープンに展開して右WTBで勝負!の場面
で東海大が激しいタックルを見舞いターンオーバーに成功。拓殖大が反則を犯
したところでFL荒木がクイックリスタートから約50mを走りきり拓殖大の
ゴールラインを越えた。ゴールキックも成功して東海大が逆転に成功。

キックからカウンターアタック、そしてキックの来る返しでラインアウトの多
い展開が続く。ただ、拓殖大は風も利用したロングキックで陣地を大きく挽回
するのに対し、東海大はFWをペネトレーターとして上手く利用した連続攻撃
で確実にゲインを図るといった展開。ボールを大きくオープンに振ったところ
で手詰まりとなってしまうことが多い拓殖大と違って、FWとBKが一体とな
った継続性の面では東海大の方に一日の長がある。次第に拓殖大が自陣での戦
いを余儀なくされる場面が増えてきたが、粘り強いディフェンスで何とか凌ぐ。

28分、東海大は拓殖大陣10m/22mでのスクラムからNo.8がショートサイドを
突き大きくゲインする。拓殖大はターンオーバーに成功するもののタッチキッ
クがノータッチ。東海大がカウンターアタックから連続攻撃でLOリーチが大
きくゲインしラストパスをCTB山内に渡す。GKも成功して東海大のリード
は11点に拡がった。何とか点差を縮めて東海大に傾いた流れを変えたい拓殖
大。33分にはSOダニエルがHWL付近で得たペナルティからPGを狙う。
飛距離は十分でスタンドから見ていると入ったように見えたが惜しくも僅かに
左。何故そこから?と一瞬どよめいた場内を静まりかえらせるくらいの素晴ら
しいプレースキックだった。

その直後のドロップアウトからのリスタートで東海大は再び素晴らしいタック
ルを見せる。カウンターアタックからWTB横山健がゲインを図ろうとすると
ころで、東海大のWTB児玉が激しいタックルを浴びせて一発で倒しターンオ
ーバー。続く35分には児玉がアタッカーとしてカウンターアタックから素晴
らしいランニングを見せる。このカウンターアタックの場面では、東海大のL
OリーチとNo.8マウがラインに並んでBKとして活躍。FWとしてボールを持
つとパワフルな突進を見せる2人だが、BKとしての丁寧なハンドリングもな
かなか魅せるものがある。

37分には東海大が拓殖大ゴール前でのラインアウトのチャンスを掴む。モー
ルで前進したところで拓殖大にオフサイドがあったが、続くラインアウトから
のモールでは拓殖大ゴールラインを越えFL荒木がトライ。難しい位置からの
GKをFB森が成功させて東海大のリードは18点に拡がった。インジュリー
タイムに入ったところで、拓殖大はPKからの速攻で何とか一矢報いようとす
るが東海大が鉄壁のディフェンスを見せる。期待のWTB横山健も「青い壁」
に阻まれて完全な横走り状態(捕まらないが一歩もゲインできない)となる場
面が見られた。

[後半の戦い]

前半は期待の横山兄弟も不発に終わった拓殖大。後半こそは先に得点を挙げて
ペースを掴みたいところだったが、先に点を取ったのは東海大の方だった。F
B森のカウンターアタックからの連続攻撃で東海大陣に攻め入り、拓殖大が反
則を犯す。森がゴールほぼ正面20mのPGを確実に決めて、東海大のリード
は21点となる。前半はややミスが目立った東海大だったが、後半は攻撃のテ
ンポがよくなってきた。いよいよ東海大の持ち味とする高速展開ラグビーが全
開。意識的にFWの周辺を攻めてタテにゲインしてから、早いタイミングでボ
ールがBKに供給される連続攻撃にに拓殖大は防戦一方となる。

8分には東海大は拓殖大陣HWL付近のラインアウトからの連続攻撃で拓殖大
ゴール前まで前進。ラックからオープンに素早く展開したところで完全なオー
バーラップ状態ができ、LOリーチがインゴールに走り込んだ。東海大は畳み
かける。10分には拓殖大陣10m/22mでのラインアウトからオープンに展開。
ラインに居たLOリーチがタテを突き、絶妙のタイミングでCTB森脇にパス
を渡す。森脇は一直線にゴールを目指すだけでよかった。3試合目でいよいよ
リーチが本領を発揮し始めた。走ってよし、パスをしてもよしの大型LOは今
後の対戦校にとっても脅威となるに違いない。FW第3列(マウ、宮本、荒木)
にマウが加わった4本の矢が今シーズンの東海大の最大の武器。

後半開始10分の段階で36−3。勢いから見ても勝負はほぼここで決した。
拓殖大キックオフからのカウンターで東海大FWがどんどんタテを突く展開と
なる。拓殖大もオープン展開で横山兄弟にゲインを託すものの、東海大のディ
フェンス網にすぐに囲まれてしまう。やはり、オープン展開だけで東海大の堅
陣を崩すのは難しい。ノックオン、あるいはタックルポイントでのターンオー
バーで逆襲を許してしまう苦しい局面が続く。15分にはラックからのパスミ
スを拾われて東海大のFL宮本にトライを奪われる。

26分、東海大はラインアウトからのオープン展開でWTBがゴール前にチッ
プキック。拓殖大選手がボールを拾ったところでタックルからターンオーバー
に成功しFL宮本がトライを奪う。ノートライでは終われない拓殖大。28分
にはHWL付近のスクラムからの連続攻撃でLOバツベイがゲインし東海大陣
22mに入る。ここで東海大に反則があり、PKからの速攻で東海大ゴールに
迫るもののパスミス。このボールを東海大のWTB菅生(後半5分、児玉に代
わって登場)に拾われて約80mを走りきられてしまう。36分のSO津田の
トライでついに拓殖大の失点は64点となった。ディフェンスの崩壊というよ
りも、東海大がFWの強力のタテ突破を交えてテンポ良く攻撃を継続させるた
めどうしても下がりながらのディフェンスとならざるを得ない。フェイズを重
ねるうちに人数が足りなくなってトライを奪われていく。

拓殖大も何とか1トライ取ろうとオープンに展開して継続を試みるが、東海大
のプレッシャーの前に殆どゲインできない。やはり、横山兄弟がフィニッシャ
ーになるような攻撃の組み立てがないと東海大の堅い防御網を崩すことは難し
い。拓殖大は最後までオープン展開に活路を見いだそうとパスを繋ぎ続けるが、
東海大の組織は最後まで乱れることがなくそのままノーサイド。9トライを挙
げた東海大の予想以上の強さを見せつけての圧勝だった。

[試合後の感想]

昨日の関東学院(50−14で中央大に圧勝)に刺激を受けたのかどうかはわ
からないが東海大も急速にピッチを上げてきた。とくに本日はFWとBKの連
携がよくチームとしての仕上がりも良好。オープン展開も一発で外まで振るの
ではなく、FWがタテを突いてからクラッシュせずに早いタイミングで球出し
というプロセスを経ているため、相手にとってはディフェンスしずらい。ただ、
本日は大量得点試合となったこともあり、東海大のアタックの局面が目立つ形
となったが、今シーズンの東海大で特筆すべきはディフェンス力だと思う。東
海大がここまでの3試合で許したトライは流通経済大戦の1個のみ。アタック
でのミスはあっても、ディフェンスに回ったときに(過去のチームでは少なか
らず見られた)「エアポケット」に落ちる時間帯がなくなってきたのは、大き
な進歩といえる。ターンオーバーの多さや切り替えの速さなど、確実に隙のな
いチームへと成長している。10月28日の関東学院戦がとても楽しみになっ
てきた。

予想外の大量失点を喫し、また横山兄弟も不発に終わった拓殖大にとっては残
念な結果となってしまった。ボールを持つ機会は十分にあったが、東海大とは
継続力の違いが顕著に出てしまい、チャンスを得点に結びつけることができな
かったことが惜しまれる。ただ、拓殖大のここまでの頑張りが東海大に危機意
識を持たせてその力を引き出したとも言える。この経験を今後の戦いに活かす
ことができれば、まだまだリーグ戦の台風の目で居られるはず。FWとBKの
連携に磨きをかけてチャレンジを続けて欲しい。    (2007年10月8日記)

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