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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2008

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東海大学 vs 日本大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2008/09/06) 於:上柚木公園陸上競技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 5  2  0  0 29 |  32  8
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  14 15


◎出場メンバー

 東海 : 1.三上 [2].岸 3.熊谷 4.安井 5.杉浦 6.前川 7.荒木 8.リーチ
      9.鶴田 10.市原 11.菅生 12.吉田 13.山内 14.新井 15.豊島
     (16.端本 17.宮本 18.斉藤健 19.マウ 20.小西 21.児玉 22.山田)

    ○交代  6→19(後21分入替), 12→21(後21分入替), 11→22(後27分入替)


 日大:  1.仲村 2.豊田 3.星 [4].馬渕 5.サムエラ 6.江口 7.甲斐 8.細田
      9.中村正 10.ピエイ 11.今中 12.三友 13.富加見 14.原岡 15.住吉
     (16.小松 17.和田 18.タリファ 19.東本 20.深沢 21.中村誠 22.平賀)

    ○交代  1→17(後28分入替),  7→18(後28分入替), 10→21(後31分入替)


 レフリー :河野哲彦(関東協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0                            3                     3
                                 x          P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
            G
 日本大学    0  7                                               7


 東海大学    3      8        13         20          27 32      32
                T        T          G           G  T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                                      G
 日本大学    7                                            14   14


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半27分 市原 (PG)、森功 (G)
    後半 5分 豊島 (T)
      14分 山内 (T)
      25分 熊谷 (T)、市原 (G)
      37分 岸  (T)、市原 (G)
      40分 豊島 (T)

 日大:前半 1分 ピエイ(T)、三友 (G)
    後半43分 タリファ(T)、三友 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

いよいよ2008シーズンが始まる。八王子の上柚木運動公園というとリーグ
も終盤での戦いの場というイメージが強い。が、ここには夜間照明設備がある。
残暑厳しい9月初旬の試合ということでこの試合は夕方5時からのキックオフ。
昨シーズンの猛暑の熊谷での観戦のことを思うと天国だ。ただ、以前ここで夜
間に試合が行われた時、「照明灯が半分しか点灯しなくて暗い」という芳しく
ない評判が立っていたことを思い出す。実際、観客席からも「ここの試合は照
明が暗くて選手達も気の毒だった。」という声がちらほら。雨の心配はないが、
はたして照明の方は大丈夫だろうか。

そんなことを思いながら、両チームのメンバー表に目を通す。まずは連覇、そ
して大学日本一を狙う東海大。毎年某かのサプライズがある東海大の初陣メン
バーだが、それは今シーズンも同じだった。昨年LOとして大活躍したマイケ
ル・リーチがNo.8として出場し、ジョシュア・マウはベンチスタート。マウの
コンディションが万全でないためか、テストか、それともこれが今シーズンの
形なのか? シーズンを通して見てみなければわからないが、選手層の厚い東
海大ならではの熾烈なレギュラー争いがメンバー表からも見て取れる。

一方の日大の方にもサプライズがあった。FBあるいはWTBでの出場が予想
されたピエイ・マフィレオがSOの位置に座る。果たしてこの起用は吉と出る
かどうか。兄のサムエラの方は当初はNo.8だったが走力とパワーから考えると
LO起用は妥当だと思う。1年生からレギュラーとして活躍しているLO馬淵
主将とCTB三友(当初はSO)は今や日大の中心選手として活躍しているよ
うだ。とくに三友は1年生当時から光るものを持っていると感じていた選手だ
けにどこまで成長しているかが楽しみ。

と、選手個々のことを書いてきたが、やはり気になるのは両チームの仕上がり
状態。当然のことながら双方の狙いどころが違うはずなので、その辺りの影響
をじっくり観てみたい。キックオフが近づくにつれてピッチの上も暗くなって
いくが、本日は照明灯すべて点灯されているので明るさの方は大丈夫のようだ。

[前半の戦い]

東海大のキックオフで試合開始。早々に「サプライズ」が起こってしまった。
主役は日大のSOピエイ・マフェリオ。東海大陣22m付近のラインアウトか
らモール、ラックを経て日大はオープンに展開しボールがSOピエイへ。ピエ
イは鋭いステップでラインブレイクに成功し、タックルに入るWTBとFBも
振り切ってゴール中央に飛び込んだ。スタンドだけでなく敵も味方も唖然とさ
せた鮮やか過ぎる先制パンチで日大が7点を奪う。昨シーズン全7試合で8ト
ライしか許していない東海大が、オープニングから僅か1分にして1トライを
献上してしまった。

この予想外とも言える失点で目が覚めたのか、その後は東海大がボールを支配
する形で試合が進む。とくに10分以降はゲームが殆ど日大陣の22m付近で
進められるという日大にとっては苦しい展開。だが、日大もしぶといディフェ
ンスでこれを凌ぐ。本日の東海大はFW中心でゲームを組み立てるというゲー
ムプランだったのか、執拗にFWがサイドを攻めるというパターンが多い。た
だ、日大も伝統的にFW戦には自信を持っていて、身体を張ったディフェンス
でなかなか東海大にゴールラインを割らせない。

試験的ルールでモールを引き倒してもよくなったことも日大にはプラスに作用
しているようだ。綺麗にモールを組んで最後尾に位置したHO岸がサイドを抜
け出してトライを奪うという昨シーズンの東海大の得点パターンも今年は確実
に少なくなりそうだ。もちろん、東海大はBKへのオープン展開も試みるが、
接点でことごとく日大FWに絡まれて速い球出しができず、有効なゲインをは
かることがなかなか出来ない。東海大のアタックが単調になりがちでディフェ
ンス側が対応しやすい面もあるが、日大のディフェンスも十分に機能している。
15分に東海大は左中間約30mの位置でPGによる得点を狙うが外れる。

といった具合に東海大優勢の中で試合は進むが、日大リードのまま時計はどん
どん進んでいく。だが、前半も半ばを過ぎた27分、東海大は日大陣で得たP
Kのチャンスを活かし、FB豊島が正面約24mのPGを決めてようやく3点
を返した。東海大がオープン展開による連続攻撃を仕掛けたときには日大ディ
フェンスに穴があきそうな兆候も出てきた。が、本日の東海大のFW戦へのこ
だわり?はまだまだ続く。東海大らしからぬと言ったらいいのか、どうしても
テンポが遅くなってしまう点は否めない。

劣勢に立たされている日大。だが、ボールを持つ機会は少ないものの、日大も
個々の能力を活かした形で反撃を試みる。日大の場合は東海大と違って攻撃に
タメがある。日大は伝統的に「隙あらば個人でいけるところまで行く」という
選手を多く輩出しているチームだけに、BKにボールが展開されたときには、
どこか窮屈な感もある東海大とちがって、シンプルながら観る者に「ワクワク
感」を抱かせることも事実。ただ、最終局面でミスを犯してチャンスを逸して
しまうところも(残念ながら)日大らしいところ。

31分には日大が東海大ボールラインアウトでスティールに成功し大きく前進。
ピエイが東海大ゴールに迫る。東海大応援席からは悲鳴も上がったが、ここは
東海大がしっかり止めてターンオーバーに成功し事なきを得た。東海大攻め倦
みの状況でゲームの流れが日大に傾きかけていただけに、東海大ファンは胸を
なでおろしたに違いない。逆に日大はここで1本決めておきたかったところ。

7−3で日大リードのまま時計はさらに進む。東海大が日大陣奥深くに攻め入
る展開が続くがゴールラインが遠い。インジュリータイムの44分には、スク
ラムを起点としてFWのサイドアタックで前進をはかるものの、ゴール手前で
惜しくもノックオン。ここで前半が終了となった。ボール支配は圧倒的に東海
大だがリードしているのは日大。昨シーズンの開幕戦(関東学院対拓殖大)で
は「波乱の匂い」がプンプンしたが、この試合ではそんな感じもしない。SO
がルーキーということもあってか、FW戦にこだわっていたように見えた前半
の東海大。後半もこのペースで試合を進むのだろうか?

[後半の戦い]

後半開始早々の5分、やっと東海大らしいトライが生まれた。日大陣22m付
近でのスクラムを起点とした連続攻撃から最後はFB豊島がゴールラインを超
え、僅か1点差ながら東海大は逆転に成功する。このトライでようやく東海大
が本来のリズムを取り戻し始める。前半と同じくFW主体の戦いであることは
変わりないが、少しずつアタックのテンポが上がってきた。12分には日大の
PKがノータッチとなったところでカウンターアタックからNo.8のマイケル・
リーチがタッチライン沿いを快走し日大ゴールに迫る。リーチは日大陣22m
ラインを超えたところでタッチに押し出されるが、見事なランニングだった。

そのリーチは冒頭にも書いたとおり、本日はNo.8として登場している。おそら
く今シーズンはFLで活躍するものと思われるが、新たな可能性に向けてのテ
ストのようにも見受けられる。ただ、昨シーズンの印象からするとマイケルの
持ち味が発揮されるのは、切り込み隊長役よりも運動量豊富なつなぎ役の方だ
と思う。むしろ対戦相手にとってはNo.8にパワーのあるマウが座っていた方が
いやなはず。本日の東海大FWの布陣はいろいろな可能性を試すテスト的な意
味合いがあったのかも知れない。

話が逸れてしまった。東海大はさらに得点を重ねる。14分には日大陣22m
付近でのラインアウトを起点として、SH鶴田からCTB山内にラストパスが
渡りリードを6点に拡げる。21分には満を持していたマウが投入され、東海
大の攻撃はさらにパワーアップ。25分にFWのサイドアタックから右PR熊
谷がトライを挙げたところで東海大のリードが13点に拡がり、ここでほぼ勝
負有りとなった。

さらに終了間際の37分、昨シーズンのトライゲッターHO岸に待望の1本が
出た。東海大は畳みかける。40分にはようやく東海大が「らしさ」を見せる
形でFWとBKが一体となった連続攻撃でFB豊島が鮮やかなトライを決めた。
東海大のリードは一気に25点まで拡がる。

が、時折ではあるが東海大のお株を奪うかのようなテンポのよいアタックを仕
掛けていた日大が最後に意地を見せる。31分にピエイに代わって登場した巨
漢(190cm, 125kg)のタリフォラウ・タカウがノーサイド寸前の44分に東海
大陣22m付近でのラックから抜け出し、巨体を揺らしながらゴールラインま
で走りきってトライを決めた。

終わってみれば東海大が貫禄を見せる形での圧勝。だが、軽やかなステップワ
ーク(ピエイ)でオープニングを飾り、最後はパワフルなラン(タカウ)で締
めた日大の健闘ぶりも強く印象に残る不思議な試合ではあった。

[試合後の感想]

例年に比べると仕上がりが遅く感じられる東海大はファンをやきもきさせたか
も知れない。ただ、本日の試合はSO市原(1年生)の初舞台であることと、
FWの人材発掘のためのテストという意味合いもあったものと思われる。今シ
ーズンの東海大はまずFWを固めた上でBKの攻撃に磨きをかけてじっくりと
チームを仕上げていくのではないだろうか。おそらく次の流通経済大戦で東海
大のめざす形が見えてくるものと思われる。リーチとマウの起用法も含めて注
目してみたい。

残念ながら健闘及ばず、前半リードを奪いながら「波乱」の匂いを感じさせる
ことなく敗れてしまった日大。だが、選手達はこの戦いを通じて「やれる!」
という確かな手応えを掴んだのではないだろうか。LOの馬渕主将、そして攻
守両面で活躍を見せたCTB三友がチームをよくまとめている。ここ数シーズ
ンの日大の課題であったFWとBKの繋ぎの部分(SH)にも人材を得たこと
で、テンポのよいアタックが出来ていた。反則が多かったことが反省材料だが、
今シーズンこそはハリケーンズ(日大の愛称)が大暴れしそうな予感がするし、
またそうあって欲しいと思う。            (2008年9月9日記)

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