Live Report from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2007

Schedule & Result

Rugby Top

Weekly Report

東海大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2007/10/20) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 2  2  0  0 14 |
       :後半: 5  4  0  1 36 |  50  7
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   3 12


◎出場メンバー

 東海 : 1.三上 2.岸 3.熊谷 4.リーチ 5.杉浦 [6].宮本誉 7.荒木 8.マウ
      9.鶴田 10.津田 11.山田 12.森脇 13.山内 14.新井 15.森功
     (16.宍戸 17.宮本陽 18.斉藤健 19.東 20.辻埜 21.望月 22.菅生)

    ○交代  1→16(後14分入替),  6→19(後21分入替),  8→18(後21分入替)
         9→20(後30分入替),  2→17(後30分入替), 11→22(後30分入替)
        12→21(後30分入替)


 中央 : 1.菊田 2.岡島 3.大塚智 4.小笠原 5.眞壁 6.豊田 7.沖 [8].小山田
      9.片渕 10.松下 11.中田 12.三宅 13.大塚大 14.長友 15.新井
     (16.井上 17.武田 18.岡 19.烏田 20.吉田 21.中澤 22.岡本)

    ○交代  4→18(後21分入替), 10→21(後21分入替),  7→19(後26分入替)
         9→20(後31分入替)


 レフリー :長谷川学(関東協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0     7                                     14    14
                     G     Dx                              G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                               P       x
 中央大学    0                     3                            3


 東海大学   14     21       28     33      40   43        50   50
               G        G      T       G    D         G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学    3                                                  3 


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半14分 リーチ(T)、森功 (G)
      42分、荒木 (T)、森功 (G)
    後半 4分 山田 (T)、森功 (G)
      13分 マウ (T)、森功 (G)
      20分 マウ (T)
      28分 山田 (T)、森功 (G)
      33分 津田 (DG)
      43分 斉藤健(T)、森功 (G)

 中央:後半20分 松下 (PG)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

今シーズン、東海大の試合を観戦するのはこれで4試合目。とくに意識してい
た訳ではなく、巡り合わせ上そうなっているのだが、「旬のチーム」の成長を
生で見続けることができるのはとても楽しい。長いスパンで振り返ってみても、
東海大は、期待されながらも2年連続入替戦で冷や汗をたっぷりかかされたり、
試合中に必ずどこかでエアポケットに落ちる時間帯があってみすみす勝ちゲー
ムを落としてしまったり、1週間でまったく別のチームになってしまう精神的
な脆さを露呈したりしていたチーム。しかしながら、そういった東海大に対す
る負のイメージは完全に過去のものとなった。大学ラグビーのチーム作りには
長い時間を要するが、東海大の1部復帰以降の成長を見ていると、粘り強く努
力を重ねれば必ず成果が現れるということを感じずにはいられない。

その東海大がいよいよ乗ってきた。最終的にどんな成績になるかはまだまだわ
からないが、シーズンを振り返ってみると、ターニングポイントは第3戦の拓
殖大戦になるのではないだろうか。FWとBKの連携による攻撃のリズムが格
段によくなりトライを量産する一方、拓殖大のエース達の完封に成功して失ト
ライゼロで圧勝を収めた。本日のメンバーも基本的に不動だが、左PRに1年
生の三上が起用されていることと、左WTBに山田が復帰していることが目を
引く。来週の関東学院との試合に向けてのテスト、あるいは調整に余念がない
というところだろうか。

一方の中央大も1勝2敗ながらチームの仕上がりはいい。昨シーズンの有田主
将が築き挙げた戦えるチームへの道筋は、小山田主将がまとめる今シーズンの
チームへとしっかり受け継がれているように見える。先だっての関東学院戦で
はFW戦での完敗が響いて点差を付けられてしまったが、ディフェンスで踏ん
張りを見せタイトな戦いを演じている。本日の出場メンバーでは、関東学院戦
で前半で負傷により戦線離脱を余儀なくされたLO眞壁が復帰していることが
心強い。また、HB団はここまでの戦いから先発とリザーブを入れ替え、SH
片渕(4年生)とSO松下(1年生)の組み合わせ。「ダブル大塚」(PRと
CTB)といった新人の活躍が目を引く中央大にあって、また一人フレッシュ
な新戦力の活躍なるかに注目したい。

[前半の戦い]

心配された雨も昨日のうちに上がった。弱い南風が吹くものの晴れの絶好のコ
ンディションの中、白のセカンドジャージで登場した中央大のキックオフで試
合開始。立ち上がりから、相手キックに対するカウンターアタック合戦となり
ボールがグランド上を大きく動く展開となる。開始早々の1分、東海大陣(10
m/22m)での東海大ボールラインアウトで中央大はボールの奪取に成功。オー
プン展開からのゴロパントが絶妙の転がり具合で東海大陣22m内でタッチを
割る。さらに東海大ボールのラインアウトがノットストレートとなり、中央大
は東海大ゴール前でマイボールスクラムの絶好のチャンスを掴む。

BKに展開して得点を狙う両チームにとって、この試合で鍵を握るのはFWの
セットプレー。注目のファーストスクラムだったが、東海大FWがスクラムを
プッシュしてターンオーバーに成功し、No.8マウからパスを受けたFL荒木が
一気に中央大陣22m付近まで到達する。ここで中央大にハンドの反則があり、
一転して東海大が中央大ゴール前でPKの先制のチャンスを掴む。東海大は中
央大ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、HO岸がゴール前まで到
達してラック。ここからLOリーチがサイドを突いて先制点を挙げた。まずは、
東海大FWがパワーと機動力を見せつける形となった。

東海大FWはエンジン全開。8分には中央大のキックミス(マイナス気味のハ
イパントとダイレクトタッチ)により得た中央大陣(10m/22m)でのラインア
ウトから再びモールにより前進。オープン展開からセンタークラッシュを経て、
SO津田が意表を突いたドロップゴールを試みるが外れる。流れから見てちょ
っと意図不明だが、次週の大一番(関東学院戦)に向けてのテストの意味合い
もあったのだろうか? リスタートのドロップキックに対するカウンターアタ
ックから東海大は連続攻撃で攻め続ける。細かいパスとラックからの素早い球
出しでテンポよく攻めるのが今年の東海大のコンセプト。だが、中央大も粘り
強いディフェンスで凌ぎ、プレーが途切れない見応えのある展開となる。

13分、東海大は再び中央大ゴール前でラインアウトのチャンスを掴むが、オ
ブストラクションで後退。15分の中央大10m付近でのラインアウトのチャ
ンスも、オープン展開からFWのサイドアタックで前進を図るがノックオンと
東海大の攻めあぐみの状態となる。直後のスクラムで中央大は8→9から絶妙
のゴロパントで東海大陣22付近まで前進。さらにマイボールラインアウトの
チャンスを掴み、ラックからオープンに展開したところで東海大がオフサイド
の反則を犯す。右中間約26mの位置からのPGをSO松下が慎重に決めて、
20分で中央大が3点を返しビハインドを4点に縮めた。

リスタートのキックオフからロングキック、カウンターアタック、そしてター
ンオーバーが繰り返される忙しい展開となる。ボールを支配している率は東海
大の方が高いが、FWでタテに行くか、オープンに展開するかの選択で一瞬の
躊躇があり、なかなか有効なゲインが得られない。東海大とって、FWでもB
Kでも行けると思われた反面、中央大のディフェンスがいいのでどちらで行っ
ても止められるかもしれない、といったことがチーム戦術としての選択を迷わ
せたのかもしれない。

中央大も積極的に攻める。23分には東海大陣ラインアウトからモールで前進
し、オープンに展開しSO松下からCTB大塚にサインプレーでパスが繋がっ
たかに見えたが、惜しくも前に出た東海大選手がノックオン。直後の東海大陣
22m付近のスクラムからショートサイドを攻め、WTB長友がゲインしてラ
ストパスか?と思われたが惜しくもスローフォワード。中央大も攻めきれない。
27分、ゴールほぼ正面39mの位置からSO松下がPGを狙うが左に外れる。
本日初スタメンの松下だが、小気味よいアタックを見せるなかなかの好選手。
もちろん、まだ話題としては早すぎるが、中央大には有望な1年生がたくさん
いて楽しみである。

といった具合に双方激しく攻め、守る中で得点板が動かないままどんどん時間
が過ぎて行く。いいゲームは時間が経つのが早く感じられるが、このゲームも
まさにそんな感じ。しかし、前半も終盤にさしかかった35分、ひとつのプレ
ーが(結果的に)ゲームの流れを変える。中央大がHWL付近のスクラムから
オープンに展開してタッチを狙ったキックがダイレクトタッチとなる。とくに
前半は風上に立っていたこともあるが、中央大のキックが伸びすぎてダイレク
トとなるケースが多かったが、この1本はとくに痛いミスとなった。

37分、東海大は中央大陣10m付近のラインアウトからモールでの前進を起
点として連続攻撃で攻め、中央大ゴールに迫る。ここで中央大にオフサイドが
ありラインアウト。東海大は再度モールで前進を図るが、またも中央大に反則。
時計が40分となったところで東海大は中央大ゴール前でスクラムを選択する。
中央大がコラプシングを犯し、東海大ボールのスクラムがなおも続く。東海大
がこのスクラムを押し込んでゴールまでラック状態となったところから、FL
荒木がサイドを突いてトライに成功。そのとき時計は42分だった。攻めあぐ
みの状態の感があった東海大にとっては、リードを11点に拡げる貴重な追加
点となった。東海大は着実にそつのないチームへと成長してきている。

[後半の戦い]

後半こそは先に点を取って東海大にプレッシャーをかけたい中央大。後半も立
ち上がりから前半の流れが引き継がれる形でカウンターアタック合戦が展開さ
れる。2分、中央大は自陣10m付近のスクラムからNo.8のサイドアタックを
起点としてキックで前進を図るが、東海大のタッチキックでほぼ同じ位置に戻
される。やり直しラインアウトからモールを経てハイパントで攻めたところで
中央大にオフサイド。ここから東海大はLOリーチが判断よくタップキックで
前進を図り、中央大陣22mに入ったところでディフェンダー4人を引きつけ
て絶妙なタイミングでラストパスをフォローしたWTB山田に送った。GKも
決まり21−3と中央大の出鼻を挫く形で東海大はリードを拡げる。

前半の部分で中央大の1年生のことについて書いたが、東海大にも1年生が3
人(PR三上、LOリーチ、SH鶴田)スタメンで出場し活躍ている。LOの
リーチは186cm,96kgと外国人選手、そしてロックとしてもけして大きな選手で
はない。が、1年生ながら確実な判断力と正確な技術を持っている点ではピカ
イチのLOではないかと思う。拓殖大戦からチームにフィットしてきた感があ
るが、この日は確実なダウンボールとタイミングのよいパスで魅せてくれた。
ミスは殆どしない。このリーチに刺激されたためか昨シーズンはやんちゃ坊主
の感があったNo.8のマウも優等生に変身している。模範的な後輩によってもた
らされた思わぬ波及効果、というのが友人の東海大ファンの指摘するところだ
が、納得である。

ここから試合の流れは東海大にぐっと傾いていく。FWではマウ、リーチの他
にHOの岸が随所で有効なゲインを稼ぐランニングを見せる。東海大はFWで
ボールを前に動かしてからオープンに展開するのが基本コンセプトだと思うが、
パスを細かくつなぎラックからも早い球出しで仕掛けているため、中央大はデ
ィフェンスしずらい。中央大にオフサイドが増えていき、9分からは自陣ゴー
ルゴールをにしたスクラムが続き苦しい展開となる。そして14分にはNo.8マ
ウにインゴールに飛び込まれて4トライ目を献上。余裕が出てきた東海大はF
Wで前進を図りながらどんどん攻め続ける。ちょっとプレーが雑になってきた
部分も見られたが致命傷にはならない。

20分にはマウがトライを奪い、GKは失敗するもののリードはさらに拡がっ
て30点に。流れから行ってもここで東海大がほぼ勝利を手中にした。東海大
は畳みかける。28分、東海大陣10m付近のセンタースクラムから左サイド
を攻めて左WTB新井が大きくゲインして一気に中央大ゴールに迫る。ここか
ら今度は逆に右オープンにワイドに展開して右WTB山田がゴールラインを駆
け抜けた。グランドを左右に大きく使った東海大らしい攻めで相手を完全に崩
した見事なトライだった。33分にはSO津田が正面24mの位置からドロッ
プゴールを今度は決める。これはもう関東学院戦を意識してのプレーと思って
間違いなさそう。30分には東海大は選手を一気に4人入替えて、リザーブの
選手をすべてピッチに登場させた。

何とか1トライをと死力を尽くして反撃する中央大だが、東海大ゴールは遠い。
東海大は味方キックに対する相手のカウンターアタックの局面でも、組織的な
網を構築して中央大の選手を包み込んでしまう。LOの眞壁やエースの長友が
いい形でボールを持つ形がほとんどないままに、ゲームはインジュリータイム
に入った。そして、ノーサイド寸前の43分、東海大は中央大陣22m付近の
スクラムからマウに替わって出場した斉藤がサイドアタックでゴールに到達。
GKも成功し、これで東海大の得点はライバルの関東学院の対中央大戦と同じ
50点となる。しかも奪われたトライは本日もゼロ。前半こそ攻めあぐみも見
られたが、東海大の好調ぶりを見せつける形でノーサイドとなった。

[試合後の感想]

来週の関東学院戦が本当に楽しみになってきた。しぶといディフェンスで健闘
を見せた中央大に対して、関東学院と同じ50点を奪ったことは大きい。だが、
チームにとって一番の収穫は本日も相手にトライを許さなかったことではない
かと思われる。4試合で失トライ1は堅守を誇る東海大の勲章といってもいい。
強いて気になる点を挙げれば、ミスがでなかったとはいえ、テンポを上げるた
めにパスをちょっと急ぎすぎているように見られる部分あった点。ノールック
パスがことごとく成功していたのは、フォローがしっかり付いていたことと、
練習が行き届いていることの裏付けだが、関東学院はここをしっかり狙ってく
るはず。不用意なパスは命取りになることはしっかり意識しておいた方がいい
のではないかと思われる。

関東学院に引き続き、東海大にも同じ得点を取られて敗れた中央大だが、今後、
そして来シーズン以降に向けて収穫も多かった敗戦ではなかったかと思われる。
今日の試合は時間が経つのが早く感じられたが、それも中央大のディフェンス
面での健闘によるところが大きい。中央大はここまでに法政に勝っていること
が大きく、また、今後の対戦チームに比べると、現時点での力は頭一つ抜けて
いるように感じられる。1,2年生に有望な選手が多く、来シーズン以降の楽
しみも多いチームなので、ここはぜ前半戦を有利に戦える4位以上を目指して
頑張って欲しい。                  (2007年10月21日記)

Top       

本ウェブサイトの記述内容の無断転載を禁じます。