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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2007

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Weekly Report

法政大学 vs 立正大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2007/10/21) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 1  1  1  0 10 |  15 13
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 立正大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  14 12


◎出場メンバー

 法政 : 1.鎌田 2.垣内 3.佐藤 4.栗林 5.原田 6.有田 7.萩山 [8].竹中
      9.日和佐 10.文字 11.高山 12.濱川 13.宮本 14.出村 15.城戸
     (16.稲田 17.浅原 18.山根 19.岩爪 20.和田 21.岸和田 22.近間)

    ○交代 14→22(後 7分入替),  2→16(後 9分入替),  3→17(後21分入替)
         9→20(後21分入替), 13→21(後33分入替),  7→19(後40分入替)


 立正 : 1.小池 2.古館 3.月野 4.乙川 5.白倉 6.竹谷 7.川田 8.イシレリ
      [9].安部 10.佐藤浩 11.平 12.茅原 13.シリバ 14.松坂 15.小玉
     (16.古屋 17.佐藤隆 18.大山 19.ミロ 20.笠間 21.柴崎 22.窪田)

    ○交代  2→17(後23分入替), 14→22(後23分入替),  1→16(後39分入替)
        15→21(後41分入替)


 レフリー :大淵修二(関東協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0     5                                            5
                     T             x     x
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                          G                          x
 立正大学    0                7                                 7


 法政大学    5               12               15               15
                               G                P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                G
 立正大学    7      14                                         14

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 4分 高山 (T)
    後半14分 城戸 (T)、日和佐(G)
      31分 文字 (PG)

 立正:前半15分 イシレリ(T)、佐藤浩(G)
    後半 5分 イシレリ(T)、佐藤浩(G)



◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

本日で今シーズンの熊谷ラグビー場での試合観戦は6日目。熊谷にも秩父宮ラ
グビー場のリピートクーポンチケットと同じようなシステムがあり、中央席な
ら2枚、一般席なら3枚、異なる試合のチケットを提示すると招待券で観戦す
ることができる。中央席なら2回分の料金で3回ラグビー観戦が楽しめるとい
うわけ。このことはチケットにも明記されているが、もっと広くラグビーファ
ンに知られていいのではないかと思う。観客が少しでも多い方が選手達にも励
みになるはず。というわけで、2枚目の招待券を手にスタンドに向かう。

法政の試合を観るのは緒戦の中央大戦以来となる。メンバー表を眺めてみると、
中央大戦とはFWもBKも殆ど総入れ替えに近い状態で、こうあたりにもチー
ム作りに苦労している様子がうかがわれる。ただ、第3戦の流通経済大戦から
の変更は少ないので、法政もようやくメンバーが固まってきたようだ。緒戦で
途中出場ながら軽快なランニングを見せた城戸がFBの定位置をゲット。ただ、
和田主将は本日もリザーブスタート。チーム事情はよくわからないが、キック
オフ時に主将が不在なのがちょっと気になる。

立正大は2戦目(東海大戦)に引き続きシリバ・アヒオ(2年生)がCTBと
してスタメンで登場。昨シーズン、立正大に元気を与える選手として密かに期
待していた選手だったが、FW戦重視のためか出場機会がほとんどなかったの
が残念だった。先だっての東海大戦で、雨の中オープン展開指向のラグビーを
見せた立正大。本日はFWにミロを起用しなくても行けるという判断なのか、
それとも、今シーズンはシリバを軸にしてBK展開で行くのか、は試合を観て
のお楽しみといったところだろうか。いずれにせよ(法政ファンには申し訳な
いが)今日は立正大にとって今シーズンの初勝利を掴むチャンス。思う存分暴
れて欲しい。

[前半の戦い]

法政、立正大ともジャージの色はオレンジが主体。どちらがセカンド・ジャー
ジで現れるのかな?と思ったら、どちらもファーストだった。見分けがつかな
いことはないが、遠目に見ると区別がつきにくい。何となく混沌とした試合展
開を暗示しているように思えた。というのはもちろん結果論。さほど強くはな
いが、熊谷の風(赤城おろし)が吹く中、風下に立った法政のキックオフで試
合が始まった。

それにしても今日はメインスタンド左側に陣取った法政の部員の応援が賑やか。
ただ、応援と言うよりはピッチに立つ選手への指示のような感じで、それもい
ろいろなところから声が飛んでくる。試合をしているのは自分たちのチームを
代表する選手達。たとえ先輩であっても指導者以外から「指示」を受けるのは
あまり気持ちのいいことではないはず。そもそも強豪チームならそんな事が許
される雰囲気すらない。それに言われる前に選手達はちゃんとしかるべき位置
に立っている。指示も相手に聞こえるような大声で出したりはしない。

ちょっと脱線してしまった。序盤から積極的に攻めたのは法政。キックオフに
対する蹴り返しのタッチキックでラインアウトとなったところをクイックスロ
ーインでリスタート。オープンに展開したところで立正大にオフサイドがあり、
法政は立正大陣10mでラインアウトのチャンスを掴む。が、法政にノックオ
ンがあり立正大ボールスクラム。ここから立正大はNo.8イシレリがサイドをつ
きパワフルな突進を見せるか?と思いきや意表を突いたグラバーキック。がこ
の意外性のプレーがボールとともにチャンスも法政に渡してしまう。

プレゼントのような形でボールを拾った法政は素早くオープンに展開して、連
続攻撃で一気に立正大陣22m付近まで前進してパイルアップ。まだ、本調子
とは言えないが、持ち味のスピードとテンポを思い出したかのような鮮やかな
連続攻撃だった。そして、立正大陣22mでのスクラムから素早くショートサ
イドを攻め、パスを受けた左WTB高山が左隅に飛び込む。開始4分にして法
政が得意とする形でのトライが生まれたことで、法政が一気にペースを掴む。

キックオフによるリスタート直後の5分、立正大ボールラインアウトからキッ
ク合戦を経て、立正大がカウンターアタックからオープンに展開したところで
法政はターンオーバーに成功。ここから逆に法政が右オープンに展開し、右W
TB出村が立正大ゴールに向かってゴロパントでトライを狙うが惜しくもドロ
ップアウト。やはりオープン展開の切れ味は法政の方が1枚上手のようだ。だ
が、立正も法政のミス(ダイレクトタッチ)によりチャンスをもらう。

10分、立正大はラインアウトからオープンに展開してキックで法政陣22m
付近まで前進したところで法政にオフサイドの反則。が、法政ゴール前でのラ
インアウトのチャンスでノックオン。法政のインゴールからのタッチキックは
効果的なキックとはならず再び法政陣22m内でのラインアウト。ここから立
正大がモールで前進を図ったところで法政がまたもオフサイドを犯す。立正大
のはタップキックから速攻で攻めるもののパイルアップ。だが、法政にノット
10mバックがあり、立正大は再度PKからFWで攻めてゴール前のラックか
らNo.8イシレリがサイドを突いてトライ。GKも成功して15分で立正大が7
−5と逆転に成功する。これで逆に立正大が元気ずくか?

しかし、持ち味の高速展開を思い出した(かに見える)法政の勢いは止まらな
い。トライ後のリスタートのキックオフから立正大のNo.8イシレリが強行突破
を図るがラックで立正大にオフサイド。法政は左中間の22mラインより少し
後ろの位置から手堅くPGで3点を狙うがSH日和佐のキックは惜しくもゴー
ルポストに弾かれてしまい得点ならず。意志決定に少し時間を要したこともあ
り、スタンドの法政ファンからは「積極的に行け!」の声も上がる。法政は続
く24分にも右中間32mの位置からPGを狙うものの、これも失敗して2点
差をなかなか逆転できない。

オープン展開による連続攻撃で積極的に攻め続ける法政だが、どこかちぐはぐ
な点も否めない。27分にはHWL付近で得たPKのチャンスから速攻で攻め
てオープンに展開し、右WTB出村がチップキックで前進を図るものの、この
キックが立正大ディフェンダーの手にダイレクトですっぽりと収まる「ナイス
パス」となる。思わぬ相手への「プレゼント」は法政ファンをヒヤッとさせた
が大事には至らなかった。少し前に座っていた法政ファン(女性)からは「こ
んなのあり得な〜い...」とため息混じりの声も。

両チーム得点を挙げられないままに時計はどんどん進み30分を越えた。が、
この段階でも試合は落ち着かない。法政のオープン展開に立正大が振り回され
ている感じだが、どちらかといえば立正大が(テンポは速いもののしっくりし
ない)相手のペースにはまって、自分たちのラグビーができないでいるという
印象。東海大戦では落ち着いてオープンに回せていたのとは対照的だ。相手に
よるといったら法政には失礼かもしれないが、実直なラグビーをする立正大と
いう鏡を通じて、東海大と法政の仕上がりの違いが浮き彫りになった形。

36分、法政はビッグチャンスを掴む。立正大の蹴り返しのキックに対するカ
ウンターアタックからオープンに展開して右WTB出村が今度は絶妙のチップ
キック。このキックを自ら拾って立正大陣22mに迫る。残るディフェンダー
はFBの小玉ひとり。小玉は少し前のプレーで負傷して足を引きずっている。
出村は難なく小玉もかわしてそのままゴールラインまで到達するかと思われた。
が、小玉が渾身のタックルで出村を倒した。立正大の大ピンチを救う執念のこ
もった見事なプレーに拍手である。(左の方から何度か聞こえてきた心ない声
に対する怒りが生んだ必殺タックルだったのかもしれない。)

その後も、ゲームが落ち着かない中で法政のペースで試合が進む。拓殖大はセ
ットスクラムからNo.8イシレリが再三サイドアタックを試み、ゲインするもの
のなかなか攻撃が繋がらない。攻めあぐみ状態の中で前半終了間際の42分、
立正大はHWL付近(ゴール正面)からPGを狙うものの外れる。結局、前半
は両チーム1トライずつを挙げ、7−5の立正大リードで終わった。

[後半の戦い]

前半は法政のペースに巻き込まれてしまい、自分たちの思うようなラグビーが
できなかった立正大。後半こそは、流れを自分たちの方に引き戻してリードを
拡げたい。また、それができるかどうかが今後の闘いでの浮上の鍵になる。開
始早々、法政が立正大陣10mでのラインアウトからオープンに展開したとこ
ろで立正大はターンオーバーに成功。ラックからオープンに展開して法政ゴー
ルに迫るが惜しくもオフサイド。しかし、このプレーで立正大がペースを掴む。

直後のPKを経ての法政ボールのラインアウトがノットストレートとなり、立
正大は法政陣(10m/22m)でのスクラムのチャンスを得る。ここからオープン
に展開してCTBシリバがラインブレークに成功し、パスを受けた左WTB平
が法政ゴールに迫る。平はゴール目前で倒されてラックとなるが、No.8イシレ
リがインゴールにボールを持ち込みトライ。イシレリは法政がもっとも警戒し
ている選手のはずだが、トライした本人もびっくり?というくらいにあっさり
と取られてしまった。う〜ん、法政どうしちゃったんだろう?

ゴールキックも成功し、立正大は開始5分でリードを9点に拡げる。セットか
らのオープン展開でしっかり取れたことで、立正大は落ち着いて試合を進める
ことができるはず。9分にも法政陣22m付近でマイボールスクラムのチャン
スを得、連続攻撃で法政ゴールに迫るが惜しくも反則。攻め込みながらも反則
でプレーが終わる悪い流れが断ち切れない。法政がラックでしつこく絡んでい
ることもあるが、クラッシュした後の球出しが遅いのが気になる。取るべきと
ころで取れないとせっかく掴んだよい流れを相手に渡してしまうことになる。
しかも相手は試合巧者の法政。

15分、法政は立正大陣(10m/22m)での立正大ボールのラインアウトでステ
ィールに成功し素早くオープンに展開して一気に攻める。SO文字からロング
パスがCTB濱川に渡り、濱川からパスを受けたFB城戸が立正大ゴールライ
ンを越えた。ゴールキックも成功し、法政は再びビハインドを2点に縮める。
後半のいい時間帯で1PGでも逆転可能となったところで法政に精神的な余裕
が出てくる。逆に立正大はリードしているもののプレッシャーを感じたのだろ
うか。直後の法政陣(10m/22m)スクラムからオープン展開でオーバーラップ
状態を作るもののWTBがタッチに押し出されて得点のチャンスを逃す。

法政は20分に満を持してSH和田主将をピッチに送り出す。まだコンディシ
ョンが万全ではないので後半からということらしい。が、和田の登場で法政の
攻撃のテンポが上がってくる。直後の立正大陣10m付近でのラインアウトか
らのオープン展開でCTB濱川がラインブレイクに成功し立正大ゴールに迫る。
が、惜しくもゴール目前でタックルに遭いノットリリース。ここから立正大は
自陣での反則が多くなり、ゴールラインを背にして耐える展開となる。26分
には法政が立正大ゴール前でのPKからサインプレーでトライを狙うがインゴ
ールにボールを運んだところでパイルアップ。スクラムから8→9で攻めて立
正大にノックオン。

法政の立正大ゴール前でのアタックはまだまだ続く。29分、ゴール前ライン
アウトからFWがサイドを突くもののターンオーバーされてボールはタッチへ。
続くラインアウトからクイックスローインでオープンに展開しラックとなった
ところで立正大にオフサイド。位置はゴール正面の22mライン付近。法政は
ここでようやくPGによる3点を追加し、僅か1点差ながら逆転に成功する。
しかし、得点板を見て初めて逆転に気がついたと言ってもおかしくないくらい
に、法政は(敵陣で試合をしていれば必ず逆転できるといったような)精神的
に余裕を持って攻めているように感じられた。これが、勝ち慣れているチーム
の伝統の力なのだろう。

時計は31分。終盤でリードを奪われたといっても点差は僅かに1点。立正大
は再逆転に向けて最後の力を振り絞る。しかしながら、なかなか法政陣に入る
ことができない。せっかくPKのチャンスを得てもラインアウトでことごとく
ミスにより相手にボールを渡してしまう状況が続いたのも痛かった。インジュ
リータイムに入ったところで法政はボールキープに徹する。FWでボールを保
持しながら(タッチキックではなく)サイドアタックでラックの継続。法政フ
ァンには本当に心臓に悪い。時計が43分を回ったところで、スタンドからの
「何をしてるんだ、早くタッチに出せ!」の声に反応してようやくタッチアウ
ト。立正大にとっては1点がとにかく重かった。

[試合後の感想]

立正大にとっては本当に残念な敗戦だった。ひとつ感じたのは、やはり立正大
の選手は大人しいということ。もちろん、覇気がないとか、闘志が感じられな
いという意味ではない。たとえ相手が伝統校であっても、強引に自分たちの方
に試合の流れを持ち込むだけの図々しさがあればと思う。拓殖大の横山主将の
ような先陣をきるムードメーカー的な選手が欲しい。この日、再三突破を見せ
て存在感をアピールしていたシリバはその役割を担える選手だと思うが、まだ
周りとの呼吸が合っていないように思われる。しかし、これも貴重な経験。悔
しさをバネにして残り4戦をしっかり戦い抜いて欲しい。

法政は綱渡り状態が続いている。ただ、今日の試合を見た感じでは、遅まきな
がらも持ち味とするスタイルを思い出してきているようだ。ただ、昨シーズン
と比較しても仕上がりが遅れているのは確か。(法政の持ち味であるはずの)
スピードもテンポも前日に秩父宮で見た東海大の方が上回っている。とくに気
になるのは、他のチームの選手達だけでなく、当の法政の現役選手達にも試合
の場での実体験を通して受け継がれるべき「法政の持ち味」に対する感覚が徐
々に薄れてきているのではないかということ。法政ファンに限らずリーグ戦グ
ループのラグビーをっずっと観てきた者、そして法政と戦ってきた選手達が持
っている「強い法政」に対する強烈なイメージとの乖離現象が進んでいるとし
たら、寂しいし残念である。            (2007年10月24日記)

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