Live Reports from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2008 |
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拓殖大学 vs 中央大学 |
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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2008/09/06) 於:上柚木運動公園陸上競技場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 拓殖大学 :前半: 0 0 2 0 6 | :後半: 0 0 0 0 0 | 6 16 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 中央大学 :前半: 1 1 2 0 13 | :後半: 1 0 1 0 8 | 21 14 ◎出場メンバー 拓殖 : 1.林 2.吉田 3.西 4.土井 [5].浦川 6.稲田 7.森谷 8.ナータ 9.北川 10.齋藤 11.茂野 12.ダニエル 13.ニコラス 14.横山 15.高橋 (16.川田 17.川田 18.前田 19.角谷 20.大江 21.植田 22.橋爪) ○交代 14→22(後27分入替), 6→19(後34分入替), 9→20(後35分入替) 3→17(後43分入替) 中央 : 1.井上 2.岡島 3.大塚智 [4].小笠原 5.眞壁 6.豊田 7.烏田 8.植原 9.吉田 10.松下 11.中田 12.三宅 13.大塚大 14.森山 15.岡本 (16.坂井 17.丸井 18.渡辺 19.藤原 20.松尾 21.中澤 22.竹田) ○交代 7→19(後 0分入替), 11→22(後11分入替), 2→17(後20分入替) 9→20(後29分入替), 12→21(後29分入替), 3→16(後33分入替) ●シンビン 4(後半40分) レフリー :藤内有己(関東協会公認) ◎得点経過 拓殖大学 0 3 6 6 P P 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 x G P P x 中央大学 0 7 10 13 13 拓殖大学 6 6 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 T P 中央大学 13 18 21 21 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 拓殖:前半10分 ダニエル(PG) 35分 ダニエル(PG) 中央:前半20分 小笠原(T)、岡本 (G) 37分 岡本 (PG) 40分 岡本 (PG) 後半 1分 大塚智(T) 20分 岡本 (PG) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] 第1試合では1部復帰を果たしたばかりの日大が昨シーズンの覇者東海大に対 して今後に大きな期待を抱かせる戦いぶりを見せた。どうやら今シーズンもリ ーグ戦グループは混戦模様となりそうな予感がする。そういった意味でもこの 拓殖大と中央大の戦いはリーグ戦の今後の展開を占う意味で楽しみな対戦。昨 シーズンは拓殖大が終了間際に挙げた起死回生のトライ(GKも成功)で僅か 1点差ながら勝利を収めている。そのリベンジは別にしても、今シーズンこそ 下位グループからの脱却を図りたい中央大にとっては絶対に落とせない一戦と 言える。 もちろん負けられないのは拓殖大も同じ。昨シーズンは1部昇格から3位にま で上り詰める大躍進を見せたが、冷静に戦いを振り返ってみれば横山兄弟の弟 (伸一)やシオネ・バツベイといった決定力のある選手に依存していた面は否 めない。得点が多いチームではあったが(とくに後半の)失点も多かったチー ム。上位定着のためには個人に頼らない(組織で相手を崩して取る)得点力と 80分間をコンスタントに戦える戦術を持ったチームへと成長を遂げる必要が ある。BKにはチームの核となるピータースや決定力のある横山健一といった 選手達が居るだけに、彼らをどのように活かす形でチーム作りをしていくかが 私的着目点である。 対する中央大。昨シーズンは粘り強いディフェンスで魅せてくれた。ジャパン を背負って立つLO眞壁に加え、将来性が感じられるルーキー達が登場したこ ともファンにとっては好材料。あとは勝負所でミスをせずに確実に得点を奪う 力がつけば(今年こそは)上位グループ入りできるはず。「惜敗の中央大」の 汚名?はそろそろ返上したいところ。そのためにも関東学院や東海大といった 強力FWを擁するチームに力負けしないことがFWには求められる。まずは中 央大FWの仕上がりに注目したい。 [前半の戦い] 中央大のキックオフで試合開始。新ルールの適用によりある程度予想されたこ とではあるが、序盤戦はキック合戦の様相となった。(トップリーグのように スピードアップしないのはスキルの問題もあるので、まぁこれは仕方ない。) 拓殖大のキッカーは今シーズンはおそらくインサイドCTBを務めることにな るダニエル・ピータース。昨シーズンは(私見ではあるが)リーグ戦Gでもっ とも安定したSOとして活躍していただけ個人的には起用法に?なのだがCT Bのイーリ・ニコラスとコンビを組ませることにより、BKラインを厚くする ことがチームの方針なのかも知れない。 この試合に先立って行われた東海大対日大戦ではいろいろとサプライズがあっ たが、この試合でも拓殖大にサプライズ。拓殖大ボールのスクラムでボールを 投入するのはSHではなくて13番を付けたイーリ・ニコラスだった。新ルー ル対策かと思われたが、普通にSOにパスをすることの方が多い。スクラムの 都度、BKラインの方に向かう9番の選手の後ろ姿に「何で?」と書いてあっ たように見えたのは気のせいだろうか。チーム戦術として徹底されていたのか どうかに疑問符が付いた。 さて、試合の方だが、最初に得点のチャンスを掴んだのが中央大。FB岡本が 拓殖大陣10mライン付近の位置で得たPKで場面でゴールを狙う。キックは 右に外れたが、拓殖大ピータースとの壮絶な(ちょっとオーバーだが)PG合 戦の火ぶたはここで切られた。もちろん結果的にではあるが..。直後の10 分、そのピータースが中央大陣10m(右中間)の位置からゴールを狙う。昨 シーズンにこのくらいの位置から何度もキックを決めたシーンを観た者として は当然の選択と映るのだが、スタンドからは大きなどよめきが起こる。が、次 の瞬間、そんな声をかき消してしまうくらいの見事なキックがゴール中央に吸 い込まれた。やはり、ピータースのプレースキックは飛距離もコントロールも 抜群だ。 しかしアタックでもディフェンスでも前に出る気持ちの強い中央大も反撃する。 19分、拓殖大陣で得たFKからの速攻に対して拓殖大にノット10mバック があり、中央大はさらに拓殖大22m内からタップキックで前進を図る。FW のサイドアタックに対して拓殖大DFに穴が開き、最後はLO小笠原主将がゴ ール中央に飛び込んだ。GKも難なく成功し、中央大が7−3と試合をひっく り返した。 その後、試合は膠着状態に陥るが前半も終盤に近づいた34分、再び拓殖大の ピータースが素晴らしいプレースキックを披露した。今度も正面だが中央大1 0mライン付近からのPGを鮮やかに成功させて拓殖大のビハインドは1点に 縮まる。今度はスタンドもどよめかない。しかし、中央大ファンにもその直後 に見せ場が訪れた。今度は岡本の番でゴール正面30mのPGを難なく成功さ せる。お互いやや反則が多かったこともあるが、試合は一気にPG合戦の様相 も呈してきた。 中央大は「PG」でさらに畳みかける。40分、今度はゴール正面36mの位 置から決めて13−6と中央大のリードは7点に拡がった。そしてそして前半 終了間際の45分にはHWL付近(距離は48mくらい)の位置から狙う。飛 距離十分だったがボールは無情にもポストを直撃。こうなると前の2本はまぐ れではない。リーグ戦Gに新たなスーパーブーツ誕生と書いてしまおう。岡本 は4年生だが昨シーズンはリザーブ登録が多く、GKもLOの小山田主将が蹴 っていたため目立たなかったのかもしれない。 [後半の戦い] 前半についてはPGのことばかり書いてしまった。そのくらい二人(ピーター スと岡本)のキックが素晴らしかったのだが、逆に言えば両チームともアタッ クに決め手を欠いていたとも言える。拓殖大はエースのWTB横山にいいボー ルが渡る場面がほどんどなかった。オープンに展開しても中央大の厚いDFの 前にラインは横流れ状態となり有効なゲインが得られない。一方の中央大はボ ールを持つ機会が多かったもののミスでチャンスを潰すと言った具合。中央大 リードとは言っても点差は僅か7点。とくに拓殖大は形勢不利の様相も呈して きただけに何とか立て直しを図りたい。 と思っていたら、開始早々に中央大があっさり追加点を奪った。拓殖大が自陣 でワイドにオープン展開を試みたロングパスがミスとなり自陣深くを転々とす る。このチャンスを逃さず中央大がボールを拾ってLO眞壁が力強く前進しラ ストパスがフォローした右PR大塚智加人に渡る。右隅からのゴールキックは 失敗に終わるが中央大は5点を追加してリードを12点に拡げて波に乗る。拓 殖大にとってリスタートでのこのミスは痛かった。 なかなか組織的なアタックが機能しない拓殖大。CTBピータースが今度はラ ンで魅せる。9分にHWL付近のラインアウトからオープンに展開したところ でピータースがラインブレイクに成功してタッチライン沿いを駆け上がってゴ ールを目指す。が、22mラインを越えたところで中央大のFB岡本が渾身の タックルをピータースをタッチに押し出した。この二人の見せ場はPG合戦だ けではなかった。 アタックでもディフェンスでも「前へ」の意識が強かった中央大。18分には 自陣からのハイパントで攻めて強力なプレッシャーをかけたところで拓殖大が たまらず反則を犯す。右中間約30mの位置からのPGを岡本が決めて中央大 のリードは15点に拡がる。このままずるずると負ける訳にはいかない拓殖大 も反撃を試みるがなかなか攻撃が繋がらない。中央大のディフェンスが機能し ていることが大きいが、やはり決め手に欠ける点は否めない。拓殖大の終盤の 猛攻も実らず、その後両チームとも得点を挙げられないままノーサイドとなっ た。 [試合後の感想] 拓殖大がアタックに決め手を欠いたこともあるが、中央大のディフェンスが光 った試合だった。アタックではミスでチャンスを潰す場面が多かったが、中央 大はまずは順調なスタートを切ったといえそう。ただ、後半20分過ぎから足 がつってしまう選手が散見されたように、上位校との対戦を考えるフィットネ スにやや不安ありと見た。また、関東学院や東海大を相手にしたときにスクラ ムでどれだけ踏ん張れるかも今日の試合からではわからない。ただ、FWに突 破力のある選手が居るだけに、攻撃がかみ合っていけば怖いチームになること は間違いない。 上位定着以上を目指したい拓殖大にとってはほろ苦い緒戦となってしまった。 選手起用に工夫は見られるが、この試合に関する限りは機能していたとは言い 難い。やはり大駒(横山弟やバツベイ)の抜けた穴は大きいと言わざるを得な いが、ピータースのようなBKの核になれる選手が居るだけに立て直しは十分 に可能と思われる。やはり司令塔(SO)には蹴ってよし、走ってよし、判断 力もありのピータースを据えて、FWとの連携を図りながらいい形で決定力の ある横山や茂野といったWTBにボールが渡るスタイルが拓殖大には合ってい るように個人的には思うのだが...。胸のすくようなオープン展開指向の拓 殖大ラグビーの復活に期待したい。 (2008年9月10日記) Top |
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