Live Report from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2007 |
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法政大学 vs 大東文化大学 |
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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2007/11/17) 於:秩父宮ラグビー場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 法政大学 :前半: 2 2 0 0 14 | :後半: 3 3 2 0 27 | 41 9 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 大東文化大学:前半: 0 0 1 0 3 | :後半: 0 0 0 0 0 | 3 11 ◎出場メンバー 法政 : 1.浅原 2.稲田 3.鎌田 4.井上 5.栗林 6.有田 7.光安 [8].竹中 9.日和佐 10.文字 11.萩尾 12.宮本 13.濱川 14.近間 15.城戸 (16.垣内 17.山根 18.遠山 19.萩山 20.和田 21.岸和田 22.舩木) ○交代 2→16(後23分入替), 9→20(後26分入替), 1→18(後31分入替) 12→21(後31分入替), 7→19(後36分入替), 11→22(後36分入替) 4→17(後40分入替) 大東 : 1.銭場 [2].森 3.須藤 4.松田 5.大窪 6.林 7.牧野 8.シリヴェヌシ 9.新川 10.出村 11.生方 12.武政 13.レプハ 14.荒川 15.辻 (16.長沼 17.坂下 18.森山 19.松井 20.升屋 21.滝内 22.ファマオ) ○交代 3→16(前23分入替), 2→17(前43分入替), 14→22(後 0分入替) 8→19(後 0分入替), 10→20(後16分入替), 11→21(後31分入替) ●シンビン 22(後半18分) レフリー :桜岡将博(日本協会公認) ◎得点経過 法政大学 0 7 14 14 G G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 P Dx 大東文化大学 0 3 3 法政大学 14 21 24 31 34 41 41 G P G P G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 大東文化大学 3 3 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 法政:前半 5分 栗林 (T)、文字 (G) 31分 濱川 (T)、文字 (G) 後半 1分 文字 (T)、文字 (G) 11分 文字 (PG) 20分 竹中 (T)、文字 (G) 31分 文字 (PG) 39分 舩木 (T)、文字 (G) 大東:前半 1分 出村 (PG) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] 不祥事によるものとはいえ、関東学院の突然の戦線離脱は本当に残念である。 とくに最終戦で関東学院と戦うことになっていた法政の選手達は、心中では複 雑なものを感じているに違いない。既に関東学院との対戦を終えたリーグ戦グ ループ校関係者からは、法政に無条件に勝点4を与えることに対する異論も漏 れ聞こえてくる。しかし、選手達は目の前の一戦一戦を一生懸命戦って行くし かない。これはもちろん前の試合で関東学院に惜敗した大東大の選手達も同じ はず。観戦する側としても「心のネジ」を巻き直して、まずはこの戦いに集中 するしかない。 さて、リーグ戦も終盤となってしまったが、大東大、法政の両校ともチームを 仕上げることができていないように見受けられる。どちらも本来は攻撃的なチ ームのはずなのだが、チーム状態を一言で表せば「爆発できていない」という ことに尽きる。豊富な持ち駒を活かせていないと言い換えることもできる。法 政は伝統のテンポとスピードによる高速展開ラグビーをなかなか思い出すこと ができず、大東大はトンガ出身のパワフルな選手達の起用法に決定打が出ず、 それぞれチーム力を上げることができていない。 そんなことを考えながら、両チームのメンバー表を眺めてみた。法政は日和佐 と文字のHB団でSHの和田主将は本日もベンチスタート。緒戦から比べると 顔ぶれが半分以上入れ替わっているが、15人は完全に固まったようだ。一方 の大東大は関東学院戦に続きNo.8シリヴェヌシ、右CTBレプハの組み合わせ。 当初構想(ツインパワフルCTB)とは違う形になったが、こちらもようやく メンバーが固まった。両チームともこの試合で勝つことはもちろんのこと、で きればチームを完成させたい。そういった意味でも、どちらが先に攻撃のリズ ムを掴むかを私的注目点としてキックオフを待った。 [前半の戦い] メインスタンドから見て左側に陣取った大東大のキックオフで試合開始。大東 大が法政陣でボールの奪取に成功しオープンに展開したところで法政がオフサ イドを犯す。立ち上がりと言うこともあり、大東大はPGを選択。SO出村が ゴール正面やや左で距離は30mのゴールキックを慎重に決め、まずは大東大 が幸先よく3点を先制した。まだ試合は始まったばかりなので、先に攻撃のリ ズムを掴む意味で、22m内からラインアウトで積極的に攻めてもいいように 思われたが、もちろんこれは結果論。 リスタートの法政キックオフから、大東大はボールをタッチに蹴り出さずNo.8 シリヴェヌシが前進を図りラックからオープンに展開するが、ボールがCTB レプハに渡ったところでレプハがノックオンを犯す。大東大はトンガ勢2人に ボールを集めてタテを突く作戦のようだが、法政もこの二人をしっかりとマー クしている。また、法政のタックルは足下にしっかり入っているため、彼らが ボールを持っても大東大は有効なゲインが得られない。結果的にはずっとそん な展開が続いたこの試合を象徴するような滑り出しの一コマだった。 2分、法政は大東大陣22m手前でPKのチャンスを得るがゴールを狙わずに 大東大ゴール前でのラインアウトを選択。先ほどPGを狙った大東大とは対照 的に、法政はどんどん攻めていく姿勢のようだ。法政はラインアウトからFW がサイドを攻めて前進を図ったところで、大東大にノットロールアウェイの反 則。ここから法政はタップキックで攻めゴール前からオープンに展開するもの の、大東大はタックルからターンオーバーに成功してタッチキックで一旦はピ ンチを逃れる。しかしながら、法政は大東大10m付近右サイドのラインアウ トからオープンに展開。ラックから素早く右サイドを攻めてBKでパスを繋ぎ ながら大きく前進し、フォローしたLO栗林がゴールラインを越えた。SO文 字のゴールキックも成功して法政は7−3と逆転に成功する。スピードとテン ポの法政復活を思わせる鮮やかなランニングラグビーによるトライだった。 オープンに展開してBKの速さで勝負する法政に対し、大東大はNo.8シリヴェ ヌシのパワーで前に出る作戦。だが、大東大はオープンに展開したところでフ ォローが薄くなってしまう。FWの集散は法政の方が速く、大東大はせっかく 攻めてもゲインできず、ターンオーバーされて法政にボールを渡してしまう苦 しい展開となる。そして、アタックの局面になると法政はBKに展開してテン ポよくボールをビッグゲイン。どうやら法政はここ数週間で別のチーム、とい うか本来の持ち味とするラグビーを思い出したようだ。大東大は9分に法政陣 22m内でのスクラムのチャンスを掴むが、法政は自陣G前でのターンオーバ ーからBKでボールを繋いでHWL付近まで一気に陣地を挽回してしまった。 攻めあぐむ大東大はちぐはぐ。15分、法政陣(10m/22m)で得たPKのチャ ンスでタッチを狙ったキックは直接インゴールまで到達してしまう。続く17 分、法政陣22m(右サイド)でのラインアウトからモールを形成し、No.8シ リヴェヌシがサイドの突破を図るものの法政の厳しいタックルに遭ってペナル ティを犯す。ただ、アタックが好調な法政もスローフォワードやノックオンの ミスがあり、なかなか追加点を奪うことができないまま時計が進む。25分に は大東大のSO出村が法政陣10m付近から意表を突いてドロップゴールを狙 うが外れる。さらに29分、大東大は自陣22m内からラインアウトのクイッ クスローインを起点としてオープンに展開し、キックで前進を図る。が、逆に 法政はカウンターアタックから連続攻撃で大きく前進し、大東大ゴールに向か ってキックで攻める。(結果は大東大のドロップアウト) 直後の31分だった。法政は大東大のリスタートのドロップキックに対するカ ウンターアタックからCTB宮本がタテに抜けてオープンに展開。BK間でパ スが繋がり、ラストパスを受けたCTB濱川が大東大ゴール左隅にトライ。左 サイドの難しい位置からのゴールキックをSO文字が決めて、法政のリードは 11点に拡がった。優勢に試合を進めながらもなかなか得点を奪えなかった法 政だったが、この追加点で完全にペースを掴んだ。対照的に、大東大はNo.8シ リヴェヌシ、CTBレプハが法政のタックルで完全に止められてペースを掴む ことができない。30分以降は法政陣にもほとんど入ることができない状況と なる。法政は序盤から快調に飛ばしたのに対し、大東大は最後まで消化不良と いった明暗を分けた状態のまま前半が終了した。 [後半の戦い] 前半、法政の速いペースに翻弄され続けた大東大はFW中心のゆっくりした展 開で試合を進めたい。しかしながら、大東大は後半からNo.8シリヴェヌシに替 えて松井、FB辻に替えてファマオを投入。大東大は開幕からずっと3人のト ンガ出身の選手達をどのように起用していくかを模索し続けてきているが、そ れはまだ続いている印象。組織よりも「個人頼みのラグビー」の感は否めない。 対照的に法政は組織でがっちりまとまっていて戦術もシンプルかつ明確で徹底 されている。しかも、前半で完全に「乗って」しまった。大東大はこの難局を どのように打開していくか。 と思ったが、開始早々の1分に法政があっさり追加点を奪った。HWL付近で 得たペナルティからタップキックで素早くオープンに展開。SO文字のロング パスからFB城戸が大きくゲインし右サイドでラック。ここからSH日和佐の 短いパスが狭いショートサイドに走り込んだSO文字に渡り、文字はそのまま タッチライン際を走りきってインゴールに到達する。ゴールキックも成功して 法政のリードは18点に拡がる。これで法政は完全に試合のペースを掴んだ。 その後も文字の(BKに有効なランニングスペースを生み出す)ロングパスが 冴え渡る。 何とか反撃の糸口を掴みたい大東大。5分、HWL付近のスクラムから連続攻 撃で攻めるが、法政ディフェンス網のプレッシャーが強くゲインできない。7 分には法政陣(10m/22m)左サイドのラインアウトからモールを形成して力強 く前進し一気に法政ゴール前に迫る。が、ゴールまであと少しのところでオー バー・ザ・トップの反則を犯し絶好のチャンスを潰してしまう。大東大はとき に力強い前進を見せるものの、どうやってそれをトライに結びつけるのかとい うビジョンが見られない。そんな状況を尻目に、11分には法政のSO文字が 左中間が26mのPGを決めて着実に加点し、点差はさらに拡がる。 大東大はラインアウトも不調。13分には自陣(10m/22m)でマイボールを法 政にスティールされてピンチを招く。しかしながら、大東大は法政のオープン に展開されたボールのインターセプトに成功。このプレーが法政のオフサイド を誘い(PKをノータッチとするミスはあったが)結果的に法政陣22m内で のラインアウトのビッグチャンスを掴む。ここで、法政にオフサイドの反則が あり大東大はタップキックで法政ゴールに迫る。が、大東大のFBファマオが ラフプレー(遠目でよく見えなかったが、おそらく)によりシンビンを適用さ れて10分間の一時退場。大東大はまたしても貴重な得点機を逸してしまう。 その直後の20分、法政は自陣22m付近のラインアウトで大東大が反則を犯 した時にできた隙(大東大選手達が一瞬エアポケットに落ちたような状態とな った)を見逃さず、タップキックから素早くオープンに展開。BKをフォロー したNo.8竹中がHWL付近から約50mを走りきりゴール中央に豪快にトライ を決めた。法政は自陣からでもPKから速攻で攻めるということでしっかり意 思統一ができていた模様。GKも決まって31−3となり、大東大が攻め手を 欠いている状況からも、ここで勝負ありとなった。 法政は攻撃の手を緩めない。28分には大東大陣22m手前(左サイド)のラ インアウトからオープンに展開し、ブラインドサイドからライン参加した左W TB萩尾が大東大ゴールに迫る。ここで大東大にオフサイドがあり、文字がP Gを決めて34−3。32分には得点には繋がらなかったものの、センタース クラムからのオープン展開でライン参加したFB城戸が大東大ゴールに迫るラ ンニングを見せた。そして法政は39分にも大東大陣22m内で得たPKから 速攻で攻めてWTB舩木(26分に萩尾に替わって出場)がトライを奪う。何と か一矢報いたい大東大だったが、法政のディフェンス網の集中力は最後まで切 れることがない。結局大東大はノートライに終わり、41−3と法政の予想以 上の圧勝に終わった。 [試合後の感想] 法政はこの試合で完全に自分たちの戦い方を思い出したようだ。戦術は至って シンプルで素早くテンポよくBKに展開すること。卓越したスキッパーぶりを 発揮していたSO文字のロングパスが冴えていたことは確かだが、BK陣のス ピードに乗ったストレートランの連続は本当に見応えがあった。もちろん、法 政のラグビーの生命線とも言えるFWの献身的なランニングがあったことを忘 れてはならない。何故2ヶ月前にこのラグビーができなかったのかが不思議で 仕方がない。と、どうしてもアタックに目がいきがちだが、この試合の法政の 勝因は大東大の前進を確実に止め続けたディフェンスにあると思う。接点で1 センチたりともゲインを許さないことがいかに重要かがよくわかる試合だった。 大東大は結局このままチームを完成させることなくシーズンを終えてしまうの だろうか。試合毎にメンバーが替わる状況ではそれもやむを得ないのかもしれ ない。大東大はここ10年来、FWに2人のトンガ出身の選手達を配し、彼ら の強力な突破力を持ち味とするチーム作りがなされていた。また、その2人が うまく年代的にラップする形で伝統も受け継がれてきていたように思われる。 その伝統が途切れた今シーズンはチーム作りが難しいことは理解できるが、メ ンバー個々を見ると他校にけして劣っているわけではない。最終戦の相手であ る東海大は法政同様スピードを信条とするチーム。留学生の出場枠にとらわれ ることなくメンバーを決め、FWあるいはBKに「自分たちだけでもやれる」 という自信を持たせることが(部外者の勝手な意見ではあるが)大東大のラグ ビーの進化に繋がるような気もするのだが...。 (2007年11月18日記) Top |
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